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第1398話 初体験
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新しい組織は俺の手を離れた……ん? もともと俺の手の内には無かったから、離れたとは言わんか? それでも新組織には俺が関わっているんだから、ちょっとは思うところがあるよね。ゼニスがいつになくヤル気なので、グリエルたちも少し引いてたな。
先程まで俺と大幹部とでもいうべき3人、グリエル・ガリア・ゼニスで話し合いをしていた。新組織が軌道に乗るまでのプランと、手を離れた後の組織の基本方針をまとめていた。
その時の様子を思い出して、笑ってしまう。あの時のゼニスの迫力は、俺がこっそり色々やって後で妻たちにバレたとき……に通じる何かがあった。あの時の妻たちは、本当に怖い……心の奥から震え上がるような怖さがあるんだよね。
自分の商会の仕事を息子と信頼する部下に任せて、しばらくは監査部を指導に専念するらしい。ゼニスに息子がいたんだな。嫁さんがいるのは知ったけど、ゼニスと家族の話はあまりしてなかった気がする。
報告書で一番時間がかかるのが、収支が書かれてるやつなんだよね。流し読みでもいいんだけど、数字が書いてあるとどうしても理解したくなってしまうんだよね。難しいことは分からないけど、間違い探しをしているみたいで、時間がかかってしまうのだ。
俺みたいに収支報告書を読んでいる人は少ないだろうな。それこそ監査の人間や経理の人間でもなければ、数字に意味を見出そうとする人はいないんじゃないか?
話し合いがあったからいつもより遅くなったな。もう娘たちは食事をしてる頃かな?
家に帰ればブラウニーたちが作ってあるものを出してくれるだろうけど、たまには広場で買い食いするのも悪くないかな? ジャンクフードもたまに食べると美味いんだよな。
良い匂いだな……醤油のこげる匂いが暴力的に俺の鼻を刺激してくる。ふらふらと屋台の方へ足が……
ブルッ
はっ!? 急に背筋が冷たくなった。なんだ? 得体のしれない何かが俺の体を貫いた。両腕にサブイボ、鳥肌が立っていた。
今日は屋台によってはいけない気がしたので、何も食べずに家へ戻る事にした。お供のダマと一緒に急ぎ足で!
家に帰って食堂に入って、出てきた食事を見て買い食いしなくてよかった! と心からそう思った。
俺の前に置かれた食事は、軽食と言っても過言ではないサンドイッチだ。だけど、いつもブラウニーたちが作ってくれている物とは違う。ちょっと歪でお世辞にもキレイとは言えない見た目だ。
そして、厨房からこちらを除いている4つの気配がある。これを合わせて考えると答えは1つ……ウルたちが作ってくれたサンドイッチということだろう。
買い食いして帰ってきて食べれない……なんて事になったら、ウルたちが泣いてしまう可能性もあったよな。お腹がいっぱいだったとしても無理やり食べたか?
