ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
901 / 2,518

第901話 順調順調

しおりを挟む
 日が明け各々が行動を開始する。

「みんな揃ったな! 昨日夜番をしていた1班は、睡眠を! 戦闘に出るのは2~7班。8~12班は午後まで待機、各自自主訓練を行うのは自由だが、動けなくなるような訓練は禁止だ。

 午後からは、8~12班と1班が戦闘にはいる。2班は夜番のための睡眠を! 残りの班は待機、各自自主訓練は自由だ。では、行動開始!」

 レイリーが兵士たちにそう指示を出した後、俺の方に向かってくる。

「シュウ様、少し時間よろしいでしょうか?」

「ん? 何か問題でもあったか?」

「問題ではありませんが、武器をメンテナンスできる施設がほしい所です。短期でも長期でも、戦闘を行うので専用の場所があると嬉しいです。後、長期になればきちんとした修理のできる人と、鍛冶場も用意してほしい所ですな」

「あ~そっか、俺達は自分たちで修理もできる人間がいるから気にしてなかったな。色々考えると兵士たちの中に、鍛冶能力のある人員がいる方がいいか?」

 随時戦争をするわけでは無いので、専属の鍛冶職人のような存在はいらないようだ。ディストピアに帰れば鍛冶能力の高いドワーフたちがいるし、全員が自分の武器を複数所持しているので、本当に長い期間でなければ問題ない様だ。

 多少であれば自分でメンテナンスができるので、他の街の兵士や騎士に比べれば継続戦闘能力はかなり高い。だからと言って、武器の修理ができない状況は看過できないのだ。

「どっちにしても、武器のメンテナンスを自分たちで出来る場所があったほうがいいわけか。だったらあれだな。船着き場を造るついでにメンテナンスできる施設を準備しておこう。一応、鍛冶場のできる場所も作っておくか」

 レイリーは俺の話を聞いて満足したようだ。後は、兵士たちの後詰めで改装などを手伝えない嫁たちを、待機させてほしいとお願いされたので、快諾しておく。元々その予定だったしな。一応、鑑定スキルで兵士たちのスキルの上がり方を、見ておいてもう予定だ。

 全員が行動を開始する。俺はレイリーに頼まれたことをみんなに伝えると、

「あれ? 拠点の1階だか2階に工房作るんじゃなかったっけ?」

「ん? そんなこと言ってた気もするけど、別の所に場所を準備する事にしたから、午前中は少し敷地を広げる作業をしよう。それが終わったら船着き場を造って、その後に兵士たちの使えるメンテナンス場所かな。バッハがいないから重機みたいな魔導具作るから、船着き場に使う建材を加工しておいてくれ」

 俺たちも手分けをして作業を開始する。

 その日の作業は何の問題もなく終わり、船着き場までは完成した。完成した後に、船をつけてから固定していく。

 兵士たちの方は、魔物たちはダンジョンの魔物と同じくらい効率で経験値を持っているようで、兵士たちのレベルが上がっているようだ。魔物のわき具合を考えるとダンジョンよりは効率がいいと思う。

 後詰めしていた妻たちも、特に問題なく安定した戦闘だったと評価している。あの中には、妻たちより長く戦闘に携わっている人もいるが、実力的には妻たちの方が上だからな。上から目線も仕方がないのかな?

 そんな事言ったら俺なんか、ほとんどがスキル頼りのごり押しに近いから、何も言えなくなってしまうな。

 特に大きな事故もなく、1日が過ぎてよかった。明日も頑張らないとな!

 メンテナンス工房を造っていると、休憩中のシフトの兵士たちが相談したいことがあると声をかけてきた。

 どんな相談事なのかビクビクしていたが、しっかりと訓練するスペースが欲しいとのことだった。即決は出来ないので、善処すると言っておいた。

 あれを綾乃たちに聞かれていたら、約束を守らない政治家かよ! みたいな事を言われたかもしれないな。そんな事にならないように、俺はすぐさまレイリーに相談しにいった。

 何故レイリーに相談しにいったかと言えば、訓練スペースを何処に作るかというものだ。

 上陸地点のフィールドダンジョン内に作るか、拠点の隣に作るかで悩んでいるからだ。

 メリットから言えば、絶対にフィールドダンジョン内に作るべきなのだが、ダンジョンの外での訓練もある程度は大切だと考えているからだ。

 ダンジョン内だと、スキルやレベルの成長は著しいけど、それを使う肉体や精神はその成長速度に追いつけず、ちぐはぐな形になってしまうからだ。

 そんな事を相談しに行くと、

「両方に作ったらいいのでは無いですか?」

 と、言われた。確かにその通りだった。別にどっちかにこだわる必要が無いことを思い出し、兵士たちには拠点の近くと、フィールドダンジョン内に訓練スペースを作ると伝えた。めっちゃ喜んでくれているようでうれしい限りだ。

