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第1119話 トラップ対決
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ダンジョンバトル3日目。
俺たちが寝ている間に得た情報の報告を受けている。
一番初めに先行させていた魔物達が死んだ理由が判明したのだ。ほぼ即死だったので何事かと思ったら、相手のダンジョンの2階は、トラップエリアみたいな物だった。
トラップエリアみたいな物と言うのも、ダンジョンの機能で言うと厳密にはトラップではなく、地形効果と言う事になるため、このようなあいまいな表現をしている。
で、相手が2階に用意していたのは、火山地帯みたいな物である。でも、マグマに落ちて即死する程あほな魔物では無かったはずなのだが、何で即死したのかバザールが予想を話してくれた。
「恐らくでござるが、火山地帯の有毒ガスによって、魔物が即死したのではないかと思うでござる。スケルトンに戦闘をさせてみたでござるが、配置されている魔物は、マグマの中からと言うだけで厄介でござったが、全く強くなかったでござる」
と、こんな感じだった。あっ、何でバザールが報告しているかと言うと、俺と綾乃が寝ている間もダンジョンバトルの様子を見て指示を出していたからである。
「魔物が強くなかったという事は、それ以外に原因があったと思うでござる。なので、それを検証するためにランクの低い魔物を召喚して、スケルトンの前に突入させてみようと思い派遣しているでござる!」
先行させた人型と獣型の魔物を使い潰すのは得策では無いと思ったのか、新しく召喚した魔物を何匹か派遣したようだった。派遣する前に、有毒ガスへの抵抗の強さも簡単に調べているようなので、参考までにまとめられたレポートを見ている。
「今まであまり気にしてなかったけど、いわゆる生物型の魔物って、毒に弱いんだな。魔物と言っても、普通の生物と大して違わないって事か」
「確かにこれは意外ね。普通の毒って表現していいのか分からないけど、魔物が出す毒には結構高い耐性があるのに、自然界に存在する毒には大した耐性が無いって、どういうことなのかしら?」
「ん~そもそも、この世界に地球でもあるような有毒ガスの発生する場所って、ほとんどないんじゃないか? まぁ地球でも、そんなに多かったわけじゃないだろうけどね」
3人で悩んでみるが、絶対的に知識の量が乏しいので判断できなかった。でも、召喚した魔物のおかげで、相手のダンジョンの2階について情報を入手する事ができた。
予想通り有毒なガス……火山ガスの所為で魔物が死んだようだ。そして理由は分からないが、いくつかの部屋にその仕掛けがあったようだ。それに何故だか分からないが、廊下までは火山ガスが出てこないようだったのだ。
そういえば、バザールのアンデッドに対する指揮能力は、無線越しでも有効なのでわざわざ前線に出る必要がなくなった。
「それにしても、たまたま作ったダンジョンの1階2階の構想が似てるって面白いね。1階は、とにかく時間をかけさせる迷路のような物で、2階がトラップエリア。その内容に差はあるけど、考える事が近いのってダンジョンマスターの特性なのかな?」
綾乃が笑いながらそんな事を言っていた。
「それはたまたまでござるよ。1階にトラップエリアを作らないのは、ゾンビアタックでもされれば罠の効果が無くなるでござるから、きっと2階以降に仕掛けただけでござる。死んだ魔物を補充するのも大変でござるからな」
「まぁどっちでもいいんじゃね? 2階は1階みたいに広くないんだし、そのまま進んでも問題ないだろ?」
有毒ガスも火山エリアによる高温もアンデッドのスケルトンには何障害にもならなかったので、サクサク進んでいる。そうして3階に到着……
「何も見えん!」
「何も見えないね」
「何も見えないでござる」
3階に入ると真っ暗だったのだ。暗視カメラでは無いので、光が無いとカメラは何も映し出してくれなかった。何も見えなかったら、神たちがブーイングするんじゃないか? そんな事を考えていると、
『私たちが見ているのは、特別なカメラだから3階も明るく見えるわよ!』
と、なんかドヤ顔で言われた気がした。
まぁスケルトンには魔法の使える奴もいるので、バザールの指示に従って進んでいくことになった。そして俺は、いつかの黒い悪魔の階層を思い出したので、防衛の方に力を入れる事にした。
力を入れると言っても、自分のダンジョンをダンジョンの機能で何故か見る事ができないので、新しく用意したスケルトンにカメラを持たせて出動させる事にしたのだ。1階にいる間は使う必要は無いと思ったので、まだまだ時間がかかると思っていた。