見た目は悪いけどブラウニーたちが、俺の食事として出しているということは、食べれないモノではないはずだ。まぁ使っている食材がブラウニーたちと一緒なんだから、不味いって事は無いよな。
手に取ってかぶりつく。
シンプルなサンドイッチ。レタス、トマト、チーズをはさんだ物だ。味は悪くない、むしろ美味いな。でも見た目がな。
次はタマゴサンド。卵サラダとポテトサラダを合わせたような奴だな。滑らかさが足りないのは、初めて作ったからポテトサラダのポテトの潰し方が甘かったのだろう。味は問題なく美味い。
最後に……これは何だ? 揚げた物がはさんであるけど、何だろうな? とんかつにしては薄いから、チキンカツかな? キャベツの千切りにソースにつけた揚げ物が挟んであるサンドイッチ、これも美味いな。見た目が良ければ売り物にできるな。
「見た目は良くないけど、美味しかったよ。でも、この量だとさすがにお腹が空くけど」
「もちろん他の料理も準備しています。ですがその前に、お気付きだと思いますが、お付き合いください」
そう言って近くで待機していたブラウニーが、キッチンの方でこちらの様子を見ていたウルたちを呼びよせた。
「お父さん、みんなで作ったサンドイッチはどうでしたか?」
代表してウルが俺に聞いてきたのだが、つられるように3人が「とーたん、美味しかった?」とストレートに聞いてきた。
「美味しかったよ。でもね、見た目が少しよくなかったかな。ウルたちの歳を考えれば十分だと思うけど、食べ物の見た目って大切なんだよ。極端な話、味は同じだったら見た目の良いものを食べたいよね?」
俺の説明を聞いてウルは納得してくれたが、ミーシャたちは首を傾げている。まだ分からないか。でも、その内分かるようになるからきにするな。
「でもどうして急にサンドイッチを作ったのかな?」
「スカーレットさんがね、私たちに作ってみないか? っていわれたから簡単なサンドイッチを一緒に作ったの!」
なるほど、スカーレットに言われて作ってみたのか。
4人の頭を撫でていると、追加の食事が運ばれて来た。追加もサンドイッチか? なんか珍しいな。行楽弁当みたいに、唐揚げや卵焼きも出てきた。このメニューを見るとピクニックに行きたくなるな。
ウルたちは何かを思い出したようで、慌てて食堂から出て行った。何を急いでいるのやら?
ふ~美味かった。ちょっと食べ過ぎた気がする。
食休みをしよう。そこら辺でウロウロしていたニコを鷲掴みにして強制連行する。庭にある芝生の上にニコを置き枕にして横になった。
気付いたら寝てしまっていた。
体を起こそうとすると、何かが俺の体の上にかかっている。
毛布だ。誰かが俺にかけてくれたのかな?
あれ? 近くに誰かいるな。体を起こし周りをながめると、足元の方に4人がいた。そこから少し離れた位置に母親たちがいる。それでこの状況を理解した。
娘たちにも毛布はかかっていたが、日陰は少しひんやりするので、俺にかかっていた毛布も掛けてやる。そうすると何処からともなくスライムたちが集まって来て、ウルたちを囲んで動かなくなった……お前たちは何がしたいんだ?
ウルたちが起きるまで、俺が寝た後のことをミリーたちから聞く事にした。
先程まで俺と大幹部とでもいうべき3人、グリエル・ガリア・ゼニスで話し合いをしていた。新組織が軌道に乗るまでのプランと、手を離れた後の組織の基本方針をまとめていた。
その時の様子を思い出して、笑ってしまう。あの時のゼニスの迫力は、俺がこっそり色々やって後で妻たちにバレたとき……に通じる何かがあった。あの時の妻たちは、本当に怖い……心の奥から震え上がるような怖さがあるんだよね。
自分の商会の仕事を息子と信頼する部下に任せて、しばらくは監査部を指導に専念するらしい。ゼニスに息子がいたんだな。嫁さんがいるのは知ったけど、ゼニスと家族の話はあまりしてなかった気がする。
報告書で一番時間がかかるのが、収支が書かれてるやつなんだよね。流し読みでもいいんだけど、数字が書いてあるとどうしても理解したくなってしまうんだよね。難しいことは分からないけど、間違い探しをしているみたいで、時間がかかってしまうのだ。
俺みたいに収支報告書を読んでいる人は少ないだろうな。それこそ監査の人間や経理の人間でもなければ、数字に意味を見出そうとする人はいないんじゃないか?
話し合いがあったからいつもより遅くなったな。もう娘たちは食事をしてる頃かな?
家に帰ればブラウニーたちが作ってあるものを出してくれるだろうけど、たまには広場で買い食いするのも悪くないかな? ジャンクフードもたまに食べると美味いんだよな。
良い匂いだな……醤油のこげる匂いが暴力的に俺の鼻を刺激してくる。ふらふらと屋台の方へ足が……
ブルッ
はっ!? 急に背筋が冷たくなった。なんだ? 得体のしれない何かが俺の体を貫いた。両腕にサブイボ、鳥肌が立っていた。
今日は屋台によってはいけない気がしたので、何も食べずに家へ戻る事にした。お供のダマと一緒に急ぎ足で!
