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第1207話 謎な魔物
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俺はレイリーと話が終わった後に、チビ神からの連絡を待っていた。
『待たせたわね!』
俺の状況をしっかりと理解してか、チビ神はそう俺に声をかけてきた。
『今回あなたに報酬として与えられるのは、Sランクの魔物のフォボスって奴になったわ。こいつに関しては、召喚制限がないから好きなだけ召喚していいわよ。でも、先に注意だけしておくわね。フォボスは一切攻撃のできない実体のない魔物だから、戦闘力は皆無よ』
召喚制限無しという所に心を引かれたが、その後に言われた実体がなくて戦闘力も無し、という言葉を聞いて……こいつをどう使えばいいのか悩んだ。
『そこは安心してちょうだい。このフォボスはSランクというだけあって、相応の能力を持っているのよ。戦闘力も実体も無い、いわゆるマイナスの要素を持っているけど、こいつの本当の能力は【精神に直接叩き込まれる恐怖】なのよ』
? さっぱり意味が分からん。精神に直接ってどういうことだ?
『フォボスは、そこにいるだけで恐怖という感情を生み出すのよ。それはどんなに訓練で鍛えても、どうしようもなく心に作用する特殊能力なの。だから防ぎようがないわ。これから身を守るためには、精神的に保護する神器以外は無意味ね』
そのフォボスとやらを使えば、敵が塹壕に入ってくるのか? 俺たちから見て聖国の軍の後ろに配置すれば、恐怖で聖国側には逃げれなくなる?
『その考えで大体あってるわ。フォボスに近付けば近付くほど、恐怖の力が強くなるのよ。もし突破する事ができるとすれば、フォボスよりレベルが高い事が最低条件ね。ただ、この恐怖は無差別では無くて、敵にだけ向ける事ができるのよ!』
敵味方を判別してくれるのか、攻撃できないっていうマイナス要素を持っていても、レベルが高ければ抜けられてしまう可能性があるのか? 結構しょぼくね?
『あなたにしては考えが甘いわね! 攻撃できないのにSランク指定されているのよ。利点がそれだけなわけないでしょ! フォボスの初期召喚Lvは700。このゲームが始まって以来、700に到達した人間は10000人を越えないわ』
10000という数字を聞いて、リアクションに困った。この世界の人口を考えるに、その数って結構多くないか?
『あんた、本当にどうしたの? 考えが浅いわよ。私はこのゲームって言ったわよ。いくつもの星を舞台に繰り広げられているゲームの中で、何万年もやっているのよ。その中で5桁に届かないのよ! それがどういう事か分かる?』
確かにそれなら分かる気がする。でもさ、俺の周りには俺も含めてだけど、700超えている奴いっぱいいるぞ?
『それは、あなたがおかしいからよ。そもそも、この世界は他の世界に比べて高レベルの人間が多いのよ。その歴史の中でも、1つの陣営にこれほど高レベルの人間が集まるとか反則よ! しかも従魔には、神獣はもちろんバランスブレイカーまでいるんだからね!』
ん? バランスブレイカーってなんだ?
『あれ? 言ってなかったっけ? あなたが隷属させたリバイアサンいるでしょ? あれって人の身では絶対勝てないのよ。いくらレベルが高くても、戦場を自分のフィールドに変えられるだけの力を持ってるからね。水中での戦闘ではリバイアサンに勝ち目はないわ』
確かにリバイアサンに勝つためには、水のフィールドを何とかしないとタイムアップで死ぬな。
『世界のバランスを崩壊させるだけの力を持っているから、バランスブレイカーって呼んでるわ。ちなみに1つの世界に2~4匹のバランスブレイカーがいるわよ。創造神様の趣味で配置されたから、私たちも詳細は知らないけどね。1つ言うと、そいつらが暴れて壊れた星もあるわよ』
マジか……それは怖いな。今度娘たちの所に遊びに来たら、リバイアサンに餌付けをさせよう。
「っと、話はこれくらいね! これから新しい賭けが始まるから連絡できなくなるけど、しっかりとやりなさいよ! また時間かけたら、今度は本当に何言われるか分からないからね!』
そう言うと、ドタドタ走り去っていく音が聞こえる。いつも思うんだけど、声を送ってくる場所ってチビ神の部屋とかなのかな? あいつの能力で声を送ってきてるなら、走り去る音とか普通聞こえんよな。
