ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1336話 新兵器?

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「シュウ様、本当に従魔を連れて行くのですか?」

「そのつもりだよ。3ヶ国から攻められるだけならともかく、戦っている間に後ろから帝国に攻撃されたら、さすがに兵士だけじゃ対応できないだろ? レイリー、そこら辺はどうだ?」

「……そうですね。全戦力をメギドに集めれば問題はないですが、それをすると街の治安維持に問題が出てきますからね」

「だろ? 3ヶ国との戦争には介入しないだろうけど、もし帝国が出てきた時の備えって事でいいでしょ。正直今回の帝国の動きは、レイリーの話を聞いて不審に感じたからね。もしもの時のためだと思って。戦争にも介入したいけど、それはダメなんだろ?」

「そうですね。前にも言いましたが、すべてをシュウ様が行ってしまうと軍の意味がなくなりますからね。今回は、打って出る事が出来ないから戦い方は変わりますが、しっかりと作った壁がありますし、クロスボウや投石機による投石もありだと考えています」

「投石器か……じゃぁ、バリスタも準備しようか? 攻城兵器の太い矢を放つタイプじゃなくて、細いのを大量に撃ち出すタイプの奴はどうだ? イメージするのは、ショットガンみたいに矢がいっぱい出る感じだな」

「有効ですね。あれば戦術が広がると思います」

「じゃぁ、綾乃とバザール、ドワーフのじっちゃんと、どのレベルで作れるか考えてみるわ。投石器は軍の倉庫にあったっけ? 運び出せるように魔導列車を準備させておくよ」

「私は、ゼニスと連絡をとって輜重部隊の計画に入ります。レイリーさん、一応軍の方からもどれだけ物資が必要になるか、見積もりを出してください。あと、追加で送る部隊の規模も決まりましたら連絡お願いします」

 グリエルが行動に移ると、話し合いは終了する。レイリーも急いで庁舎を後にして、駐屯地に戻っていった。

 俺は、綾乃とバザールに連絡を入れ、一緒に老ドワーフもダンジョン農園にある俺の工房に来るように伝えてもらう。

 庁舎を出てローターりーを見渡す……ダマたちが見当たらない。どこかで餌付けをされているのではないだろうか? 指笛を鳴らして呼んでみるが、戻ってくるまでに5分程時間がかかった。

「ダマ、遅いぞ。これが妻たちにバレたら、大変な事になるから気をつけろよ」

『言い訳をさせてほしいですにゃ! ちっちゃい子どもたちを相手に、突き放す事なんてできないですにゃ!』

「気持ちは分かるが、ここから離れるのは止めておけって」

『抱きかかえられたら、逃げれないですにゃ』

「それなら体を大きくして寝とけよ。そうすれば、ここで遊んでくれるんじゃないか?」

『それはありかもしれませんにゃ。今度ここで待つ時はそうしてみますにゃ』

 ダマを連れて家に戻る。今日はグレンとシエルは一緒に来ていない。なんだか寂しい気がするけど、娘たちと遊んでいるので無理に連れて来る事は出来なかったのだ。

 工房へ行くと何やら騒がしい。老ドワーフが騒いでいるのだろう。ガッハッハと大きな声を出しているので間違いない。

「爺共! 生きてるみたいだな!」

「「「「「しんどるわい!!」」」」」

「相変わらず、アホな返ししかできないんだな、それはもうつまらんぞ」

「そんなの知るか! わしらの返しはこれだと決まっているんだ! なぁ爺共!」

「「「「お前も爺だろうが!!!」」」」

「「「「「ガッハッハ!!」」」」」

 とりあえず、無言で老ドワーフの頭をどついておく。

「なぜ叩く! 痛いじゃろうが!」

 というか、この老ドワーフは無駄にレベルが高い上に、ビア樽ドワーフの特徴で体が頑丈なせいで、高レベルで体を作り変えた俺の拳でも若干痛いで済んでるんだよね。

「というか、何でこの工房で酒を飲んでるんだよ!」

「この工房で飲んでいるわけでは無い! 飲んでいる所を呼び出されて、そのまま来たのだ! 工房に来る前からのんでいたのだ!」

 もう1度どついておいた。

「まぁいい。呼び出したのは新型の兵器を考えていて、バリスタを作ろうと思っている。それで、実用性がある物か検討するために集まってもらった」

「バリスタでござるか? 攻城兵器を作って、街攻めでもするでござるか?」

「それより、なんでいまさらバリスタなんて作るの? 大砲が銃と同じ扱いで威力が少ないとはいえ、魔法が使える世界でバリスタなんて意味なくない?」

 ドワーフたちは、俺たちの話を肴に酒を飲んでいる。武器や防具の話を肴に酒を飲むって、どれだけ高レベルな呑兵衛なんだろうか?

「バリスタを作りたいのは、えっと何て言ったっけな? フレシェット弾って言ったかな? 小さい矢、ダーツみたいなのが大量に飛び出して、広範囲にまき散らすあれ何だけど、知らない?」

「何でござったっけ?」

「フレシェット弾、フレシェット弾……何か覚えのある言葉ね。何だったかしら?」

「覚えがあるなら分かると思うけど、僕は武器商人と一緒に旅をしたって感じで始まる、あの漫画とアニメに出て来たやつだよ」

「あれでござるか!」
「あぁ、あれね!」

「分かってくれて何より。あの兵器をバリスタで撃ち出せないか考えているんだ」

 そう言って、話を始める。

 まずは、フレシェット弾の構造を調べるために、資料と現物を召喚する。現物は暴発しないように注意しながら、ウォーターカッターで真っ二つに切り分けてる。

 知らなかったけど、フレシェット弾の中にも火薬が入っているんだな。弾丸みたいに撃ち出すだけの火薬だけかと思っていたが、中の矢……ダーツのような物をばらけさせるための火薬も入っているようだ。

 その構造を見て、

「これを再現するのって、火薬を使わないと難しくない?」

「そうでござるか? ばらけさせるのは、魔核を使えばいいでござらんか? 時限信管みたいに魔核を使って、火薬みたいに爆発させればフレシェット弾みたいに広がるのではござらんか?」

 バザールの方法を採用すれば確かに問題はない。だけど裏を返すと、俺たち以外では作れないって事じゃないか?

「自分しか作れないでござるから、生産性は良くないでござる。でござるが、自分たちしか作れないって事は他で使われる事は無いでござる」

 そう言う考えもあるか。再現できないなら、敵に使われる事もないか? 似たような物が作れても、魔核を使用した物と比べれば大した事はないだろう。

 そっか、よく考えたら相手に武器を模倣されたり、鹵獲された際のリスクも考えないといけないのか。

「爺共! そろそろ酒を飲むのを止めろ! 川に投げ込むぞ!」

「「「「「沈むから止めろ!」」」」」

 ビア樽ドワーフは、自分の身長より深い水に放り込まれるのが恐ろしく苦手なのである。デブに見えて筋肉の塊の上に少しの脂肪がついているだけなので、沈んでしまうのだ。カナヅチが多いってことだ。なので、身長より深い水をおそろしく嫌う。
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