「って、壁型ゴーレムの存在がバレたか、しかも最短距離で次の階層に行くコースまで発見された」
予想外の事が起きたのだ。昨日の様子からもうちょい時間がかかると思ったのにな。まぁ、スケルトンの出番が早めに来たと思えばいいか。相手のSランクと思われる魔物が何か気になるな。
「ところでシュウ、何で2階への階段が1階の入り口の真裏にあるの?」
「え? 決まってるじゃん。こんなに近くにあるのに探すのに時間がかかったらイライラするべ? その様子を見れないのは残念だけど、想像するのは自由じゃん? だからからかうためにやったんだよ」
綾乃にはこの理由が分かってもらえないようだ。まぁ、分かってほしいわけでもないので、気にする必要も無いのだが。
「さて、俺たちの作ったトラップエリアは、相手の魔物をどれだけ減らせるかな?」
「そんな事言ってるけど、ゾンビアタックができる距離なのに何呑気な事言ってるのよ」
「だって、本命は9階10階だから、ここら辺の階は楽しまないと!」
1~8階は、試験的な意味で作ったダンジョンなので、情報収集ができればいいと思っている。冒険者を呼び込むダンジョンとしては、凶悪な物が多いのでこういった事が無ければ、作る事すら考えなかった代物なのだ。
1つ目はダンジョンの機能では作れない程凶悪な落とし穴。部屋の7割が落とし穴になっている、ゴーレムによる落とし穴部屋。落とし穴の先には、相手と同じマグマを準備していた。
マグマにした理由は、硫酸とかだと溶けないやつもいたり、ガスが溜まったりしそうで何となく嫌だったので、特殊な能力でもない限り死ぬマグマを選んでいる。
まぁ、相手はそのガスすら利用したトラップを仕掛けていたけどな。うちって、ゴーレムやスケルトン以外で、特殊な地形に対応できる魔物ってそんなに多くないんだよね。だからそれ自体トラップに使うって発想が産まれなかったんだと思う。
そして2つ目は、ダンジョンの機能を使った通れる人数の制限のある、橋の先で1匹ずつのバトルをしなければいけない、デスマッチ式のバトルエリアだ。場外は、古典的な針地獄なので強い魔物であれば即死はしない。でも落ちたら登れないくらいには深い穴である。
しかもきちんと、橋の入口には日本語で【1匹ずつ進み、部屋の中央で戦え!】と言った内容の立て看板がある。
他にもいくつかトラップを用意しているので楽しみだ。
俺たちが寝ている間に得た情報の報告を受けている。
一番初めに先行させていた魔物達が死んだ理由が判明したのだ。ほぼ即死だったので何事かと思ったら、相手のダンジョンの2階は、トラップエリアみたいな物だった。
トラップエリアみたいな物と言うのも、ダンジョンの機能で言うと厳密にはトラップではなく、地形効果と言う事になるため、このようなあいまいな表現をしている。
で、相手が2階に用意していたのは、火山地帯みたいな物である。でも、マグマに落ちて即死する程あほな魔物では無かったはずなのだが、何で即死したのかバザールが予想を話してくれた。
「恐らくでござるが、火山地帯の有毒ガスによって、魔物が即死したのではないかと思うでござる。スケルトンに戦闘をさせてみたでござるが、配置されている魔物は、マグマの中からと言うだけで厄介でござったが、全く強くなかったでござる」
と、こんな感じだった。あっ、何でバザールが報告しているかと言うと、俺と綾乃が寝ている間もダンジョンバトルの様子を見て指示を出していたからである。
「魔物が強くなかったという事は、それ以外に原因があったと思うでござる。なので、それを検証するためにランクの低い魔物を召喚して、スケルトンの前に突入させてみようと思い派遣しているでござる!」
先行させた人型と獣型の魔物を使い潰すのは得策では無いと思ったのか、新しく召喚した魔物を何匹か派遣したようだった。派遣する前に、有毒ガスへの抵抗の強さも簡単に調べているようなので、参考までにまとめられたレポートを見ている。
「今まであまり気にしてなかったけど、いわゆる生物型の魔物って、毒に弱いんだな。魔物と言っても、普通の生物と大して違わないって事か」
「確かにこれは意外ね。普通の毒って表現していいのか分からないけど、魔物が出す毒には結構高い耐性があるのに、自然界に存在する毒には大した耐性が無いって、どういうことなのかしら?」
「ん~そもそも、この世界に地球でもあるような有毒ガスの発生する場所って、ほとんどないんじゃないか? まぁ地球でも、そんなに多かったわけじゃないだろうけどね」
