ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1408話 ちょっとしたミス

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 ダンジョンに突入して2時間、俺たちは2階に到着していた。

 ぶち破った壁の数は、6部屋分で12枚。普通のダンジョンと違い、壁が薄く出来ていたので、予想していたより簡単に壊すことができた。壊すのには、つるはしや斧ではなくハンマーを使っている。

 つるはしだと壁に突き刺さって壊すのに苦労し、斧低い位置を壊すのに手間がかかった。ハンマーを使ってみたところ、前の2つに比べて簡単だった。解体屋の気分である。壊し屋の方がしっくりくるかな?

 2階へ降りるのは階段であったため、馬車が通れるようにレールを敷いて降りてきたので、少しだけ時間がかかった。

「2階に来たけど、変わった様子はないな。マップ先生を見る限り10階までは同じような作りだし」

 ウィスプたちはすでに10階まで下りており、探索中である。数多ある部屋の中には宝箱など、ダンジョンらしいものも置いてあるが、特に気がひかれないので無視して進んでいる。どうせこのダンジョンを手に入れれば何が入っていたのか分かるし、欲しければDPで召喚すればいい。

 そんな風に考えて俺は寄り道をしていない。

 魔導無線で連絡を入れると、先程と同じようにミーシャたちがリアクションを返してくれた。無線機の前で待っていたのでは? と思わなくもないが、実際は部屋で遊んでいる時に無線から声が聞こえるから、すぐに反応できるということらしい。

 サクサク進んでいこう。

 部屋を通るついでに魔物、スケルトンやゾンビたちのLvを鑑定してみたが、105になっていた。1階でLv5ずつ上がっていくのかな? Lv999が上限だとして、200階はないか?

 戦っていて違和感を感じた。何かLv以上に強くなっている気がしたのだ。そう感じたのは俺だけではなく、戦闘に参加していた妻たちの大半がそう感じていた。一撃で切り伏せたり粉砕したりしているのだが、それでも違和感を感じるほどに差異があったということだ。

 次の部屋で理由が判明する。

「なるほど、1階の奴らは確かスキルがなかったけど、こいつらにはスキルがあるな。Lv1とはいえ、違和感を感じる位には強くなるんだな」

 スキルがもたらす恩恵を今更ながらに実感した。頭では分かっていたのだが、実際に体験したのはこれが初めてだった。実際に比べられるほど余裕をもって鑑定とかをしていなかったからな。

 もっと言えば、同じダンジョンで同じ階でも、個体によってLvに差がありスキルも違ったりするので、誤差の範囲で済んでしまう違いを余裕があるために感じ取ってしまったということだ。

 Lvが105になってスキルがあったとしても、苦労するわけもなく道順も分かっているので特筆することなく3階へ到着する。

「うん、やっぱり変わらんな」

 1~2階毎に特性が変わるダンジョンなんて普通はないのだが、代わり映えがなかったのでついつい口からそんな言葉がこぼれてしまった。

 魔物の鑑定をしてみると、Lvは110になっていたがスキルはLv1のままだった。5ずつ上がっていくのは決定かな?

 1階から2階では差異を感じられたのだが、2階から3階では感じられなかった。Lv5って大したことないのか?

 そんなことを考えてしまっていたが、ステータスで10000の力がある人に、1050と1100の違いを感じろというのは難しいと思う。スキルの場合は、明らかに動きとかが良くなるから気付けただけだろうしな。

 サクサクと進んでいき、6階にまで到着することができた。

 そろそろ野営地を決めようと思ったのだが、どこで休憩をするべきか悩んでいる。魔物が湧くタイミングが分からないので、部屋で休むのは良くないのでは? だけど、通路だとさすがに狭いので無理がないか? といった感じだ。

 みんなで悩んでいると、

「ここら辺の敵なら急に湧いても弱いから気にすることはない。早めに部屋での休憩をしてみた方がいいんじゃないですか?」

 シュリらしい一言にみんなで納得した。

 広めの部屋の中を掃除して、野営の準備を始める。即席で土魔法を使い湯船を作り魔導具でお湯を入れていく。溢れても止めずに、溢れさせている。ここがダンジョンで放っておいても勝手に水を吸収するのでかけ流し状態にしている。

 ブラウニーたちは、一角に調理スペースを確保して既に料理を始めていた。先ほどまで寝ていたためか、元気でやる気がみなぎっていた。今日も美味しい食事が期待できそうだ。

 そして俺は、最も重要なスペースを整備する。全部クリエイトゴーレムで何とかなってしまうので、手間はかからない。持ち込んだコンテナ野営地用の資材を使えばそれこそ簡単だ。

 何を準備していたかと言えば、娘たちの部屋が映る巨大ディスプレイと、こちらを映し出すカメラを設置していたのだ。

 魔導無線を起動させると、娘たちはいなかった。しょんぼりしたが、今は食事の時間なので仕方がない。その代わり、下の子たちの様子を看ていたピーチ・ライラ・マリーが応答に応じてくれた。

『同じ部屋にいるみたいですね。離れているのに不思議な感じ』

 ライラがそういうと、俺も同じように感じていた。俺だけでなく他の皆も頷いているので、同じように感じていたのだろう。

 下の子たちは少し前に食事が終わって寝てしまったそうだ。パターンからすると、1~2時間の間に目が覚めるので、そしたらお風呂に行くとのことだ。くそう、ダンジョンに来てなければ俺がお風呂に入れたのに!

 今朝見送ってもらったから、様子が変わっているわけもないのだが、ダンジョンの中にいると思うと何か感じ方が違うのだから不思議だ。

 暫く話しているとミーシャたちが部屋に戻って来た。そうすると3人が走ってこっちに向かってくる。えっ!? まてまて、そのままだとテレビにぶつかるぞ!

 案の定というべきかテレビにぶつかった。壁一面に俺たちが映るようにしたのは、間違っていたかもしれないな。

 3人とも鼻を思いっきりぶつけてしまったみたいで涙目である。

 今日は帰ってこないと言っていた俺が部屋にいたから……みたいな事を言っていた。さすがにややこしいので、壁だと分かるように前面に映るような仕掛けは無しにするようにお願いした。明日、バザールか綾乃が来てやってくれるだろう。

 こちらの食事の時間になったので、部屋を後にする。
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