ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,587 / 2,518

第1587話 強化外骨格の天敵?

しおりを挟む
「さて、実験を始めますか」

 色々考えるのが面倒になってきているので、投げやりになってきているのは頭では理解しているが、くだらないダンジョンバトルに付き合わされているので、仕方がないだろう。

「何から始めるでござるか?」

「噛む力が強そうな、ピラニアっぽい魔物かな? 見た目はピラニアなのに、体のサイズがおかしいんだよな。1メートル越えのピラニアってどうなんだよ。日本人のイメージだと手のひらサイズくらいだけど、実際は50センチメートルくらいのサイズはいるって話だよな」

「聞いた覚えがあるでござる。イメージだけでござるなら、手のひらサイズでござるな」

 水槽、いや海水が流れているダンジョンの川というべきだろうか? そいつを放流する。

「シュウ、死んだわよ」

「あれ? ピラニアって淡水魚だっけ?」

「知らない。アマゾンとかにいるって話だから、淡水魚かもね」

「え? アマゾンって海じゃなかったっすか?」

「お主は、何と勘違いしているでござるか? 海と見違えるほど川幅が広い場所はあるでござるが、アマゾンは河川でござるから、淡水でござる」

 健司……頭が弱い子なのだろうか? それとも、地球のことをすでに忘れかけているのかもしれないか?

「海の生物か、硬い物を食べるっていうと、貝類を食べるタコとかどうだ?」

「タコの魔物ってどんなのがいるの?」

「いるのは、クラーケンだけか?」

「そうでござるな。名前違いでたくさんいるでござるっぽいけど。リトルでござったり、レッサーでござったり、ビッグでござったり、色々あるっぽいでござる」

「そうなのか? 俺の方にはクラーケンしかいないんだけど」

「そりゃそうでござるよ。主殿が召喚できる魔物は、某が全部引き受けているでござるから」

「あ~そうだったな。忘れてたわ。とりあえず、リトルクラーケンはどのくらいのサイズだ?」

「表記的に言えば、頭から足の先までで1メートルくらいでござる」

「リトルでそのサイズか、レッサーや普通のクラーケンは?」

「レッサーは、3メートルほどでござる。普通のは、5メートルくらいでござるな」

「5メートルは、さすがにでかいかな? 待てよ、普通のクラーケン以外を召喚できなかったら、こいつが基準になるのか。よし、普通ので試そう」

 クラーケンを召喚すると、

「ここまででかいと、タコって不気味だな」

「そうでござるな」

「私、向こうに行ってるから、結果だけ教えてね」

 綾乃は戦線離脱。

「へ~、タコってこんな感じなんすね。そもそもクラーケンってイカじゃないんすね」

 健司は、どうやら平気なようだ。足の1本を動かして俺たちにあいさつしているように見えるクラーケンの足を、ツンツンと突っついてみたり、吸盤を触ってみたりしている。

「吸盤の形だけ見れば、メスっすかね? 吸盤のサイズが揃っているタコは、メスって話だったっすよね?」

 そんな話を聞いたことあるな。オスは縄張り争いで使うからでかくなるとかならないとか?どうでもいいか、タコの魔物とはいってもクラーケンは魔物だから、生態が同じだとは限らんしな。

「生態を調べるのは、後にしておけ。欲しかったら実験が終わったらペットにしてもいいぞ」

「さすがにここまで大きいとペットにはできないっすよ」

「さて、Lvはいきなりカンストでやるか?」

「300くらいから50刻みくらいでいいんじゃないでござるか?」

「オーケー、それで行こう」

 クラーケンのLvを300まで上げて、強化外骨格3式に攻撃を攻撃を仕掛けさせる。

「うは~、締め上げてるっすよ。噛み付きは見えないっすけど、頭とかかじっているんじゃないっすかね?」

 石ゴーレムの入った強化外骨格3式を、タコが触手でからんでる……誰得だよ。

「でも、送られてくるデータでは、問題なさそうでござるな。でござるが、3式は関節技に弱かったのではないでござるか?」

「一応、対策はしているけど限界があるってことだな。俺たちが装備すれば、生身の力も加わるからな。今は、中のゴーレムに頑張ってもらってるから、人間で言えばAランクの冒険者相当かな?」

「300くらいでは3式を突破できないでござるな」

 50ずつ上げていく。3式が優秀であることがよくわかった。結局、クラーケンが傷をつけられるようになったのが500で、修復スピードが間に合わなくなったのが600のようだ。

「600ね~、ここまでなら段階的な育成ダンジョンがあれば、それなりに上がるか?」

「このダンジョンバトルにどうしても勝ちたい協力者がいると思われるダンマスなら、DPで強引に上げるんじゃないの?」

 情報をもって綾乃のところへ行き話し合いをする。

「そんな奴もいる可能性があったんだな。とはいえ、Lv600のタコがいれば倒すことができるんだ。触手で絡め捕られたら、バックアームも役に立たねえな。まさか3式というか、強化外骨格の最大の敵が触手系の魔物だとは、意外な事実だったよ」

「防御に特化した2式でも、ビッグとかグレーターみたいなクラーケンだったら、さすがに対抗できないでしょうね。タコの筋力ってどうなってんのかしらね?」

「ステータスを見るだけなら、俺よりは数値低いな」

「あんたと比べるのはどうなのよ。あんたは、噛み付いたりしてあれ壊せる?」

「武器なしだと、関節技でねじ切る以外は無理だな。3式に限らず、強化外骨格は殴って壊せないよ。衝撃に強すぎんだよなこれって。しかも、自動修復機能付きだから壊せねえんだよな」

「あんたの力でも無理なんだね。そう考えると、クラーケンの噛み付きって強いのね」

「タコ系の魔物が来たらどうすっかな。数で押せば何とかなるか?」

「でござるかね」

 俺たちは、クラーケンがボリボリと3式を食っている映像を見て、3人でため息をついた。

 健司は、その光景を興味深そうに見ている。こいつってゲテモノ趣味だったりするのか?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

処理中です...