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第1056話 色々考える
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「ふむ、思ったより素材が軽いんだな。だからこの入れ方だと空気が抜けるように作っても、どうしても気泡が出来ちまうんだな。それなら下から入れれば問題ないか」
ドワーフがさらっと訳の分からない事を言い始めた。下から入れる? どうやって?
「工房長、天才か! って思う事もあるけど、馬鹿なんじゃないかと思う事もあるのだが、どっちなんだ? 高低差を利用して下から流し込むに決まってるだろうが……それに、注射だったか? あれの容器のデカいのを準備してもいいだろう」
なんという事だ。視野が狭くなっていたようだ。例えは悪いが、点滴のように高い位置から落としてもいいし、注射器のように押し出してもいいのか。注射器に使うあの道具を大きくすれば、下から注ぐこともできるか。
でもそうすると上手くいくのか? よくわからんけど、ドワーフたちが出来るっていうんだからそれでいいか?
簡単に改造してしまうドワーフたちに軽くビビりながら、作業を進めていく。
「こんなもんだな。こっちに材料を適量入れれば、後は勝手に流れてくれる。問題は、どれだけの量を作って固まるまでに全部の作業を終わらせれるかって事だの。あれと魔石の水を混ぜるのは、ある程度計算が出来る物が管理するのがいいかもしれんの。
そうすれば……子どもたちは、注ぐのと注ぎ終わって固まったのを取り外して削る作業で済むと思うぞい」
なるほど、むやみやたらに固まる状態の樹脂を用意しておくと、型に入れられずに固まってしまう物ができてしまい無駄が多くなってしまうだろう。だから、それを調整する人が必要だろうとの事だ。
とはいえ、作りすぎると余ってしまうので難しい所だろう。どこまで雇う事ができるだろうか? それに、ゴーストタウン……違うな、ディストピアに関係している街以外では、余裕もない人が多いのだ。どれだけ売れるか分からない。
まぁ、後はどれだけ継続雇用できるかだな。
「とはいえ、ずっと生産を続けるのは難しいよね。雇ってすぐに放り出す事はしたくないよね」
あれ? 俺、綾乃にこの話したっけ?
「主殿は分かりやすいでござるよ。どうせ、雇った人たちを途中で放り出すのは良くないとか考えているでござるよ」
「工房長、我々だって、ずっと雇ってもらえるとは思っていません。自由にしている様に思われますが、すべては工房の利益になると思っている事をしています。とはいえ、自分たちに無い技術を吸収しようとも考えていますが……」
尻すぼみになりながら、技術を盗むと言っている。まぁ盗んだ所で老ドワーフたちかその弟子から、その内広まりそうだからいいんだけどな。ただ、電気を動力とするドリルなんかは、広めないように注意をしないとな。
「まぁ、ここ最近で習った技術なら広めても構わないよ。どうせ、爺共かその弟子から広まるだろうからな。でも、ここでの技術はある程度制限させてもらうからね。漏洩させたら最悪……まぁそれは無いと思うからいいか」
俺が最後の言葉を言う前にやめると、喉をごくりと鳴らす音が聞こえる。特に電気によるモーターに関しては、出来る事が増えすぎるので漏洩は防ぎたい。
蒸気機関に関しては、いくら魔法を組み込んだとしても力の限界があるので、サイズはそこまで小さくならないと考えている。
それにこの世界にはショックを吸収するシステムがまだないから、馬車のような物を高速で動かすためにはレールが必要だろう。それでも衝撃はどうにもならないだろうけどな。
レールの盗難の可能性なども考えると現実的ではない。ならば自走式の馬車を考えると、燃料の部分は魔力で何とかなっても、操作性やその他の事を考えれば使い物にならないだろう。
この世界で蒸気機関が使えるのは、工場の動力や船の動力位だろうが。船の方に関しては、大量輸送用の船は存在していないとの事だ。どんなに早く移動できても魔物の速度には勝てないし、海の魔物は大型が多いからリスクが高すぎるのだ。
まぁ、生活の質の向上に役立ててくれるなら、ある程度の技術は漏れてもいいと思うしな。
とりあえず、ドワーフたちは建築技術の伝授が問題ないという所に喜んでくれたので、ゴーストタウンから世界に広がっていくかもしれないな。特に魔物の領域になっている森は、大なり小なり木が勝手に生えてくるし、成長も早いからな。木材は豊富だ。
「そういえばさ、炭って鍛冶以外で使われないのか? 帝国で作った街でかなり重宝しているって話を、この前聞いたんだけどさ」
「あ~その事か。炭焼きは大量に燃料を使う上に、結構な労力とスペースを使うから街の中には、作りにくいんだよ。後、臭いがな……」
「そんなもんなのか? 燃料なら魔力があるんだから、高温が出せる魔導具さえあれば炭は簡単に作れるし、臭いも気にならんだろ?」
「はぁ、工房長、そんな魔導具があったとしても、炭焼きに使ってたら割に合いませんよ。それに暖をとったり調理したりするのも、薪で十分ですからね。なので炭は基本的に鍛造に使う高級品ですね。まぁ鍛造する時は魔石も混ぜて温度を上げたりしますけどね」
ん~難しいんだな。そう考えると蒸気機関に使ってる温めたり冷やしたりする魔導具は相当高価なのか? そうすると、蒸気機関もあまり普及しないかもな。
石炭みたいなものはないから、燃料で蒸気機関を動かす事が出来ても馬力が足らんだろうな。それを補うための魔導具が高いと、思ったより気にしなくてもいいのかもな。
っと、油断はいけない! 世の中には天才がいるんだからな! どこで一気に技術が進むか分からん。特に生活に余裕が出てくれば、そういう人間が少なからず出てくるかもしれない。とりあえず、電気モーターは広めさせないぞ!
