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第947話 最凶の敵……
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20階に到着した。10階みたいに1フロア1部屋な階だったので、ボス部屋だと思ってた! でも違った。今まで洞窟のような通路だったダンジョンが、緑豊かな天井の高いダンジョンになっていたのだ。
「嫌な予感しかしないな……」
そう言っていると、ブブブブ……と羽音のようなものが聞こえる。目の前は草原だが、少し先の左手側に森が有りそこから羽音のようなものが聞こえている。しかも、日本の夏に耳元できくとイラッとするあの音が、大きくなった感じなのだ。
20秒後にその音の発生源が姿を現した。
「だからデカいって!」
その姿を見て思わず叫んでしまった。蚊を拡大してみた事ないから詳しい事は分からないけど、あれってどう見ても蚊じゃん! っと思えるビジュアルなのだ。体長50センチメートル位で顔の先に、注射器みたいな物を突き出してるんだから、そう言わずにはいれないって。
でもさ、あんな太い針のようなものに刺されたらさすがに痛いだろ。蚊はあの小さいサイズで細いあれを使って、血を吸うから痛覚が反応しないのであって、あんなに太く大きかったら痛いじゃ済まねえよ! それにさ、何十匹いるんだよ!
あんなサイズの蚊で、あの数吸われたら干からびちまうぞ。いや、10匹でも吸われたら死ぬだろ。
そんな事を考えていたら、すぐに魔法を発動していた。
【ファイアストーム】
蚊が飛んでいる下あたりから、炎の嵐が吹き荒れる。まわりの空気を吸い込みながら炎は高く高く渦巻いていく。近くを飛んでいた蚊は、吸い込まれるように炎へ吸い込まれていく。飛んで火にいる夏の虫? 全然意味違うな!
でもでも、効果は十分すぎる程! ちょっと遠くを飛んでいたはぐれ蚊1匹だけは、うちもらしと言っていいのだろうか? 焼もらし? そんな細けえことはどうでもいい! 倒せたという事実が俺を安心させてくれる!
満足げな顔をして魔法の結果を見ていると、妻たちからの冷たい視線が……
「ご主人様が突拍子もない事をするのは、今回が初めてじゃないですからあれですが、今度から一言声をかけてからお願いします!」
ちょっと語尾を強めに怒られた感じだ。そんな事もあるよね!
「ご主人様、あの魔法は火と風の複合魔法ですか?」
「んにゃ、イメージとしては周りの空気を吸い込むようにして、炎の渦が高く舞い上がるような感じだな。吸引力の変わらない! ってそれは違うな。まぁ竜巻を炎で作ったって所だな」
ライムに質問されて、俺がイメージした魔法の使い方を話してみたが、頭の上にクエッションマークが浮かんでいるのが分かるような表情をしている。
「皆さん! こんなところでゆっくりしている暇はないですよ! 早く進んでこの階を抜けますよ。魔法組はいつでも火魔法を放てるように準備しておいてください。
このフロアなら、火魔法に強い魔物は出てこないと思います。タンク陣は、範囲防御をできるようにフォートレスを準備しながら移動を! 斥候班、向こう側に次の階への階段があります。最短距離で行きますよ!」
ピーチが矢継ぎ早に指示を出していく。俺が突拍子もない行動をとったため、あの蚊の魔物と再度遭遇させるのは良くないと判断したようで、さっさと抜けてしまおうとしているのだ。
20階の半ばに差し掛かった時に、蚊が現れた森からまた何かが現れた。そこそこ距離が離れていたのに、何故何かが現れたのが分かったかと言えば、木の上に何かが動いてるのが分かるからだ。
「みんな! 後ろから何か来てる!」
たまたま振り向いた時に発見した俺がみんなに注意を促す。後ろを守っていたメルフィが気合を入れているのが分かる。今まで前や左右から攻撃されることはあっても、後ろからは少なく待機していたメルフィは早く出番が来ないかと思っていたらしい。
そんな中飛んできたのは、蜂だった。と言ってもハニービーとは違い倍以上大きい、スズメバチタイプの大物が100近く迫ってきていた。
「ピーチ! 任せて! メルフィ、フォートレスを地面から45度くらいの角度で最大出力で維持! イリアはメルフィの補助! 全員密集して!」
