702 / 2,518
第702話 75階にいたモノ
しおりを挟む
特に問題もなく順調にダンジョンを進んでいく。魔物は順調に強くなっているが、まだまだ敵ではない。現在いるのは60階への階段の入口だ。
「みんな、60階も例にもれずダメージのある階層だから一気に駆け抜けるよ。後、ブラウニー用に用意した回復用の魔導具に魔力を注ぎ込んでくれ。それで起動するはずだから、準備できたみたいだから行こうか!」
60階に進むと、ブラウニーたちは50階の時と同じく緊張感のない感じで、馬車の中で笑い転げている。こいつらこの状況を楽しんでないか?
まだブラウニーたちの自然回復が、継続ダメージを上回っているので、ダメージは受けていないが、回復はしているようなので問題ないだろう。50階をきっかけに強くなってきているので油断はできない。取り合えず自分たちの分も作っておかないとな。
1時間ほどで60階を抜ける事が出来た。今日は62階の階段まではたどり着きたいので、軽く食事を挟んでから進んでいく。
「ん~、魔物の種類は変わってないけど、一段階強くなってるね」
今までの強さより圧倒的に強くなっていた。みんなも頷いているが、まだ余裕があるようだ。なので特に問題もなく進んでいけた。
何度も言うが、ダンマスとしての能力があるのでマッピングが簡単にでき迷わずに進んでいけるからサクサク進んでいけるのだ。そう考えると、ここでレベルを上げていた帝国の騎士って意外にすごかったんだと思う部分が出てきた。
61~69階も特に苦戦することなく進んでいけた。
「みんな70階に突入するから気を引き締めてくれよな」
50、60階と一緒でブラウニーたちは、また笑い転げていた。特に変わる事のない感じに飽きてきた、ブラウニーたちにはいい変化なのだろうか?
今度からは連れて来るのをやめようかな? ブラウニーと違ってシルキーたちはまじめだから、色々任せられるし、俺たちも手伝えば何とかなるだろう。
71階も魔物が強くなっているだけで、特に変わった所はなかった。
「何か代わり映えがしないな。今日もウィスプを召喚して……あれ? 75階以下のマップが全然開いてないな。どういう事だ?」
みんなにも聞いてみたがわかるわけもなく、75階の階段まで進んでから考える事にした。
「前みたいにここに野営地を作って、憑依を使って下の階を偵察しに行こうか。今回は普通のリビングドールだけだけどそれで行こうか」
準備をしてから進んでいく。
今回憑依しているのは、姉御組の3人、カエデ・ミリー・リンドの3人が憑依して探索を開始する。もちろんカメラを装備させて映像を届けさせて色々検証をしていくのだが……
「これってどう見てもボス戦だよな?」
みんなの顔を見なくても、頷いてるのが分かる雰囲気を醸し出している。どういう状況かといえば、降りた先が大きな空間になっていて、真ん中に明らかにボスらしき魔物がいるから間違いないと思う。
「こいつって蛇? それとも龍? どっちだと思う?」
どっちでもいい事なのだが、見た目がどちらかというと蛇に近いのだが、普通の蛇には無い小さい羽がはえているのだ。あの羽で飛べるのか分からないが……
「マンガにあった……7つの玉を集めて願いを叶えてくれる時に出てくる、あれに似てない?」
誰の発言か分からなかったが、雰囲気は似てるかもしれないけど、けど! 色も違うし羽もはえてないし顔も違う、本当に雰囲気だけなんだよな。長くてまだ飛んでないけど、絡まりそうなくらいうねうねしてるんだよな。
こんな魔物っているのかな? 蛇だけならミドガルズオルムやヨルムンガンドがいるけど……羽がはえた蛇みたいな魔物なんていたっけな? ニーズヘッグも蛇だった気がするけど、作品によってはドラゴンの方が多かった気もするしな。
「って、あの魔物の名前を考察する意味は無いよな。名前が分かれば知識に当てはめて、なんとなく攻撃してくる方法が分かるかもしれないけど、分からない事に時間をかけるくらいなら、リビングアーマーに憑依して情報を集めた方が有用だよな」
みんな納得してくれたので、今回はできるだけ情報を集める方向にシフトした。
一応全員にアダマンコーティングをしたリビングアーマーを準備して、明日の調査に備える事にした。
「みんな、今日は相手の攻撃を見極めるための戦闘だよ。いくつかカメラを置いて、客観的にも戦闘が見えるようにしておこう。できる範囲で相手の攻撃の手札を引き出そう」
スケルトンたちに守りを任せて、全員でリビングアーマーに憑依して進んでいく。カメラを5台セットして、いろんな角度から撮影できるようにした。
「みんな行こうか。倒せるか分からないけど、全力を尽くそう」
配置について攻撃を開始する。まず始めに弓による遠距離攻撃と、魔法による範囲攻撃から開始される。
自分たちのスキルにそった物を覚えさせたリビングアーマーを操っているので特に違和感なく攻撃が開始された。ちなみに俺は大薙刀で今回の戦闘に参加している。
弓と魔法の攻撃が届くと、51階以下で見られる瘴気のような薄い紫色ではなく、毒々しい緑と紫を混ぜたような色の霧を蛇が口から吐き出した。鑑定をしなくても毒だという事が分かる程禍々しい色の霧だ。
無機質のリビングアーマーなので特に効果はないと思ったが、ただの毒ではなくアダマンコーティングをしていなかった、間に合わせの武器が少し溶けてしまっていた。
「これは生身でやるとやばいな……ん? デカい蛇以外に何かいるぞ!」
デカい蛇が空に飛んでいった後なのに、蛇のいた場所に何かがいたのだ。人の上半身に蛇の髪の毛? 蛇のような下半身……エキドナやラミアの見た目で、髪の毛が蛇ってことは……
これってメデューサじゃないか? 考えられる攻撃方法とすれば、石化の視線に髪の毛の蛇による毒か?
