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第1415話 憐れなレイスたち
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さすがに、強敵と思われるブラッドリーレイスを相手にしてまで、暴れるほど戦闘がしたいわけではなかった。結果、ブラッドリーレイスの相手は、人造ゴーレムを前に押し出して、後方から魔法で支援する形になった。
人造ゴーレムの一部は、聖銀……聖属性の鎧で守っているような状況だ。
人造ゴーレムが戦うということが決まったので、メンテナンスを一応してあげようと思い近くへ呼び寄せた。
「あれ? 聖銀をコーティングした人造ゴーレムに、小さな傷ができてるな」
理由は分からないが、魔核で自動修復をかけるように設計していたのに、修復されていない状態だったのだ。聖銀コーティングをほどこした人造ゴーレムを観察すると、傷というよりはひび割れに見えてきた。
10体中10体全部に傷ができている状態だ。明らかにおかしい。
「傷というかひび割れがあるのは、肘とか膝が多いな。もしかして聖銀って、魔核による修復が無効なのかもしれないな。みんな、聖銀で作った武器は持ってきているか?」
俺の問い掛けに、ダンジョンにもぐっている妻たち全員が反応して、聖銀の武器を出してくれた。俺たちは全員、聖拳のスキルを持っているので聖銀で格闘武器は作っていない。剣や槍、斧に槌などの聖銀の武器を持っている。
「やっぱりそういうことか。聖銀の武器にも魔核で修復機能をつけているのだが、修復の効果が出ていないみたいだな。ってことは、聖銀には修復に効果がないのかもしれないな……ん? でもクリエイトゴーレムで直す事はできるみたいだな」
クリエイトゴーレムで直せることが分かって、ひとまず安心した。正直、聖銀は武器として使うには柔らかすぎるのだ。柔らかいと言っても銀のように柔らかいわけではない。ただ切り合う武器としては、柔らかいのだ。
どれくらいかというと、青銅くらいと言えばわかるだろうか? じゃぁ、何で柔らかいのに武器に加工したかと言えば、聖銀が有効な相手に対しては性質のおかげで相手が撃たれ弱くなるのだ。一方的に攻撃するなら聖銀はかなり有効ということだ。
聖銀製の武器は、バザールと対決した時以来使っていなかったからな。
「あれ? バザールを連れて来てたら、もしかしてこのダンジョンは苦労しなかった?」
「それはないと思いますよ。以前に話を聞いた事ありますが、自分に関係のないダンジョンのアンデッドは操れないそうですからね。正確には、ナニカの制御下にあるアンデッドとか言ってたような気がします。でも、アンデッド同士では襲わない様なので、無視していけるとかいう話でしたね」
「そんなに甘くないか。とりあえず整備だけしてしまおう」
ライムがいつ聞いた話か分からないが、バザールから聞いた話を教えてくれた。アンデッド同士って戦わないんだ……知らなかったわ。
聖銀のコーティングは剥がした方がよさそうだな。これなら、聖銀で防具を作った方がまだましかもしれんな。武器だけじゃなくて、小手位は用意してみるか。
妻たちの武器も含めて30分程で整備が終わる。
「よっしゃー、整備も終わったし行くぞ!」
「「「おーー!!」」」
シェリル・イリア・ネルの3人はいい子だな、俺のテンションに乗ってきてくれる。撫でてやろう! グリグリと撫でていると、抗議の声が上がった。3人とも髪の毛がぐしゃぐしゃになって怒ってしまった。すまぬ。
ブラッドリーレイスのいる部屋の扉を開け、人造ゴーレムを突入させる。
聖銀製の武器を持っている人造ゴーレムは20体。対して相手は、ブラッドリーレイスにレイス10匹の合計11匹。今回は人造ゴーレムたちに指示は出していない。こいつらがどう戦うかも見るつもりなのだ。
人造ゴーレムたちが突入した後に続いて俺たちも中に入る……ん? 人造ゴーレムたちが止まっている。どういう状況なんだ? ブラッドリーレイスたちと相対して、お互い硬直している。
「お兄ちゃん、何かかたまってるね」
ネルから、この状況を説明する言葉が発せられたが、硬直している理由は分からない。
「もしかして、レイスたちが混乱して硬直してるから、人造ゴーレムも空気を呼んで硬直しているのかな?」
イリアの問いに向かって20体の人造ゴーレムが、手をこちらに向けて親指をたて、グッとしていた。
