ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,089 / 2,518

第1089話 準備完了?

しおりを挟む
「さて、今日から探索パートに入ろうと思います!」

 パート? アルバイトとパートのパート? 等々つぶやきながら、何言ってるのみたいな目でこっちを見ている。そんな目で見るなってば!

 昨日までが建築パートなら、今日からは探索パートだろ! って、すいません! まじめにやります!

 年長組の強い視線を受けて、背筋を伸ばし姿勢を整えてから再び話し出す。

「冗談はこれくらいにして、街の建設お疲れさまでした。今日からはダンジョンを探索していこうと思う。本当はフレデリクに戻るつもりだったけど、ここにちょうどいい場所が作れたから、ここから憑依する事にします。それにあたって、ドッペルを呼んでいるから、ピーチたちはそっちの準備をお願い」

 そういって、妻たちに指示を出して準備を始めさせる。次に、

「ガリア、俺たちが潜っている間はお前が指揮をとって迷宮都市の調整をしてくれ。ドワーフたちは、ガリアの指示に従って都市を作っていてくれ。土木組はドワーフの指示に従ってくれ」

 ここまで街の形ができてしまったら、俺の出番はない。迷宮都市としてではなく普通の都市としても、問題ない造りにしてくれとガリアにお願いしている。なので、今日からはその方向で街が作られていくことになるだろう。

 迷宮都市と普通の都市の違いなんて、迷宮……ダンジョンがあるかないか、の差かと思っていたがメインになる物、名産、都市の売りになる物が違うと、街の作りが多少変わってくるらしい。そなの? と思うが、ガリアがそういうのだからそうなのだろう。

 と言う事で、ダンジョンが使い物にならなかった時のために、農耕都市としても問題ないように都市を調整してもらう予定だ。もしダンジョンが使えるものだった場合は、街の売りが2つになる予定だ。

 1週間前に農耕も主軸にする事をグリエルに伝えると、俺の管理下にある街や、その近くの街に農業に興味のある人の移住を、求めている事を宣伝しているらしい。まだ1週間なのに、2000人近い移住希望者がいるらしい。

 正確にはこの宣伝は、グリエルの依頼を受けてゼニスが商会を通じて情報を拡散している。そのため、受付は商会になっている。領主館にすると、他の仕事ともかち合って大変になるので、ゼニスがかって出たらしい。

 そして、今やこの地域で一番の金持ち商会として有名な俺の商会が、主導になって進めているという事もあり、これからもどんどん集まってくる可能性が高いらしい。

 特に、農家の3男以降の子供や、女の子の多い家族などが移住を希望しているらしい。新しい街なら、全体的に年齢層が若くなるため、子どもたちの将来の事、結婚などを考えて移住してくる家族もいるそうだ。

 ただ、これには続きがあって、家族で移住してくる場合、農業をしていた親を連れて来ていただける場合は、街から金一封が出る事を公表している。理由は簡単、知識に勝る経験は無いので、それを取り込むための方策だ。これはゼニスが提案してグリエルが許可を出している。

 そのお金をディストピアの方から出そうとしていたので、待ったをかけ俺のポケットマネーを使う様に命令しておいた。溜まっていく一方のお金をどうにか消費するために、可能な限り使ってくれと、土下座までしてお願いしている。

 お金なんて死蔵していてもいいことが無いので、お願いして消費している。それでも、入ってくるお金の方が多くて困っている。

 それはさておき、準備が終わったみたいなので俺たちは、ドッペルに憑依してダンジョンへ潜るために装備を身に着けていく。

「やっぱり生身で装備するのとドッペルで装備するのは、なんか違うな。ほとんど変わらない体型なはずなのに、少し誤差があるんだな」

「そうですね。体にフィットしない装備だと少し不安がありますね」

 このドッペルを作ったのって半年前位だと思ったんだけどな。自分のドッペルをいくつか作っている中で、一番最後に作った奴を連れてきたはずなのに、体系が変わってるってどうなんだ?

 そして年長組、年中組は、コメントに困る事を言い合っている。どうやら今の装備を着けると、胸の部分が余ってしまうため、詰め物をする? みたいな事を言っているのだ。

 年少組は生身の方が、単純に身長が伸びているため、装備が多少大きいみたいだ。

「よし、今日は装備の調整だと、自分たちの装備がなくなって困るから、新しい装備の調整をしよう。武器自体は問題ないから、防具の調整をしようか」

 後発で来たドワーフたちに収納の鞄を、装備が足りなかったら使えと渡されている。この鞄は老ドワーフたちから預かったそうだ。あいつらは、この事に気付いていたんだな。ただの飲んだくれと思っていたが、装備に関してはさすがと言わざるを得ない。

 しかも、分かっていたかのように、俺たちのドッペルにある程度あわせた装備が詰め込まれていた。

「おじいちゃんドワーフのみんなってすごいね!」

 年少組は、老ドワーフの事をおじいちゃんドワーフと最近は呼んでるみたいだな。老ドワーフも年少組の事を孫みたいにかまう事があるから、酒臭くない時は色々教えてもらってるみたいだし、慕ってはいるんだろうな。

「微調整するだけで良さそうだから、さっさと調整してダンジョンに潜ろうか」

 30分もかからずに調整が終わり、ダンジョンの入口の前に来た。

「さて、今回は事前調査は全くなしだし慎重に進んでいこう」

 そういった側から、シェリルがトコトコと前に出て、ダンジョンの入口に向かって息を吸って……

 ゴォォォォ!!!

 えっ!? 口から炎を吐いた。いつの間にそんな芸当を?

「シェリル、いつからブレスを吐けるようになったんだ?」

「これブレスじゃないよ! 私だけじゃなくて、年少組の皆できるんだよ!」

 得意げに年少組が前に出てきて、息を吸い込んで入口に向かって、

 ゴォォォォ!!!

 出来るのは分かったけど、何でみんなでブレスを吐いてるんだ?

「年少組! 集合!」

 ピーチが年少組を集めた。どうやら何でブレスをしたのかを聞いているようだ。俺が慎重にと言ったのを曲解して、安全なら問題ないじゃん! って感じで、入口付近の魔物を焼き殺したらしい。

 成長したかと思ったら、まだ思考の面で幼い所があるようだ。でも、怒る事でもないから、その辺で説教はやめてくれ。そして、行動を起こす前にはしっかり報告するように注意しておく。

「では改めて、行こうか!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

処理中です...