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第1185話 なんとかなった?
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バレルに到着してから1週間。水道の実験は終了した。
概ね成功と言っていいだろう。
最初の計画では、地中に埋められた水道管のように、管の周りも土で埋める予定だったのだが、最終的には溝を掘ってその中に土魔法で作った配水管を設置する形になった。溝はしっかりと蓋で閉じられる事になるが、メンテナンスを考えるとこれがベターなのでは? という事になった。
実験に関しては、大体15時くらいまで行ってから領主館に戻り、みんなが作業してくれた動画を見ながら、参加できる領主代行とグリエル・ガリアが問題点や気になる事について話したのだ。
その中で、一旦掘って管を作りながら埋める必要はないのでは? という話が出て、次の日に実験してみた形だ。蓋に関しては、木でも何でもいいので作る事が可能であるため、メンテナンス的にも便利だという話になった。
問題になったのは、埋めてある状態でも溝の状態でも破損個所を見つけにくい事だった。
まぁ埋めた場合であれば、圧縮した土の配水管のまわりにも土があるので丈夫だが、定期的なメンテナンスで確認するにしても大変だという事だ。
その点、メンテナンスしやすい溝に蓋をするタイプでも、破損個所を直接見ないと、実際に壊れているかどうか分からないという事だ。
溝の中に水が流れていれば破損と気付けるかもしれないが、雨が降ったり道路に水をまいたりすればそれが配水管の溝に水が流れてしまうので、判断が難しくなるという意見も出た。
まぁこれに関しては、簡単な解決法があった。水道局みたいに水道の事を担当する部署を作って、何か月に1度は目視確認するようにすれば、大丈夫だという事で解決した。雨の日には仕事をできないという事になるので、その時はどうするか? なんていう今はなしても無駄な内容も多かった。
あと問題になるのは、凍結についてだった。溝を掘るだけではどうしても限界がある。寒い地域は、本当に寒くなり水道管が必ず凍るのは目に見えている。
寒い地域では、4~5メートル掘り下げるか? という話にもなったが、そうすると何かあった時に大変だ。例えば蓋が割れて子供が落ちたりとか、絶対にないとは言えない。
20~30センチメートルであれば、せいぜい骨折位で済むだろう……って領主代行は言っていたが、骨折位でって結構大変な事だからね!? その事を突っ込んだら「確かに大変な事ですが、治療院に行けば治せる範囲です」と真面目な顔で言われた。
それを聞いて、あ~そういえば、ここって日本じゃなかった、と思い出した。日本でそんな事があれば、管理責任とかなんとか言ってかなり大事になるけど、この世界じゃ治せるんだからいいじゃん? で終わってしまうようだ。
ここら辺の価値観は絶対変わらないと思うので、俺は可能な限り事故が起きないように、対策を考える方針を決めた。具体的な事は、バザールや綾乃と話してみようと思う。
実験エリアに伸ばした、細い配水管に関しては太いのと一緒なので話す事は特になかった。
最後の問題は給水管だった。各家に設置するためには、土台を壊して引っ張り込む必要があったのだ。
普通に考えればわかる事だが、完成した家に新しく水道を設置するためには、家の一部を壊す必要がある。上手くキッチン・・・というよりは、土間と言った方が似合うこの世界で、表から土間に続いている家はほとんどない。
遠回りをすれば、土間に入る扉の下を通せるだろうが、何軒も密集していると給水管が網の目のように複雑になってしまう。
いきなり家の中まで、というのは現実的ではないので、今、各街に設置した水道の魔導具のように共同で使えるようにした物を設置して、それより先は実験しながら考えていく事になった。
水道に関しては、よくよく考えれば別にいきなり街で試す必要なんてなかったのでは? という話になった。領主代行になる人間は、俺の能力を知っているので、ダンジョンの中にでも作ればいいのでは? と。
自分ができる事を思い返して、両手両膝をついてガックリした。
だが、バレルの街に来た意味はある。ディストピア以外で初めて作った街……獣人の街は援助はしているが、基本的に干渉をしない事にしているので、俺は良く知らないのでノーカンだ……なので、その成長が嬉しかったのだ。
街は栄え、近くの魔物の領域の資源、木を使って作った炭等の産業も順調だ。特に炭に関しては商会で買取り、魔導列車を使って各街に売られるほど大量に生産されている。冒険者がきこり状態だそうだ。それでも儲かるので、何の問題も無いのだとか。
薪の需要もあるので、かなりのハイペースで切っているが、植樹も行いながら伐採をしているので、森の復活スピードが樹海と同じくらいなのだ。炭を作る窯が休む暇なく稼働しているのだとか。
薪や炭って需要があるけど、行商するのには向いてないので、各街で生産消費されている事が多いんだよね。街の安全を考えると、魔物の領域に接する形で街を作る事は無いので、多少離れた所に作るのが普通なのだ。
なので普通の街は、魔物の領域の近くに貯木場みたいなのを作って、魔物の領域から切り出して貯木し、乾燥させてから分割して運んでいるのだとか。
今まで気にした事なかったけど、そんな風になってたんだな。そういえばフレデリクで冒険者してた頃に、それっぽい丸太が積み重ねられてた場所があったっけ?