 メンテナンス工房に関しては、俺がいなくても建てるのに問題が無かったので、俺はサクッとフィールドダンジョン内に訓練スペースを作りにいく事にした。

 訓練スペースを平らにするのは、兵士たちの後詰めでいるライムたち魔法組に手伝ってもらえば、整地は楽に出来るだろう。

 せっせと訓練スペースに柵を建てていると、

「ご主人様、何でフィールドダンジョンは、洞窟のダンジョンと違って地面に干渉できるの? クリエイトゴーレムでもいじれなかったよね?」

 隣でダマとシエルとじゃれていた、3人の内ネルから疑問を投げかけられた。

「あれ、何でだろ? 何となく出来ると思ったからやってたけど、ダンジョンなら干渉できないよな? フィールドダンジョンは別なのかな? 上陸する橋をかける所が残ってるから、当たり前だと思ってたけど、何でだろうな?」

 訓練スペースを作りながら、近くにいた妻たちを巻き込んで考えてみたが、答えは出なかった。解明されてない事柄をいくら考えても分からないので放置することにした。チビ神に聞く機会があったら聞いてみよう!

 今は、干渉できるという事が分かっているだけで十分だからな!

「とりあえず、分からない事を考えてもしょうがない、野郎共! 訓練スペースを完成させるぞ!」

 ノリで野郎共と言ったら、協力してくれていた妻たちに言葉の袋叩きにあった。
しおりを挟む
感想 316

あなたにおすすめの小説

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります

まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。 そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。 選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。 あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。 鈴木のハーレム生活が始まる!

スマートシステムで異世界革命

小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 /// ★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★ 新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。 それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。 異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。 スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします! 序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです 第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練 第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い 第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚 第4章(全17話)ダンジョン探索 第5章(執筆中)公的ギルド? ※第3章以降は少し内容が過激になってきます。 上記はあくまで予定です。 カクヨムでも投稿しています。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える

ジャック
ファンタジー
私立三界高校2年3組において司馬は孤立する。このクラスにおいて王角龍騎というリーダーシップのあるイケメンと学園2大美女と呼ばれる住野桜と清水桃花が居るクラスであった。司馬に唯一話しかけるのが桜であり、クラスはそれを疎ましく思っていた。そんなある日クラスが異世界のラクル帝国へ転生してしまう。勇者、賢者、聖女、剣聖、など強い職業がクラスで選ばれる中司馬は無であり、属性も無であった。1人弱い中帝国で過ごす。そんなある日、八大ダンジョンと呼ばれるラギルダンジョンに挑む。そこで、帝国となかまに裏切りを受け─ これは、全てに絶望したこの世界で唯一の「無」職の少年がどん底からはい上がり、世界を変えるまでの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 カクヨム様、小説家になろう様にも連載させてもらっています。

俺だけ展開できる聖域《ワークショップ》~ガチャで手に入れたスキルで美少女達を救う配信がバズってしまい、追放した奴らへざまあして人生大逆転~

椿紅颯
ファンタジー
鍛誠 一心(たんせい いっしん)は、生ける伝説に憧憬の念を抱く駆け出しの鍛冶師である。 探索者となり、同時期に新米探索者になったメンバーとパーティを組んで2カ月が経過したそんなある日、追放宣言を言い放たれてしまった。 このことからショックを受けてしまうも、生活するために受付嬢の幼馴染に相談すると「自らの価値を高めるためにはスキルガチャを回してみるのはどうか」、という提案を受け、更にはそのスキルが希少性のあるものであれば"配信者"として活動するのもいいのではと助言をされた。 自身の戦闘力が低いことからパーティを追放されてしまったことから、一か八かで全て実行に移す。 ガチャを回した結果、【聖域】という性能はそこそこであったが見た目は派手な方のスキルを手に入れる。 しかし、スキルの使い方は自分で模索するしかなかった。 その後、試行錯誤している時にダンジョンで少女達を助けることになるのだが……その少女達は、まさかの配信者であり芸能人であることを後々から知ることに。 まだまだ驚愕的な事実があり、なんとその少女達は自身の配信チャンネルで配信をしていた! そして、その美少女達とパーティを組むことにも! パーティを追放され、戦闘力もほとんどない鍛冶師がひょんなことから有名になり、間接的に元パーティメンバーをざまあしつつ躍進を繰り広げていく! 泥臭く努力もしつつ、実はチート級なスキルを是非ご覧ください!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

処理中です...