ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
723 / 2,518

第723話 予想外の敵……

しおりを挟む
 そろそろ野営をしたいのだが、さすがに140階のダメージフロアで野営をするわけにはいかないので、141階の初めての部屋で野営する事にしたので、階段を下りて進んでいく。

 141階も変わらず部屋が入れ替わるタイプみたいだな。むしろここまで来て変わるとか言われたら、反対に怒っちまいそうだけどな。さすがに魔物は変わってくると考えている。

 フロアの特徴は変わっていないが、ブロック毎の部屋が今までより大きくなっているのが気になるんだよな。可能性とすれば、魔物の数が多いか、大型の魔物がいるかのどっちかだと思うけどな。

 進んでいると、索敵範囲内に魔物の気配を察知する……

「ちょっと下がるよ!」

 索敵範囲内から慌てて退避する。

「魔物の数が4匹だったけど、その中の1匹が今までのに比べるまでもなく、デカかったように感じたけど、みんなはどう感じた?」

 索敵能力の高いメンバーからは、同意見だと肯定の発言があった。それと共に、嫌な感じがするとも言っていた。確かにあの中心にいた大きい魔物には嫌な感じがしたな。

 6メートルは体のサイズがあるはずだ。今までの魔物が3メートル位だったのに対して、倍くらいのサイズになっているのだ。いくらステータスが物理法則を無視すると言っても、デカいそれだけで強いからな。

「戦わずに進むことはできないよな……戦うか意見を取ろう。真ん中にいた1匹はSランクに達していると思う。それでも進むか、それとも引くか……」

 俺がそう言うと、いくつかのグループに分かれて話し合い始めた。俺は、警戒をしながらみんなの話し合いを見守る。

 一番大きいサイズの魔物は、この通路には入ってこれないだろうが、お供の魔物は3メートル前後のサイズだと思われるため、問題なく通路で戦闘ができるのだ。126階で通路まで来たあいつらと、同じ行動をとらないとは限らないので警戒をしている。

 索敵で感じた気配から、大きいサイズも小さいサイズも、人型だと思われる。ベヒモスの様な四足歩行獣ではなさそうなのがひっかかる……悪魔系の魔物が多いダンジョンだからな。

 聞いた話だと、魔物の頂点に立つのが、ドラゴン・天使・悪魔の3種族だって話だよな。神のダンジョンだという事を考えれば、Sランクの魔物がゴロゴロいてもおかしくないんだよな。

 10分程話し合うと結論が出たようだ。意見を聞いてみると、積極的な賛成……多少怪我をしてでもここまで来たなら、多少無理をして進むというのが半数。消極的な賛成……自分たちの次の魔物の能力が分からないので、慎重に進むというのが半数の内の三分の二。残りは、撤退を視野に入れた威力偵察。

 Sランクまではいかないが、かなり強い部類の魔物4匹を相手にしても倒せるので、結構ゴリゴリ系がこのパーティーには多いようだ。撤退を視野にとは言ってるが、威力偵察をして勝てそうなら進むわけだから、ほぼ100パーセントが進むと言っているようなもんだ。

 俺は、ここまで来たのだからできれば、攻略しちゃいたいと思っている。もしまたここまで潜ることを考えたら面倒だもん。

「よし、進む事にしよう。ただ、今回は敵の魔物の強さが分からないから、馬車はここで待機してもらう。従魔たちと、スケルトンたちはここに残って馬車の護衛を、人造ゴーレムは俺達の後ろから着いてきてくれ。もし危険と判断したら、人造ゴーレムを囮にして俺たちは撤退する。

 後は、年長組と年中組はいつものメンバーでチームを組んで戦ってくれ。年少組は、俺と姉御組を加えて半分に分けよう。俺とミリー、カエデとリンドで別れよう。

 年少組は、ネル・イリア・メルフィ・サーシャはカエデの方に、シェリル・エレノア・ソフィー・レミーは俺のチームな。年長組が一番大きい魔物を引き付けてくれ。後は臨機応変にいこう」

 装備を確認して、馬車をその場に待機させ移動を開始する。通路での戦闘をしたくないので、索敵の範囲内に入ったら走って部屋へ向かう。部屋の中で見たものは……

「黒い翼……似たような姿……目をつぶってる? 確か何かの漫画に、そんな堕天使がいるとかあった気がするな。でも今はそんなこと考えてる場合じゃない! みんな手分けして引き離すぞ!」

 俺・シュリ・リリー・メルフィとサーシャの3人と1組で、黒い翼の悪魔系魔物を分断にかかる。

 初めに俺が、左端にいた堕天使に【チェイン】を使い引き寄せようとすると、後ろにいた大きい堕天使が杖を振り何かのスキルを発動した。そうすると、俺の【チェイン】が解除されてしまった。他のタンクの【チェイン】も他の堕天使に解除されていた。

「引き離しての殲滅は難しい! お互いのチームをフォローしながら、戦うしかなさそうだ。ただ数の有利は俺たちにある。囲んで攻撃をしていこう」

 そういって、移動を開始しようとするが、堕天使たちも連携を取り回り込ませないように、魔法やスキルで妨害されてしまっている。予想以上に知能が高い魔物だな。自分たちに有利なように、部屋の角の方に移動して対応してきた。

 そこに移動するなら、中央で待ってないで初めからそこにいろよ! と心の中で叫んでしまった。牽制のために収納の腕輪から、使い捨ての短槍を投擲してみんなに話しかける。

「みんな、魔物で初めて俺たちみたいな集団戦闘をしてくる相手だ、油断するなよ。チーム同士の模擬戦は覚えてるね? あの要領で前衛を削って行こう。大きい攻撃は隙が大きいから注意するように!」

 魔物同士が連携して襲い掛かってくることは今までにも何度もあったが、今回の連携は魔物というより人間の行う連携のそれに近い動きをしていた。そして何より厄介なのが、バフォメットより防御力が高く感じたのだ。

 今さっきの短槍は、使い捨てとはいえアダマンコーティングを施しているので、それなりの強さなのだが堕天使の持っている盾に、簡単に弾かれている。あの武器で傷すらついていない様子に、焦りを覚えてしまった。この階には、こいつらがうようよいるかと思うと、進みたくなくなってくる……

 とはいえ、相手の戦力をできる限り分析したいな……
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話

島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。 俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。

みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ! そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。 「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」 そう言って俺は彼女達と別れた。 しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。

処理中です...