ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,144 / 2,518

第1144話 遊びにも趣味にもならない?

しおりを挟む
 5日目の今日は、晴天だった!

 2日目、3日目と同じく午前中は水中バトルで汗をかいて、ガッツリと昼食をとっている。

「さて! 今日はみんなと釣りをしようと思う!」

 みんなも釣りを知っているが、実際に行った事があるのは少数なのである。以前、魚人を見つけた時にも釣りをしていたが、妻たちは一部しか一緒にやっていない。後は、ダンジョン農園の海エリアで行っている養殖では、釣り上げているわけでは無いので、やった事の無い人の方が多いのだ。

 そもそも、この世界で釣りをした事ある人間なんて極僅かである。一般市民は魔物の出る場所で釣りができるわけもなく、街に入ってくるような川にはあまり魚はいない。

 冒険者の中で、食事の糧を得るために川魚を釣ったり素手で捕まえたりして焼く事はあるようだが、それも多くない。理由は分かりやすく、臭いが漂うため魔物を引き寄せる可能性が高いからだ。

 そのエリアの魔物が簡単に一蹴できるようなパーティー位しか魚をとらないだろう。まぁそんなパーティーであれば、魔物を狩ってドロップした肉を焼いている事の方が圧倒的に多いので、肉に飽きた人がとるくらいだろう。

「釣りですか? 食料は十分に準備しているのに、現地調達をするんですか?」

「みんなには釣りって調達の手段って認識なのか? 俺も初心者で上手くはないけど、釣りっていうのは食料調達以外にも、遊び……ちょっと違うな、趣味でする人もいるんだよ。どれだけ大きな魚が釣れるかとか、競い合ったりするんだよ」

 よくわかっていないようだが、遊びとして釣りをするという事は理解してもらえたようだ。後は、DVDを準備して、1時間くらいの釣りレクチャーの動画があったので、それをみんなは見ている。

 思い付きの行動だったので釣り竿が準備できていなかったので、俺はみんなが動画を見ている間に釣竿を準備した。高めの海釣り用のロッドとリール、ルアーを準備して、ロッドとルアーはアダマンコーティングを施している。

 魔物では無い魚が食らいついたら、ルアーなどは軽く噛み砕かれてしまうだろう。なので、念のためのコーティングである。ロッドは、単純にしなって折れてもコーティングで繋がっていれば大丈夫じゃね? という発想からしている。

 リールの糸はよくわからなかったので、ちょっと太めと言われている物をつけている。太さの単位もあるようだが、よくわからん! 後はルアーとリールの糸をつなぐのは、アダマンタイト製の繊維をより合わせて糸として使う。

 これも魔物対策である。ルアーの糸だけでは噛み切られてしまう可能性が高いので、金属製の物を用意した形だ。

 全員分の準備ができた所で動画も終わったようだ。何となく理解したのか、俺の準備した釣りセットを見た事で、少しヤル気に見えた。

 釣りをするのには、甲板は高すぎるのだ。なので、船の側面や後方のまだ利用されていない空間を使って、せり出す通路みたいなのを作って、そこからみんなで投げる事にした。船の外周の8割程をせり出す通路にしたため、みんながいろんな所から思い思いに釣り糸を垂らしている。

 競争でもあるが、みんなで楽しむために船に乗っているので、小型の魔導無線をつけて会話をしながら釣りをしている。中には、ポータブルゲームをしながら食らいつくのを待っている妻もいた。

 ただ、1時間しても誰一人食いつきが無かったのだ。あまり使いたくなかったが、マップ先生を見て魚や魔物がいないのか確認してみた。

「うわ……船の周りだけ、キレイに何もいない。確か魚人を発見した時の釣りでは、ある程度釣れていたから、船の所為では無いと思うんだけど、何でだ?」

『あの時と違う事ですか、シエルがいるいないですかね?』

 そう言ったのはキリエだ。

「言われてみれば、あの時はシエルがいなかったな。聖獣だし強いわけで、海の中に入ってれば虫よけみたいに寄ってこなくなるって事か? 魚ってそんなに頭いいのかな?」

 とりあえず、海の中で泳いでいるシエルとシールドに船に戻ってもらいしばらくすると。

「おぉ、船の近くに魚が戻ってきてる! これならルアーに気付けば、食いついてくれるんじゃないか?」

 そう言っている間に、シャルロットの竿に魚がかかったみたいだ。結構な強さのひきなのだが、それは地球に限っての話で、高レベルの人間からしたら戯れる程度の物でしかなかった。

 頑丈な物を使っているせいもあり、力で強引に釣り上げている。糸が切れる事とかを考えながら、魚とバトルをするのでは? と思ったが、準備した道具で糸以外壊れる要素が無く、その糸もかなりの太さのため簡単に釣れてしまったのだ。

 そこからは入れ食い状態だった。魔物も何匹か釣れたが、ルアーにかかったのではなく、ルアーにかかった魚を食べた時に、運悪く針にかかってしまったという形で連れている。

 釣り上げた魚の内3割位は、魔物に食いつかれて体の半分くらいを失っている。

 2時間くらい魚を釣りまくってから、止める事にした。

 妻たちは……あまり面白くは無かったようだ。力任せに釣りあげれるんだったら、楽しむ要素がまるでなかったよな。ちょっと不満顔だったので、今日はみんなで夜更かしをして楽しむ事にした。

 食事はみんなで、船の一番高い所でバーベキューをいつもしている場所で作る事にした。

 マグロが釣れたので、ブラウニーに解体ショーみたいな事をしてもらう事にした。他の魚でもお寿司に使えそうなものも、みんなで捌いている。

 魚の寄生虫が怖かったので、魔法で瞬間冷凍してからしばらく置いて、魔法で解凍している。うん、魔法とは便利だな! ブラウニーが寄生虫が死んでいる事を確認してくれたので、問題なく食べれた。

 個人的にはお寿司も美味しかったのだが、兜焼で希少部位の頬肉が一番美味しかったと思う。カマ焼きも美味しかったのだが、ちょっと脂っぽかったのがマイナスポイントかな。

 他の魚のお寿司も焼き物も美味しくて、ついつい食べ過ぎてしまった。

 余った魚は、魔法の腕輪にしまって、夜食に食べる事にした。今日はここからが本番! プロジェクターを準備して、そこで映画を見たり、ゲームをして夜中の3時頃まで楽しんだ。

 その後にお風呂に入ったのだが、リリーとマリア、クシュリナが入浴中に寝落ちをしそうになって、危なかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

処理中です...