ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1599話 試合開始の光景?

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『レイディース・アンド・ジェントルメーーーン! 紳士淑女の皆々様……え~い面倒だ! クソ野郎ども! ダンジョンバトルの時間だ! 最近何かとお騒がせな、女神アリスが召喚したダンジョンマスターがまたバトルをするようだ。

 どっかの誰かさんたちの所為で異常にバトルの回数が多いが、私たちにとってはちょうどいい娯楽だ! 今回も楽しませろよ!』

 チビ神が気に入らない神たちがちょっかいをかけているのは分かっているけど、自分たちの娯楽のために止めていないという事実が判明した。

 チビ神でも気付くくらいだから、他の神が気付くのも当たり前だよな。

『ちょっと、あんた! バトル始まる前だから、私も見てるんだからね! 私でもってなによ! 失礼しちゃうわね!』

 おっと、チビ神から念話が届いた。

「それにしても、ルール的には逸脱していないから誰も止めないんだな。むしろ、楽しそうだから煽ってそうな勢いだ」

「もう、神のことはあきらめた方がいいでござるな」

『さて、今回は通常のダンジョンバトルだ。賭けのないバトルだから緊張感はないが、久々のランカー同士のバトルだぞ。ということで、お前ら! 賭けを開始するぞ!』

「もしかして、チビ神って自分にかけるから負けるなって言ってたのか? なんだろ、無性に負けたくなってきた」

「気持ちは分かるけど、あんたの娘たちが頑張って準備したんだよ。わざと負けたら嫌われるかもしれないよ」

「それはいかん! わざと負けて娘たちに嫌われるくらいなら、相手を滅ぼしてやる!」

「相変わらずでござるな。賭けについては分からないでござるから、バトルに集中するでござる。まずは、侵攻に力を入れるでござるよ」

「っと、そうだな。そろそろ娘たちが来る時間か?」

 というと、ドアが音を立てて開いた。

「ミーシャ! そんな風に扉を開けたらダメだって言ってるでしょ!」

 豪快に飛び込んできたのは、ミーシャだった。後ろから追いかけて来たミリーに怒られている。俺の近くに来ると怒られなくなることを知っているので、必死にこっちへ来ようとするが先に捕まってしまい涙目になっている。

 助けてって目をしてもダメだぞ。しちゃダメだって何度も怒られているのに、懲りずにやるミーシャが悪い。以前、かわいそうで助け舟を出したところ、ミーシャと一緒に正座をさせられたのを思い出す。

 次に部屋に入ってきたのは、高速ハイハイでシンラが入ってきた。障害物を上手いこと避け、怒られているミーシャから離れた位置取りで俺に突っ込んできた。膝の上に上ると満足げに息をついている。歩けるようになったのに、まだハイハイの方が早いからな。

 次に来るのはプラムとシオンかと思っていたら、2人はスミレとブルムに抱っこされてもがいていた。いつも俺に頭突きをするので、入る前から確保されていたみたいだ。

 遅れてスライムたちも入ってきたが、いつもと動きが違った。いつもは、少しだけ体を上下させながら滑るように移動しているのだが、今日はまん丸の状態で移動している……どうやって動いているんだ?

 どうやらまん丸の状態、球状で転がると移動が楽だということに気付いたようで、転がって移動しているらしい。体の密度を変えたり、魔力で動かしたりしているようだが、普通に移動するより面倒じゃないか?

 まぁ、それで満足しているようならそれでいいんだが。

 とはいえ、娘たちが頑張って準備したダンジョンバトルが始まるから、

「ミリー、その辺にしてあげてくれないか? そろそろバトル開始だからさ」

「もうっ! シュウ君ったら、子どもたちに甘いんだから!」

「ミリーたちが厳しくしてるから、中には優しくしてあげる人がいないと、子どもたちも息が詰まっちゃうだろ?」

「そういって、娘たちに嫌われたくないだけでしょ!」

 図星を突かれるが、俺が娘たちに嫌われたくないと思っているのは、今までの生活で嫌って程知られているので今更である。

「そりゃそうだろ。お父さんの服と一緒に洗わないで! とか、お父さんクサイ! とか言われてみろ。どんなに強い魔物の攻撃も跳ね返すこの体を貫通して、心にダメージが入るぞ! 下手したら重症だからな!」

「どこの世界に、そんなこと言う娘がいるのよ」

「地球にある日本という国では、少なからずそういう女の子がいるんだよ」

「それって本当なの? バザールさん、綾乃さん」

「残念ながら、事実でござる。父親をゴミい扱いする娘たちもいると聞いたことがあるでござるよ」

「私はそんなことなかったけど、友達に3メートル以内に近付かないでって言っている子はいたわね。その子の父親を見れば言いたいことは分かったけどね。私のお父さんは、かっこよかったからさ」

 どうやら綾乃の友達の父親は、父親にも問題があったようだ。

「信じられないわね。私たちの感覚では、一家の柱だから毛嫌いするって聞くのは、貴族の娘くらいですよ。それも、政略結婚をさせようとする父親に多く見られるって、聞いたことがあるくらいですね」

「政略結婚、シュウに限って言えば、絶対にないわね。むしろ、嫁には出さん! とか言って、娘たちに彼氏ができた時のことを考えると、そういう意味で嫌われるかもね」

「それはありそうですね。シュウ君ったら、何がそんなに嫌なのかしらね?」

「そう言わないであげてほしいでござる。主殿の気持ちも……某には分からんでござるが、本人にとっては大変なことなのでござるよ。発作の一つだと思って、生温かい目で見てやってほしいでござる」

 こいつは一言余計なんだよ!

「とーたん、ミーたちはずっと、とーたんと一緒にいるよ!」

 ミーシャたちが抱き着いてきた。その気持ちは嬉しいぞ! そして、妻たちよ! そんな残念な顔をして俺のことを見るな!

 ミーシャたちが抱き着いたのを見て、プラムたちも面白そうとでも思ったのか俺の腕にしがみついてきた。シンラだけは、我関せず! と言わんばかりに麦茶を飲んでいる。こいつ、余裕があるときは本当にマイペースな奴だな。

 そんなことをしていたら、バトル開始の合図が鳴った。
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