「ここのボスは毒が中心か? 誰か、石化について知識はないか?」
「シュウ君、確かはるか昔、バジリスクとかコカトリスと呼ばれた、Sランクの魔物が石化する能力を持っていたはずだよ。石化した物を後で食事として食べていたとか」
「マジか、石化能力もあるのか。回復魔法に石化治せる魔法ってあったっけ?」
「万能薬のBランク以上か、エリクサーのBランク以上の物があれば、解除できたと報告書には書いてあったと思います」
ミリーの記憶力に感謝だな。確か、万能薬は成分調整をした高品質の物であれば、制限時間はあるけどその時間中の状態異常は無効だったはず。アイテムがあれば、問題なさそうか? 他の攻撃法も見ておかないとな。
それから2時間ほど頑張ってみたが、リビングアーマーでは火力が足りずに、倒すことはできなかった。
「みんな、60階も例にもれずダメージのある階層だから一気に駆け抜けるよ。後、ブラウニー用に用意した回復用の魔導具に魔力を注ぎ込んでくれ。それで起動するはずだから、準備できたみたいだから行こうか!」
60階に進むと、ブラウニーたちは50階の時と同じく緊張感のない感じで、馬車の中で笑い転げている。こいつらこの状況を楽しんでないか?
まだブラウニーたちの自然回復が、継続ダメージを上回っているので、ダメージは受けていないが、回復はしているようなので問題ないだろう。50階をきっかけに強くなってきているので油断はできない。取り合えず自分たちの分も作っておかないとな。
1時間ほどで60階を抜ける事が出来た。今日は62階の階段まではたどり着きたいので、軽く食事を挟んでから進んでいく。
「ん~、魔物の種類は変わってないけど、一段階強くなってるね」
今までの強さより圧倒的に強くなっていた。みんなも頷いているが、まだ余裕があるようだ。なので特に問題もなく進んでいけた。
何度も言うが、ダンマスとしての能力があるのでマッピングが簡単にでき迷わずに進んでいけるからサクサク進んでいけるのだ。そう考えると、ここでレベルを上げていた帝国の騎士って意外にすごかったんだと思う部分が出てきた。
61~69階も特に苦戦することなく進んでいけた。
「みんな70階に突入するから気を引き締めてくれよな」
50、60階と一緒でブラウニーたちは、また笑い転げていた。特に変わる事のない感じに飽きてきた、ブラウニーたちにはいい変化なのだろうか?
