ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,071 / 2,518

第1071話 みんな張り切る

しおりを挟む
 拡張工事2日目

「じゃぁ今日も元気に頑張るどぉ!!」

 おぉ~! とおれの掛け声に続いて声を出したのが、土木組の子たちだ。この子たちは、ノリが良くて助かるな。ここで掛け声に続いてくれなかったら、俺がただ痛い人になっちゃうからな。

 昨日は、だいたいの区画の広さを決めている。ディストピアを作る時には、土台をダンジョンマスターのスキルで土地を盛り上げたのだが、今回は人力でやってみようとしたが、30分で諦めた。

 土魔法を効率よく使うためには、ある物を利用するのがいいのだ。今までは、堀と一緒に壁を作ったりしてきたのだ。だが今回は、元となる土は無いので、魔法で生み出すかどこかから持ってこなければならなかった。

 ディストピアの地下に下水を作った時に出た土は、全部利用してしまっているので、本当に一からだったのだ。

 そして、俺でも土を大量に生み出すのはかなりの労力が必要で、やってられなかったので、土台に関してはさっくりとダンジョンマスターのスキルで作成している。

 この時に、本当にこのスキルってすごいんだなって、あらためて実感した。無から有を作り出す神の如きスキルなのだ。そもそも、地球の物を召喚できる時点で色々とおかしいのだが、あれ? 召喚って事は作り出してるんじゃなくて、ある物をこっちの世界に呼び出してる?

 それってもしかして、泥棒? とか思ったが、タイミングよくチビ神が『神の作ったスキルが泥棒とは失礼ね! DPで完全複製をしているだけよ』と言っていた。完全複製、じゃあ何で召喚って呼んでるんだろうな?

 そんな疑問が頭に浮かぶが、そんな事を考えても神共が知っているかもわからないので放置だ!

 そんなこんなで2日目の作業を始めている。

「シュウ様~、ディストピアの壁ってどうやって作ってるんですか? 畑エリアの壁と同じようにいかないです!」

「地面の硬さってどの位がいいんですか?」

「小屋の位置を決めました。確認お願いします」

 と、こんな感じで土木組の相談役的な立ち位置で作業をしている。もちろん俺も壁作りに参加しているぞ。

 それと、地面の硬さは俺もよくわからん。だけど、牧草を生やすのであればカッチカチはダメなので、ワームを呼んで耕してもらってから道として使う場所以外は、畑よりちょっと硬い位のイメージで統一しておいた。

 最悪、移住者たちが来てから改めて整備してもいいから、そこまで細かくはしなくてもいいか。

 小屋……厩舎の位置に関しては、畑エリアとの境目にある壁の近くに作っている。これは、家畜たちを畑エリアに移動させるのに、畑エリアの反対側にしていたら移動だけで、時間がかかってしまうためこの位置になっている。

 壁もあるので、臭いも気にならない。それにここで出た糞などを有機肥料にして、運び出す時の事も考えている。ワームたちだけでもかなり上質な土になるのだが、ここに堆肥が加われば、もっといい土になるそうだ。ここら辺は、ドリアードの話を聞いて行っている。

「壁の作り方だっけ? 特に特別なつくり方はしてないんだけどな」

 そう言って、ディストピアを作っている時の事を思い出す。この土地にある土を使ったんだっけ? それ以外に特別なつくり方をした覚えはないんだけど、試しに俺も土木組と同じように壁を作ってみる。

「あれ? みんなと同じようにちょっと違う壁だな。って事は、ここの土地の土を使うのが正解かな? ちょっと試してみるか」

 そう言って、アースクエイクを応用して、土台の下にある樹海の土を掘り返し溝を作りながら、その土をアースウェーブを使って牧場エリアへ持ち上げる。

 土木組のみんなを引き取ってから、俺も土魔法を使う事が多かったので、色々研究をした結果作った魔法がアースウェーブだ。

 アースクエイクは、元々似たような魔法があったので、さほど苦労はしなかったが、アースウェーブに関しては、結構苦労した。湖の水でタイダルウェーブを使った時に思いついたのだが、完成させるまでに結構悩まされたものだ。

 解決方法と言うか、発動条件が分かったので何とかなった。たまたま砂浜で使った時に普通に使えたのだ。その後にただの地面では使えなかった。この事を考えて。細かい粒子や動かしやすい状態でないと、魔法が発動できないという結論になり、それが見事に当たったのだ。

「おぉ~やっぱり樹海の土を使わないといけないみたいだな。何が違うんだろ?」

 理由は分からないが樹海の土を使わないと、ディストピアの街と同じような壁にならなかったのだ。今までこんな事は無かったので、意味が分からないが結果が伴ってれば分かってなくても問題は無かったので、チャキチャキと壁を作る作業をしていく。

 土木組の子たちもアースウェーブを覚えたい! と騒いだので教えてみたが、オリジナルというか2属性魔法みたいなもので、土木組の子たちはいまいち理解できずに習得は出来なかった。

 なので、役割分担をする事にした。土木組の半数がアースクエイクで堀を掘って、俺がアースウェーブで土を土台の上に運び、残りの半数が上で壁を作る。

 分担作業をしたため、この作業は2日で終わった。ディストピアを作った時に比べれば、アースウェーブがあったからか大分早く済んだ気がする。あの時に比べて作る壁の長さも短いからな、比べられる物じゃないか。

 休みまでの残り2日で、厩舎を建てる事にした。と言っても、手の空いているドワーフに準備をさせていたので、土台をしっかり作ってから一気に組み立てるだけだ。無駄に覚えた釘無しの建築技術を試す機会だ! と張り切って準備していたので、すぐにできる気がする。

 地球と比べて、個人の力が強いので太い柱を1人で運べたり、魔法で補助できたりするので建築するスピードが異常に早い、2日かかるかと思ったら1日で終わってしまった。はやいな……壁の板は手で打ち込んでいくのに早すぎねえか?

 残りの1日で、移住する人たちがすむテントが建てられた。あれ? もうテント完成してたのか? 気合入りすぎじゃないか?

 移住者が到着するまで後1週間。後は、家畜を連れてきたら終わりかな?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

処理中です...