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第1025話 行動を読まれていた
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帰って来た次の日、連絡を取っておいたゼニスと合流して、ゴーストタウンにある商会本社に来ている。
「あれ? この部屋なんもないな、何の部屋?」
「何言ってるんですか? この建物で一番いい部屋なんですから、シュウ様以外に誰が使うんですか? シュウ様が来ないから、掃除と空気の入れ替え以外で部屋に入る事ありませんけどね」
「あ、俺の部屋なのか、そりゃ部屋の主がいなければ物は何もないわな。話を始める前に、この部屋を整えないとなで、必要最低限をそろえたいけど、何が必要?」
ゼニスに言われるままに、必要になる物をメモしていく。
執務机をしっかりと時間をかけて選んだ。俺が考える、それっぽい物を必死になって探してみた。無駄に大きい、縦1.5メートル、横3メートル程の机を召喚している。椅子はよくわからないけど、座り心地の良さそうなキャスターのついている椅子を召喚している。
この椅子、DPにして3000も必要だった。日本円にすると、なんと30万もする高級な椅子なのだが、俺には何でこの椅子が高いのかよくわかっていない。でも、座り心地が抜群なので使う事にした。
そして、お話しする時に使う机や椅子も準備している。机は、膝より少し高め位の物にして、椅子にはソファーを準備したが、あまり沈み込むのは良くないと言われ、固めのしっかりしたタイプの1人掛けソファーを6個配置している。
対面に2個ずつ、両脇に1個ずつの合わせて6個だ。場合によっては3:3にしても大丈夫なように、机は少し大きめの物を準備している。
「で、シュウ様。ご相談があるとの事ですが、どういった内容でしょうか? この椅子、いいですね。今度これいただいてもいいですか?」
俺が出した30万もする椅子に座って話を始めたら、座り心地が良かったのか今度欲しいとお願いしてきたので今度の報酬で渡そう。
「話を戻して、今日相談しに来たのは、もうすぐしたら、俺に子供が生まれるだろ? それなのにまともに仕事していない事に気付いたんだよ! それをどうにかしたくて、ゼニスに相談しに来たんだよ」
「そうですか、私的には、庁舎の方で領主の仕事の方がいいのでは? と思いますが、それはダメなのですか?」
「庁舎の方に行くと、グリエルとガリアに邪魔者扱いされるからな……」
「それは、領主の仕事をきちんと知らないで、色々な仕事をしようとするからじゃないですか?」
「確かにそうだけど、俺みたいな素人が慣れない事をすれば、グリエルたちがもっと大変になるんじゃないか?」
「それは、商会でも同じだと思うのですが……」
俺はそのセリフを聞いて、愕然としてしまった。椅子から崩れ落ちるようにして、両膝を付き地面に両手をついてしまった。
それはまさしく【orz】と言われる体勢だ。
「シュウ様。もしかして、そこまで深く考えてなかったって事ですか?」
「深く考えてはいなかったね。そうだよな、商会だって素人がやってうまく回るわけないよな。だからゼニスに全部任せていたっていうのに……」
沈んでいる俺の様子を見て、どうにかしたいと思ったのか色々な提案をしてくれた。その中で興味を持ったのが、
『商品開発とかどうですか? 魔導具の開発とかを綾乃さんたちとされているという話でしたが、そのままだと、性能が高すぎますので、劣化品を作っていただく事になると思いますが……』
という話だった。
確かに、物作りは楽しいから好きだし、仕事に出来るかな? そう言って、一番初めに思い浮かんだのは老ドワーフたちの爺集団の様子だった。あいつらはいつも楽しそうだよな。でも、この商会ってこの先どうなるんだろ?
