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第1254話 第壱陣
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俺が帰ってきてから2週間、やっと庁舎に呼ばれた。
正確には、俺が処理しないといけない物を処理しに庁舎自体には行っているのだが、グリエルやガリアの執務室には近付かないように厳命されていた。
俺がこの街のトップなはずなのにって思うが、よく考えたらこのままフェイドアウトすればグリエルたちが、ディストピアのトップに……
「なるわけないでしょ!」
急に後ろから声がしたため、びっくりして体が跳ね上がってしまった。
「な、何の事かな?」
「シュウ様は、たまにボケているのか真面目なのかよく分からない時がありますよね。今回は、普通に声を出していましたよ。1階受付の娘からブツブツ言ってましたと連絡をもらったので、慌ててきたのですよ。そこで物騒な事を言っていたので、声をかけさせていただきました」
油断も隙もありませんね! と軽く怒られてしまった。今度からは周囲をきちんと見てからだな。
「ですから、声が出てますって」
グリエルを呆れさせてしまった。声を出したつもりは無いけど、普通に声を出していたみたいだな。
俺の執務室に着くと、グリエルが慣れた手つきで魔導具を起動していく。
「聖国から1陣目が到着したそうです」
グリエルはそう言いながら、表示していった。
「ここに連れてきた理由が分かったわ」
表示されている情報を見て、来るように言われたのが1陣目のいる場所ではなく、この執務室だった理由は、、連れてこられた人間の種類といっていいのか、様々なジャンルがいたのだ。
「えっと、上に表示されているのが、聖国でも地位が高かった奴って事か?」
「そうですね。それについては教皇からメッセージが一緒にありました」
そういって手紙を渡される。
内容を要約すると、連絡があった時の俺の様子がボコボコにされた時より危険な雰囲気だったので、取り急ぎ同じ聖国人から見ても問題になっていた者たちを送りました! という事だ。
ジャンルがたくさんというのは、神殿騎士団長・大司教・司教・領主・商会長・文官等々、お偉方や金持ちのオンパレードだったのだ。
「恐らくですが、聖国の問題児の処理をするのに利用された可能性がありますが、シュウ様の怒りの矛先が特に強いのは、特権階級のこういった人間だと理解して、早めに送り出してきたのではないかと思います」
「確かにこういう奴らが率先していたせいで、中にはやりたくなかった事を強要された人間もいるかもしれないからな」
とはいえ、集団心理……群集心理を理由に非人道的な事をしていいかといえば、否である。聖国の人間からすれば、亜人は人間では無いので非人道的とは言えないのだろうが、
「こいつらは、聖国から俺に引き渡された時点で、重犯罪者……死刑が適応される犯罪者だからな。非人道的なんかを気にする必要はないのはいいな。で、この後はどうするつもりだ?」
「今回の件に関しては、シュウ様が主導して動かれているのでこちらは、サポートだけを視野に入れて行動していますが、こちらが主体となったほうがよろしいですか?」
「国というか、ミューズやディストピアを主体とした戦争の延長だから、俺がでしゃばり過ぎるのは問題じゃないのか?」
「何を言っているんですか? ミューズもディストピアも、その他戦争に参加した人も全員がシュウ様の管理下にある街から参加されているのですよ? だからシュウ様が先頭に立って何かをするのを肯定する人はいませんよ」
「グリエルやレイリーの申し出で、俺は今回積極的にかかわっていないのに、先頭に立っていい物なのか?」
「ディストピアやその他の街の管理を任されている私やガリアが問題ないと言っているのですから、これに異を唱えられる人間は、シュウ様以外にはいないのですよ」
「そういう物か……わかった! 戦争の細かい事はそっちに任せるけど、俺が聖国に引き渡しを迫った奴らに関しては、こっちで処理する形でいいかな?」
