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第1126話 不穏な気配
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「え~そんなことするの」
「Sランクっぽい魔物は相当訓練されているでござるな」
「仲間の魔物でも躊躇なく切り捨てるんだな。そうすれば次を送り込めるからな。そう考えると、この条件でかなり戦闘経験がありそうだよな。自信があるって事は……それだと、9階10階の本気を使わないといけなくなるか」
「そうでござるな。この状態でござれば、すぐに7階も突破されてしまうでござるな」
近道をわざわざ作ってその発言はないだろうと思うが、7階も直線距離だけで言えば7キロメートルも移動をすれば次の階に移動できるのだ。しかもその階段の位置を特定されているようで、罠は雑魚に漢解除させて強引に突破している。
Sランクだろう魔物は、道中に襲ってくる俺の魔物を処理している感じだ。しっかりと役割分担をしているみたいだな。
確かに賢いやり方とは思うけど……
「よし! とりあえず9階の準備だけはしておこうか。もともとはここまで来る事を前提に作っていたんだからな。手加減はなしだ。バッハ、出番が回ってくるかもしれないから、ワイバーンの家族を連れて9階に向かってくれ」
部屋の隅で餌付けされていたバッハに向かう様にお願いする。そうすると、俺の方に振り向き、翼で敬礼をしている様なポーズをとった。あれは誰かが教えたのか? 綾乃の仕込みか?
8階は、オーソドックスな洞窟型のダンジョンだが、3~6階で使った即死トラップが多数と、魔物の鬼人とシャドウウルフやシルバーウルフのコンビが50組配置されている。
この魔物は、昔に妻たちを訓練するために作ったダンジョンから連れてきている。あのダンジョンが使われなくなって、中の魔物たちは暇な時間をずっと訓練にあてていたようで、Lvが異様に高く最大で329、最低で245という化け物集団になっていたのだ。
すべての原因は、あいつら以外に魔物が現れないはずだったのだが、俺が何かの操作ミスで魔物が召喚されるようになっていたのだ。しかも、ダンジョンの中の魔物のLvに合わせた魔物が、召喚させるというミラクルが重なりそれだけ強くなっていた。
このダンジョンバトルおかげで各ダンジョンの事を精査した時に分かったのだ。他のダンジョンマスターなら魔物が召喚されるためDPが減るから気付いたのだろうが、俺の場合は収入の方が圧倒的に多くて気付けなかったのだ。
ダンジョンを作成する時に、階層毎に召喚できる魔物を付与する場合は、召喚されてもDPはかからないのだが、その分付与する時に魔物に応じて10~1000倍のDPが必要になったりするのだ。そして、あのダンジョンはそういう設定ではなくて、自分で召喚した魔物を配置していたからな。
「あれがただのSランクの魔物であれば、ここで数が減らせるはずだけど、もし実力を隠しているのであれば……バッハの所にたどり着くよな」
「何を心配しているでござるか?」
「いやさ、見えない相手の4匹の魔物が気になるんだよね。小さいのか透明なのか全く分かってないから、どんな能力があるか分からないしな。もしさ、ハエの王様ベルゼブブがいたとして、本当のハエサイズでSランクの強さとかもってたら、手に負えなくね?」
「それは無いでござろう。小さくてSランクの魔物が4匹もいるわけが無いでござる。1匹をカムフラージュするために、後3匹適当な魔物を召喚してある意味も無いでござるからな。その3匹を使い捨ての魔物にした方が、多少効率が上がるでござる」
言われてみればそうか。でも何で突入した魔物の数はバレるのに、4匹も目に見えない魔物を送り出してるんだ?
モヤモヤしていたが、この日は特にこれ以上特筆する事は無く眠りについた。
ダンジョンバトル5日目。
「おはようでござる。相手の魔物が8階に到着したでござるよ。Sランクは7階で誘導に当たっている感じでござるけどね」
罠が無くなったとはいえ、俺達の魔物が襲ってくるわけだから護衛と言うか、進路上の安全確保かな?
