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第820話 内なる怒り
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魔法薬屋の店主から聞いた話はこうだ。
王国にある家から家族と一緒にゴーストタウンに、引っ越してくる道中で寄った街で、商品の仕入れと一緒にオマケとしていただいた魔法薬だったそうだ。街の名前までは憶えていなかったが、王都の北側から西まわりに進んできたとの事だった。
どういった所だったのかを聞くと、近く……といっても半日ほど歩いた所に、あまりランクの高くないダンジョンがあって、比較的安全なダンジョンだからといって、王国がダンジョンの完全攻略をさせないように、ダンジョンのボス部屋の前に勝手に拠点を作り居座っているらしい。
居座っているらしいというのも、拠点の中には誰も入った事が無く、人が出入りした所を見た事が無いため『らしい』ということだ。
「情報ありがとね。これからは、プレゼントだったとしても色々裏があると思って、注意した方がいいよ。商人だからわざわざ言う必要があったかも微妙だけど、引っ越しやら何やらで気が緩んでいただけだと思うけどね」
店主は、たはは……といった感じで苦笑いをしていた。
とりあえず、敵性ダンジョンマスターが王国の庇護下にあるかは分からないが、大体の場所は把握できたと思う。王国の冒険者ギルドで働いていた事のあるミリーなら、何か知っているだろう。夕食の後にでも聞いてみよう。
店巡りも終わった事だし、さっさと家に帰ってシルキーの美味しい飯でも食べよう。
食事も終わったので今までの状況報告を兼ねてみんなに残ってもらっている。
「……という事で、フレデリクの対応は、これで大体大丈夫だと思うよ。それで今日、バザールに荷物を届けた後に時間があったからゴーストタウンの店をめぐってきて、面白い情報を見つけたんだよ!」
ちょっと得意げに話している時に、シュリやピーチがピクリと反応をして、誰にも聞こえない声で「1人で?」とつぶやいていた。俺はこの時に迂闊な発言をしてはいけないと、きちんと理解しておくべきだった。
「最後に寄った店屋だったんだけど、そこでたまたま『魔熱病』の魔法薬を発見したんだ。そこの店主にどこで購入したのかを、ちょっとお金を払って聞いたわけ。
で、ミリーに聞きたいんだけど、王国の北部から西まわりで移動した時に、どこかの街から半日ほど歩いた所にダンジョンがあるみたいなんだけど、その情報で街の名前が分かったりしないかな?」
「えっ? えっと……王国の西側で、歩いて半日くらいの所にダンジョンがある街ですか? 確か3つほどありますが、他に情報はありませんか?」
「ダンジョンってそんなにいっぱいあるの? ダンジョンマスターが過去に何人もいたとか? それは後でいいか。えっと、王国がダンジョンを完全攻略させたくないみたいで、ボス部屋の前に拠点を作って居座っているらしいとかなんとか?」
「冒険者がいけるダンジョンでないっていうなら、話は別ね。王国が専用の訓練場所にしている場所があったはずよ」
「ん? 冒険者がいけないとなると話が別ってどういう事?」
「えっとね、王国に限らず大国や小国でも、独自にダンジョンを管理っていうとちょっと違うかな? この場合は占拠しているって、言った方がいいかな? 独自に兵士を訓練させているダンジョンがあるのよ」
「多分、敵性ダンジョンマスターがそこにいて、王国の庇護下にあるかは知らないけど、そこのダンジョンマスターか関係者が、その街で『魔熱病』の魔法薬を店主に渡したんだと思う。やけに品質のいいポーションも取り扱ってたから、ダンジョンマスターが召喚したポーションだった可能性も高いかな?」
