ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第857話 大イベントが来る!?

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 シルキーたちの執念が実り、会得したフランス料理の技法の一部を使った料理が、食卓に上がるようになってから2週間が過ぎた。

 出てくる料理は、フランス料理ではなく、手の込んだ日本料理とでも言えばいいのだろうか? いつもと同じ料理なのだが、料理が明らかに美味しくなっているのが分かる。フランス料理の技法を一部取り入れたからって、ここまで美味しくなるものなのだろうか?

 シルキーたちの調理技術に疑問を覚えるが、美味い物が食べられるなら細かい事は、どうでもよくなってしまったので放置する事にした。フランス料理の技法をある程度マスターしたら、料理漫画でも見せて漫画の料理を再現してもらおうかな? ああいうのって、一度は食べてみたいからね!

「ご主人様。最近、料理美味しくなったよね! シルキーさんたちが何か覚えたみたいで、ブラウニーさんたちに教えてるんだって! シェリルたちには、他の事が忙しいから時間ができた時に教えてくれるって言ってた!」

 シェリルの発言を聞いて、他の妻たちも食事が美味しくなった、と頷いていた。特に、シュリは食べる量が明らかに増えていた。量にすると、大体2割位か? 特に朝食の余りが少なくなったと、スライムに荷物を持たせているブラウニーが言っていた。

 というか、スライムたちは未だにダンジョンに行って遊んでいるのか。弁当を持たせて、見つけたパーティーに朝食の残りをあげているあれを、まだやっているとは思わなかった。

 俺たちに付いて行動していることが多いので、ダンジョンに行く回数は減っているだろうが、あれが自分の仕事だとでも思っているのだろうか? 俺の従魔たちは、ディストピアにいる時は、俺の護衛以外自由にしているからな。その護衛も、ほとんどダマが押し付けられているけどな。

 いつものようにする事が無かったので、今日はダマを連れて庁舎に向かう事にした。先週行ったっきりで、今週はまだ行ってなかったから様子を見に行くことにしたのだ。

「グリエル! 用事はないけど、来たぞ!」

 グリエルの執務室に乗り込む。

「シュウ様……来てくださるのは嬉しいですが、いきなり来るのは心臓に悪いので、お止めいただきたいと何度言えば分かってもらえるのでしょうか?」

「何度言われても無理かな? ここに来ようと思ったのは、ちょっと前だしね! もし来たら拙い日や、いない日は元々連絡してくれてるでしょ? だから、気が向いた時に来るのだよ!」

「そんな事を自信もって言わないでください」

「でさ、そこにいる2人はどちらさん?」

 グリエルの執務室には、グリエルとガリア、よく見る秘書が2人の他に、もう2人見た事ある気がする人物がそこにいたのだ。

「そういえば、久しぶりでしたね。こっちの茶髪の方が私の息子のモーリスで」

「こちらの金髪の方が私の息子のテオです」

 ディストピアに来てから、あまり会っていなくて覚えていなかったけど、

「昔に比べて……ガタイがよくなってないか?」

 2人とも、奴隷だった事もあって少し痩せ気味の印象だったが、今は冒険者もビックリするくらいガタイがよくなっていたのだ。

「そうですか? 自分ではあまり意識してないのですが、そんなに違いますか?」

 体格だけで言えば、1回り以上大きくなっているように見える。それに身長も伸びて、俺より大きくなってるもんな。俺ももう少し身長欲しかったな。

 少し昔話をしていると、

「それで、シュウ様。今日は何しにこちらへ来られましたか?」

「先週来たけど、今週はまだここに来てなかったから、いつもの様子見? みたいな感じで来たたけだよ。何かあったら聞いていこうかなって」

「グリエル、ならちょうどいい機会だから息子たちが初めて、自分たちで行う仕事について話ておかないか?」

「そうですね。シュウ様、少し時間をいただきますがよろしいですか?」

 そう言って席に誘導された。

 今まで、グリエルやガリアの下だけでなく、部下の下で色々な仕事を経験させてきて、独り立ちというのには過保護な状況だが、その息子たちが初めて仕切る仕事について、最終確認をしていたそうだ。そこに俺が来て一緒に話を聞く事になった。

 どんな事をするのか気になったので、ガッツリと聞いてみた所、俺たちが捕らえてきたトリプルの冒険者たちと、近々くることになっているゼクセンの街の領主と、犯罪者一行の公開処刑ならぬ、公開処罰といった感じの事をするらしい。

 地球でも昔は、公開処刑が娯楽の一つだった時代があったとか聞いた事があるけど、この世界でも同じなのだろうか?

 なんて考えていたら、男性性犯罪者に対するホモークや、冤罪をかぶせようとした女性たちに対するオークたちも、公開処罰だという事を言われて納得した。俺的には、娯楽というよりは被害者の気をはらすための1つの政策だったのだが、俺の知らない所で娯楽としても使われているようだ。

 最近ゴーストタウンに完成した、コロシアムをモデルとした円形闘技場ができたそうで、そこの完成イベントとして、モーリスとテオがそのイベントを仕切る事になった。初めからそんな大イベントでいいのかと思ったが、きちんとフォローをする体制を作っているので問題はないとの事。

 完成イベントで2人は、トリプルの冒険者たちをつかって、決闘をさせてはどうかという事だった。

 相手は、ホモークだとの事。さすがにあいつらには勝てないんじゃないかと思ったが、ホモークはよくダンジョンに行って、自分磨きという名のレベル上げをしているそうだ。しかもしゃべれるようで、犯罪者以外には見向きもしない紳士的な魔物らしい……

 ホモークも見世物になっているのを分かって、男性性犯罪者たちを犯しているとの事だ。初めからそういう環境だったためか、そういう状況じゃないと興奮しなくなってしまったとは、ホモークたちの言だ。

 そして、ホモークたちのレベルを聞いて……俺は背筋が寒くなった。

 5匹いるホモーク全員がLv500を超えており、オークの変異種のブラッドオークの更に変異種。もともとAランク相当のポテンシャルを持っている魔物が、俺たちが勝手に考えている境界線だが、Sランクの区切りだと思っているLv300を、余裕で越してた事に衝撃を受けた。

 変異種だけあって、ステータスもブラッドオークと同Lv帯で比べると、ホモークの方が2~3割程高いのだ。

 それなら問題ないという事で、このイベントのメインが決まったようだった。確かに一対一で同等の装備であれば、負けないだろう。もし、冒険者たちが勝った場合でも、公開処罰の『あ゛~~~!!』は無くなるが、無罪放免になるわけでは無い事に安心した。

 ただ、コロシアムでイベントをするだけでなく、商業ギルド等が露店等をだしたり、賭けを行ったりして街をあげて楽しむそうだ。

 冒険者たちの公開処罰だけでなく、闘技大会のような物を前座で行うそうだ。冒険者の腕試しや、護衛たちの力自慢を含めて色々行う計画になっているようだ。

「シュウ様、闘技大会のメインでシュウ様たち、ディストピアの頂点の中から、何名か出ていただけませんでしょうか?」

 おっと、ホモークに衝撃を受けていたら、突然話が俺にふられた。

「一応、みんなにも聞いてみるわ。妻たちが許可をしてくれたら、俺も出るかも。誰が出るか分からないけど、1人は必ず出すわ。最悪、レイリーあたりでもいい?」

「レイリーさんですか。シュウ様たちの誰が出ても一緒だと思うので、問題ありませんね。対外的にディストピアの戦力を知らしめたいだけですので、顔になる人であれば問題ないかと」

「了解!」

 そのまま、コロシアムの完成イベントの細かい話を聞いた。
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