ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1295話 宣戦布告

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 事情を話して気付いたのだが、俺たちの事情を話したのは、拙かったな。勇者召喚の間を使って、人を呼び出せるという事を教えてしまったのだ。

 記憶操作ができればいいなと思ったがそんな便利な魔法は無い。なので、ここはツィード君に教えてもらった、劣化隷属魔法である奴隷魔法を駆使して、ここで起きた事だけに制限をかけて話せないようにして、勇者召喚の間について関心すら向けないように制限をした。

 昔はありふれていた奴隷魔法だそうだが、一部の特権階級の人間が取り締まり、魔導具に流用して奴隷の首輪を完成させたのだとか。それは俺たちの大陸での話であって、他の大陸では分からないが奴隷魔法は、解除するためには魔法をかけた人間か、鍵のような物を知っている人間にしか解除ができないようになっているらしい。

 魔法とはよく分からない仕組みだとつくづく感じるね。

 時間がかかりそうだったので、塞いでいた壁を補強してから作業を行ったので、突破される前に全てを終えられてよかった。

 いざ脱出の直前になると、一番偉そうだった奴が「ここは地下だ! 逃げ切れるわけがない! 今からでも遅くないから我々に協力しろ!」と、言ってきた。

「人間の国からここまで溝を掘ったのは、誰だと思っているんだ? お前は、自分の考えが及ばない事は理解しようとしないのか? その溝に水を満たせたのは誰だと思っている? 天変地異が起きたとでも思っていたのか?」

 俺は、そこで話すのをやめた。俺は上を見上げて、手を天に向けて伸ばす。

 そうすると地上までの穴が開通した。

「シリウス! 上の穴を通って、作った川まで俺たちを運べるか?」

 俺の言葉に可能だと帰ってきた。なので、シリウスの力を使って川まで移動する。

 その感覚は、ウォータースライダーのように移動していく感じだった。実際には、シリウスの作った水流に任せて流されていただけなのだが……でも、楽しかったな。

 シリウスが手伝ってくれるのなら、ディストピアの子どもたちにうける遊びになるかもしれないな。

 川に置いていった筏は、動かせないように固定されていたが、シリウスが水を操り筏を動かせるようにしてくれた。

 たかが筏を固定するとか意味が分からん。もともと、俺たちをどうにかして捕らえるか、利用する予定だったのは間違いないみたいだな。

 この大陸の全てがバカなのだろうか? もう関わることもないだろうし、放置しよう。

 さて、次なる問題として、勇者召喚の間はどうしようか?

 今現在は、ダンマスの力を使って、山と言うか丘を作り埋めているが、これでは埋めただけなんだよね。これだといずれ掘り返される可能性がある。なら、どうするべきか?

 綾乃たちにも考えてもらったのだが、現状よりいい方法が見つかっていないんだよな。

 いっそのこと、勇者召喚の間がある一帯だけ地盤沈下でもしてくれないかな?

 そう考えた所で、これだと感じた。

 勇者召喚の間は、ダンマスの力でも掌握できないが、それより下の地面には干渉できる。しかも、地下なので簡単に操作が可能なのだ。

 手近な所で、妻たちを拉致した勇者召喚の間で試してみよう。

 干渉されない外側とその下100メートル程の穴を掘ってみた。

 神の構造物だから、浮いてその場に留まる可能性も考えたが、物理法則を無視するようなことは起こらず、俺のダンジョンの中に勇者召喚の間がふってきた。

 これなら、もう使うことは不可能だろう。少なくとも、この世界で勇者として召喚される人間はいなくなるはずだ。

 綾乃とバザールにこの事を伝えて、他の勇者召喚の間も同じように対応するようにお願いした。

 バザールは、自分でダンマスのスキルを使えるが、綾乃は自分で使えないので、スプリガンの皆に手伝って貰い作業をしてくれている。

 俺たちが帰り支度を始めていると、

『あなた! 何をしたか分かってるの?』

 チビ神からそんな言葉が届く。この先、妻や娘たちを拉致されることがないように、その可能性を潰しただけだ。それに、勇者が召喚されなくなれば、ダンマスは安全になるだろ? お前らが、話せない、助けられないとかいうからな。原因を排除させてもらっただけだ!

『神のゲーム板を1つ駄目にしたのよ! その意味がわかっているの?』

 分かっているに決まってるだろ! 何百何千何万とある内の1つを俺が支配しただけだろ? たったそれだけなのに、チビ神は何をキレているんだ?

『私は良くても、他の神の中には、その行動を良く思わない連中もいるのよ!』

 だったら、どうするんだ? 前にも言ったけど、もしされたくないことがあるなら、禁止にしておくべくだと言ったよな? 出来るって事は、ルール上認められた権利だと言うことだよ。考えていなかった、想像していなかった、と言うのは、管理側の怠慢だ。

『あんたは! 屁理屈ばっかね! せっかく私が心配してあげているのに!』

 いきなり拉致されて、この世界に呼び出して何が心配してあげている……だ! 寝言は寝てから言えよ! 神が何かしてくるのであれば、返り討ちにしてやるって言っておけ! 後、こそこそ隠れて暗躍するような雑魚はいらない、直接自分で出向いてこい、ってな。

 どうせ近くで聞いているがいるんだろ? 文句があるなら、逃げずに自分で来いって言っておけ!

 チビ神の返答は聞かずに、強制的に会話を終わらせる。

 その場の勢いで神達に宣戦布告をしてしまったけど、大丈夫だろうか?

 俺の考えの中では、神は万能ではないが特殊な能力を付与された、神という種族なだけだ。

 昔に、神は生まれるものもいれば消滅するものもいる、と聞いている。だから、滅ぼせない相手ではないと思う。

 それに、俺が魔王になりかけた時の話では、イレギュラーな存在で対処が面倒みたいな話だった。もし、邪魔なら直接介入して滅ぼせばいいのに、それをしないと言うことは、何かしらの制限があるという事だ。

 もしくは、魔王という称号だか何だかが、神に抵抗できる物なのかもしれない。だからチビ神は、俺が魔王になるのを防いだ可能性もある。あのチビ神が知らされていない情報の可能性もある。魔王は危険だ! とか教えられているだけかもしれない。

 1つ言えることは、神の力も無制限ではないということだ。創造神の力は無制限かもしれないけどな。

 よりいっそう気を付けないとな。ダンジョンの中は、どういう方法か分からないが、覗くことが出来るみたいだから、その対策も考えておかないとな。

 後は、何かしらの干渉拠点となりうる、最後の神のダンジョンを攻略しておくか? リバイアサンがいるから、連れていけば簡単に攻略出来るのは確実だからな。魚人タイプのドッペルがいれば、なおのこと簡単に攻略出来ると思うしな。

 戻ったら、皆に相談してみよう。
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