ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,409 / 2,518

第1409話 まさかの魔物参上

しおりを挟む
 突入2日目の午後、おやつの時間になる前に11階に到着する。

 魔物のLvはこちらの予測通りLv5ずつ上がっていた。よく分からないのだが1階はスキルがなく、2~6階まではスキルLv1だった。それなのに7~10階では、スキルが無くなっていたのだ。

 俺たちから見れば、このレベル帯でのスキルLvの有無は誤差でしかないが、同じレベル帯の冒険者たちであれば、かなり必死な状況になるのではないか?

 正直魔物のステータスは、人間のそれに比べて高い。なので人間側は、ある程度スキルを習得していてやっと対等になれるのだ。

 そして俺たちは勘違いしていたのだが、俺たちは普通に複数の魔物を1人で相手にするが、普通の冒険者たちは魔物が同数だった場合、迷わず逃げるのが定石である。魔物の強さにもよるが、自分たちの数の半数の魔物だった場合戦闘するというものだ。

 Aランクで安定して狩りをする冒険者たちは、このあたりが徹底しているらしい。1対1で戦える能力があっても、戦闘が回避できるなら同数以上は、絶対に戦わないと聞いた。

 Aランクでいつも収支が拮抗しているか赤字になっている冒険者は、この部分を守らずに怪我をして魔法薬を多く使ってしまうのが問題なのだ。

 基本的に倒す魔物は、1体を複数人で攻撃して1匹ずつ確殺していくそうだ。

 俺らみたいに競争なんかはしないんだな。

 そう考えると部屋の中に集団でいるこの場合は、どうやって攻略していくんだろうな? ちょっと気になったので、盾スキルのチェーンを使って強引に廊下に引きずり出してみると、中からわらわらとパイレーツスケルトンが出てきた。

 扉を閉めてみたら、ドンドン叩くのだが開けるということは出来なかったようで、倒すまでドンドンと叩いていた。だけど、外に引きずり出した奴を倒したら、扉を叩く音が聞こえなくなった。

 魔物同士はリンクしているが、境界線が部屋と廊下を隔てる扉のようだ。生きている間はリンクしているが、死ぬとそのリンクが切れてこっちに来なくなるってことか……スケルトンなのに生きていると表現していいのか微妙だが。

 タンクが1人いれば狩りが成り立つんだな。

「敵が強くなる前に確認できたのは良かったかもしれないな。問題は、魔物が壁や扉を壊さないかってところだな。俺たちからすれば、広いところで戦うより通路の方が戦いやすいからむしろ有利か?」

 俺の問いに答えてくれたのは、アリスだ。

「実際に戦ってみないと分かりませんね。それより11階の状況の方が気になりますね。出来るだけ長い時間いたいとは思いません」

 おやつの時間になったので11階を見てから休憩しようという話になったのだが、11階の様子を見て回れ右をして10階に戻って来てしまったのだ。

 だってさ11階ってダンジョンの見た目は変わっていないのに、水がしたたり落ちていたり水溜まりがあったりと、今度は沈没船のような感じになってしまったのだ。まだそれだけならよかったのだが、ちょっと見た目があれな魔物が出てきてしまったのだ。

 黒い悪魔ではないが、海辺にいるあの悪魔たちが巨大化して、パイレーツスケルトンと一緒に部屋で待機していたのだ。

 本当に嫌になってしまう。

 妻たちも俺がああいったタイプの魔物が嫌いだと分かっているので、何も言わずに引き返してくれたのは助かった。ただ、最低でも20階までは同じようなフロアが続くと思う。こういった部分は神のダンジョンと同じだと思っていいだろう。

「しゅ、シュウさまのことを考えると、明日はやめに起きて駆け足で、20階まで攻略するほうがいいかもしれませんね。部屋に魔法を撃ち込んで殲滅しましょうか? 何人かは先行して殲滅するのがいいかもしれませんね。今日はここで休憩しましょう。明日の作戦会議もしましょう」

 ライムが指揮して近くにあった広い部屋を、今日の野営地として準備を始めた。

 昨日より早い時間に魔導無線が繋がったことに家にいた妻、ピーチたちが驚いて同行しているシュリたちを問い詰めたらしい。

 だけど、11階にでる魔物の詳細を聞いて苦笑して理解してくれたそうだ。って、俺のことを生暖かい目で見るな! しょうがないじゃないか! だって、見た目があれなんだよ! 俺が居た世界では大半の人がダメなんだって! 嫌悪的な何かがあるんだよ!

 夕食が始まる前に明日の行動方針を決める事になった。

 決まった内容は分かりやすかった。先行部隊が部屋の魔物を殲滅、工作部隊が部屋の壁を破り、護衛部隊と馬車がその後を通ってくる。たったそれだけなのだが、結構紛糾した。先行部隊に誰が行くとか、工作部隊は誰だ、とかそんなことで会議が長引いた。

 階段に設置するスロープは俺じゃないと配置できないので、という強引な理由。工作部隊でもいいじゃんと言う話になったが、あいつらに負けてなるものかと、俺は海辺の悪魔を殲滅する先行部隊に志願した。めっちゃバッシングを受けたが、阻むものは全て殲滅するという意気込みを見せ強引に納得させた。

 魔法の得意なメンバーとタンクは先行部隊に、工作部隊は力の余っているメンバー、護衛は残りとダマたち。従魔たちは、離れないことを条件に自由行動となった。

 娘たちの様子もみれて嬉しいのだが、さすがに昨日の今日で攻略は出来ないよ。そんな純粋な目をして「まだ?」とか聞かないでよ! お父さん頑張るから! そんなにしょんぼりした顔しないでくれ!

 離れていても会える喜びはあるが、娘たちは色々理解しているようで分かっていないことも多いので、ボディーブローのように抉る言葉を、無邪気にかけてくるんだよね。絶対に攻略しないといけないな……

 嫌いとか言われたら本当にしばらく立ち直れないからな。やるっきゃない!

 下の子たちがタイミングよく泣いてくれたというべきだろうか? そのおかげで、ミーシャたちの関心は下の子たちに移り、母親たちと一緒にあやしに行った。仲のいい姉弟に育ってほしいな。

 明日のことを考えて俺たちは早めに休む事にした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話

島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。 俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。

幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。

みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ! そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。 「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」 そう言って俺は彼女達と別れた。 しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

処理中です...