どうでもいい事を考えながら、召喚できるようになったフォボスの詳細を確認していく。
どうやら、能力の効果範囲に限界は無いけど、およそ3キロメートル程離れると耐えられない程の恐怖は無くなる感じだな。それと、効果範囲を絞る事もできるみたいだな。まぁそうしないとダンジョンの中では、使い辛いだけの魔物になるもんな。
そして召喚する段階になって驚いた。
召喚に必要なDPが、フェンリルに使った10分の1にも満たない物だった。初期レベルが高くて攻撃できないけど、特殊能力で自分のレベル以下は寄せ付けない……だけでSランクなわけないか。コストパフォーマンスがいいのも理由なのかもな。
まぁ何でこんな魔物が召喚できるのか謎だけどな。
とりあえず200匹程呼んでおいた。フォボスは、ゴーレムに近い存在だと感じた。命令に従うだけで、何もしていない時はただそこにいるだけ。ゴーレムも召喚した時はそんな感じなんだよな。ダンジョンに召喚する場合は、行動がプログラムされているけどな。
召喚したフォボスを、聖国の軍の後ろ側に逃げられない様に配置する。一番近い人間でも5キロメートルは離れた位置に配置しているので、何か悪寒がするかな? 位のレベルだろう。
そしてここに配置したという事は、どんなに頑張っても補給物資が届かない事を意味する。
どれだけの食べ物が備蓄されているか分からないが、そう長くは持たないだろう。撤退するにもフォボスの恐怖が邪魔をして下がれないとなれば……塹壕に突っ込むしかなくなる。
俺たちから奪うしか生きる道が無いのだから、選択肢なんてないだろう。
死に物狂いで襲ってくる敵は怖いけど、塹壕はこちらの有利な戦場。大軍で押し寄せても、少数ずつでしか戦闘ができない。
塹壕を登って移動する敵への対策を考えるべきか? そこら辺はレイリーと話して決めるべきだな。
すぐに答えが返ってきた。
ライガとスカルズのメンバーに遊撃で登ってくる敵を対処させるとの事だ。広範囲になるけど大丈夫なのか? と思ったが、弓兵も結構な数がいるのだ。塹壕内では戦えないが、上った敵を狙い撃つ事くらいは造作もない。
聖国が動いたのは4日後だった。
『待たせたわね!』
俺の状況をしっかりと理解してか、チビ神はそう俺に声をかけてきた。
『今回あなたに報酬として与えられるのは、Sランクの魔物のフォボスって奴になったわ。こいつに関しては、召喚制限がないから好きなだけ召喚していいわよ。でも、先に注意だけしておくわね。フォボスは一切攻撃のできない実体のない魔物だから、戦闘力は皆無よ』
召喚制限無しという所に心を引かれたが、その後に言われた実体がなくて戦闘力も無し、という言葉を聞いて……こいつをどう使えばいいのか悩んだ。
『そこは安心してちょうだい。このフォボスはSランクというだけあって、相応の能力を持っているのよ。戦闘力も実体も無い、いわゆるマイナスの要素を持っているけど、こいつの本当の能力は【精神に直接叩き込まれる恐怖】なのよ』
? さっぱり意味が分からん。精神に直接ってどういうことだ?
『フォボスは、そこにいるだけで恐怖という感情を生み出すのよ。それはどんなに訓練で鍛えても、どうしようもなく心に作用する特殊能力なの。だから防ぎようがないわ。これから身を守るためには、精神的に保護する神器以外は無意味ね』
そのフォボスとやらを使えば、敵が塹壕に入ってくるのか? 俺たちから見て聖国の軍の後ろに配置すれば、恐怖で聖国側には逃げれなくなる?
『その考えで大体あってるわ。フォボスに近付けば近付くほど、恐怖の力が強くなるのよ。もし突破する事ができるとすれば、フォボスよりレベルが高い事が最低条件ね。ただ、この恐怖は無差別では無くて、敵にだけ向ける事ができるのよ!』
敵味方を判別してくれるのか、攻撃できないっていうマイナス要素を持っていても、レベルが高ければ抜けられてしまう可能性があるのか? 結構しょぼくね?
『あなたにしては考えが甘いわね! 攻撃できないのにSランク指定されているのよ。利点がそれだけなわけないでしょ! フォボスの初期召喚Lvは700。このゲームが始まって以来、700に到達した人間は10000人を越えないわ』
10000という数字を聞いて、リアクションに困った。この世界の人口を考えるに、その数って結構多くないか?
