ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第831話 意外な人たちの参加

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 綾乃の調査が芳しくないが、継続して行ってもらう事をミドリがお願いをして、解決してくれたので、俺は俺で問題解決のための一手を打たないとな。そのため、カレリアに一緒に行っている4人も、ディストピアに意識を戻してもらって、会議を始めた。

「やっぱり、綾乃による調査の状況はよくないね。もともと発見出来たら儲けものと考えていたから、予定通りと言えば予定通りなんだけどね。

 1週間しか経っていないと言えば、それまでなんだけどあまり時間をかけるつもりもないので、当初の計画通りDPの生産拠点となっている、ダンジョンを掌握しようと思う。そのために、みんなには集まってもらったんだけど、ダンジョン攻略に行きたい人?」

 会議というか、ダンジョン攻略に参加するメンバーを誰にするかという話し合いという事だ。参加を募ってみても、妻たちの反応はよくない。なんというか、微妙なダンジョンを攻略するより、優先する事があると言った感じだ。

「となると、やっぱりカレリアに出向いている俺たち5人で対処するしかないか?」

 今回の様子を見ていて思ったが、俺が考えているより妻たちは冷静というか、落ち着いている? 気がする。俺だけが怒っているような感じだ。何故だろう?

 ただ妻の中で1人だけ俺と同じように、怒っているミリーでさえ魔熱病の対応より、優先する事があると言った感じだ。ちょっと違うか? 魔熱病に関しては、とるに足らない事だと思っているのかな。うん、それが近い感じがするな。

「シュウ、人数が必要ならスカルズの皆に声をかけてみたらどう?」

 そう言ったのはカエデだった。人数がいると便利なのは確かだけど、スカルズの皆には別の仕事まかせてるし、それ以外は自由にしていていいっていう約束だしな。

「この前、する事がなくて暇なんだよね~、ってボヤいてましたよ。レッドドラゴンを狩っている時以外にも、いろんな所に遠征に行くくらい暇してるみたい」

 追加情報を落としたのはミリーだった。

「というか、最近よく私たちの所に来て、愚痴って帰っていくから面倒なのよね。連れてってストレス発散させてあげてくんない?」

 最後にリンドの言葉だ。スカルズの皆はどうやら暇らしく、姉御組の3人によく愚痴をこぼしているらしい。

「ついて来てくれるかは、聞いてみればいいと思うけど?」

「それもそうだな。聞いてみればいいか、ダメなら違う方法を考えればいいわけだし。スカルズの皆の無線番号はこれだな」

 魔導無線のチャンネルを合わせてボタンを押すと同時に、部屋の扉が勢いよく開かれた。

『シュウ様! なんか御用事ですか?』

「あ~大体わかった。みんなしてこれを企んでたんだろ。冷静を装っているけど、口元を隠しきれてないぞ」

 俺がポカンっとした顔をしていると、妻たちの半数位が口の端を釣り上げて、笑いをこらえているのが分かり、これは計画されていたのだと理解した。

「で、こんなに手の込んだ事をして何がしたかったんだ?」

『え? ミリーさんが言ったように、レッドドラゴンを狩るのもパターン化しちゃいまして、楽な作業なので暇なのです。新しい刺激がほしいというのもありますが、一番はこっちの3人の恨み返しができる機会が、あるかもしれないと思いまして!』

 ケモミミ3人娘の方を指さした。

『聞く所によると、シュウ様が今いる街がカレリアと聞いて、居ても立っても居られなくなって、シュウ様の奥様たちに頼んだのです。私たちを罠にはめた領主がカレリアの隣街の領主なので、出向く機会があるかと思いまして……ダメですか?』

 この娘たちをこき使っていた貴族は処罰されたと思っていたが、元凶の貴族がカレリアの街の近くにいたのか……これは国王に追加案件として、隣町の領主を引きずり下ろす必要があるな。代わりの人間を寄越してもらわないと街が荒れてしまうな。

「了解。妻たちを説得しているなら、俺も否定はしないけど、すぐにはダメだぞ! 準備が整ってからじゃないと街の住人が混乱するからな。グリエルから後で連絡をさせておくから、準備が整ってからな」

 妻たちも了解しており、スカルズもやる気であるなら、止めても意味がないだろう。妻たちがグリエルを説得するか、俺が説得するかの違いでしかない。それに、止める意味も無いしな。悪い事をしたんだから、その報いを受けろという物だ。

 今までの事を考えると、一族全員が奴隷落ちになるんだろうな。ケモミミ3人娘の受けてきた事を考えれば、連帯責任で妻や娘たちがいれば同じ目に合うかもしれないな。見た目がよければだけどな。

 っと、俺もこんなことを考えても、心がチクりともしなくなったな。前は、悪い事をした人間だけが、報いを受けるのが普通だと思っていたが、今では放置した一族も同罪だと考えるようになってきている。

 俺が許可を出すと同時に魔導列車のホームへ走って行った。もう準備ができてるんだな、さすがだ。って、装備だけあれば、後は何の問題もないか。走り去っていく7人を見送って、妻たちに目を戻す。

「シュウ君、あの子達の事を考えてくれてありがとね」

「ミリー、俺が許可出さなくても結果は同じだっただろ? 初めからこんな手の込んだことしなくても、話してくれたら問題なかったのにさ」

「それは違うわよ。シュウ君が許可を出すか出さないかでは大きく違うんだから。トップの人間が許可を出したという事は、その組織の中でこの行動が認められたって事だよ? シュウ君が許可をしてくれなかったら、私たちの独断でやった事にして罰を受けるつもりだったからね。

 あの子たちのされたことを考えると、罰を受けても実行する価値はあると私たちは考えたの。何も話をしないで事を起こそうかとも考えたけど、それはあの子たちに止められたから、今回こうして話したの」

「素直に話してくれたら、あんなアホ面をしなくてすんだのに。それに、こういった内容ならグリエルだって喜んで許可を出すさ。多分俺が拒否しても、みんなみたいに自分の責任です! とか言ってな」

「シュウが優しいのは知っているよ。話せば、よっぽど間違っている事じゃなければ、許可してくれることも。でもね、たまにはシュウのこういった顔が見れるのも悪くないわ! ちょうどよかったから利用しただけよ!」

 カエデがそういうと、妻たちがみんな笑いだす。「カエデさん! それは言っちゃだめ!」とか言っている妻もいたので、ミリーの話でシリアスな感じになったが、結局は俺の様子を見て楽しむために仕組んだものだと理解した。恥ずかしいけど、みんなが喜んでくれるならいいか。

 グリエルに連絡すると『あ、国王には先に連絡を入れておきました!』と返答があり、ポカンとした顔をまたしてしまい、妻たちに笑われてしまった。まさかグリエルまで共犯だったとは! 本当に俺が許可するか、しないかだけの差でしかなかったんだな。
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