1,172 / 2,518
第1172話 ミリーの家族
しおりを挟む
翌日、俺たちは簡易シェルター型ダンジョンから出発する。もちろんダンジョンはスキルで潰してからの退出である。
4日かけてディストピアに移動したが、大きなトラブルもなく到着している。
トラブルは無かったのだが、小さな問題はそれなりに沢山あった。
まず1つ目は、馬車の速度に興奮したミリーの弟妹が、大はしゃぎで馬車から身を乗り出してしまい、真ん中位の男の子が、馬車から落ちてしまったのだ。でも近くを飛んでいたハクが、地面に落ちる前に捕まえて馬車に戻してくれた。
そういえば、ハクだけは基本的に戦闘に参加してないんだよな。なんていうかね、俺のペット枠で俺の側にいるのが当たり前になっているので、俺や近くにいる人に危険が無いと基本動かないんだよな。
ミリーの弟妹は、馬車が早い事にはしゃいでたというわけではなく、これだけ早く移動している事がすごく楽しいみたいではしゃいでいたらしい。
2つ目は、俺たちの馬車を使った野営が快適過ぎて、これまたはしゃいでしまったのだ。小さい子は街の外に出ることなど基本的にありえないので、冒険譚に出てくる危険な野営を思い描いており、ビビっていたのにまるで違った光景を見て騒いだようなのだ。
3つ目は、毎回の食事だろう。ランチプレートで一人ひとりのおかずの量は決められていたが、その一つひとつが美味しかったため一口毎に大きな声を上げていたな。
後、俺たちはお米に慣れているからいいが、ミリーの家族は慣れていないのでパンを焼いて出している。野営でパンを焼くとか普通ならありえないのだが、シルキーがいるのだ不可能などは無かった。そのパンが美味しくて、先日と同様トドが打ち上げられるような光景が馬車の中で見ることができたが……
その次の食事から食べ過ぎるという事で、申し訳ないがパンの量も調整する事にした。御代わりは自由だが、渡す時に確認しながら渡しているので次の食事からは、トドが打ち上げられることはなくなった。
この3つが小さな問題のトップだっただろう。ただ移動していただけなのに、他にも小さな問題がそれなりの数あった事の方が問題だとは思うのだが。
色々あったが、何とかディストピアに到着した。
ミリーの家族が住む家は、俺たちの家に比較的近くになる事が決まっているが、仕事の関係で近すぎると移動に面倒だという判断から、比較的近いという位置におさまった。
ちなみに仕事は、ミリーの父親が家畜関係で、ミリーの母親は縫製関係に決まっている。兄弟は上が18歳なのだが、読み書きがほとんどできない状況なので、午前中は学校に通って授業が終わった後で、父親の手伝いに行く事になった。
16歳の妹は、兄と同じ授業を受けてから、母親の手伝いに行く事になっている。
家族が多いので、両親の負担を減らすためにどうしても働きたいとお願いされたため、このような形に落ち着いた。
同じ年頃だと、昼間に働いて夜の授業を受けに来る人が多いのだが、そこはミリーがどうしても勉強が先だと言って昼間に子どもたちが受ける、夜に比べると質の高い授業を受ける事になったのだ。
ミリーからも援助するという話はあったが、これだけの環境に連れて来てくれたことに家族全員が感謝していて、これ以上負担をかけられないという事から、可能な限り自分たちで頑張りたいという事だった。
正直、ミリーの稼ぎだけでも家族の3つや4つを簡単に援助できるくらいあるんだけどね。
まぁ、同じ街にいるという事で安心しているミリーは、家族の思いを汲んで見守る事にしたようだ。
ディストピアには税金が基本的に無いので、今までの生活をするのであれば問題なく過ごす事ができるだろう。稼ぎもサラディルにいた時に比べれば、新人でも高い給金がもらえるはずなのだ。
15歳以下のミリーの兄弟は8人。この子たちは、孤児院の子たちと一緒に色々する事になっている。経験を積むという意味では、孤児院では勉強をしならが体験ができるので、ミリーが孤児院を運営してくれている人に頭を下げに行っている。
その孤児院も俺の資金で運営されているので、奥さんであるミリーのお願いを快く了承してくれた。
学校で学ぶより孤児院の方が質の良い勉強ができる事をミリーは知っていたので、兄弟を孤児院の子たちと一緒に勉強させてほしいとの事だった。
ミーシャの面倒をカエデとリンドにお願いして、3日程かけて各所にお願いしに行った結果がこんな感じだ。
