ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,084 / 2,518

第1084話 分担作業

しおりを挟む
 今後の事を通信先のグリエルを含め話し合っている。

「ご主人様。こちらは、私たちとスカルズの皆さんがいれば問題ありません。なので、ご主人様は土木組のメンバーと一緒に、先にダンジョンの入口周辺の整備にまわってください。ブラウニーさん。ここと距離が離れてしまうので、ご主人様の事をよろしくお願いします」

 ピーチが話し合いの最後でそんな事を言いだした。ブラウニーに俺を頼んだのは恐らく、2つに分かれても食事などを1人で準備するからだろう。なので、俺の事を頼む事で向こうに集中させようという考えだろう。

 ブラウニーは、今回1人しか連れてこれていない。慌てての出発だったので、ディストピアの家を管理しているブラウニーを連れてこれなかったのだ。シルキーたちは、娘たちをまかせているので来るというシルキーはいなかった。

 ブラウニーもシルキーの補佐をするために何人か残るが、後発で来ることにはなっているのだが、仕事を片付けないと来れないらしい。1人位大丈夫かと思ったら、他のとこにも回っているブラウニーが多くて、必要最低限しかいなかったため、フレデリクにいたブラウニーを何とか1人借りた形だ。

 4日間も無駄にここで過ごさせるのは時間的にもったいない。特にご主人様は娘たちとふれ合いたいはずなのに、自分が出て行かないと問題があるからとここにきているのだから、早くダンジョン関係を解決させてあげたいとの事だ。

「ご主人様、すいませんがこちらで料理するスペースが無いので、キッチン馬車を置いていってもらっていいですか?」

「了解。向こうは俺がいれば、キッチンも問題なく出せるからな。向こうの施設はDPである程度出す事にするわ。置いていけるものは置いてくことにしよう。他に必要なものがあったら言ってくれ。後、こっちに残ってもらうならガルドがいいかな? ガルド、みんなを頼むぞ!」

 後ろで控えていたガルドが責任のある仕事を任され、メラメラと燃えて任せろと答えてくれた。

 とりあえず、話し合いが終わり俺はダンジョンの入口に向かって移動を開始した。こっちは土木組と護衛の従魔たちと俺、ブラウニーの少数と言っていいのか微妙だが、ダンジョンの周りを整備するために必要な人材とサポートメンバーだけである。

「うぉ。ここのダンジョンの入口ってあんな感じなのか」

 俺が作ってきたダンジョンの中でも採用をしていない、不自然な入口を見てそんな事を言ってしまった。

「シュウ様。何に驚いてるの?」

 俺の気持ちは、土木組には通じてなかったようだ。だってさ、常識的……何が常識的かよくわからないけど、地球でも北海道とか緑の多い地域なら見る事の出来る光景なのに、そこにさ、国民的RPGでみられるような、ダンジョンだよ! 洞窟だよ! って主張している入口があったらこうなるよ。

「さて、作業を開始しようか。とりあえず、掌握できていないエリアとの境目まで行こう。ノーマンはここに残って、DPで土を出して盛っていってくれ。圧縮は後でやるから10メートル位積んでくれ」

 10メートルの土を出しても、ふかふかな土なので踏み固めると半分程になってしまうのだ。なので、多めに土を盛ってもらう事にした。

 境目まで移動した俺がまず始めにした事は、DPを使ってキッチンを作った。そのキッチンを見てブラウニーは意気揚々と入っていった。今日は美味しい物を食べれるだろう。いつも美味しいもの食べてるんだった!

「まずは、今日の野営地作成をしてから作業に入ろう」

 と言っても、俺たちが使っている簡単に野営地を作れるタイプの馬車を持っている土木組なので、馬車の機能を使ってテキパキと準備をしていく。俺は、専用の馬車を持っているので、それを収納の鞄から取り出すだけで終わりだけどな。

 この専用馬車は、ブロック型とでも呼べばいいのだろうか? 初期型の左右前後の連結できるタイプの馬車を、更に改造したものである。それを4つを連結して広い部屋のようになっている。

 なんでこんなに広いかと言えば、従魔たちも一緒に寝るためこれくらいのサイズが無いと、窮屈で仕方がないのだ。それに、1つの馬車には娘たちの様子が見れるように、テレビが設置してある。もちろんゲームも持ってきているし、ブッ君もあるので行動できない夜でも、時間つぶしは問題ない。

 野営の準備も完了した?