家に帰って食堂に入って、出てきた食事を見て買い食いしなくてよかった! と心からそう思った。
俺の前に置かれた食事は、軽食と言っても過言ではないサンドイッチだ。だけど、いつもブラウニーたちが作ってくれている物とは違う。ちょっと歪でお世辞にもキレイとは言えない見た目だ。
そして、厨房からこちらを除いている4つの気配がある。これを合わせて考えると答えは1つ……ウルたちが作ってくれたサンドイッチということだろう。
買い食いして帰ってきて食べれない……なんて事になったら、ウルたちが泣いてしまう可能性もあったよな。お腹がいっぱいだったとしても無理やり食べたか?
見た目は悪いけどブラウニーたちが、俺の食事として出しているということは、食べれないモノではないはずだ。まぁ使っている食材がブラウニーたちと一緒なんだから、不味いって事は無いよな。
手に取ってかぶりつく。
シンプルなサンドイッチ。レタス、トマト、チーズをはさんだ物だ。味は悪くない、むしろ美味いな。でも見た目がな。
次はタマゴサンド。卵サラダとポテトサラダを合わせたような奴だな。滑らかさが足りないのは、初めて作ったからポテトサラダのポテトの潰し方が甘かったのだろう。味は問題なく美味い。
最後に……これは何だ? 揚げた物がはさんであるけど、何だろうな? とんかつにしては薄いから、チキンカツかな? キャベツの千切りにソースにつけた揚げ物が挟んであるサンドイッチ、これも美味いな。見た目が良ければ売り物にできるな。
「見た目は良くないけど、美味しかったよ。でも、この量だとさすがにお腹が空くけど」
「もちろん他の料理も準備しています。ですがその前に、お気付きだと思いますが、お付き合いください」
そう言って近くで待機していたブラウニーが、キッチンの方でこちらの様子を見ていたウルたちを呼びよせた。
「お父さん、みんなで作ったサンドイッチはどうでしたか?」
代表してウルが俺に聞いてきたのだが、つられるように3人が「とーたん、美味しかった?」とストレートに聞いてきた。
「美味しかったよ。でもね、見た目が少しよくなかったかな。ウルたちの歳を考えれば十分だと思うけど、食べ物の見た目って大切なんだよ。極端な話、味は同じだったら見た目の良いものを食べたいよね?」
俺の説明を聞いてウルは納得してくれたが、ミーシャたちは首を傾げている。まだ分からないか。でも、その内分かるようになるからきにするな。
「でもどうして急にサンドイッチを作ったのかな?」
「スカーレットさんがね、私たちに作ってみないか? っていわれたから簡単なサンドイッチを一緒に作ったの!」
なるほど、スカーレットに言われて作ってみたのか。
4人の頭を撫でていると、追加の食事が運ばれて来た。追加もサンドイッチか? なんか珍しいな。行楽弁当みたいに、唐揚げや卵焼きも出てきた。このメニューを見るとピクニックに行きたくなるな。
ウルたちは何かを思い出したようで、慌てて食堂から出て行った。何を急いでいるのやら?
ふ~美味かった。ちょっと食べ過ぎた気がする。
食休みをしよう。そこら辺でウロウロしていたニコを鷲掴みにして強制連行する。庭にある芝生の上にニコを置き枕にして横になった。
気付いたら寝てしまっていた。
体を起こそうとすると、何かが俺の体の上にかかっている。
毛布だ。誰かが俺にかけてくれたのかな?
あれ? 近くに誰かいるな。体を起こし周りをながめると、足元の方に4人がいた。そこから少し離れた位置に母親たちがいる。それでこの状況を理解した。
娘たちにも毛布はかかっていたが、日陰は少しひんやりするので、俺にかかっていた毛布も掛けてやる。そうすると何処からともなくスライムたちが集まって来て、ウルたちを囲んで動かなくなった……お前たちは何がしたいんだ?
ウルたちが起きるまで、俺が寝た後のことをミリーたちから聞く事にした。
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