「え? じゃぁ、その店主はダンジョンマスターの回し者?」
「それは無いと思うよ。家族で引っ越してきたのに『魔熱病』で壊滅させる程バカじゃないでしょ」
「でもそうすると、フレデリクでどうやって『魔熱病』の魔法薬を使ったのかしら?」
「多分、飛行系の魔物を使ったんじゃないかと考えてる。推測だらけだけど、王国で出回っている噂でフレデリクの街に、ダンジョンマスターがいると判断したそいつは、飛行系の魔物をつかって『魔熱病』の魔法薬をフレデリクに落としたんじゃないかと思う。
で、運良く処理出来たらラッキー、相手を疲弊させるくらいの気持ちでやったんじゃないかな? 同じ理由で、ゴーストタウンにいく商人を見つけたから、『魔熱病』の魔法薬を持たせたんじゃないかと思ってるんだ」
今回の事は俺を狙った攻撃かと思ったが、偶然の産物だったと俺は考えたのだ。ゴーストタウンで偶然見つけた『魔熱病』の魔法薬が俺にそう思わせたのだ。
そもそも、ダンジョンマスターが誰か分からないのだから、殺せる可能性があるなら試してもおかしくないだろう。相手だ自分より強い事を念頭に置いて考えるなら、生き残るためには間違った選択肢じゃない。
それに、フレデリクの街に近い場所にダンジョンがあるなら、そこへの出入りを止めれるなら、ダンジョンが干上がる可能性だって低くないはずだ。俺じゃないダンジョンマスターならだけどな。
「理由はどうあれ、数万人規模の街を巻き込んで、全員が死ぬ可能性だってあったのに、それを実行に移すんだから、やってはいけない事を平気でやったんだ。
俺は、このダンジョンマスターがいる事を前提に動く。俺の大切な街に手を出そうとした報いを! そして徹底的に恐怖を刷り込み、一生後悔させる! 死なんて生ぬるい事はさせない!」
そう、俺はめちゃくちゃ怒っているのだ。もし俺が何の力も無くて抗えなかった場合、本当に嫁や大切な仲間達が死んでいたかもしれないのだ!そんな事が許せるはずがないのだ。徹底的な報復をおこなって、後悔させてやるんだ!
王国にある家から家族と一緒にゴーストタウンに、引っ越してくる道中で寄った街で、商品の仕入れと一緒にオマケとしていただいた魔法薬だったそうだ。街の名前までは憶えていなかったが、王都の北側から西まわりに進んできたとの事だった。
どういった所だったのかを聞くと、近く……といっても半日ほど歩いた所に、あまりランクの高くないダンジョンがあって、比較的安全なダンジョンだからといって、王国がダンジョンの完全攻略をさせないように、ダンジョンのボス部屋の前に勝手に拠点を作り居座っているらしい。
居座っているらしいというのも、拠点の中には誰も入った事が無く、人が出入りした所を見た事が無いため『らしい』ということだ。
「情報ありがとね。これからは、プレゼントだったとしても色々裏があると思って、注意した方がいいよ。商人だからわざわざ言う必要があったかも微妙だけど、引っ越しやら何やらで気が緩んでいただけだと思うけどね」
店主は、たはは……といった感じで苦笑いをしていた。
とりあえず、敵性ダンジョンマスターが王国の庇護下にあるかは分からないが、大体の場所は把握できたと思う。王国の冒険者ギルドで働いていた事のあるミリーなら、何か知っているだろう。夕食の後にでも聞いてみよう。
店巡りも終わった事だし、さっさと家に帰ってシルキーの美味しい飯でも食べよう。
食事も終わったので今までの状況報告を兼ねてみんなに残ってもらっている。
「……という事で、フレデリクの対応は、これで大体大丈夫だと思うよ。それで今日、バザールに荷物を届けた後に時間があったからゴーストタウンの店をめぐってきて、面白い情報を見つけたんだよ!」
ちょっと得意げに話している時に、シュリやピーチがピクリと反応をして、誰にも聞こえない声で「1人で?」とつぶやいていた。俺はこの時に迂闊な発言をしてはいけないと、きちんと理解しておくべきだった。
