ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,575 / 2,518

第1575話 なんか、疲れた

しおりを挟む
 チビ神から聞いた話をそのまま説明して、俺が個人で戦争を起こしたわけではない、と同意を得ようとしたら、2人に冷めた目で見られた。

「主殿、さすがにそれは同意できないでござる。小国相手に戦争をしたのなら、まだわかるでござるが、主殿は三大国全部に喧嘩を売ってるでござるからな」

「シュウが何て言おうが、今回ばかりはチビ神が正しいわよ。というか、あれであんたには戦争をしているつもりがなかったのかしら? 話しか聞いていない部分もあるけど、これで違うっていうなら、常識に喧嘩を売っているとしか思えないわね」

『プギャー! ワロス!』

 おめえはうるせえんだよ! 黙っとけ!そして、その言い方止めろ! 次やったら、絶対にデータ送らねえからな。

 静かになったな。

「何か言いたいことはあるでござろうが、三大国の首都を実質一度は落としているでござる。どんなに主殿が否定しようが、先頭に立ってたでござるしな。戦争とは少しずれるでござるが、街一つを魔法で更地にもしているでござるよ」

「あれは戦争ではないけど、世紀の大虐殺と呼ぶにふさわしいわね」

「あれは、神からの依頼だから、ノーカンだろ。それにあれは虐殺というよりは、これ以上理から外れた奴を放置できないし、俺がやらなかったら大切なモノが失われる可能性があったからな」

「あ、ごめん。シュウがあのことで、しばらく苦しんでたんだったね。不躾だったわ」

「気にするな。あの時奪った命の責任は俺自身で納得したものだ。確かにしばらく使い物にならなかったけど、今は大丈夫だ」

 嫌なことを思い出してしまったが、俺は覚悟してあの街を壊したんだしな。

「話を戻して、シュウが聞いた説明だと、始めに返ってきたのは、転生って小説の中の話みたいな感じで返ってきたのに、次には興味がないみたいな感じだったっけ? 矛盾してない?」

「そうでござるな。改めて考えるとでござるよ、知らないといった後に知っている。みたいなことを言っているでござる」

「言われてみればそうだな。矛盾してる。いや、待てよ。あのチビ神も1回目の質問のときは、俺が渡している小説を読んでたから出た発言かもな。それに興味がないってことは、どうでもいいってことだろ? 忘れてた可能性が高いんじゃないか?」

 俺の発言に、2人はあのチビ神ならありえるかも! みたいな感じだった。俺もその意見には賛成だ。あいつなら、ありえる!

『だって、転生者が仕掛ける戦争って、大体がくだらないのよね。知識があるおかげか、効率よくレベルを上げる方法を思いついて強くなるけど、結局強さにおぼれて、さらなる力を手に入れるために戦争を起こすか、自分勝手な理由で起こすみたいな感じで、つまらないのよね。

 あんたみたいに飛びぬけた奴なんて、多くないしね。だから、話しているうちに思い出したのよ』

 多くないってことは、いるんってことじゃねえか! それにしては、俺だけ神たちの嫌がらせの対象になってねえか?

『別にあんただけじゃないわよ。数千数万の世界があるんだから、それ以上に神が存在しているのは分かるでしょ? そんだけいれば、あんたみたいな境遇のダンマスや勇者は出てくるわよ。だけど、あのホコを退けた奴は初めてだったから、私としては鼻が高いわよ!』

 そうだった。神界にいる神って、人間より俗物っぽかったな。だから、俺みたいな境遇の人間がいてもおかしくないわな。お前、もう帰っていいよ。

『ムキー! 人を都合のいい女のように扱って! 失礼しちゃうわね!』

 まてまて、都合のいい女って、もう少し成長してから、いいやがってくださいでございます。

『ムキー!「バナナ食うか?」食べないわよ! そのよくわからない言葉使い、めっちゃむかつくんですけど! 今に見てなさい、あんたが惚れちゃうくらいいい女になって見せるんだからね!』

 俺には嫁がたくさんいるから、お前には惚れることないから安心しろ。それに、会えもしない相手に惚れるわけねえだろ。呼ばれるまで、小説読んでるかゲームでもしてろ。

 プツンと切れるような音がして静かになった。

「……ウ、シュウ! あっ、気付いた。急に黙ってどうしたのよ」

「あ~、チビ神からまた連絡がきて、ちょっと心の中でキレてたわ。すまん」

「また、あの神は何か言ってきたでござるか。あまり主殿の機嫌を損ねると、物資が手に入らないくなるでござるのに、よくちょっかいかけてくるでござるな。それに召喚した主殿が死ななければ、新たに召喚できないでござるのに、何で仲良くしようとしないでござるかね?」

「確かに、あんたはしばらく死にそうにないわね。世界を移動する方法もゲットしちゃったわけだし、完全にルールブレイカー的存在になってるわよ。ダンジョンバトルの上位陣でも、総戦力を見ればあんたには敵わないでしょうね。ダンジョン支配権をかけたバトルを仕掛けまくれば、数万ある世界を全部手中に収められるわね。あんた寿命ないし」

「そんな面倒なことするわけないだろ。あの街だけでコリゴリだわ。わざわざ行く必要ねえ! まぁ、綾乃かバザールがどうしてもっていうなら、DP出すから勝手に魔物とか召喚して支配してきてもいいぞ?」

「めんどい」

「面倒でござる」

「結局、俺と同じこと言ってるし。自分で作ったこの街が俺は好きだしな。世界観が崩れる施設もたくさん作ったけど、思うままに作れるって楽しいしな」

「遊びで、大陸全体をこの街みたいにしたら面白いかもね。人口どれくらいまで増やせるんだろうね?」

「食糧生産はダンジョンで行えるでござるからって、住むことも可能でござるし、上限はほぼ無いでござるな」

 この後、くだらない話を飽きるまでして、家に帰った。

 玄関を開けると、シンラが高速ハイハイをしていた。何でこんなところにいるんだ? と思ったら、後ろからプラムとシオンが追いかけていた。今日も追いかけっこをしているのか、本当に飽きないな。

 俺を発見したシンラが駆け寄ってくる。抱っこをするようにせがんできて、抱っこをしてやるといつものようにプラムとシオンが、俺の足へ猛攻撃を仕掛けてくる。

 その光景を妻たちが見て笑っている。助けてくれよ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。

みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ! そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。 「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」 そう言って俺は彼女達と別れた。 しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...