街の現状も確認できたし、美味しい食事も提供されていて、奴隷もしっかりと生活できているようでよかった。全員が全員明るい笑顔とは言えなかったが、それは仕方がないよね。
命が軽い世界でも、家族や知り合いが死ねば悲しむ。街の環境に適応できなくてはみ出す物もいる。様々な事情で、常に明るい顔なんてできない事だってあるもんな。
でも、死んだ目をして働いている奴隷を見かけなかった事だけは、ちょっと誇らしかった。
全員を救う事は出来ないけど、手の届く範囲で救える人を救えているようだ。俺じゃなくて領主代行に任せっきりだけどな! それに、手を差し伸べてもどうにもならない人だっているんだ。他の街に比べれば、かなりましだろう。
これからも、出来る事は頑張っていこう。
そうだ、バレルに到着したから3日目に一番の事件があったんだった。領主館で俺を出迎えてくれたメイドの内、半数が俺の寝室に夜忍び込もうとしていた事だ。
ピーチたちはかなりキレていたけど、理由を聞いた所……俺の御手付きになれば、将来は安泰だ。みたいな事を考えていたらしい。初めにメイドがビクビクしていたのは、年長組の発するオーラにビビっていたのだとか。
その上、釘を刺されたのに忍び込んでくるとか、本当にすごい根性だよな。
領主代行にも、そういった夜の仕事はしなくていいと言われていたが、自分で相手が選べることだと勘違いしており、今回の行動に移ったのだとか。
これによりメイドの教育の問題が分かったので、今回は不問として他の街でも徹底するように通達が出た。
概ね成功と言っていいだろう。
最初の計画では、地中に埋められた水道管のように、管の周りも土で埋める予定だったのだが、最終的には溝を掘ってその中に土魔法で作った配水管を設置する形になった。溝はしっかりと蓋で閉じられる事になるが、メンテナンスを考えるとこれがベターなのでは? という事になった。
実験に関しては、大体15時くらいまで行ってから領主館に戻り、みんなが作業してくれた動画を見ながら、参加できる領主代行とグリエル・ガリアが問題点や気になる事について話したのだ。
その中で、一旦掘って管を作りながら埋める必要はないのでは? という話が出て、次の日に実験してみた形だ。蓋に関しては、木でも何でもいいので作る事が可能であるため、メンテナンス的にも便利だという話になった。
問題になったのは、埋めてある状態でも溝の状態でも破損個所を見つけにくい事だった。
まぁ埋めた場合であれば、圧縮した土の配水管のまわりにも土があるので丈夫だが、定期的なメンテナンスで確認するにしても大変だという事だ。
その点、メンテナンスしやすい溝に蓋をするタイプでも、破損個所を直接見ないと、実際に壊れているかどうか分からないという事だ。
溝の中に水が流れていれば破損と気付けるかもしれないが、雨が降ったり道路に水をまいたりすればそれが配水管の溝に水が流れてしまうので、判断が難しくなるという意見も出た。
まぁこれに関しては、簡単な解決法があった。水道局みたいに水道の事を担当する部署を作って、何か月に1度は目視確認するようにすれば、大丈夫だという事で解決した。雨の日には仕事をできないという事になるので、その時はどうするか? なんていう今はなしても無駄な内容も多かった。
あと問題になるのは、凍結についてだった。溝を掘るだけではどうしても限界がある。寒い地域は、本当に寒くなり水道管が必ず凍るのは目に見えている。
寒い地域では、4~5メートル掘り下げるか? という話にもなったが、そうすると何かあった時に大変だ。例えば蓋が割れて子供が落ちたりとか、絶対にないとは言えない。
20~30センチメートルであれば、せいぜい骨折位で済むだろう……って領主代行は言っていたが、骨折位でって結構大変な事だからね!? その事を突っ込んだら「確かに大変な事ですが、治療院に行けば治せる範囲です」と真面目な顔で言われた。
それを聞いて、あ~そういえば、ここって日本じゃなかった、と思い出した。日本でそんな事があれば、管理責任とかなんとか言ってかなり大事になるけど、この世界じゃ治せるんだからいいじゃん? で終わってしまうようだ。