それはないだろ! って思ってたけど、イリアの言う通りだったのか! まさか過ぎて言葉が出てこない。
「って、そうじゃない! 敵が動かないならチャンスだろ! 戦闘で空気を読む必要なんてねえよ! さっさと戦え!」
ったく、無駄に高度な思考回路の所為で……あれ? 高度な思考回路を持っていても、学習しないとこんな行動は出来ないはず……
そこまで考えると、だれが犯人か判明した。脳裏に綾乃がテヘペロしながら「ごめんちゃい」と言っている姿が浮かんだ。
俺の声で凍っていた空気が動き出した。レイスには人造ゴーレムが1体ずつ相対し、リーダーだと思われるブラッドリーレイスには、10体の人造ゴーレムが殺到する。
一応、魔法を待機させて状況を見守っていたのだが、ブラッドリーレイスは人造ゴーレム10体の猛攻に30分耐えてみせに塵になった。
レイスと人造ゴーレムは、1対1でも人造ゴーレムの方が優勢なのに、ブラッドリーレイスを相手にしていた奴らが合流すれば、こうなるよね。
突入から40分ほどで、部屋の中で動くレイスはいなくなった。
「時間はかかりましたが、あっさりとおわりましたね」
「それはそうだろうな。本来ゴーレムはレイスに勝てないが、人造ゴーレムは話が別だからな」
レイスは種族特性として、闇魔法のドレインに似たスキルが無条件で使える。ドレインは生命力や魔力を奪う魔法だ。なので、属性魔法で作られたゴーレムや魔法生物のゴーレムは、魔力を根こそぎ奪われれば、動けなくなり体を維持できずに崩壊するのだ。
だけど人造ゴーレムは、体の中にある魔核から無限ともいえる魔力を生み出すことができる。その量は、ドレインで奪いきれる量ではない。吸収量が生産量を下回っているため、レイスに人造ゴーレムを止める事は出来なかった。
ブラッドリーレイスに関しては、吸収量が上回っていたが、相手にした数が10体だったため、数に押し切られた形だ。
そして時間がかかった理由は簡単だ。レイスのようなアストラルサイドの魔物は、魔力が生命力と直結しているのだ。ダメージをくらっても魔力を吸い続けているので、なかなか倒せなかったということだ。
そう考えると、初めにブラッドリーレイスを10体でボコったのは良い判断だな。まぁ数が相手を上回っている時点で、レイスたちに勝ち目はなかったということだ。
今日の夜営地まで一気に駆け抜けた。
人造ゴーレムの一部は、聖銀……聖属性の鎧で守っているような状況だ。
人造ゴーレムが戦うということが決まったので、メンテナンスを一応してあげようと思い近くへ呼び寄せた。
「あれ? 聖銀をコーティングした人造ゴーレムに、小さな傷ができてるな」
理由は分からないが、魔核で自動修復をかけるように設計していたのに、修復されていない状態だったのだ。聖銀コーティングをほどこした人造ゴーレムを観察すると、傷というよりはひび割れに見えてきた。
10体中10体全部に傷ができている状態だ。明らかにおかしい。
「傷というかひび割れがあるのは、肘とか膝が多いな。もしかして聖銀って、魔核による修復が無効なのかもしれないな。みんな、聖銀で作った武器は持ってきているか?」
俺の問い掛けに、ダンジョンにもぐっている妻たち全員が反応して、聖銀の武器を出してくれた。俺たちは全員、聖拳のスキルを持っているので聖銀で格闘武器は作っていない。剣や槍、斧に槌などの聖銀の武器を持っている。
「やっぱりそういうことか。聖銀の武器にも魔核で修復機能をつけているのだが、修復の効果が出ていないみたいだな。ってことは、聖銀には修復に効果がないのかもしれないな……ん? でもクリエイトゴーレムで直す事はできるみたいだな」
クリエイトゴーレムで直せることが分かって、ひとまず安心した。正直、聖銀は武器として使うには柔らかすぎるのだ。柔らかいと言っても銀のように柔らかいわけではない。ただ切り合う武器としては、柔らかいのだ。
どれくらいかというと、青銅くらいと言えばわかるだろうか? じゃぁ、何で柔らかいのに武器に加工したかと言えば、聖銀が有効な相手に対しては性質のおかげで相手が撃たれ弱くなるのだ。一方的に攻撃するなら聖銀はかなり有効ということだ。
聖銀製の武器は、バザールと対決した時以来使っていなかったからな。
「あれ? バザールを連れて来てたら、もしかしてこのダンジョンは苦労しなかった?」