『あんた、本当にどうしたの? 考えが浅いわよ。私はこのゲームって言ったわよ。いくつもの星を舞台に繰り広げられているゲームの中で、何万年もやっているのよ。その中で5桁に届かないのよ! それがどういう事か分かる?』
確かにそれなら分かる気がする。でもさ、俺の周りには俺も含めてだけど、700超えている奴いっぱいいるぞ?
『それは、あなたがおかしいからよ。そもそも、この世界は他の世界に比べて高レベルの人間が多いのよ。その歴史の中でも、1つの陣営にこれほど高レベルの人間が集まるとか反則よ! しかも従魔には、神獣はもちろんバランスブレイカーまでいるんだからね!』
ん? バランスブレイカーってなんだ?
『あれ? 言ってなかったっけ? あなたが隷属させたリバイアサンいるでしょ? あれって人の身では絶対勝てないのよ。いくらレベルが高くても、戦場を自分のフィールドに変えられるだけの力を持ってるからね。水中での戦闘ではリバイアサンに勝ち目はないわ』
確かにリバイアサンに勝つためには、水のフィールドを何とかしないとタイムアップで死ぬな。
『世界のバランスを崩壊させるだけの力を持っているから、バランスブレイカーって呼んでるわ。ちなみに1つの世界に2~4匹のバランスブレイカーがいるわよ。創造神様の趣味で配置されたから、私たちも詳細は知らないけどね。1つ言うと、そいつらが暴れて壊れた星もあるわよ』
マジか……それは怖いな。今度娘たちの所に遊びに来たら、リバイアサンに餌付けをさせよう。
「っと、話はこれくらいね! これから新しい賭けが始まるから連絡できなくなるけど、しっかりとやりなさいよ! また時間かけたら、今度は本当に何言われるか分からないからね!』
そう言うと、ドタドタ走り去っていく音が聞こえる。いつも思うんだけど、声を送ってくる場所ってチビ神の部屋とかなのかな? あいつの能力で声を送ってきてるなら、走り去る音とか普通聞こえんよな。
どうでもいい事を考えながら、召喚できるようになったフォボスの詳細を確認していく。
どうやら、能力の効果範囲に限界は無いけど、およそ3キロメートル程離れると耐えられない程の恐怖は無くなる感じだな。それと、効果範囲を絞る事もできるみたいだな。まぁそうしないとダンジョンの中では、使い辛いだけの魔物になるもんな。
そして召喚する段階になって驚いた。
召喚に必要なDPが、フェンリルに使った10分の1にも満たない物だった。初期レベルが高くて攻撃できないけど、特殊能力で自分のレベル以下は寄せ付けない……だけでSランクなわけないか。コストパフォーマンスがいいのも理由なのかもな。
まぁ何でこんな魔物が召喚できるのか謎だけどな。
とりあえず200匹程呼んでおいた。フォボスは、ゴーレムに近い存在だと感じた。命令に従うだけで、何もしていない時はただそこにいるだけ。ゴーレムも召喚した時はそんな感じなんだよな。ダンジョンに召喚する場合は、行動がプログラムされているけどな。
召喚したフォボスを、聖国の軍の後ろ側に逃げられない様に配置する。一番近い人間でも5キロメートルは離れた位置に配置しているので、何か悪寒がするかな? 位のレベルだろう。
そしてここに配置したという事は、どんなに頑張っても補給物資が届かない事を意味する。
どれだけの食べ物が備蓄されているか分からないが、そう長くは持たないだろう。撤退するにもフォボスの恐怖が邪魔をして下がれないとなれば……塹壕に突っ込むしかなくなる。
俺たちから奪うしか生きる道が無いのだから、選択肢なんてないだろう。
死に物狂いで襲ってくる敵は怖いけど、塹壕はこちらの有利な戦場。大軍で押し寄せても、少数ずつでしか戦闘ができない。
塹壕を登って移動する敵への対策を考えるべきか? そこら辺はレイリーと話して決めるべきだな。
すぐに答えが返ってきた。
ライガとスカルズのメンバーに遊撃で登ってくる敵を対処させるとの事だ。広範囲になるけど大丈夫なのか? と思ったが、弓兵も結構な数がいるのだ。塹壕内では戦えないが、上った敵を狙い撃つ事くらいは造作もない。
聖国が動いたのは4日後だった。
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