「もちろん問題ありません。元々そのつもりです。レイリーと話をして人員が必要な時は、ディストピアとゴーストタウンの軍人をサポートに出せるようにしてあります」
レイリーの鍛えた軍人が協力してくれるのであれば、人員的な問題はないかな。
「この資料は、この中に入れてありますので家に持って帰っていただいても問題ありません。その中には、教皇からの追加情報である、こいつらが何をしたのか分かる範囲で送られて来た情報も一緒に入っています」
なるほど、こいつらが送られて来た理由みたいな物もしっかりと送ってくれているんだな。
「あっ、報告しておきたい事が、シュウ様に任された範囲内の判断でワイバーンの家族に協力を仰いで、この者たちを連れて来てもらっています」
「ワイバーンを強制的に扱っていないなら問題ないよ。俺の従魔扱いだけど、基本的には自由にしていていいって言ってあるしな」
「もちろん協力してもらう代わりに、報酬として畜産エリアの牛の丸焼きを食べていただきました」
食べ物で動いてもらったのな。
「それなら問題ないな。とりあえず、帰って妻たちと相談して対処を始めるわ。一応、対応が決まったら連絡入れるわ」
そう言って執務室を後にした。
さて、帰ったら妻たちと相談して、こいつらの処分を決めないとな。でも、娘の前では相談できないから、娘たちが寝た後かな? シルキーにケットシーもいるから、特に問題は無いよな。
馬車に乗り込み、最近召喚できるようになった眼鏡タイプのVRゴーグルを装着して、ノートパソコンとリンクさせ預かった情報、USBメモリーを差し込み情報を引き出す。
タッチパネルの要領で見たい情報を引き出していく。
「マジか! これを妻たちに見せるべきだろうか……」
隣で丸まって寝ていたダマが体を起こして、
『何か問題でもあったのですかにゃ?』
「いやな、聖国から引き渡された奴らが予想以上の屑だったせいで、情報を妻たちに伝えていいのか悩んでいるんだよね」
情報を見せようにもVRゴーグルだったので、見せる事ができなかった。なので内容を話してやる。
『それなりの時間主殿と過ごしているけど、酷いですにゃ』
人間の常識に疎いダマでも、ディストピアで生活してきたダマが絶句しかけたのだ。
正確には、俺が処理しないといけない物を処理しに庁舎自体には行っているのだが、グリエルやガリアの執務室には近付かないように厳命されていた。
俺がこの街のトップなはずなのにって思うが、よく考えたらこのままフェイドアウトすればグリエルたちが、ディストピアのトップに……
「なるわけないでしょ!」
急に後ろから声がしたため、びっくりして体が跳ね上がってしまった。
「な、何の事かな?」
「シュウ様は、たまにボケているのか真面目なのかよく分からない時がありますよね。今回は、普通に声を出していましたよ。1階受付の娘からブツブツ言ってましたと連絡をもらったので、慌ててきたのですよ。そこで物騒な事を言っていたので、声をかけさせていただきました」
油断も隙もありませんね! と軽く怒られてしまった。今度からは周囲をきちんと見てからだな。
「ですから、声が出てますって」
グリエルを呆れさせてしまった。声を出したつもりは無いけど、普通に声を出していたみたいだな。
俺の執務室に着くと、グリエルが慣れた手つきで魔導具を起動していく。
「聖国から1陣目が到着したそうです」
グリエルはそう言いながら、表示していった。
「ここに連れてきた理由が分かったわ」
表示されている情報を見て、来るように言われたのが1陣目のいる場所ではなく、この執務室だった理由は、、連れてこられた人間の種類といっていいのか、様々なジャンルがいたのだ。
「えっと、上に表示されているのが、聖国でも地位が高かった奴って事か?」
「そうですね。それについては教皇からメッセージが一緒にありました」
そういって手紙を渡される。
内容を要約すると、連絡があった時の俺の様子がボコボコにされた時より危険な雰囲気だったので、取り急ぎ同じ聖国人から見ても問題になっていた者たちを送りました! という事だ。
ジャンルがたくさんというのは、神殿騎士団長・大司教・司教・領主・商会長・文官等々、お偉方や金持ちのオンパレードだったのだ。