3人で悩んでみるが、絶対的に知識の量が乏しいので判断できなかった。でも、召喚した魔物のおかげで、相手のダンジョンの2階について情報を入手する事ができた。
予想通り有毒なガス……火山ガスの所為で魔物が死んだようだ。そして理由は分からないが、いくつかの部屋にその仕掛けがあったようだ。それに何故だか分からないが、廊下までは火山ガスが出てこないようだったのだ。
そういえば、バザールのアンデッドに対する指揮能力は、無線越しでも有効なのでわざわざ前線に出る必要がなくなった。
「それにしても、たまたま作ったダンジョンの1階2階の構想が似てるって面白いね。1階は、とにかく時間をかけさせる迷路のような物で、2階がトラップエリア。その内容に差はあるけど、考える事が近いのってダンジョンマスターの特性なのかな?」
綾乃が笑いながらそんな事を言っていた。
「それはたまたまでござるよ。1階にトラップエリアを作らないのは、ゾンビアタックでもされれば罠の効果が無くなるでござるから、きっと2階以降に仕掛けただけでござる。死んだ魔物を補充するのも大変でござるからな」
「まぁどっちでもいいんじゃね? 2階は1階みたいに広くないんだし、そのまま進んでも問題ないだろ?」
有毒ガスも火山エリアによる高温もアンデッドのスケルトンには何障害にもならなかったので、サクサク進んでいる。そうして3階に到着……
「何も見えん!」
「何も見えないね」
「何も見えないでござる」
3階に入ると真っ暗だったのだ。暗視カメラでは無いので、光が無いとカメラは何も映し出してくれなかった。何も見えなかったら、神たちがブーイングするんじゃないか? そんな事を考えていると、
『私たちが見ているのは、特別なカメラだから3階も明るく見えるわよ!』
と、なんかドヤ顔で言われた気がした。
まぁスケルトンには魔法の使える奴もいるので、バザールの指示に従って進んでいくことになった。そして俺は、いつかの黒い悪魔の階層を思い出したので、防衛の方に力を入れる事にした。
力を入れると言っても、自分のダンジョンをダンジョンの機能で何故か見る事ができないので、新しく用意したスケルトンにカメラを持たせて出動させる事にしたのだ。1階にいる間は使う必要は無いと思ったので、まだまだ時間がかかると思っていた。
「って、壁型ゴーレムの存在がバレたか、しかも最短距離で次の階層に行くコースまで発見された」
予想外の事が起きたのだ。昨日の様子からもうちょい時間がかかると思ったのにな。まぁ、スケルトンの出番が早めに来たと思えばいいか。相手のSランクと思われる魔物が何か気になるな。
「ところでシュウ、何で2階への階段が1階の入り口の真裏にあるの?」
「え? 決まってるじゃん。こんなに近くにあるのに探すのに時間がかかったらイライラするべ? その様子を見れないのは残念だけど、想像するのは自由じゃん? だからからかうためにやったんだよ」
綾乃にはこの理由が分かってもらえないようだ。まぁ、分かってほしいわけでもないので、気にする必要も無いのだが。
「さて、俺たちの作ったトラップエリアは、相手の魔物をどれだけ減らせるかな?」
「そんな事言ってるけど、ゾンビアタックができる距離なのに何呑気な事言ってるのよ」
「だって、本命は9階10階だから、ここら辺の階は楽しまないと!」
1~8階は、試験的な意味で作ったダンジョンなので、情報収集ができればいいと思っている。冒険者を呼び込むダンジョンとしては、凶悪な物が多いのでこういった事が無ければ、作る事すら考えなかった代物なのだ。
1つ目はダンジョンの機能では作れない程凶悪な落とし穴。部屋の7割が落とし穴になっている、ゴーレムによる落とし穴部屋。落とし穴の先には、相手と同じマグマを準備していた。
マグマにした理由は、硫酸とかだと溶けないやつもいたり、ガスが溜まったりしそうで何となく嫌だったので、特殊な能力でもない限り死ぬマグマを選んでいる。
まぁ、相手はそのガスすら利用したトラップを仕掛けていたけどな。うちって、ゴーレムやスケルトン以外で、特殊な地形に対応できる魔物ってそんなに多くないんだよね。だからそれ自体トラップに使うって発想が産まれなかったんだと思う。
そして2つ目は、ダンジョンの機能を使った通れる人数の制限のある、橋の先で1匹ずつのバトルをしなければいけない、デスマッチ式のバトルエリアだ。場外は、古典的な針地獄なので強い魔物であれば即死はしない。でも落ちたら登れないくらいには深い穴である。
しかもきちんと、橋の入口には日本語で【1匹ずつ進み、部屋の中央で戦え!】と言った内容の立て看板がある。
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