ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
836 / 2,518

第836話 一路帰宅

しおりを挟む
 ハイフェアリーのロジーが戻ってきた。

「準備できたよ~」

「ロジー、1つ聞いていいか? ダンジョンコアって、今行った部屋にあったのか?」

「うん、そうよ! あいた~!」

 無い胸をはって偉そうに言ったので、デコピンをくらわしてやった。

「このダンジョンの制御をもらう予定だったのに、1人で先に行ってどうするだよ。2度手間になるだろうが。それに準備できたって言っても、何も持ってないだろ?」

「へっへーん! この指輪を見て見なさい! そしてこのかばん! 「おぉ、お前も収納の鞄持ってるんだな」え? あんたも持ってるの?」

「そりゃ稼いでるからな。ちなみにここにいる全員、個人の私物を入れるために収納の腕輪持ちだぞ」

 器用に飛びながら、膝をついて両手を地面につけているような仕草をしている。

「まぁいい。ダンジョンコアの場所に連れてってくれ。掌握したらいったんカレリアに帰るぞ。ロジーは帰ったら、ちょっと話があるからよろしくな」

「もちろん美味しい物はあるわよね!?」

「俺の配下? と言っていいのか微妙だが、その中でも料理が得意なシルキーがいるから、何か作ってもらおう。食べるからには話を聞けよ!」

 ロジーの案内を受けて、ダンジョンコアのある所に誘導してもらった……が、生身でたどり着くのが無理だったので、移動用に一時的に通路を作ってもらった。これからはDPを稼げなくなるけど、このダンジョンのDPは、俺のスキルを通して使ってもらえるようにすればいいだろう。

 ダンジョンを出るために階段を登ると、

「え? もう見つかったのですか?」

「いや、このダンジョンと関係はあったようだけど、今はここにいないという事が分かったので、引き返してきただけだ」

「どういうことですか?」

 う~ん……どうやって答えるべきか。

「魔物にも知性があるモノがいるのは、知っていますか? 私たちは完璧とまでは言いませんが、魔物たちとコミュニケーションをとる事ができるのです。

 ダンジョンの中で遭遇した中に、たまたま今回の件の経緯を知っているモノがいて話を聞いたら、私たちが探している対象は、すでにこの中にはいないとの事でした。それで1つお聞きしたいのですが、ここは国軍の人間だけしか入れないのでしょうか?」

 俺が悩んでいると、綾乃が後ろから前に出てきて、嘘を言わずに本当の事だけを言って兵士に質問をしている。

「えっと、冒険者は入れませんが、街の兵士や騎士たちは入る事が出来ます。演習と言って、このダンジョンに来ていますね」

「例えば近くの街、カレリアやゼクセンの街から兵士が来て、訓練するって事か?」

「そうですね。そう言った街から兵士がくる時は、王や侯爵以上の貴族の許可を持ってくる形ですね。今話に出たカレリアの街であれば、2ヵ月前位に訓練に来ていましたね。

 後は、ゼクセンからは半年程前でしょうか? 他にも、新人の兵士も送られてくることがあり、ここで鍛えてから街に帰っていく事もありますね」

 多分、あたりだな。ゼクセンの街の勇者が、兵士に紛れてきた可能性があるわけだ。侵入ではなく、正規のルートとでも言うのだろうか? それで中に入って、ロジーをたまたま見つけたって事だろうか?

 勇者は単にレベル上げに来たのに、運よく発見したって事か? 運か? まさか俺みたいに幸運の3セットとか持ってたりしないよな? 最近こいつらの恩恵をもらっていない気がするけどな。

「君、色々と教えてくれて助かったよ。俺たち、商売もやっていて、そこで手に入れた肉をいくつか贈呈しよう。1人500g位食べるとして、この大きさからすれば1000人はいないだろうから、500キロ
グラム分位のダンジョン牛の牛肉を贈呈しよう。えっと、肉担当は今回誰だっけ?」

「あ、私です。そこのあなた、調理場か保存庫のような所に案内してくださらないかしら?」

 スカルズの1人が手をあげて、兵士に肉の出す場所へ誘導してもらい、500キログラム分のダンジョン牛の肉を提供した。

 ちなみにダンジョン牛は、ダンジョン農園でブラウニーが品種改良をしている牛で、ダンジョンの中に住んでいるだけの普通の牛だ。ダンジョンの中にいるけど魔物ではないのだ! あの中は、家畜にとって最高の環境を作り出せるから、便利なのだ!

 しかも、ダンジョンの魔物用に設定されたと思われる、繁殖促進や成長促進というダンジョンに付与できるタイプのスキルも、バザールがダンジョンバトルをしていて、勝ちを続けている事で使えるようになったので、もうね、すごい!

 バザールが上位ランカーとダンジョンバトルした時は、勝てなかったらしい。Sランク相当のLvを上げたスケルトンの部隊を出しても攻めきれず、バトル期間の設定してあった2ヶ月を過ぎてしまい、ドローで終わったとの事だ。

 その際に20体中4体のスケルトンが倒されてしまったらしい。それに、あともうちょっとで、こっちのダンジョンの最奥に到着されるところだったとか。

 上位ランカーの使っている魔物は、AランクとかBランクとかが多かったのだが、しっかりとLvを上げていて、Sランクもなぎ倒せるくらい強かったらしい。バトルシーンとか見てみたけど、魔物の使い方が上手かったという印象を受けた。

 こういう相手と、上限DPが決まったダンジョンバトルとかしてみたいね! 上位ランカーならSランクの魔物も複数囲っているはずだし、全力では無かったと思う。そう考えると、ぜひ倒したくなるな! バッハとリバイアサン無しで!

 あいつらを使ったら、間違いなく負けはない。バッハは最奥で、リバイアサンはちびっ子フォルムで進んでいけば、勝てるやつはいないけど……それじゃあ面白くないもんな。

 知略を織り交ぜたダンジョンバトルとかもしてみたいな。バザールやロジーとダンジョンバトルしてみようかな? あいつらも、ダンジョンマスターなんだしな。

 なんて考えていたら、すでに目の前にはカレリアの城壁が見えた。

 ちなみにロジーは、ダンジョン牛をみたらあれも食いたいと騒ぎ出して、牛串を出してやったらお腹をぽっこりと膨らませて気持ちよさそうに、クッションの上に寝転んでるんだよな。

 あの身長と体型で、バナナ2本にまぁまぁ大きいサイズのホットケーキに、今食べた1本300g位ありそうな牛串を、どうやって胃に収めたんだ? 明らかに体積がおかしい……
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ
ファンタジー
 地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。  そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。  できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!! 第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる

けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ  俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる  だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った

処理中です...