「恐らくですが、聖国の問題児の処理をするのに利用された可能性がありますが、シュウ様の怒りの矛先が特に強いのは、特権階級のこういった人間だと理解して、早めに送り出してきたのではないかと思います」
「確かにこういう奴らが率先していたせいで、中にはやりたくなかった事を強要された人間もいるかもしれないからな」
とはいえ、集団心理……群集心理を理由に非人道的な事をしていいかといえば、否である。聖国の人間からすれば、亜人は人間では無いので非人道的とは言えないのだろうが、
「こいつらは、聖国から俺に引き渡された時点で、重犯罪者……死刑が適応される犯罪者だからな。非人道的なんかを気にする必要はないのはいいな。で、この後はどうするつもりだ?」
「今回の件に関しては、シュウ様が主導して動かれているのでこちらは、サポートだけを視野に入れて行動していますが、こちらが主体となったほうがよろしいですか?」
「国というか、ミューズやディストピアを主体とした戦争の延長だから、俺がでしゃばり過ぎるのは問題じゃないのか?」
「何を言っているんですか? ミューズもディストピアも、その他戦争に参加した人も全員がシュウ様の管理下にある街から参加されているのですよ? だからシュウ様が先頭に立って何かをするのを肯定する人はいませんよ」
「グリエルやレイリーの申し出で、俺は今回積極的にかかわっていないのに、先頭に立っていい物なのか?」
「ディストピアやその他の街の管理を任されている私やガリアが問題ないと言っているのですから、これに異を唱えられる人間は、シュウ様以外にはいないのですよ」
「そういう物か……わかった! 戦争の細かい事はそっちに任せるけど、俺が聖国に引き渡しを迫った奴らに関しては、こっちで処理する形でいいかな?」
「もちろん問題ありません。元々そのつもりです。レイリーと話をして人員が必要な時は、ディストピアとゴーストタウンの軍人をサポートに出せるようにしてあります」
レイリーの鍛えた軍人が協力してくれるのであれば、人員的な問題はないかな。
「この資料は、この中に入れてありますので家に持って帰っていただいても問題ありません。その中には、教皇からの追加情報である、こいつらが何をしたのか分かる範囲で送られて来た情報も一緒に入っています」
なるほど、こいつらが送られて来た理由みたいな物もしっかりと送ってくれているんだな。
「あっ、報告しておきたい事が、シュウ様に任された範囲内の判断でワイバーンの家族に協力を仰いで、この者たちを連れて来てもらっています」
「ワイバーンを強制的に扱っていないなら問題ないよ。俺の従魔扱いだけど、基本的には自由にしていていいって言ってあるしな」
「もちろん協力してもらう代わりに、報酬として畜産エリアの牛の丸焼きを食べていただきました」
食べ物で動いてもらったのな。
「それなら問題ないな。とりあえず、帰って妻たちと相談して対処を始めるわ。一応、対応が決まったら連絡入れるわ」
そう言って執務室を後にした。
さて、帰ったら妻たちと相談して、こいつらの処分を決めないとな。でも、娘の前では相談できないから、娘たちが寝た後かな? シルキーにケットシーもいるから、特に問題は無いよな。
馬車に乗り込み、最近召喚できるようになった眼鏡タイプのVRゴーグルを装着して、ノートパソコンとリンクさせ預かった情報、USBメモリーを差し込み情報を引き出す。
タッチパネルの要領で見たい情報を引き出していく。
「マジか! これを妻たちに見せるべきだろうか……」
隣で丸まって寝ていたダマが体を起こして、
『何か問題でもあったのですかにゃ?』
「いやな、聖国から引き渡された奴らが予想以上の屑だったせいで、情報を妻たちに伝えていいのか悩んでいるんだよね」
情報を見せようにもVRゴーグルだったので、見せる事ができなかった。なので内容を話してやる。
『それなりの時間主殿と過ごしているけど、酷いですにゃ』
人間の常識に疎いダマでも、ディストピアで生活してきたダマが絶句しかけたのだ。
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