ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
739 / 2,518

第739話 思ったより順調

しおりを挟む
 ドロップ品に変わった瞬間に、撤退命令を出す。近くにあったドロップ品の、よくわからない羽根を拾って離脱する。

 殿はリリーが務めており、俺は結界魔法でリリーの撤退をサポートする。穴の大きさは大体2メートル前後なので、大きな堕天使が追ってこようとしても入る事が出来ずに、悪戦苦闘している様子が見える。

 悪戦苦闘したからといって、入ってこれるわけじゃないけどな! でもさ、これって入る時に149階のように苦労しないか? 次に突入する時の苦労を考えると、今回の撤退が正解か疑わしくなってきた。次突入する時は敵が中心にいるといいな。

 階段を上っていき、いったん休憩をとる。戦闘を開始してからここまで、約20分ほどだ。思ったより早く倒せていたことに驚いている。9体がお互いを守りあっていたら、絶対にこんなに早く倒せなかったと思う。

 小休止として、今回の戦闘に関して話し合ってみた。特に苦労することなく倒すことができた、との評価だった。一番は人造ゴーレムやスケルトンが、思っていた以上に良い動きをしてくれていたようだ。

 壁として使われた人造ゴーレムは、ダメージを負った様子もなく、盾でしっかりと攻撃を受け流していたようだ。自分で思考できるスケルトンは、優位に立ちまわっていたようだ。ポテンシャルは、Sランクの魔物にひけをとらない骨だけあって、本当に優秀な魔物だ。

「スケルトンがいい動きをするのは朗報だね。あいつらがいれば、あまり苦労せずに倒せそうか?」

 149階で3体と対峙した時よりは、やりやすかったとの事だ。あまり大人数で包囲すると戦いにくいという事実が判明した。今回、シュリと年少組とスケルトンが戦った3体は、スケルトンが前衛をおさえており、年少組は後方でサポートを中心にしていたようだ。

 負担はあまりなかったようで、6体の方も人造ゴーレムがいい動きをしており、全体的に負担が少なく余裕をもっていた。

「この状態だったら、もう1~2体倒してから撤退するべきだったかな?」

「ご主人様、一度決めた事を覆すのであれば、その乱れから生じるリスクがある事を、覚悟してからにしてください。1つのミスが、全員を危険にさらすことになるんですよ」

 うん、余裕だったからってちょっと舐めプだったな。ピーチの言う通り、一度決めた事を覆すのは危険が伴う事も、きちんと考えないといけないな。調子こいてケガをするなんて、小説やアニメによくある話だったな。

「ごめんごめん、調子に乗りすぎた。今回の目標はしっかり達成できて、誰もケガすることなく戻ってこられたんだから、十分すぎるよね。しばらく時間が経ったけど、堕天使たちの様子はどうなったと思う?」

「ネルはね、タンクの堕天使が頭を突っ込んで、じたばたしてると思う!」

「え~ネルちゃん、私は壁か鉄格子を壊そうとしてると思うの!」

「2人とも、さすがに堕天使もバカじゃないと思うよ? だから作戦会議をしてると思うよ!」

 三幼女の的を得ているような、笑いにもなるような答えを聞いてネルの言っていた、詰まっている堕天使は見てみたいなと思ってしまった。様子を見るために人造ゴーレムにカメラを持たせて進ませていく。

 思ったよりシュールな光景だった。まさか、三幼女の言っていた内容が中途半端に、一緒になっている感じだった。

 穴の掘った通路の入口を中心に、扇状に7匹並んでおり、1匹が頭を通路に突っ込んでみたり、叩いてみたりしている。7匹は作戦会議しているように見えなくもない。

「この状態だと中に入るのが面倒そうだね。1体を倒してから30分以上は経ってるけど、復活している様子は無いね。部屋から俺たちが引いたのに、戦闘状態っていうのは……どうしてなんだろうな?

 可能性として一番高いのは、俺たちのダンジョン掘りがイレギュラーで、戦闘中止の判断ができてないって所か? 死んでないから、見えてないけどヘイトが溜まってるから、こんな状態になってるみたいな感じか?」

 俺の感想を苦笑いをしてみんながきいていた。倒した堕天使が復活するのかを知りたいので、今回はこのまま様子を見る事にしている。体を動かしていないと落ち着かない感じがするので、ダンジョンの中では非常識な模擬戦を始めた。素手の格闘技戦だ。

 多少の怪我であれば魔法で回復できるし、なにより腕がちぎれたとしても、エリクサーだって準備しているからはやす事だって問題ない!

 そういっても、ケガはしてほしくないから、程ほどにするようにお願いをしておいた。

 お昼も過ぎ、おやつの時間になったが、堕天使の動きは、通路に攻撃をする堕天使が変わっただけで、それ以外に大きな動きはなかった。

「今日は進まないにしても、明日もあのままだったら面倒だな。もう1個穴を掘っておくべきだったか?」

「シュウ、隙を見て蓋をして通路の金属を一部とって横道造るのはいけないの?」

「それだ!」

 フル装備をして、通路を進んでいく。魔法を使ってくることは無かったが、大質量の矢が放たれ通路の空気を切り裂いて飛んでくる。それをシュリが大盾を器用に使って撃ち落としていた。相変わらずバカげた身体機能だな。

 俺だったらはじく事は出来ても、撃ち落とすなんてことはできないぞ。はじいたら後ろに被害が出るかもしれないしな。入口まで10メートル程まで来れたが、魔法まで飛んできた。

「シュリとリリーとシャルのフォートレスで押し切れないか?」

「ん~、試してみましょうか。リリー、シャル、行きますよ私が中心で両サイドを固めてください!」

「「「【フォートレス】」」」

 3人がフォートレスを発動して前進していく。5分ほどかけて入口に到着した。通路に合わせて作っておいたアダマンタイトの板を取り出して、攻撃の止んだ一瞬の隙をついて通路にはめてクリエイトゴーレムで溶接する。このままだと外に出れないので、閂をかけれる扉をクリエイトゴーレムで作成する。

 10メートル程戻り、横穴を作るために金属をひっぺがして穴を掘っていく。

 2時間後には、明日の2戦目のための通路を作成して、後20センチメートル程掘れば、部屋に出れる所で止めて補強していく。

 部屋の様子を見ておきたいので、ラジコンカータイプの戦車を召喚して、無線カメラを本来の通路を走らせて中を覗けるようにした。カメラは砲の先に多少動かせるタイプのカメラがついている。

 明日までに堕天使が復活していないといいな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる

けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ  俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる  だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った

処理中です...