「8階の敵の魔物はどうなってる?」
「階段を降りた所で止まっているでござる。見えない魔物は8階にいるでござるな。魔物の多い所に一緒にいる感じでござる」
相変わらず意味不明だな。
「スケルトンは攻めれてるのか?」
「それなら問題ないでござるね。もうすぐ7階に突入する所でござる」
「数字だけ見ると負けてるんだよな。しかも、相手のダンジョンの7~10階って1階より更に広いもんな。縦横が倍だから面積で言えば4倍になってるんだよな。移動だけでもすこぶる時間がかかるな」
「マップを改めてみたでござるが、どう考えても時間がかかる構造でござる。しかもトラップを併用しているようで、スイッチを踏むと迷宮の構造が変わってしまうでござる」
「シュウのダンジョンにはそんなトラップないよね?」
綾乃に聞かれたので、確認してみるがそんなトラップはやはりなかった。
「ないな。とはいっても、9階は抜けれても10階は絶対に抜けられないから負けはないはず」
「自信を持つのは悪い事じゃないと思うけど、さすがに今回は相手を甘く見過ぎたんじゃないの?」
「確かに、まさか10階って制限のあるダンジョンバトルで、魔物の分布を広げる広大な階層は普通作らないよな。1本道の途中に魔物を配置するとはいえ、相手に休ませる時間を与えるのは得策じゃないもんな」
「恐らくでござるが、自分の方が早く攻略できる自信があるでござるから、後半に特に時間のかかる迷路のダンジョンを配置したのでござろう。9階のマップを見る限り道が広いでござるから、おそらくマグマエリアの様になっているでござるよ」
とにかく時間稼ぎか……あ~近道を用意してなければこんな事にはならなかったのにな。自分で自分の首を絞めている状態だな。
俺らの魔物が7階に突入したと同時位に、
「どうやら、相手側の魔物が全部8階に移動し終わったでござる」
「ん? Sランクの魔物も移動したのか? 魔物が死んだら補給に、俺の魔物がいる所を通ってこないといけないのに……どういうことだ?」
俺たち3人は相手のよくわからない行動に首をひねっていた。
相手はそんなのはお構いなしに進んでいる。どうやって正解を導き出しているか分からないが、8割位の確率で正解の道を選び、即死トラップは先行させている魔物に玉砕覚悟で発見させて、攻略法を見つけて進んでいかれている。
「あぁ……私の人造ゴーレム……」
7階に突入した人造ゴーレムの様子を見ていた綾乃が、そんな声を上げる。サイズ的に、ケンタウロスタイプとアラクネタイプの人造ゴーレムには、7階は通路が少し狭くて移動しにくそうなのだ。がんばれ……
「あれ? 相手の魔物の数が増えている気がするでござる」
バザールが首をひねりながら数を確認している。
「Sランクっぽい魔物は相当訓練されているでござるな」
「仲間の魔物でも躊躇なく切り捨てるんだな。そうすれば次を送り込めるからな。そう考えると、この条件でかなり戦闘経験がありそうだよな。自信があるって事は……それだと、9階10階の本気を使わないといけなくなるか」
「そうでござるな。この状態でござれば、すぐに7階も突破されてしまうでござるな」
近道をわざわざ作ってその発言はないだろうと思うが、7階も直線距離だけで言えば7キロメートルも移動をすれば次の階に移動できるのだ。しかもその階段の位置を特定されているようで、罠は雑魚に漢解除させて強引に突破している。
Sランクだろう魔物は、道中に襲ってくる俺の魔物を処理している感じだ。しっかりと役割分担をしているみたいだな。
確かに賢いやり方とは思うけど……
「よし! とりあえず9階の準備だけはしておこうか。もともとはここまで来る事を前提に作っていたんだからな。手加減はなしだ。バッハ、出番が回ってくるかもしれないから、ワイバーンの家族を連れて9階に向かってくれ」
部屋の隅で餌付けされていたバッハに向かう様にお願いする。そうすると、俺の方に振り向き、翼で敬礼をしている様なポーズをとった。あれは誰かが教えたのか? 綾乃の仕込みか?