「ゼニス、この商会って俺のなんだよな?」
「もちろんそうですよ。それがどうかしましたか?」
「もしゼニスが引退したら、この商会はどうなるんだろうと思ってな」
「シュウ様にすべてを引き取ってもらいたいと思いますが、現状ではそのおつもりはないですよね? でしたら、お子様の誰かに引き継げればと思っています。興味を持ってくれるお子様ができると、こちらとしては嬉しいんですけどね」
「確かにな。すべてを引き継いでって言われても、自信ないわ。これから何人産まれるか分からないけど、興味を持ってくれる子供が出来るといいな。って、ゼニスの子供に任せるっていう訳にはいかないのか?」
「それはよろしくないのでは? 私や息子であれば問題ないですが、孫やその子供になった時には、さすがに問題が出てくるかと」
「ふむ、問題が出てくるのか? とりあえず、かじ取りはゼニスの息子に一先ず任せる方針はダメかな? で、俺の子供で何かに興味を持っている子が出てきたら、任せるというのはダメかな?」
「それは問題ないですが、今回の相談の趣旨って、この内容じゃないですよね? シュウ様の仕事が……という話では?」
「あぁ! そうだった! とりあえずゼニス、商品開発をしようと思う。こっちでも勝手に色々つくるけど、出来れば色々作ってもらいたい物の希望を出してくれると助かるかな。俺たちの頭だけだと作っても、採用されない物ばっかできそうでな」
「分かりました。とりあえず、商品開発部を作りましょう。職員のみんなから色々な提案をもらってそれを元に、シュウ様たちでなくても作れる魔導具や、普通の道具に設計してもらっていいですか?」
「了解。クリエイトゴーレムを使わない、魔導具や便利道具を作ればいいって事ね」
「できれば、影響の低い便利道具だと嬉しいですね。魔導具は、攻撃性の物は止めていただけると嬉しいです」
「はぁ? 街の人たちに売る魔導具で、何で攻撃性の物作らないといけないの? 守るモノならともかく、街の中で攻撃性のあるモノなんて必要ないだろ?」
「それならいいんです。シュウ様の作られる魔導具の中に、きわめて攻撃性の高いモノとかがあったので心配していたんです」
「必要に迫られて作ったモノが多いからな……ってかどんな物作ったのかもよく覚えてないわ。まぁ、攻撃的なモノは作らないから安心してくれ。基本的に売りに出すのは、便利道具やみんなのアイディアから作った魔導具にしようと思う」
「それでお願いします。後、商品開発部は売り上げを気にしないで問題ないですので、気軽にやってください」
「期待されてないって事か?」
「そうではないですよ。シュウ様が気にしていた、商会からの報酬分をそこに使ってはどうですか? って事ですね。まさかシュウ様も何の成果も無いのに、商会の金を使い潰すおつもりではないですよね? なら、自分のお金を使って思うままにやってみてはどうですか?」
「確かに俺が子供のために仕事をしたいから、仕事をもらいに来たのに、まだ何も成果も無いなら、商会から金を出すわけにはいかないよな。使いきれない金を少しでも減らせるか? ゴーストタウンに工房を作ろうか! 高くてもいいから広めの場所を確保してもらっていいか?」
「了解しました。工房はどうなさいますか?」
「簡単な設計はするから、全部ゴーストタウンの職人を雇おう。建物を作ってもらった後に、内側には俺達で必要な工事をするよ」
「なるほど。少しでも多くお金を使おうという事ですね?」
「そうだね。後、その工房で使う素材は全部買い集めよう。召喚すると趣旨から外れちゃうしな。俺たち以外にも作れるって事は、素材だって出回っているものを使わないと意味ないもんな。
品質が悪ければ、それに合わせて色々考えないといけないから……面白い! やる気が出てきた! じゃぁ、土地の事は頼む、工房の方はバザールと綾乃と相談してくるわ」
ゼニスは俺を見送ると、ほっと溜息をついた。そして、俺に聞こえない声で、
「カエデさん、ミリーさん、リンドさん……これでよかったんですよね?」
と……
「あれ? この部屋なんもないな、何の部屋?」
「何言ってるんですか? この建物で一番いい部屋なんですから、シュウ様以外に誰が使うんですか? シュウ様が来ないから、掃除と空気の入れ替え以外で部屋に入る事ありませんけどね」
「あ、俺の部屋なのか、そりゃ部屋の主がいなければ物は何もないわな。話を始める前に、この部屋を整えないとなで、必要最低限をそろえたいけど、何が必要?」
ゼニスに言われるままに、必要になる物をメモしていく。
執務机をしっかりと時間をかけて選んだ。俺が考える、それっぽい物を必死になって探してみた。無駄に大きい、縦1.5メートル、横3メートル程の机を召喚している。椅子はよくわからないけど、座り心地の良さそうなキャスターのついている椅子を召喚している。
この椅子、DPにして3000も必要だった。日本円にすると、なんと30万もする高級な椅子なのだが、俺には何でこの椅子が高いのかよくわかっていない。でも、座り心地が抜群なので使う事にした。
そして、お話しする時に使う机や椅子も準備している。机は、膝より少し高め位の物にして、椅子にはソファーを準備したが、あまり沈み込むのは良くないと言われ、固めのしっかりしたタイプの1人掛けソファーを6個配置している。
対面に2個ずつ、両脇に1個ずつの合わせて6個だ。場合によっては3:3にしても大丈夫なように、机は少し大きめの物を準備している。
「で、シュウ様。ご相談があるとの事ですが、どういった内容でしょうか? この椅子、いいですね。今度これいただいてもいいですか?」
俺が出した30万もする椅子に座って話を始めたら、座り心地が良かったのか今度欲しいとお願いしてきたので今度の報酬で渡そう。
「話を戻して、今日相談しに来たのは、もうすぐしたら、俺に子供が生まれるだろ? それなのにまともに仕事していない事に気付いたんだよ! それをどうにかしたくて、ゼニスに相談しに来たんだよ」
「そうですか、私的には、庁舎の方で領主の仕事の方がいいのでは? と思いますが、それはダメなのですか?」
「庁舎の方に行くと、グリエルとガリアに邪魔者扱いされるからな……」
「それは、領主の仕事をきちんと知らないで、色々な仕事をしようとするからじゃないですか?」
「確かにそうだけど、俺みたいな素人が慣れない事をすれば、グリエルたちがもっと大変になるんじゃないか?」
「それは、商会でも同じだと思うのですが……」
俺はそのセリフを聞いて、愕然としてしまった。椅子から崩れ落ちるようにして、両膝を付き地面に両手をついてしまった。
それはまさしく【orz】と言われる体勢だ。
「シュウ様。もしかして、そこまで深く考えてなかったって事ですか?」
「深く考えてはいなかったね。そうだよな、商会だって素人がやってうまく回るわけないよな。だからゼニスに全部任せていたっていうのに……」
沈んでいる俺の様子を見て、どうにかしたいと思ったのか色々な提案をしてくれた。その中で興味を持ったのが、
『商品開発とかどうですか? 魔導具の開発とかを綾乃さんたちとされているという話でしたが、そのままだと、性能が高すぎますので、劣化品を作っていただく事になると思いますが……』
という話だった。
確かに、物作りは楽しいから好きだし、仕事に出来るかな? そう言って、一番初めに思い浮かんだのは老ドワーフたちの爺集団の様子だった。あいつらはいつも楽しそうだよな。でも、この商会ってこの先どうなるんだろ?