メルフィは、自分の出番が来たと張り切っている。ライムの指示に従って全力でフォートレスを発動した。イリアはメルフィの横に立って「頑張ろうね! メルフィちゃん!」といって、フォートレスの補助のために、外側に表面をすべるように上へ抜ける気流を作り出しているのが分かる。
メルフィは指示に従っているだけで、何が起こるか分かっていないようだが、イリアは正確に理解しているのではないだろうか? そうでなければ、ただ補助をと言われても何のことか訳が分からないはずだ。
スズメバチの魔物が10秒もすれば、近接組の戦闘圏内に入ろうとした瞬間、
【ダウンバースト】
魔法を発動するために集中していたライムが魔法を発動した。魔法名から読み取れるのは、下降気流の最上位みたいな天災クラスに危険な現象だったはず。下降気流の風の威力で、木がなぎ倒されるくらいの威力があるとかないとか。
この世界の魔物が魔力で飛んでいるとはいえ、これだけ強力な下降気流だったら抗えるはずもなく、スズメバチの魔物は地面へと叩き落されていく。
その様子を見ていたレミーがスズメバチの魔物を倒すために追撃を仕掛けるようだ。何やら呟いて集中している。そして足をあげて地面を思いっきり踏みしめるような仕草をした。
【アーススパイク】
そうするとスズメバチの魔物がいる所に沢山の細い突起物が出現した。何だろうな、土の釘? とでも呼べばいいのだろうか、それが統一性のない方向を向きながら大量に生えて、スズメバチの魔物を突き刺していたのだ。
程なくしてスズメバチの魔物は駆逐された。そしてピーチとライム、俺に声が聞こえる位置で俺を暴走させなくてすんだ! とか話すんじゃない! この世界の人間に比べれば、グロ耐性が低いからたまに暴走するけど、それを本人の目の前で言わないでくれよ。
20階では、上の階にもいたカマキリ・クモ・ハニービー・テントウムシの以外にも、トンボやヘコキムシみたいな魔物が俺たちの事を襲ってきた。
正直、ヘコキムシの魔物はさっさと倒そうとしたのだが、理由が分からなかった妻たちに止められて、ごたごたしている間にあれが解き放たれてしまって、呼吸するのが大変なほどの臭さが充満してしまった。
それによって、ニコ以外の従魔が全部気絶してしまった。この魔物が今までで一番てこずったかもしれないな。
「嫌な予感しかしないな……」
そう言っていると、ブブブブ……と羽音のようなものが聞こえる。目の前は草原だが、少し先の左手側に森が有りそこから羽音のようなものが聞こえている。しかも、日本の夏に耳元できくとイラッとするあの音が、大きくなった感じなのだ。
20秒後にその音の発生源が姿を現した。
「だからデカいって!」
その姿を見て思わず叫んでしまった。蚊を拡大してみた事ないから詳しい事は分からないけど、あれってどう見ても蚊じゃん! っと思えるビジュアルなのだ。体長50センチメートル位で顔の先に、注射器みたいな物を突き出してるんだから、そう言わずにはいれないって。
でもさ、あんな太い針のようなものに刺されたらさすがに痛いだろ。蚊はあの小さいサイズで細いあれを使って、血を吸うから痛覚が反応しないのであって、あんなに太く大きかったら痛いじゃ済まねえよ! それにさ、何十匹いるんだよ!
あんなサイズの蚊で、あの数吸われたら干からびちまうぞ。いや、10匹でも吸われたら死ぬだろ。
そんな事を考えていたら、すぐに魔法を発動していた。
【ファイアストーム】
蚊が飛んでいる下あたりから、炎の嵐が吹き荒れる。まわりの空気を吸い込みながら炎は高く高く渦巻いていく。近くを飛んでいた蚊は、吸い込まれるように炎へ吸い込まれていく。飛んで火にいる夏の虫? 全然意味違うな!
でもでも、効果は十分すぎる程! ちょっと遠くを飛んでいたはぐれ蚊1匹だけは、うちもらしと言っていいのだろうか? 焼もらし? そんな細けえことはどうでもいい! 倒せたという事実が俺を安心させてくれる!
満足げな顔をして魔法の結果を見ていると、妻たちからの冷たい視線が……
「ご主人様が突拍子もない事をするのは、今回が初めてじゃないですからあれですが、今度から一言声をかけてからお願いします!」
ちょっと語尾を強めに怒られた感じだ。そんな事もあるよね!