もしこれが日本ならどれだけ時間がかかったか分からないが、ディストピアでも地位の高いミリーが各所に出向いた事で、反対に現場が混乱して3日も時間がかかってしまったくらいなのだ。
俺が声をかけていたのなら、グリエルに丸投げして色々が決まったら、お礼に行く形で済んだだろう。おそらく半日ほどで話がまとまったに違いない。グリエルの受け持っている仕事次第だけどね。
すべて済んだ後にミリーが、みんなにお礼を言っていたな。妻たちが「家族なんだから遠慮しないで」と泣いているミリーを優しく包んでいた。
さて、サラディルから出て約10日、王国の戦争はどうなっているかと言えば、比較的真紅の騎士団が有利な状況で推移しているようだ。
俺たちがサラディルから出た当日の夜に襲撃した兵士を更に奴隷にして、勢力を拡大していき戦況を覆すだけの戦力を手に入れている事が分かった。
後方は、中央から派遣されてくる近衛兵が、関与の疑いのある貴族を3人程捕らえられているのが分かる。
そもそも、何故近衛兵が戦争に出向いているのか……国王がこの戦争は、小規模だが国の根幹を揺るがす事だと判断して、自らが前線に赴く事で、王国内最強の近衛兵が前線に出向く形だ。
そして、国王が前線に出向くという事は、暗部も動くわけで……俺にほぼ壊滅させられた奴隷兵も、俺たちが解放した、攻略済みの神のダンジョンで再度育てたようで、先行して相手側の戦力を闇の戦力が無効化していた。
王都をあけても大丈夫なのかと思ったが、王都には近衛兵に劣るが他の貴族領の兵士騎士に比べれば、練度も高いので、すぐに王都を占領することなど不可能に近い。何より、王国のSSSランクの冒険者が国王側に付いているので、落とすのは困難だろう。
聖国のSSSランク冒険者ほど常識はずれな奴ではないだろうが、俺たちに近い戦力があるのであれば、多少強い程度の騎士兵士ではどうにもできないだろう。
俺が攻めた時にいなくて助かったな。いたら、色々と面倒な事になっていたかもしれないしな。
4日かけてディストピアに移動したが、大きなトラブルもなく到着している。
トラブルは無かったのだが、小さな問題はそれなりに沢山あった。
まず1つ目は、馬車の速度に興奮したミリーの弟妹が、大はしゃぎで馬車から身を乗り出してしまい、真ん中位の男の子が、馬車から落ちてしまったのだ。でも近くを飛んでいたハクが、地面に落ちる前に捕まえて馬車に戻してくれた。
そういえば、ハクだけは基本的に戦闘に参加してないんだよな。なんていうかね、俺のペット枠で俺の側にいるのが当たり前になっているので、俺や近くにいる人に危険が無いと基本動かないんだよな。
ミリーの弟妹は、馬車が早い事にはしゃいでたというわけではなく、これだけ早く移動している事がすごく楽しいみたいではしゃいでいたらしい。
2つ目は、俺たちの馬車を使った野営が快適過ぎて、これまたはしゃいでしまったのだ。小さい子は街の外に出ることなど基本的にありえないので、冒険譚に出てくる危険な野営を思い描いており、ビビっていたのにまるで違った光景を見て騒いだようなのだ。
3つ目は、毎回の食事だろう。ランチプレートで一人ひとりのおかずの量は決められていたが、その一つひとつが美味しかったため一口毎に大きな声を上げていたな。
後、俺たちはお米に慣れているからいいが、ミリーの家族は慣れていないのでパンを焼いて出している。野営でパンを焼くとか普通ならありえないのだが、シルキーがいるのだ不可能などは無かった。そのパンが美味しくて、先日と同様トドが打ち上げられるような光景が馬車の中で見ることができたが……
その次の食事から食べ過ぎるという事で、申し訳ないがパンの量も調整する事にした。御代わりは自由だが、渡す時に確認しながら渡しているので次の食事からは、トドが打ち上げられることはなくなった。
この3つが小さな問題のトップだっただろう。ただ移動していただけなのに、他にも小さな問題がそれなりの数あった事の方が問題だとは思うのだが。
色々あったが、何とかディストピアに到着した。
ミリーの家族が住む家は、俺たちの家に比較的近くになる事が決まっているが、仕事の関係で近すぎると移動に面倒だという判断から、比較的近いという位置におさまった。
ちなみに仕事は、ミリーの父親が家畜関係で、ミリーの母親は縫製関係に決まっている。兄弟は上が18歳なのだが、読み書きがほとんどできない状況なので、午前中は学校に通って授業が終わった後で、父親の手伝いに行く事になった。