8階は、オーソドックスな洞窟型のダンジョンだが、3~6階で使った即死トラップが多数と、魔物の鬼人とシャドウウルフやシルバーウルフのコンビが50組配置されている。
この魔物は、昔に妻たちを訓練するために作ったダンジョンから連れてきている。あのダンジョンが使われなくなって、中の魔物たちは暇な時間をずっと訓練にあてていたようで、Lvが異様に高く最大で329、最低で245という化け物集団になっていたのだ。
すべての原因は、あいつら以外に魔物が現れないはずだったのだが、俺が何かの操作ミスで魔物が召喚されるようになっていたのだ。しかも、ダンジョンの中の魔物のLvに合わせた魔物が、召喚させるというミラクルが重なりそれだけ強くなっていた。
このダンジョンバトルおかげで各ダンジョンの事を精査した時に分かったのだ。他のダンジョンマスターなら魔物が召喚されるためDPが減るから気付いたのだろうが、俺の場合は収入の方が圧倒的に多くて気付けなかったのだ。
ダンジョンを作成する時に、階層毎に召喚できる魔物を付与する場合は、召喚されてもDPはかからないのだが、その分付与する時に魔物に応じて10~1000倍のDPが必要になったりするのだ。そして、あのダンジョンはそういう設定ではなくて、自分で召喚した魔物を配置していたからな。
「あれがただのSランクの魔物であれば、ここで数が減らせるはずだけど、もし実力を隠しているのであれば……バッハの所にたどり着くよな」
「何を心配しているでござるか?」
「いやさ、見えない相手の4匹の魔物が気になるんだよね。小さいのか透明なのか全く分かってないから、どんな能力があるか分からないしな。もしさ、ハエの王様ベルゼブブがいたとして、本当のハエサイズでSランクの強さとかもってたら、手に負えなくね?」
「それは無いでござろう。小さくてSランクの魔物が4匹もいるわけが無いでござる。1匹をカムフラージュするために、後3匹適当な魔物を召喚してある意味も無いでござるからな。その3匹を使い捨ての魔物にした方が、多少効率が上がるでござる」
言われてみればそうか。でも何で突入した魔物の数はバレるのに、4匹も目に見えない魔物を送り出してるんだ?
モヤモヤしていたが、この日は特にこれ以上特筆する事は無く眠りについた。
ダンジョンバトル5日目。
「おはようでござる。相手の魔物が8階に到着したでござるよ。Sランクは7階で誘導に当たっている感じでござるけどね」
罠が無くなったとはいえ、俺達の魔物が襲ってくるわけだから護衛と言うか、進路上の安全確保かな?
「8階の敵の魔物はどうなってる?」
「階段を降りた所で止まっているでござる。見えない魔物は8階にいるでござるな。魔物の多い所に一緒にいる感じでござる」
相変わらず意味不明だな。
「スケルトンは攻めれてるのか?」
「それなら問題ないでござるね。もうすぐ7階に突入する所でござる」
「数字だけ見ると負けてるんだよな。しかも、相手のダンジョンの7~10階って1階より更に広いもんな。縦横が倍だから面積で言えば4倍になってるんだよな。移動だけでもすこぶる時間がかかるな」
「マップを改めてみたでござるが、どう考えても時間がかかる構造でござる。しかもトラップを併用しているようで、スイッチを踏むと迷宮の構造が変わってしまうでござる」
「シュウのダンジョンにはそんなトラップないよね?」
綾乃に聞かれたので、確認してみるがそんなトラップはやはりなかった。
「ないな。とはいっても、9階は抜けれても10階は絶対に抜けられないから負けはないはず」
「自信を持つのは悪い事じゃないと思うけど、さすがに今回は相手を甘く見過ぎたんじゃないの?」
「確かに、まさか10階って制限のあるダンジョンバトルで、魔物の分布を広げる広大な階層は普通作らないよな。1本道の途中に魔物を配置するとはいえ、相手に休ませる時間を与えるのは得策じゃないもんな」
「恐らくでござるが、自分の方が早く攻略できる自信があるでござるから、後半に特に時間のかかる迷路のダンジョンを配置したのでござろう。9階のマップを見る限り道が広いでござるから、おそらくマグマエリアの様になっているでござるよ」
とにかく時間稼ぎか……あ~近道を用意してなければこんな事にはならなかったのにな。自分で自分の首を絞めている状態だな。
俺らの魔物が7階に突入したと同時位に、
「どうやら、相手側の魔物が全部8階に移動し終わったでござる」
「ん? Sランクの魔物も移動したのか? 魔物が死んだら補給に、俺の魔物がいる所を通ってこないといけないのに……どういうことだ?」
俺たち3人は相手のよくわからない行動に首をひねっていた。
相手はそんなのはお構いなしに進んでいる。どうやって正解を導き出しているか分からないが、8割位の確率で正解の道を選び、即死トラップは先行させている魔物に玉砕覚悟で発見させて、攻略法を見つけて進んでいかれている。
「あぁ……私の人造ゴーレム……」
7階に突入した人造ゴーレムの様子を見ていた綾乃が、そんな声を上げる。サイズ的に、ケンタウロスタイプとアラクネタイプの人造ゴーレムには、7階は通路が少し狭くて移動しにくそうなのだ。がんばれ……
「あれ? 相手の魔物の数が増えている気がするでござる」
バザールが首をひねりながら数を確認している。
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