ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
791 / 2,518

第791話 ルールブレイカー

しおりを挟む
 ダギアからこの街まで線路を引いて、今日出来る事は終わったかな? 鬼人のみんなが警備にあたってくれているので、特に問題なく休む事はできるだろう。でも、お風呂に入りたいので、妻たちに協力してもらって、コンテナ風呂を準備して汗を流してから寝る事にした。

 朝起きて、眠い目をこすりながら報告を受けている。取り急ぎ、王城に勤めていた人間は、仕事に戻ってもらっているとの事だ。王族がしなきゃいけない仕事などは、領主代行が到着するまで仕事を停止するように話している。警備の人間に関しては、面倒ごとになる可能性が高いので監視しているとの事。

 問題になりそうなことだけ指示して、判断の出来る人間が来るまで現状維持という事になっているようだ。

 目を覚ました俺は、自分がしなきゃいけない事をする事にした。バッハの元に向かい、今日は三幼女をディストピアまで運んでほしい事をお願いする。運んだ後は、すぐにこっちに戻ってきてほしい事を伝えておく。バッハが活躍する場面はないと思うが、念のための保険だ。その後は、朝食を食べた。

「ご主人様、今日はどうなさいますか?」

「昨日作った城型ダンジョンを調整してから、ディストピアから派遣されてくる人たちを待つくらいかな?」

「商会の方も出店するんですよね? それでしたら、先に場所を確保しませんか? 王族が王族だったようで、昨日探しただけでもかなりの汚職、賄賂等があったので、インペリアルガードに簡易裁判をしてもらって、罰金が払えないようでしたら、商会を潰してしまってはどうかと思います」

 ピーチが久々にブラックになってるな。いや、理由を聞いてみるとブラックと言うよりは、正当な理由をつけて悪い奴を追い出す感じだろうか? 確かにこういう商会が多いと面倒だからな。きちんと理由をつけて、取り壊して追放するのがいいだろうという事だ。

「じゃぁ、インペリアルガードの人に頼まなくちゃな。報酬とかは大丈夫だろうか?」

 インペリアルガードの人に話に行くと、皇帝から俺の意志に従って行動するように言われているため、報酬は気にする必要がないとの事だ。食事を出してもらえるだけでも十分報酬に値すると言っていた。

 ブラウニーの飯を出してたんだな、確かにそれで十分だろうな。大国の王でも食べれないような食事が普通に出てくるんだからな。

 証拠を確認してもらって、汚職していた官僚と、賄賂を渡していた商会や有力者を召喚してもらい、簡易裁判をしてもらった。

 召喚された理由を聞いて、金を積めば何とかなると思っていたようで、インペリアルガードの人間を懐柔しようと金を積んだところで、本格的にインペリアルガードの人間がキレて、牢屋に突っ込まれていた。

 王国の近衛兵だったら懐柔できたかもしれないが、実力主義の帝国の人間にとって一番嫌いなタイプだったのが最後、懐柔を狙った家は取り壊しや取り上げに合い、度合いの酷かった者に関しては、家族まで奴隷となってしまった者もいる。今までアコギな商売で稼いだお金で、贅沢してたんだからいい気味か。

 インペリアルガードが、全部を終わらせた頃に謝罪をしに来た。理由は、同盟国の失態についてだった。俺からすれば、自国の事じゃないんだから謝る必要なくね? って思ったが、同盟の憲章の中にそう言った項目もあるので、謝罪する必要があるようだ。

 今回の件で同盟国に色々な問題がある事が判明したので、これを機に監視体制を厳重にすることにしたそうだ。色々あるんだな。

 そんな話をしていたら、三幼女から「リバイアサンに、お願い聞いてもらえたよー」と連絡が入った。到着した時には、すでに魔導列車が出発した後だったので、バッハに乗ってそのまま帰ってくるとの事だった。

 朝食後に出発したはずだよな。確か朝食が8時くらいで、今が10時、2時間くらいで到着したことになるのか。全速力かは分からないが、早すぎんだろ! この感じだと昼頃には戻ってくる感じか? 早いな。

 三幼女から連絡をもらって、する事がなくなったので、取り潰しになった家や店の位置を確認する事にした。大人数で行くのもあれだったので、東西南北に分かれて確認しに行くことになった。俺は、本命の王城から見て南を見に行くことになった。

 この国の王都は、東西南北で住み分けをしているようだった。警備の手間を考えればその通りなんだが、この国の王族を見ると、どうしてもそう考えられないんだよな。北が貴族や富豪のエリア、南が商業区、東が一般市民、西が工房等のエリアとなっている。あくまで大体の位置関係であって、4等分ではない。

 貴族や富豪のエリアは無駄に広く、住んでいる数に対してかなり大きい。ここはちょうど4分の1ほどを占めている。一般市民のエリアは、大体都市の半分ほど、残りが商業と工房エリアになる。

 あくまで部分的に分けているだけで、南エリアと言っても王都の位置関係とすれば南西の付近になる。なので俺が見に来ているのは、一般市民のエリアになる。そこでアコギな商売をしていた、大店を見に行くことにした。

 俺の商会としては、ここが一番ベストだと思っている。商業関係のエリアには冒険者ギルドなどもあり、ケガ人がくるのには悪くない位置関係だ。しかも店がグルになって食料品などの値段を上げていた場所だ。

「敷地の広さも十分だな。一番大きい所は、他の階が終わるまで食料品などを売る店にするのがいいかな? って商会の事は、後で来るゼニスの部下に任せればいいか。北は貴族たちのエリアだから最初っからどうでもいいと思ってたけど、位置的にはやっぱりここがいいな。市民に愛される店! なんてな」

 そんな事を言うと、一緒に来ていたミリーやリンドが笑った。王城に戻り他のエリアの話を聞いた所、やはり俺が見た所が一番良さそうだという事になり、そこを丸々占領する形になった。占領と言うか、接収したので俺の物なんだけどな。

 そんな事をしていたら、バッハが三幼女を連れて帰ってきた。それより気になる事が、シェリルの頭の上に、青い蛇みたいなものが乗っていた。

「シェリル、その頭の上のやつはなんだ?」

「何言ってるの? リバイアサンだよ?」

 なんとリバイアサンは、ダマと同じように小さくなれるようだ。知っていたならなぜ行く前に教えてくれない。

「そうなのか、そのサイズでも魔法は問題なく使えるのか?」

 そう聞くと、任せろと言わんばかりに体をブルブル震わせていた。早速、ダンジョンの入口へ移動してさっそく魔法を使ってもらう事にした。

「おぉ~すげえな、小さくても魔法は関係ないんだな」

 そんな事を言って様子を見始めて15分程経過すると、リバイアサンが魔法を使うのをやめた。何かと思ったら、ダンジョンマスターが死んだらしい。

 そして、何で三幼女は、リバイアサンの言ってることが分かるのか……念話は今使ってないよな? それにしても、ダンマスがこれで死ぬとは、サクッとダンジョンコアの制御を奪いに行くか。

 その道中で、『あんた! 何てことするのよ! さすがにダンジョンを水攻めするとか、鬼畜の所業よ!』とチビ神が吠えていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

処理中です...