ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第792話 あっけない終息

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『あんた! 何てことするのよ! さすがにダンジョンを水攻めするとか、鬼畜の所業よ!』

 うっせうっせ! 黙れ! 大規模な水魔法で攻め落としただけだろ! もしそれがルール違反だったら出来ないようになってるんだろ? できるって事は、ルール違反ではないって事だろ? じゃぁ、文句を言われる筋合いはない! と言うか、後ろでゲラゲラ笑ってるやつらは何だ?

『もしかしたら、ダンジョンバトルじゃないダンジョン攻略が始まるかもしれないって、神たちが集まってきたのに、15分もしないうちにダンマスが死んで、あんなことできるのか! みたいな感じでゲラゲラ笑ってるのよ! あんたの非常識っぷりが原因よ!』

 非常識って言われても、禁止されてないんだから何の問題もないだろ?

『あなたには口で勝てそうにないわね』

『ちょっといいかの? シュウ君やい、さすがに今回のダンジョン攻略は、どうかと思うのだが……確かにルールで禁止はしてなかったが、それをできるものがいると思っていなかったからなのだよ。さすがに今回の件で、ルールを見直す必要が出たわい。次からその方法は、使えないから注意するように!』

 ハゲ神、元を正せばハゲ神が向こうのダンマスに肩入れしたのが原因だろ!

『うっさいわ! ハゲておらん! ちょっと髪が薄いだけじゃ! それに、今更お主がただのダンジョンマスターに苦労するわけなかろうが! 楽しんでもらえると思って準備したのにのぅ』

 本当にハゲてるのか……神様も万能じゃないんだな。プププッ! って、そもそも神が肩入れする方がおかしいだろ! そういう嫌がらせは止めろよ!

 後、俺とダンジョンバトルしたことのある、俺がダゴンって呼んでる魔物がいるダンマスにも伝えておけよ。リバイアサンの水攻めがダメで、あっちの水攻めがありなのは理不尽だからな!

『あっちは、全体に影響を及ぼせないから、何の問題もないじゃろう。お前が支配下においたリバイアサンは文字通り次元が違うからのう。ダンジョンバトルには参加不可能にしておくぞい』

 はぁ? ちょっと待てよ! あいつがよくて、リバイアサンがダメとかインチキすんなよ! せっかく小さくなれる事が分かったのに、参加不可とか理不尽だ!

『お主、リバイアサンがいなくても何の問題もないじゃろうが! ふぅ、お主と話すと調子が狂うわい。だが、お前さんだけに不利になるのはさすがにルール違反だから、メリットを何かつければ問題ないじゃろ?』

 そのメリットとは?

『何がいいかの? ダンジョンバトルで、お主が有利になる事はさすがにできないからのう……報酬に色をつければ文句はないじゃろ?』

 ふむ、そんなもんかな? どうせ、リバイアサンを出し過ぎれば、戦いたがるダンマスが減るしな。その辺で手をうっておくか。

『そうしてくれ、リバイアサン……天災級の魔物が、ダンジョンバトルに参戦するのは、本当に予想外だったからのう。リバイアサン以外にも天災級の魔物を、参加不可にしておくべきじゃな。支配下に置くのなら結構な数ができるからな。その条件を満たせるかは甚だ疑問だがの』

 ダンジョンバトルは参加不可か。でも、ダンジョン攻略には使ってもいいって事だよな。話の流れでダンジョン攻略に使えない! と思わせておいてってとこだろう。ったく油断も隙もねえな。これで神のダンジョン攻略が楽になったな。

『ウグッ! ちょっと待ってほしいんだがな。さすがに天災級の魔物を、ワシのダンジョンで使うのは、勘弁してもらいたいんじゃがな』

 やっぱりな。本当に油断ならねえな! やっぱりダンジョンバトルには制限できても、普通のダンジョン攻略には制限をかけられないようだな。

『ちょっとあんた! 創造神様に向かって失礼じゃない! 少しは遠慮しなさいよ! ハゲ神様は少し毛が薄いだけなんだからね!』

『ウグッ』

 ハゲ神に止めを刺すなよ。そもそも、お前らが俺を拉致しなければ、こんなこと言う事も無かったんだよ!わかれよ!

『ちょっと……ワシは、髪の毛が薄いだけなんじゃよ? ほんのちょっと薄いだけなのに』

 別にハゲてたっていいじゃん。隠そうとするから恥ずかしく感じるんだよ! 誇れとは言わないが隠さない方がいいと思うぞ。

『……』

『ちょっと! あんたの所為で、ハゲ神様が黙っちゃったじゃない!』

 チビ神、お前さ、自分でハゲ神って言ってるのに気付いてるか? お前だってハゲてると思ってるんじゃねえかよ。

『へぇっ? そ、そ、そんなことないわよ?』

 あーそうだねー思ってないんだろうねー

『どうして棒読みなのよ! 信じてないわね!』

 もちろん信じてない! と言うか、もう話すことは終わったのか? 敵がいないとはいえ、ダンジョンを進みながら会話をするのは面倒なんだが。

 そんな事を言っていたら干渉が終わっていた。敵のいないダンジョンを、全力で下に向かって行く。

 マッピングに関しては、神のダンジョンで実績がある、ウィスプ軍団でこのダンジョンの構造を丸裸にしてから、侵攻なので楽なものである。戦力として、三幼女がリバイアサンも連れてきているので、過剰戦力もいい所だろう。

 あ、例のごとく、リバイアサンは俺の命令より、三幼女の命令を優先していた。俺の命令というかお願いは聞かないけど、同じ内容のお願いを三幼女がすると、何故か問題なく実行してくれるという、納得のいかない状況である。この世界の魔物は、ロリコンばかりなのでは? という疑惑が俺の頭をよぎった。

 ダンジョンに入って1時間、到達階層は34階。そして次の階には、ダンジョンコアがある事が確認された。なぜ34階で足を止めているかと言うと……

「これって一応ボスだよな?」

「多分そうだと思うけど、これはちょっと……」

 何とか返事をしたリンドの思いを肯定するように、まわりの妻たちも頷いていた。

 目の前には、このダンジョンのボスだと思われる、打ち上げられた魚みたいに、死んだ目をした……おそらく爬虫類系の魔物が複数体いたのだ。体の一部が、ダンジョンと同化して見えるので、おそらくカメレオンみたいな、擬態能力のある魔物だと思われる。

 同じ魔物が複数体でボスをしている事は、ダンジョンとしてみるとあまり多くないので、奇襲とかいう意味では優れた戦法かもしれないが、リバイアサンの水攻めには勝てなかったようだ。

「と言うか、最奥にいるボスだから、それなりに強くて水攻めで死ねなかったって感じか? 先にダンジョンマスターが死んでしまって、こんな状態か……止めを刺さないと先に進めないから」

 さくっと止めを刺して、ダンジョンコアを奪取して、今回のトラブルの原因は解決した。後は、グリエル・ガリア・ゼニスに任せれば問題ないだろう。
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