ドワーフがさらっと訳の分からない事を言い始めた。下から入れる? どうやって?
「工房長、天才か! って思う事もあるけど、馬鹿なんじゃないかと思う事もあるのだが、どっちなんだ? 高低差を利用して下から流し込むに決まってるだろうが……それに、注射だったか? あれの容器のデカいのを準備してもいいだろう」
なんという事だ。視野が狭くなっていたようだ。例えは悪いが、点滴のように高い位置から落としてもいいし、注射器のように押し出してもいいのか。注射器に使うあの道具を大きくすれば、下から注ぐこともできるか。
でもそうすると上手くいくのか? よくわからんけど、ドワーフたちが出来るっていうんだからそれでいいか?
簡単に改造してしまうドワーフたちに軽くビビりながら、作業を進めていく。
「こんなもんだな。こっちに材料を適量入れれば、後は勝手に流れてくれる。問題は、どれだけの量を作って固まるまでに全部の作業を終わらせれるかって事だの。あれと魔石の水を混ぜるのは、ある程度計算が出来る物が管理するのがいいかもしれんの。
そうすれば……子どもたちは、注ぐのと注ぎ終わって固まったのを取り外して削る作業で済むと思うぞい」
なるほど、むやみやたらに固まる状態の樹脂を用意しておくと、型に入れられずに固まってしまう物ができてしまい無駄が多くなってしまうだろう。だから、それを調整する人が必要だろうとの事だ。
とはいえ、作りすぎると余ってしまうので難しい所だろう。どこまで雇う事ができるだろうか? それに、ゴーストタウン……違うな、ディストピアに関係している街以外では、余裕もない人が多いのだ。どれだけ売れるか分からない。
まぁ、後はどれだけ継続雇用できるかだな。
「とはいえ、ずっと生産を続けるのは難しいよね。雇ってすぐに放り出す事はしたくないよね」
あれ? 俺、綾乃にこの話したっけ?
「主殿は分かりやすいでござるよ。どうせ、雇った人たちを途中で放り出すのは良くないとか考えているでござるよ」
「工房長、我々だって、ずっと雇ってもらえるとは思っていません。自由にしている様に思われますが、すべては工房の利益になると思っている事をしています。とはいえ、自分たちに無い技術を吸収しようとも考えていますが……」
尻すぼみになりながら、技術を盗むと言っている。まぁ盗んだ所で老ドワーフたちかその弟子から、その内広まりそうだからいいんだけどな。ただ、電気を動力とするドリルなんかは、広めないように注意をしないとな。
「まぁ、ここ最近で習った技術なら広めても構わないよ。どうせ、爺共かその弟子から広まるだろうからな。でも、ここでの技術はある程度制限させてもらうからね。漏洩させたら最悪……まぁそれは無いと思うからいいか」
俺が最後の言葉を言う前にやめると、喉をごくりと鳴らす音が聞こえる。特に電気によるモーターに関しては、出来る事が増えすぎるので漏洩は防ぎたい。
蒸気機関に関しては、いくら魔法を組み込んだとしても力の限界があるので、サイズはそこまで小さくならないと考えている。
それにこの世界にはショックを吸収するシステムがまだないから、馬車のような物を高速で動かすためにはレールが必要だろう。それでも衝撃はどうにもならないだろうけどな。
レールの盗難の可能性なども考えると現実的ではない。ならば自走式の馬車を考えると、燃料の部分は魔力で何とかなっても、操作性やその他の事を考えれば使い物にならないだろう。
この世界で蒸気機関が使えるのは、工場の動力や船の動力位だろうが。船の方に関しては、大量輸送用の船は存在していないとの事だ。どんなに早く移動できても魔物の速度には勝てないし、海の魔物は大型が多いからリスクが高すぎるのだ。
まぁ、生活の質の向上に役立ててくれるなら、ある程度の技術は漏れてもいいと思うしな。
とりあえず、ドワーフたちは建築技術の伝授が問題ないという所に喜んでくれたので、ゴーストタウンから世界に広がっていくかもしれないな。特に魔物の領域になっている森は、大なり小なり木が勝手に生えてくるし、成長も早いからな。木材は豊富だ。
「そういえばさ、炭って鍛冶以外で使われないのか? 帝国で作った街でかなり重宝しているって話を、この前聞いたんだけどさ」
「あ~その事か。炭焼きは大量に燃料を使う上に、結構な労力とスペースを使うから街の中には、作りにくいんだよ。後、臭いがな……」
「そんなもんなのか? 燃料なら魔力があるんだから、高温が出せる魔導具さえあれば炭は簡単に作れるし、臭いも気にならんだろ?」
「はぁ、工房長、そんな魔導具があったとしても、炭焼きに使ってたら割に合いませんよ。それに暖をとったり調理したりするのも、薪で十分ですからね。なので炭は基本的に鍛造に使う高級品ですね。まぁ鍛造する時は魔石も混ぜて温度を上げたりしますけどね」
ん~難しいんだな。そう考えると蒸気機関に使ってる温めたり冷やしたりする魔導具は相当高価なのか? そうすると、蒸気機関もあまり普及しないかもな。
石炭みたいなものはないから、燃料で蒸気機関を動かす事が出来ても馬力が足らんだろうな。それを補うための魔導具が高いと、思ったより気にしなくてもいいのかもな。
っと、油断はいけない! 世の中には天才がいるんだからな! どこで一気に技術が進むか分からん。特に生活に余裕が出てくれば、そういう人間が少なからず出てくるかもしれない。とりあえず、電気モーターは広めさせないぞ!
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