「ゼニス、この商会って俺のなんだよな?」
「もちろんそうですよ。それがどうかしましたか?」
「もしゼニスが引退したら、この商会はどうなるんだろうと思ってな」
「シュウ様にすべてを引き取ってもらいたいと思いますが、現状ではそのおつもりはないですよね? でしたら、お子様の誰かに引き継げればと思っています。興味を持ってくれるお子様ができると、こちらとしては嬉しいんですけどね」
「確かにな。すべてを引き継いでって言われても、自信ないわ。これから何人産まれるか分からないけど、興味を持ってくれる子供が出来るといいな。って、ゼニスの子供に任せるっていう訳にはいかないのか?」
「それはよろしくないのでは? 私や息子であれば問題ないですが、孫やその子供になった時には、さすがに問題が出てくるかと」
「ふむ、問題が出てくるのか? とりあえず、かじ取りはゼニスの息子に一先ず任せる方針はダメかな? で、俺の子供で何かに興味を持っている子が出てきたら、任せるというのはダメかな?」
「それは問題ないですが、今回の相談の趣旨って、この内容じゃないですよね? シュウ様の仕事が……という話では?」
「あぁ! そうだった! とりあえずゼニス、商品開発をしようと思う。こっちでも勝手に色々つくるけど、出来れば色々作ってもらいたい物の希望を出してくれると助かるかな。俺たちの頭だけだと作っても、採用されない物ばっかできそうでな」
「分かりました。とりあえず、商品開発部を作りましょう。職員のみんなから色々な提案をもらってそれを元に、シュウ様たちでなくても作れる魔導具や、普通の道具に設計してもらっていいですか?」
「了解。クリエイトゴーレムを使わない、魔導具や便利道具を作ればいいって事ね」
「できれば、影響の低い便利道具だと嬉しいですね。魔導具は、攻撃性の物は止めていただけると嬉しいです」
「はぁ? 街の人たちに売る魔導具で、何で攻撃性の物作らないといけないの? 守るモノならともかく、街の中で攻撃性のあるモノなんて必要ないだろ?」
「それならいいんです。シュウ様の作られる魔導具の中に、きわめて攻撃性の高いモノとかがあったので心配していたんです」
「必要に迫られて作ったモノが多いからな……ってかどんな物作ったのかもよく覚えてないわ。まぁ、攻撃的なモノは作らないから安心してくれ。基本的に売りに出すのは、便利道具やみんなのアイディアから作った魔導具にしようと思う」
「それでお願いします。後、商品開発部は売り上げを気にしないで問題ないですので、気軽にやってください」
「期待されてないって事か?」
「そうではないですよ。シュウ様が気にしていた、商会からの報酬分をそこに使ってはどうですか? って事ですね。まさかシュウ様も何の成果も無いのに、商会の金を使い潰すおつもりではないですよね? なら、自分のお金を使って思うままにやってみてはどうですか?」
「確かに俺が子供のために仕事をしたいから、仕事をもらいに来たのに、まだ何も成果も無いなら、商会から金を出すわけにはいかないよな。使いきれない金を少しでも減らせるか? ゴーストタウンに工房を作ろうか! 高くてもいいから広めの場所を確保してもらっていいか?」
「了解しました。工房はどうなさいますか?」
「簡単な設計はするから、全部ゴーストタウンの職人を雇おう。建物を作ってもらった後に、内側には俺達で必要な工事をするよ」
「なるほど。少しでも多くお金を使おうという事ですね?」
「そうだね。後、その工房で使う素材は全部買い集めよう。召喚すると趣旨から外れちゃうしな。俺たち以外にも作れるって事は、素材だって出回っているものを使わないと意味ないもんな。
品質が悪ければ、それに合わせて色々考えないといけないから……面白い! やる気が出てきた! じゃぁ、土地の事は頼む、工房の方はバザールと綾乃と相談してくるわ」
ゼニスは俺を見送ると、ほっと溜息をついた。そして、俺に聞こえない声で、
「カエデさん、ミリーさん、リンドさん……これでよかったんですよね?」
と……
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