「ご主人様、あの魔法は火と風の複合魔法ですか?」
「んにゃ、イメージとしては周りの空気を吸い込むようにして、炎の渦が高く舞い上がるような感じだな。吸引力の変わらない! ってそれは違うな。まぁ竜巻を炎で作ったって所だな」
ライムに質問されて、俺がイメージした魔法の使い方を話してみたが、頭の上にクエッションマークが浮かんでいるのが分かるような表情をしている。
「皆さん! こんなところでゆっくりしている暇はないですよ! 早く進んでこの階を抜けますよ。魔法組はいつでも火魔法を放てるように準備しておいてください。
このフロアなら、火魔法に強い魔物は出てこないと思います。タンク陣は、範囲防御をできるようにフォートレスを準備しながら移動を! 斥候班、向こう側に次の階への階段があります。最短距離で行きますよ!」
ピーチが矢継ぎ早に指示を出していく。俺が突拍子もない行動をとったため、あの蚊の魔物と再度遭遇させるのは良くないと判断したようで、さっさと抜けてしまおうとしているのだ。
20階の半ばに差し掛かった時に、蚊が現れた森からまた何かが現れた。そこそこ距離が離れていたのに、何故何かが現れたのが分かったかと言えば、木の上に何かが動いてるのが分かるからだ。
「みんな! 後ろから何か来てる!」
たまたま振り向いた時に発見した俺がみんなに注意を促す。後ろを守っていたメルフィが気合を入れているのが分かる。今まで前や左右から攻撃されることはあっても、後ろからは少なく待機していたメルフィは早く出番が来ないかと思っていたらしい。
そんな中飛んできたのは、蜂だった。と言ってもハニービーとは違い倍以上大きい、スズメバチタイプの大物が100近く迫ってきていた。
「ピーチ! 任せて! メルフィ、フォートレスを地面から45度くらいの角度で最大出力で維持! イリアはメルフィの補助! 全員密集して!」
メルフィは、自分の出番が来たと張り切っている。ライムの指示に従って全力でフォートレスを発動した。イリアはメルフィの横に立って「頑張ろうね! メルフィちゃん!」といって、フォートレスの補助のために、外側に表面をすべるように上へ抜ける気流を作り出しているのが分かる。
メルフィは指示に従っているだけで、何が起こるか分かっていないようだが、イリアは正確に理解しているのではないだろうか? そうでなければ、ただ補助をと言われても何のことか訳が分からないはずだ。
スズメバチの魔物が10秒もすれば、近接組の戦闘圏内に入ろうとした瞬間、
【ダウンバースト】
魔法を発動するために集中していたライムが魔法を発動した。魔法名から読み取れるのは、下降気流の最上位みたいな天災クラスに危険な現象だったはず。下降気流の風の威力で、木がなぎ倒されるくらいの威力があるとかないとか。
この世界の魔物が魔力で飛んでいるとはいえ、これだけ強力な下降気流だったら抗えるはずもなく、スズメバチの魔物は地面へと叩き落されていく。
その様子を見ていたレミーがスズメバチの魔物を倒すために追撃を仕掛けるようだ。何やら呟いて集中している。そして足をあげて地面を思いっきり踏みしめるような仕草をした。
【アーススパイク】
そうするとスズメバチの魔物がいる所に沢山の細い突起物が出現した。何だろうな、土の釘? とでも呼べばいいのだろうか、それが統一性のない方向を向きながら大量に生えて、スズメバチの魔物を突き刺していたのだ。
程なくしてスズメバチの魔物は駆逐された。そしてピーチとライム、俺に声が聞こえる位置で俺を暴走させなくてすんだ! とか話すんじゃない! この世界の人間に比べれば、グロ耐性が低いからたまに暴走するけど、それを本人の目の前で言わないでくれよ。
20階では、上の階にもいたカマキリ・クモ・ハニービー・テントウムシの以外にも、トンボやヘコキムシみたいな魔物が俺たちの事を襲ってきた。
正直、ヘコキムシの魔物はさっさと倒そうとしたのだが、理由が分からなかった妻たちに止められて、ごたごたしている間にあれが解き放たれてしまって、呼吸するのが大変なほどの臭さが充満してしまった。
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