ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第1181話 実験場所発見!?

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 水道の計画を立ててから、2週間が経過した。

 俺は、フレデリクの3D画像を見ながらあげられてくる会議の内容を踏まえた計画を練っている。

 それだけで時間が全部潰れるわけではない。余った時間で、水道のメンテナンスについて考えている。

 地球ではどうしてたっけな? 水道管……素材は何だっけ? 資料を色々と取り寄せて調べてみたが……なるほど、分からん!

 地球が今西暦何年かよくわからないけど、数年前から大都市の配水管が耐久年数に近付いているため、交換作業が至る所でされているとかいないとか?

 というか、水を流す管は全て水道管だと思っていたのだが、どうやら違うようだ。

 まず、俺が川から貯水池に水を溜めるために使う管を【導水管】というらしい。正確に言えば、取水地しゅすいちから浄水場へ水を送る管を【導水管】呼ぶらしい。

 俺が貯水池と言っているのは、日本で言うところの浄水場と配水場にあたるようだ。まぁ、貯水池も取り入れた水をろ過しながら貯めておく池と、更に綺麗にろ過した水と水道の魔導具を配置する、送り出す前の水を溜めて置く池があるので、その間をつなぐ管が【送水管】と呼ぶ感じか?

 で、配水場から各家庭の近くまで水を送る管を【配水管】と呼び、配水管から各家庭へ水を送る管を【給水管】と呼ぶらしい。

 原水(取水地)⇒【導水管】⇒浄水場⇒【送水管】⇒配水場⇒【配水管】⇒【給水管】⇒各家庭

 という順番をたどって各家庭に水が届けられているようだ。

「全部、水が通ってるから水道だと思ってたよ。ん~用途が違うから大きさも違うのか。高低差を利用した排水では、水圧が足りないかな? って事は、各家庭で吸い上げるような形にした方がいいかな? 小型のポンプみたいなのを付けるべきかな?」

 各家庭については、今は考えるべきじゃないな。配水管までをしっかりと考えるか。というか、配水場までは簡単に……簡単なのか? まぁ、バレルでそれっぽい物を作っているから問題ない事は分かっている。

 水を浄水場までくみ上げる足踏みポンプはすでに完成しているのだ。メンテナンスを考えた造りにしてあるので、技術が受け継がれていけば何の問題も無い。しいて言うなら、足踏みポンプは人力なので、自動に出来ないだろうか? という所だ。

 それは今考える事では無いか? 風車や水車と組み合わせてリフトを使えば行けるか?

 バレルって水量は足りてるのか? クリエイトゴーレムによる魔導具が設置されてるけど、使われて賄ってたりするのかな?

 よくわからなかったので、バレルの資料のテーマを流し読みしていくが、それらしい報告書は見つからなかったので、グリエルを呼んで聞いてみた。

「えっと、水量についての報告書はありませんね。メンテナンスについての報告書は上がっていますが」

「じゃぁ、バレルの代理を呼んで聞いてみるか」

 そう言って、バレルの領主代理に魔導無線を繋げる。そこで報告を受けた。

 前に聞いていたように、バレルの水に関しては奴隷として買われてきた人が中心となって作業をしている。奴隷の中でも水に関わっている奴隷は、他の奴隷から尊敬されているとか……なるほど、意味が分からん。

 そして、バレルには個人で奴隷を持っている人はいない。バレルの街で一括で買い上げ、仕事を頼みたい人が街から対価を払って借り受け入れる形をとっている。信用度が高い奴隷でないと、衛生面の要である水に関する仕事に付けないらしい。

 あれ? 初めって、単純に奴隷を購入してその仕事につかせただけだよな。でも、犯罪奴隷とかは使ってなかったっけ?

 借金奴隷で自分を買い取った人もいるのだが、継続して足踏みポンプ係等を担当している人もいるのだとか。だから、信用されている人でないとそこで働けないらしい。

 って、だから何なんだよ! 俺が聞きたいのはそこじゃない!

 20分位してやっと水について話を聞く事ができた。

 今の所、街ができた時以外にはあの魔導具を使用していないらしい。人が増えてきているが、水量を調節したり、各家庭や店には水がめ等が用意され、水を溜めているそうだ。

 水量を調整? と思ったが、夜等は水を止めため池に貯めているのだとか。

「ん? よく考えたら、バレルってすでに配水管にあたる水路は準備されているんだよな。そこで実験とかできないかな? 街の上の方は、宿とかが多かったよな? 商会で売りに出してる水道の魔導具で、ちょっと改良したのを貸し出して実験できないかな?」

 領主代行はそれを聞いて、少し悩んだがすぐに相談に応じてくれた。後で、実験するエリアを決めるために、話し合いをしてくれるとの事だ。

「そういえば、シュウ様の水道計画ってろ過器を使ってますよね? 浄水の魔導具は使わないのですか?」

「……? あっ! そういえば、貯水池には上水の魔導具があったんだったな。忘れてたわ。街とかでしか使わないからな。あれって時間がかかるから、商会のコンセプトにあわなくてな。そのせいってわけじゃないけど、持ち運びできる携帯ろ過器を冒険者向けに作ったくらいだもんな」

 浄水場にあたる部分に魔導具入れておけば、ろ過器の数を減らせるな。

 そこからは、実験する内容について話し合い、実験するエリアの選定……という名の話し合いに行ってもらった。2~3日後には、場所は決まるだろう。場所は何処に決まっても基本的には大丈夫なので、俺は実験用の計画を建てる事にした。

 配水管はどうしようかな? 地球みたいに耐久性の高い管を作るか? でも、工場での大量生産ができないこの世界では、現実的ではない。

 街の一部だけで実験するのであればまだいいが、街全体に張り巡らす事を考えると……厳しいな。いくら人間離れした加工技術があるとはいっても、それは極一部の人間だけなので、連結する事を考えると管だと厳しい。

 メンテナンスを考えると、土魔法による加工が一番なんだけど、魔法使いの技量で効果は変わるし、初めに作った人より技量が高くないと、メンテナンスもできないんだよな……でも、経年劣化で変わってくるか? そこまでは試してなかったな。

 何処かで実験してみないといけないな。しなきゃいけない事が山積みだ。
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