 土木組の野営地の馬車を見ると、俺たちとは違った工夫がなされていたのだ。目を見張るのは、外観はほとんど同じなのだが、馬車の頑丈さを使ってハンモックや、つり下げタイプの揺れる網椅子みたいな物をつけていた。それ以外にも、自分たちに合わせてカスタマイズしていた。

 俺達より使う頻度が多かったためか、工夫が至る所に見える。そして気になるのが、馬車の1つの幌の部分が地面まで白い生地が張られていた。その前に机と椅子が並べられていた。何だろこれ? 何か、見覚えのある光景なんだけど、思い出せない。

「シュウ様! 仕事を始めないのですか?」

 ボーっとしていた俺に声をかけてきた。

「あ、あぁ。仕事を始めようか。みんなは2つに分かれて、境界線にそって3~4メートル位の溝を作ってくれ。深さと幅を決めてから作業を開始してくれ」

 そう指示を出すと、みんなで返事をしてすぐに行動を開始した。

 ふぅ。俺は土を召喚しないといけないな。境目の内側に入って大量の土を召喚していく。ボタンを押すと目の前に土が積もっていく、ある程度高くなった所を見上げたら、視界が変わった。

 はぁ?何が起きたか分からないが、俺の足が浮いていて首が締まっていて苦しい。

 って、ダマが元のサイズに戻って俺の襟を噛んで俺を引っ張っていたのだ。元の世界なら確実に首の骨が折れていたと思う。だけど、頑丈な体になった今ちょっと苦しいだけで済むとか……

 って何が起きたんだ?

『主殿、迂闊ですぞ。自分の近くに大量の土を召喚すれば飲み込まれるに決まっているじゃないですか。助けなかったら土に埋まってたと思う。死なないにしても面倒な事は変わりないです』

 あ~召喚しすぎて土に飲み込まれるところだったのか、それをダマが助けてくれたんだな。

 そういえば、昔に同じ事をしたような気がするぞ。その時は量が少なかったから押し流されて顔以外全部埋まって生首みたいになったんだっけ?

「地上でたくさんの土を召喚すると危ないんだったな。バッハ、少し大きくなって俺を乗せて飛んでくれ。一気に召喚して出来るだけ土を盛るから頼む」

 夜までにエリアの半分程土を盛る事が出来た。思ったよりはかどらなかったのは、土の召喚は問題なく出来たが出てくる量が思ったより少なく時間がかかった形だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

【R18】抑圧された真面目男が異世界でハメを外してハメまくる話

黒丸
ファンタジー
※大変アダルトな内容です。 ※最初の方は、女の子が不潔な意味で汚いです。苦手な方はご注意ください。 矢島九郎は真面目に生きてきた。 文武の両道に勤め、人の模範となるべく身を慎んで行いを正しくし生きてきた。 友人達と遊んでも節度を保ち、女子に告白されても断った。 そしてある日、気づいてしまう。 人生がぜんっぜん楽しくない! 本当はもっと好きに生きたい。 仲間と遊んではしゃぎ回り、自由気ままに暴力をふるい、かわいい娘がいれば後腐れなくエッチしたい。 エッチしたい! もうネットでエグめの動画を見るだけでは耐えられない。 意を決し、進学を期に大学デビューを決意するも失敗! 新歓でどうはしゃいだらいいかわからない。 女の子とどう話したらいいかわからない。 当たり前だ。女の子と手をつないだのすら小学校が最後だぞ! そして行き着くところは神頼み。 自分を変える切欠が欲しいと、ものすごく控えめなお願いをしたら、男が存在しないどころか男の概念すらない異世界に飛ばされました。 そんな彼が、欲望の赴くままにハメを外しまくる話。

幼馴染み達がハーレム勇者に行ったが別にどうでもいい

みっちゃん
ファンタジー
アイ「恥ずかしいから家の外では話しかけて来ないで」 サユリ「貴方と話していると、誤解されるからもう2度と近寄らないで」 メグミ「家族とか気持ち悪、あんたとは赤の他人だから、それじゃ」 義理の妹で同い年のアイ 幼馴染みのサユリ 義理の姉のメグミ 彼女達とは仲が良く、小さい頃はよく一緒遊んでいた仲だった… しかし カイト「皆んなおはよう」 勇者でありイケメンでもあるカイトと出会ってから、彼女達は変わってしまった 家でも必要最低限しか話さなくなったアイ 近くにいることさえ拒絶するサユリ 最初から知らなかった事にするメグミ そんな生活のを続けるのが この世界の主人公 エイト そんな生活をしていれば、普通なら心を病むものだが、彼は違った…何故なら ミュウ「おはよう、エイト」 アリアン「おっす!エイト!」 シルフィ「おはようございます、エイト様」 エイト「おはよう、ミュウ、アリアン、シルフィ」 カイトの幼馴染みでカイトが密かに想いを寄せている彼女達と付き合っているからだ 彼女達にカイトについて言っても ミュウ「カイト君?ただ小さい頃から知ってるだけだよ?」 アリアン「ただの知り合い」 シルフィ「お嬢様のストーカー」 エイト「酷い言われ様だな…」 彼女達はカイトの事をなんとも思っていなかった カイト「僕の彼女達を奪いやがって」

処理中です...