「それはないと思いますよ。以前に話を聞いた事ありますが、自分に関係のないダンジョンのアンデッドは操れないそうですからね。正確には、ナニカの制御下にあるアンデッドとか言ってたような気がします。でも、アンデッド同士では襲わない様なので、無視していけるとかいう話でしたね」
「そんなに甘くないか。とりあえず整備だけしてしまおう」
ライムがいつ聞いた話か分からないが、バザールから聞いた話を教えてくれた。アンデッド同士って戦わないんだ……知らなかったわ。
聖銀のコーティングは剥がした方がよさそうだな。これなら、聖銀で防具を作った方がまだましかもしれんな。武器だけじゃなくて、小手位は用意してみるか。
妻たちの武器も含めて30分程で整備が終わる。
「よっしゃー、整備も終わったし行くぞ!」
「「「おーー!!」」」
シェリル・イリア・ネルの3人はいい子だな、俺のテンションに乗ってきてくれる。撫でてやろう! グリグリと撫でていると、抗議の声が上がった。3人とも髪の毛がぐしゃぐしゃになって怒ってしまった。すまぬ。
ブラッドリーレイスのいる部屋の扉を開け、人造ゴーレムを突入させる。
聖銀製の武器を持っている人造ゴーレムは20体。対して相手は、ブラッドリーレイスにレイス10匹の合計11匹。今回は人造ゴーレムたちに指示は出していない。こいつらがどう戦うかも見るつもりなのだ。
人造ゴーレムたちが突入した後に続いて俺たちも中に入る……ん? 人造ゴーレムたちが止まっている。どういう状況なんだ? ブラッドリーレイスたちと相対して、お互い硬直している。
「お兄ちゃん、何かかたまってるね」
ネルから、この状況を説明する言葉が発せられたが、硬直している理由は分からない。
「もしかして、レイスたちが混乱して硬直してるから、人造ゴーレムも空気を呼んで硬直しているのかな?」
イリアの問いに向かって20体の人造ゴーレムが、手をこちらに向けて親指をたて、グッとしていた。
それはないだろ! って思ってたけど、イリアの言う通りだったのか! まさか過ぎて言葉が出てこない。
「って、そうじゃない! 敵が動かないならチャンスだろ! 戦闘で空気を読む必要なんてねえよ! さっさと戦え!」
ったく、無駄に高度な思考回路の所為で……あれ? 高度な思考回路を持っていても、学習しないとこんな行動は出来ないはず……
そこまで考えると、だれが犯人か判明した。脳裏に綾乃がテヘペロしながら「ごめんちゃい」と言っている姿が浮かんだ。
俺の声で凍っていた空気が動き出した。レイスには人造ゴーレムが1体ずつ相対し、リーダーだと思われるブラッドリーレイスには、10体の人造ゴーレムが殺到する。
一応、魔法を待機させて状況を見守っていたのだが、ブラッドリーレイスは人造ゴーレム10体の猛攻に30分耐えてみせに塵になった。
レイスと人造ゴーレムは、1対1でも人造ゴーレムの方が優勢なのに、ブラッドリーレイスを相手にしていた奴らが合流すれば、こうなるよね。
突入から40分ほどで、部屋の中で動くレイスはいなくなった。
「時間はかかりましたが、あっさりとおわりましたね」
「それはそうだろうな。本来ゴーレムはレイスに勝てないが、人造ゴーレムは話が別だからな」
レイスは種族特性として、闇魔法のドレインに似たスキルが無条件で使える。ドレインは生命力や魔力を奪う魔法だ。なので、属性魔法で作られたゴーレムや魔法生物のゴーレムは、魔力を根こそぎ奪われれば、動けなくなり体を維持できずに崩壊するのだ。
だけど人造ゴーレムは、体の中にある魔核から無限ともいえる魔力を生み出すことができる。その量は、ドレインで奪いきれる量ではない。吸収量が生産量を下回っているため、レイスに人造ゴーレムを止める事は出来なかった。
ブラッドリーレイスに関しては、吸収量が上回っていたが、相手にした数が10体だったため、数に押し切られた形だ。
そして時間がかかった理由は簡単だ。レイスのようなアストラルサイドの魔物は、魔力が生命力と直結しているのだ。ダメージをくらっても魔力を吸い続けているので、なかなか倒せなかったということだ。
そう考えると、初めにブラッドリーレイスを10体でボコったのは良い判断だな。まぁ数が相手を上回っている時点で、レイスたちに勝ち目はなかったということだ。
今日の夜営地まで一気に駆け抜けた。
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