ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,122 / 2,518

第1122話 久々の出番

しおりを挟む
 骨ゲーターの名前を聞いて、微妙な声を出した綾乃を問い詰めてみると、

 暇をしている時に湖にある浜辺でボーっとしてたら、同じく浜辺で打ち上げられた白骨化したワニの死体を発見して、それが骨ゲーターと知って友好を深めたそうだ。

 高ランクの魔物なので、こっちの言う事はしっかりと理解してくれるので、コミュニケーションが成り立つのだ。そこで綾乃は、浜辺を護っているのだと知って、いろんな訓練をさせてみたらしい。

 その中の1つが、クリエイトアンデッドを使って、生み出されたスケルトンを背中に乗せて、スケルトンライダー! と叫んで、誉め倒して、カッコいい等とにかく、骨ゲーターとスケルトンをよいしょしまくって乗せたそうだ。

 初めは、動きにくいとか合わないとか、文句を言われていたようだが、ある時を境にスケルトンライダーの動きが良くなったとの事。理由は、連系スキルを手に入れて、相手の動きに合わせられるようになったとか。

 そして、普通骨ゲーターに乗れば、ワニのような体を左右に振って歩くため、視界がふられ酔ってしまうが、スケルトンには状態異常が基本的に効かないため、問題なく対応できてしまった事が良かったのだろう。

 今では、2体1組で行動するのが普通になっているとか。

「なんかスケルトンの数が合わないなって思ってたけど、そういう理由だったのか……まぁ、骨ゲーターを放置していた俺が悪いよな。で、あいつらは戦力にはなるって事だよな?」

「もちろんよ。水陸両用の強い戦力よ!」

「??」

「決まってるじゃない。骨ゲーターは泳ぐことができるのよ。それはスケルトンを乗せても変わらないわ。しかも! 泳いでいる時は、噛み付きしかできなかったけど、今は背中に乗せたスケルトンが攻撃してくれるから、水中での戦力は激増してるのよ!」

「今回は陸で使うけど、普通に考えればスケルトンが遠距離で攻撃できるなら、陸での攻撃力も問題ないか? 骨ゲーターに鞍や手綱みたいなのをつけてるか?」

「つけてないわね。だって、スケルトンを乗せるのに手綱はともかく、鞍って意味なくない?」

 綾乃に言われた事を考える。確かに鞍って人間が乗りやすくするためで、スケルトンには必要ないのか?

「じゃぁ綾乃、とりあえずそいつら呼んでもらっていい?」

「了解~呼んでくるよ。ウォーホース借りてくね」

 そう言って綾乃は、ダンジョン農園を出て行った。

 少し手持ち無沙汰になったので、監視はバザールに押し付けて娘たちのいる部屋へ移動する。

 娘たちと一緒に遊んでいる時に、ふっと思ったことを口にしていた。

「そういえば……娘たちって後追いする?」

「何言ってるのよ。この子たちが後追いするわけないでしょ。常に私たちの誰かか、シルキーたちが近くにいて、あやす天才の猫とケットシーがいるのよ。後追いして母親を探さなくても、安心してくつろげる場所があるんだからね」

 カエデにそう突っ込まれた。そういえば、娘たちの近くには何やかんやいろんな人がいるんだよな。現代の日本の核家族化した家とは違い、母親の代わりになる人が常に近くにいるから安心してるって事か?

 でも、しっかりと目が見えてないはずなのに、たくさんの相手がいて識別できる物なのかな?

 元気に俺に突進してくるミーシャをかまいながら、寝ているブルムの様子を見てみる。お付きのケットシーを抱き枕に気持ちよさそうに寝ている。うむ。静かに寝ている姿も、元気に突撃してくる姿も可愛いな!

 後追いして、母親を困らせる事が無いなら、いい事なんだろうな。特に俺の妻たちは、ネルとリリー以外身内が近くにいないからな。それに近くにいても、自分たちは家族のためや元々奴隷だったとか、そういった感じだから……あまり話のネタに出来ないもんな。

 カエデの両親は、今も地元で元気にしているとの事だ。前に聞いた時、どこかの島国みたいな事言ってたけど、この大陸以外に大きな島ってあるのか?

 リンドの両親はもういないそうだ。昔の戦争の時に兵士として戦って亡くなったとか。

 ミリーの両親は、今も生きているのだが、両親の反対を押し切って街を飛び出したので、顔が合わせ辛いと言っていた。子供が生まれた時に両親の話をしていたので、検索したら普通に王国の街で生活していた。ミリーは以前に自分で検索してそれを知っていたとか、いつか仲直りさせてあげたいな。

「ミリー」

「なに? シュウ君」

「ミリーの両親に結婚した事も、子どもができた事も伝えてないけどいいのか?」

「よくないけど、今更どんな顔をしていいのか分からなから……仕送りは続けているけどね。上にはいないけど、下には5人も兄弟がいるからね。私がいなくても寂しくはないんじゃないかな?」

「そんな事は無いだろ。親はいつまで経っても親だって言うしな。このダンジョンバトルが終わったら会いに行こう。ご両親と家族がいいっていえば、ディストピアかゴーストタウンにでも移住してもらわないか?せっかく両親が生きているんだから、近くにいてほしいと思うんだよね」

「考えておく……」

 暗くはないけど、ちょっと悩んでいる感じだな。これ以上は俺が言っても効果が無いのは分かっているので、リンドかカエデに頼もう。2人に視線を合わせると、任せておいてと返事が帰って来た。うんうん、良く出来た妻たちだ。

 俺は、ミーシャと全力で遊んでいると、はしゃぎ疲れてミーシャが寝てしまった。ベッドに移動させて後の事をケットシーに任せる事にした。

 今は3人共眠っており、猫好きの俺の血を引いているのか、全員がケットシーを抱き枕にして寝ている。そういえばこの前、ミーシャが寝ながら肉球触ってたとかで、ミリーが動画をとってたっけな。

 そんな事をしている間に、綾乃が骨ゲーターとスケルトンを連れて戻ってきた。

「なぁ綾乃……俺の目はおかしくないよな? 骨ゲーターに乗ってるスケルトンの姿が、俺の知っているスケルトンと姿が違う気がするんだけど、気のせいか?」

「私も、さっき会って姿が変わってるなって思いながら連れてきたから、気のせいじゃないと思う」

「おぉ~珍しいでござるな! スケルトンはこういう形にも進化するのでござるか!」

 ちょっと混乱している俺と綾乃を後目に、バザールは面白そうにスケルトンの様子を観察していた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

処理中です...