16歳の妹は、兄と同じ授業を受けてから、母親の手伝いに行く事になっている。
家族が多いので、両親の負担を減らすためにどうしても働きたいとお願いされたため、このような形に落ち着いた。
同じ年頃だと、昼間に働いて夜の授業を受けに来る人が多いのだが、そこはミリーがどうしても勉強が先だと言って昼間に子どもたちが受ける、夜に比べると質の高い授業を受ける事になったのだ。
ミリーからも援助するという話はあったが、これだけの環境に連れて来てくれたことに家族全員が感謝していて、これ以上負担をかけられないという事から、可能な限り自分たちで頑張りたいという事だった。
正直、ミリーの稼ぎだけでも家族の3つや4つを簡単に援助できるくらいあるんだけどね。
まぁ、同じ街にいるという事で安心しているミリーは、家族の思いを汲んで見守る事にしたようだ。
ディストピアには税金が基本的に無いので、今までの生活をするのであれば問題なく過ごす事ができるだろう。稼ぎもサラディルにいた時に比べれば、新人でも高い給金がもらえるはずなのだ。
15歳以下のミリーの兄弟は8人。この子たちは、孤児院の子たちと一緒に色々する事になっている。経験を積むという意味では、孤児院では勉強をしならが体験ができるので、ミリーが孤児院を運営してくれている人に頭を下げに行っている。
その孤児院も俺の資金で運営されているので、奥さんであるミリーのお願いを快く了承してくれた。
学校で学ぶより孤児院の方が質の良い勉強ができる事をミリーは知っていたので、兄弟を孤児院の子たちと一緒に勉強させてほしいとの事だった。
ミーシャの面倒をカエデとリンドにお願いして、3日程かけて各所にお願いしに行った結果がこんな感じだ。
もしこれが日本ならどれだけ時間がかかったか分からないが、ディストピアでも地位の高いミリーが各所に出向いた事で、反対に現場が混乱して3日も時間がかかってしまったくらいなのだ。
俺が声をかけていたのなら、グリエルに丸投げして色々が決まったら、お礼に行く形で済んだだろう。おそらく半日ほどで話がまとまったに違いない。グリエルの受け持っている仕事次第だけどね。
すべて済んだ後にミリーが、みんなにお礼を言っていたな。妻たちが「家族なんだから遠慮しないで」と泣いているミリーを優しく包んでいた。
さて、サラディルから出て約10日、王国の戦争はどうなっているかと言えば、比較的真紅の騎士団が有利な状況で推移しているようだ。
俺たちがサラディルから出た当日の夜に襲撃した兵士を更に奴隷にして、勢力を拡大していき戦況を覆すだけの戦力を手に入れている事が分かった。
後方は、中央から派遣されてくる近衛兵が、関与の疑いのある貴族を3人程捕らえられているのが分かる。
そもそも、何故近衛兵が戦争に出向いているのか……国王がこの戦争は、小規模だが国の根幹を揺るがす事だと判断して、自らが前線に赴く事で、王国内最強の近衛兵が前線に出向く形だ。
そして、国王が前線に出向くという事は、暗部も動くわけで……俺にほぼ壊滅させられた奴隷兵も、俺たちが解放した、攻略済みの神のダンジョンで再度育てたようで、先行して相手側の戦力を闇の戦力が無効化していた。
王都をあけても大丈夫なのかと思ったが、王都には近衛兵に劣るが他の貴族領の兵士騎士に比べれば、練度も高いので、すぐに王都を占領することなど不可能に近い。何より、王国のSSSランクの冒険者が国王側に付いているので、落とすのは困難だろう。
聖国のSSSランク冒険者ほど常識はずれな奴ではないだろうが、俺たちに近い戦力があるのであれば、多少強い程度の騎士兵士ではどうにもできないだろう。
俺が攻めた時にいなくて助かったな。いたら、色々と面倒な事になっていたかもしれないしな。
0
お気に入りに追加
454
あなたにおすすめの小説
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。
みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ!
そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。
「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」
そう言って俺は彼女達と別れた。
しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる