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第941話 ダンジョンは発見した
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「ふ~昨日はえらい目にあったな。朝覗いたらニコなんか、まだマッサージチェアの上にいたもんな。一晩中あそこにいたのかな?」
朝目を覚ましてストレッチに行く際に昨日の部屋を通ると、ニコが昨日とほぼ同じ位置に鎮座していたのだ。何というかバイブレーション機能の揺れで、多少移動しただけなんじゃないか? と思うレベルの違いしかなかったのだ。
なんだろな? 姿形は変わってないけど、気持ちニコの表面の艶が良くなっている気がするんだよな。マッサージされた事によって綺麗になった? とかないよな。
食事をとってから今日の予定を確認する。昨日決めた通り東にある違和感のあった、スペースを見に行くことになった。始めに見に行くのは北寄りにある方で、次に南寄りの方に向かって今日は帰ってくる予定になった。
「みんな、準備はできてるね? 今日は走っての移動になるから、索敵が甘くなる可能性に注意して進むよ。隠れている奴らはできるだけあぶりだすけど、不意打ちがあるから完全装備で進むよ!
イリアとライムは、ダマに乗って2人で相談しながらあの闇魔法を撃ってくれ。バッハは途中で先行して場所を教えてくれ。じゃぁピーチ、今日も頼むよ!」
方針を示したら後はピーチに丸投げ! ピーチが他のメンバーの配置を割り振る。俺は、魔法使い要員としての配置となり、ダマの近くになった。という事は、イリアとライムの近くって事だな。
高低差30メートルの階段を降りて出発する。
【クライ・オブ・ザ・バンシー】
1発目の闇魔法が発動された。昨日も倒してるはずなのに魔物の数が多いな、何だろなこれ。俺のダンジョンでも、こんなに湧くペース早くないんだけどな。湖のフィールドダンジョンみたいだな。
魔物のレベルが弱い代わりに、沸くスピードが異常に早いとかそういう感じなのだろうか?
イリアが立て続けに魔法を使い、進行方向にいる邪魔な魔物だけを切り捨てながら移動していく。ただ、1回攻撃すると補足されてる限りずっとついてくるようなのだ。MMORPGで言えば、トレインを呼ばれる迷惑行為である。
「ピーチ、数増えてるけどどうする? 魔法で吹き飛ばす?」
「今の所追いつかれていないので、そのままでもいいと思いますが、目的地に着いた時の事を考えるとあまり多いと面倒ですね。バッハの位置を考えるともう少しで中間だと思うので、そこで1度殲滅しましょう」
移動を開始してから約1時間30分が経過している。昨日の目算通り、3時間程で目的地に着けそうなのはいい情報だ。さて、どうやって殲滅するのだろうか?
「ご主人様、合図と同時に広域殲滅魔法をお願いしていいですか?」
「魔法の種類は指定ある?」
「可能なら火以外でお願いしたいのですが、大丈夫ですか?」
「了解。集中するから、少し移動速度を下げてもらうけどいいか?」
「了解です。みんな、ご主人様に移動速度をあわせてください。イリアとライムは引き続きあぶり出しを、シュリは後方に行ってご主人様の魔法の準備が終わるまで魔物の足止めを。タンク陣はシュリのサポートに! 他のメンバーも周囲の警戒をしつつ、まわりのサポートをできるように!」
ピーチから指示が飛ぶ。俺は今回使う魔法をイメージする。ただの風魔法で風の刃を大量に解き放つより、他の属性をあわせた方が効果的な魔法が使えるかな?
俺がイメージしたのはサンドブラスト。あれはただ単に砂を空気の力で押し出して削る道具だけど、工夫をすれば問題ないだろう。
風魔法で直径10メートル、高さ2メートル程の高速な風の流れをイメージして、そこに砂の代わりに土魔法で作った小さなまきびしを大量に突っ込む。かなり魔力が必要なので、スピードは落としたとはいえ集中するのに時間がかかってしまった。
その間にシュリたちタンク組は、フォートレスを張りながら俺の移動に合わせて後退している。攻撃を防ぎながらの後退って、戦争時における一番難しいと言われてる殿を、務める技術じゃなかったっけ? まぁ敵が弱いから同じとは言えないか?
「ピーチ、準備OKだ。俺の前に1人も出さないようにしてくれ」
「シュリだけは横にお願いします。全員止まってご主人様の後ろに!」
そう言うと、シュリ以外は俺の後ろに移動した。
【リングストーム】
イメージした通りの魔法が発動する。土魔法で作成したまきびしが通る風の道に木がふれると、物の数秒で削り取ってしまう。
10メートルまでサイズが大きくなると、今度はリングストームを自在に動かしてすべてを刈り取る死神の鎌とした。
俺たちを追いかけてきた魔物で、リングストームに飲み込まれたモノは、ほぼ全滅した。残っている魔物も追いかけてきた魔物の数を考えれば微々たるもので、追撃で放たれた魔法ですべてが終わった。
魔力は消費したがポーションで回復してすぐに移動を開始した。
2度目の殲滅を終えた時には、目的地の近くまで来ていた。バッハの飛んでいる姿がほぼ真上にあるのだから間違いないだろう。
先頭を移動していたマリーから、
「ご主人様! ダンジョンの入口らしきものを発見しました!」
と報告があった。
思ったより簡単に見つかったのは良いけど、俺の推測が正しければ、この島にはダンジョンの入口が4つもあるという事になる。繋がってるのか? それとも1つ1つ別のダンジョンなのか、判断にこまる状況になってしまった。
俺たちは、そのままダンジョンの中へ入り様子を確認する事にした。
「ん~洞窟系のダンジョンか。火山のダンジョンって話じゃなかったか? 記憶があいまいになって来たわ。溶岩が流れてるダンジョンかもしれないな。それにしても全方位にダンジョンが広がってる感じだな」
「ご主人様、ダンジョンの中だからマッピングできませんか?」
そういえばそうだった。フィールドダンジョンではマッピングができなかったけど、普通のダンジョンなら問題ないな。
久々にウィスプ達を召喚してダンジョンのマッピングを指示して、まわりに敵がいなかったので昼食を食べて移動を開始した。
「やっぱりこうなるわけか……」
南の方の目的地にもダンジョンの入口があった。もうこれは、西の2ヵ所にも入口があるのは間違いないだろう。
ただ朗報もあった。少なくとも東の2つのダンジョンは繋がっているだけで、入口が2つあるだけだった。
朝目を覚ましてストレッチに行く際に昨日の部屋を通ると、ニコが昨日とほぼ同じ位置に鎮座していたのだ。何というかバイブレーション機能の揺れで、多少移動しただけなんじゃないか? と思うレベルの違いしかなかったのだ。
なんだろな? 姿形は変わってないけど、気持ちニコの表面の艶が良くなっている気がするんだよな。マッサージされた事によって綺麗になった? とかないよな。
食事をとってから今日の予定を確認する。昨日決めた通り東にある違和感のあった、スペースを見に行くことになった。始めに見に行くのは北寄りにある方で、次に南寄りの方に向かって今日は帰ってくる予定になった。
「みんな、準備はできてるね? 今日は走っての移動になるから、索敵が甘くなる可能性に注意して進むよ。隠れている奴らはできるだけあぶりだすけど、不意打ちがあるから完全装備で進むよ!
イリアとライムは、ダマに乗って2人で相談しながらあの闇魔法を撃ってくれ。バッハは途中で先行して場所を教えてくれ。じゃぁピーチ、今日も頼むよ!」
方針を示したら後はピーチに丸投げ! ピーチが他のメンバーの配置を割り振る。俺は、魔法使い要員としての配置となり、ダマの近くになった。という事は、イリアとライムの近くって事だな。
高低差30メートルの階段を降りて出発する。
【クライ・オブ・ザ・バンシー】
1発目の闇魔法が発動された。昨日も倒してるはずなのに魔物の数が多いな、何だろなこれ。俺のダンジョンでも、こんなに湧くペース早くないんだけどな。湖のフィールドダンジョンみたいだな。
魔物のレベルが弱い代わりに、沸くスピードが異常に早いとかそういう感じなのだろうか?
イリアが立て続けに魔法を使い、進行方向にいる邪魔な魔物だけを切り捨てながら移動していく。ただ、1回攻撃すると補足されてる限りずっとついてくるようなのだ。MMORPGで言えば、トレインを呼ばれる迷惑行為である。
「ピーチ、数増えてるけどどうする? 魔法で吹き飛ばす?」
「今の所追いつかれていないので、そのままでもいいと思いますが、目的地に着いた時の事を考えるとあまり多いと面倒ですね。バッハの位置を考えるともう少しで中間だと思うので、そこで1度殲滅しましょう」
移動を開始してから約1時間30分が経過している。昨日の目算通り、3時間程で目的地に着けそうなのはいい情報だ。さて、どうやって殲滅するのだろうか?
「ご主人様、合図と同時に広域殲滅魔法をお願いしていいですか?」
「魔法の種類は指定ある?」
「可能なら火以外でお願いしたいのですが、大丈夫ですか?」
「了解。集中するから、少し移動速度を下げてもらうけどいいか?」
「了解です。みんな、ご主人様に移動速度をあわせてください。イリアとライムは引き続きあぶり出しを、シュリは後方に行ってご主人様の魔法の準備が終わるまで魔物の足止めを。タンク陣はシュリのサポートに! 他のメンバーも周囲の警戒をしつつ、まわりのサポートをできるように!」
ピーチから指示が飛ぶ。俺は今回使う魔法をイメージする。ただの風魔法で風の刃を大量に解き放つより、他の属性をあわせた方が効果的な魔法が使えるかな?
俺がイメージしたのはサンドブラスト。あれはただ単に砂を空気の力で押し出して削る道具だけど、工夫をすれば問題ないだろう。
風魔法で直径10メートル、高さ2メートル程の高速な風の流れをイメージして、そこに砂の代わりに土魔法で作った小さなまきびしを大量に突っ込む。かなり魔力が必要なので、スピードは落としたとはいえ集中するのに時間がかかってしまった。
その間にシュリたちタンク組は、フォートレスを張りながら俺の移動に合わせて後退している。攻撃を防ぎながらの後退って、戦争時における一番難しいと言われてる殿を、務める技術じゃなかったっけ? まぁ敵が弱いから同じとは言えないか?
「ピーチ、準備OKだ。俺の前に1人も出さないようにしてくれ」
「シュリだけは横にお願いします。全員止まってご主人様の後ろに!」
そう言うと、シュリ以外は俺の後ろに移動した。
【リングストーム】
イメージした通りの魔法が発動する。土魔法で作成したまきびしが通る風の道に木がふれると、物の数秒で削り取ってしまう。
10メートルまでサイズが大きくなると、今度はリングストームを自在に動かしてすべてを刈り取る死神の鎌とした。
俺たちを追いかけてきた魔物で、リングストームに飲み込まれたモノは、ほぼ全滅した。残っている魔物も追いかけてきた魔物の数を考えれば微々たるもので、追撃で放たれた魔法ですべてが終わった。
魔力は消費したがポーションで回復してすぐに移動を開始した。
2度目の殲滅を終えた時には、目的地の近くまで来ていた。バッハの飛んでいる姿がほぼ真上にあるのだから間違いないだろう。
先頭を移動していたマリーから、
「ご主人様! ダンジョンの入口らしきものを発見しました!」
と報告があった。
思ったより簡単に見つかったのは良いけど、俺の推測が正しければ、この島にはダンジョンの入口が4つもあるという事になる。繋がってるのか? それとも1つ1つ別のダンジョンなのか、判断にこまる状況になってしまった。
俺たちは、そのままダンジョンの中へ入り様子を確認する事にした。
「ん~洞窟系のダンジョンか。火山のダンジョンって話じゃなかったか? 記憶があいまいになって来たわ。溶岩が流れてるダンジョンかもしれないな。それにしても全方位にダンジョンが広がってる感じだな」
「ご主人様、ダンジョンの中だからマッピングできませんか?」
そういえばそうだった。フィールドダンジョンではマッピングができなかったけど、普通のダンジョンなら問題ないな。
久々にウィスプ達を召喚してダンジョンのマッピングを指示して、まわりに敵がいなかったので昼食を食べて移動を開始した。
「やっぱりこうなるわけか……」
南の方の目的地にもダンジョンの入口があった。もうこれは、西の2ヵ所にも入口があるのは間違いないだろう。
ただ朗報もあった。少なくとも東の2つのダンジョンは繋がっているだけで、入口が2つあるだけだった。
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