「最後に寄った店屋だったんだけど、そこでたまたま『魔熱病』の魔法薬を発見したんだ。そこの店主にどこで購入したのかを、ちょっとお金を払って聞いたわけ。
で、ミリーに聞きたいんだけど、王国の北部から西まわりで移動した時に、どこかの街から半日ほど歩いた所にダンジョンがあるみたいなんだけど、その情報で街の名前が分かったりしないかな?」
「えっ? えっと……王国の西側で、歩いて半日くらいの所にダンジョンがある街ですか? 確か3つほどありますが、他に情報はありませんか?」
「ダンジョンってそんなにいっぱいあるの? ダンジョンマスターが過去に何人もいたとか? それは後でいいか。えっと、王国がダンジョンを完全攻略させたくないみたいで、ボス部屋の前に拠点を作って居座っているらしいとかなんとか?」
「冒険者がいけるダンジョンでないっていうなら、話は別ね。王国が専用の訓練場所にしている場所があったはずよ」
「ん? 冒険者がいけないとなると話が別ってどういう事?」
「えっとね、王国に限らず大国や小国でも、独自にダンジョンを管理っていうとちょっと違うかな? この場合は占拠しているって、言った方がいいかな? 独自に兵士を訓練させているダンジョンがあるのよ」
「多分、敵性ダンジョンマスターがそこにいて、王国の庇護下にあるかは知らないけど、そこのダンジョンマスターか関係者が、その街で『魔熱病』の魔法薬を店主に渡したんだと思う。やけに品質のいいポーションも取り扱ってたから、ダンジョンマスターが召喚したポーションだった可能性も高いかな?」
「え? じゃぁ、その店主はダンジョンマスターの回し者?」
「それは無いと思うよ。家族で引っ越してきたのに『魔熱病』で壊滅させる程バカじゃないでしょ」
「でもそうすると、フレデリクでどうやって『魔熱病』の魔法薬を使ったのかしら?」
「多分、飛行系の魔物を使ったんじゃないかと考えてる。推測だらけだけど、王国で出回っている噂でフレデリクの街に、ダンジョンマスターがいると判断したそいつは、飛行系の魔物をつかって『魔熱病』の魔法薬をフレデリクに落としたんじゃないかと思う。
で、運良く処理出来たらラッキー、相手を疲弊させるくらいの気持ちでやったんじゃないかな? 同じ理由で、ゴーストタウンにいく商人を見つけたから、『魔熱病』の魔法薬を持たせたんじゃないかと思ってるんだ」
今回の事は俺を狙った攻撃かと思ったが、偶然の産物だったと俺は考えたのだ。ゴーストタウンで偶然見つけた『魔熱病』の魔法薬が俺にそう思わせたのだ。
そもそも、ダンジョンマスターが誰か分からないのだから、殺せる可能性があるなら試してもおかしくないだろう。相手だ自分より強い事を念頭に置いて考えるなら、生き残るためには間違った選択肢じゃない。
それに、フレデリクの街に近い場所にダンジョンがあるなら、そこへの出入りを止めれるなら、ダンジョンが干上がる可能性だって低くないはずだ。俺じゃないダンジョンマスターならだけどな。
「理由はどうあれ、数万人規模の街を巻き込んで、全員が死ぬ可能性だってあったのに、それを実行に移すんだから、やってはいけない事を平気でやったんだ。
俺は、このダンジョンマスターがいる事を前提に動く。俺の大切な街に手を出そうとした報いを! そして徹底的に恐怖を刷り込み、一生後悔させる! 死なんて生ぬるい事はさせない!」
そう、俺はめちゃくちゃ怒っているのだ。もし俺が何の力も無くて抗えなかった場合、本当に嫁や大切な仲間達が死んでいたかもしれないのだ!そんな事が許せるはずがないのだ。徹底的な報復をおこなって、後悔させてやるんだ!
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