ここら辺の価値観は絶対変わらないと思うので、俺は可能な限り事故が起きないように、対策を考える方針を決めた。具体的な事は、バザールや綾乃と話してみようと思う。
実験エリアに伸ばした、細い配水管に関しては太いのと一緒なので話す事は特になかった。
最後の問題は給水管だった。各家に設置するためには、土台を壊して引っ張り込む必要があったのだ。
普通に考えればわかる事だが、完成した家に新しく水道を設置するためには、家の一部を壊す必要がある。上手くキッチン・・・というよりは、土間と言った方が似合うこの世界で、表から土間に続いている家はほとんどない。
遠回りをすれば、土間に入る扉の下を通せるだろうが、何軒も密集していると給水管が網の目のように複雑になってしまう。
いきなり家の中まで、というのは現実的ではないので、今、各街に設置した水道の魔導具のように共同で使えるようにした物を設置して、それより先は実験しながら考えていく事になった。
水道に関しては、よくよく考えれば別にいきなり街で試す必要なんてなかったのでは? という話になった。領主代行になる人間は、俺の能力を知っているので、ダンジョンの中にでも作ればいいのでは? と。
自分ができる事を思い返して、両手両膝をついてガックリした。
だが、バレルの街に来た意味はある。ディストピア以外で初めて作った街……獣人の街は援助はしているが、基本的に干渉をしない事にしているので、俺は良く知らないのでノーカンだ……なので、その成長が嬉しかったのだ。
街は栄え、近くの魔物の領域の資源、木を使って作った炭等の産業も順調だ。特に炭に関しては商会で買取り、魔導列車を使って各街に売られるほど大量に生産されている。冒険者がきこり状態だそうだ。それでも儲かるので、何の問題も無いのだとか。
薪の需要もあるので、かなりのハイペースで切っているが、植樹も行いながら伐採をしているので、森の復活スピードが樹海と同じくらいなのだ。炭を作る窯が休む暇なく稼働しているのだとか。
薪や炭って需要があるけど、行商するのには向いてないので、各街で生産消費されている事が多いんだよね。街の安全を考えると、魔物の領域に接する形で街を作る事は無いので、多少離れた所に作るのが普通なのだ。
なので普通の街は、魔物の領域の近くに貯木場みたいなのを作って、魔物の領域から切り出して貯木し、乾燥させてから分割して運んでいるのだとか。
今まで気にした事なかったけど、そんな風になってたんだな。そういえばフレデリクで冒険者してた頃に、それっぽい丸太が積み重ねられてた場所があったっけ?
街の現状も確認できたし、美味しい食事も提供されていて、奴隷もしっかりと生活できているようでよかった。全員が全員明るい笑顔とは言えなかったが、それは仕方がないよね。
命が軽い世界でも、家族や知り合いが死ねば悲しむ。街の環境に適応できなくてはみ出す物もいる。様々な事情で、常に明るい顔なんてできない事だってあるもんな。
でも、死んだ目をして働いている奴隷を見かけなかった事だけは、ちょっと誇らしかった。
全員を救う事は出来ないけど、手の届く範囲で救える人を救えているようだ。俺じゃなくて領主代行に任せっきりだけどな! それに、手を差し伸べてもどうにもならない人だっているんだ。他の街に比べれば、かなりましだろう。
これからも、出来る事は頑張っていこう。
そうだ、バレルに到着したから3日目に一番の事件があったんだった。領主館で俺を出迎えてくれたメイドの内、半数が俺の寝室に夜忍び込もうとしていた事だ。
ピーチたちはかなりキレていたけど、理由を聞いた所……俺の御手付きになれば、将来は安泰だ。みたいな事を考えていたらしい。初めにメイドがビクビクしていたのは、年長組の発するオーラにビビっていたのだとか。
その上、釘を刺されたのに忍び込んでくるとか、本当にすごい根性だよな。
領主代行にも、そういった夜の仕事はしなくていいと言われていたが、自分で相手が選べることだと勘違いしており、今回の行動に移ったのだとか。
これによりメイドの教育の問題が分かったので、今回は不問として他の街でも徹底するように通達が出た。
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