今度からは連れて来るのをやめようかな? ブラウニーと違ってシルキーたちはまじめだから、色々任せられるし、俺たちも手伝えば何とかなるだろう。
71階も魔物が強くなっているだけで、特に変わった所はなかった。
「何か代わり映えがしないな。今日もウィスプを召喚して……あれ? 75階以下のマップが全然開いてないな。どういう事だ?」
みんなにも聞いてみたがわかるわけもなく、75階の階段まで進んでから考える事にした。
「前みたいにここに野営地を作って、憑依を使って下の階を偵察しに行こうか。今回は普通のリビングドールだけだけどそれで行こうか」
準備をしてから進んでいく。
今回憑依しているのは、姉御組の3人、カエデ・ミリー・リンドの3人が憑依して探索を開始する。もちろんカメラを装備させて映像を届けさせて色々検証をしていくのだが……
「これってどう見てもボス戦だよな?」
みんなの顔を見なくても、頷いてるのが分かる雰囲気を醸し出している。どういう状況かといえば、降りた先が大きな空間になっていて、真ん中に明らかにボスらしき魔物がいるから間違いないと思う。
「こいつって蛇? それとも龍? どっちだと思う?」
どっちでもいい事なのだが、見た目がどちらかというと蛇に近いのだが、普通の蛇には無い小さい羽がはえているのだ。あの羽で飛べるのか分からないが……
「マンガにあった……7つの玉を集めて願いを叶えてくれる時に出てくる、あれに似てない?」
誰の発言か分からなかったが、雰囲気は似てるかもしれないけど、けど! 色も違うし羽もはえてないし顔も違う、本当に雰囲気だけなんだよな。長くてまだ飛んでないけど、絡まりそうなくらいうねうねしてるんだよな。
こんな魔物っているのかな? 蛇だけならミドガルズオルムやヨルムンガンドがいるけど……羽がはえた蛇みたいな魔物なんていたっけな? ニーズヘッグも蛇だった気がするけど、作品によってはドラゴンの方が多かった気もするしな。
「って、あの魔物の名前を考察する意味は無いよな。名前が分かれば知識に当てはめて、なんとなく攻撃してくる方法が分かるかもしれないけど、分からない事に時間をかけるくらいなら、リビングアーマーに憑依して情報を集めた方が有用だよな」
みんな納得してくれたので、今回はできるだけ情報を集める方向にシフトした。
一応全員にアダマンコーティングをしたリビングアーマーを準備して、明日の調査に備える事にした。
「みんな、今日は相手の攻撃を見極めるための戦闘だよ。いくつかカメラを置いて、客観的にも戦闘が見えるようにしておこう。できる範囲で相手の攻撃の手札を引き出そう」
スケルトンたちに守りを任せて、全員でリビングアーマーに憑依して進んでいく。カメラを5台セットして、いろんな角度から撮影できるようにした。
「みんな行こうか。倒せるか分からないけど、全力を尽くそう」
配置について攻撃を開始する。まず始めに弓による遠距離攻撃と、魔法による範囲攻撃から開始される。
自分たちのスキルにそった物を覚えさせたリビングアーマーを操っているので特に違和感なく攻撃が開始された。ちなみに俺は大薙刀で今回の戦闘に参加している。
弓と魔法の攻撃が届くと、51階以下で見られる瘴気のような薄い紫色ではなく、毒々しい緑と紫を混ぜたような色の霧を蛇が口から吐き出した。鑑定をしなくても毒だという事が分かる程禍々しい色の霧だ。
無機質のリビングアーマーなので特に効果はないと思ったが、ただの毒ではなくアダマンコーティングをしていなかった、間に合わせの武器が少し溶けてしまっていた。
「これは生身でやるとやばいな……ん? デカい蛇以外に何かいるぞ!」
デカい蛇が空に飛んでいった後なのに、蛇のいた場所に何かがいたのだ。人の上半身に蛇の髪の毛? 蛇のような下半身……エキドナやラミアの見た目で、髪の毛が蛇ってことは……
これってメデューサじゃないか? 考えられる攻撃方法とすれば、石化の視線に髪の毛の蛇による毒か?
「ここのボスは毒が中心か? 誰か、石化について知識はないか?」
「シュウ君、確かはるか昔、バジリスクとかコカトリスと呼ばれた、Sランクの魔物が石化する能力を持っていたはずだよ。石化した物を後で食事として食べていたとか」
「マジか、石化能力もあるのか。回復魔法に石化治せる魔法ってあったっけ?」
「万能薬のBランク以上か、エリクサーのBランク以上の物があれば、解除できたと報告書には書いてあったと思います」
ミリーの記憶力に感謝だな。確か、万能薬は成分調整をした高品質の物であれば、制限時間はあるけどその時間中の状態異常は無効だったはず。アイテムがあれば、問題なさそうか? 他の攻撃法も見ておかないとな。
それから2時間ほど頑張ってみたが、リビングアーマーでは火力が足りずに、倒すことはできなかった。
0
お気に入りに追加
454
あなたにおすすめの小説
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
彼女をイケメンに取られた俺が異世界帰り
あおアンドあお
ファンタジー
俺...光野朔夜(こうのさくや)には、大好きな彼女がいた。
しかし親の都合で遠くへと転校してしまった。
だが今は遠くの人と通信が出来る手段は多々ある。
その通信手段を使い、彼女と毎日連絡を取り合っていた。
―――そんな恋愛関係が続くこと、数ヶ月。
いつものように朝食を食べていると、母が母友から聞いたという話を
俺に教えてきた。
―――それは俺の彼女...海川恵美(うみかわめぐみ)の浮気情報だった。
「――――は!?」
俺は思わず、嘘だろうという声が口から洩れてしまう。
あいつが浮気してをいたなんて信じたくなかった。
だが残念ながら、母友の集まりで流れる情報はガセがない事で
有名だった。
恵美の浮気にショックを受けた俺は、未練が残らないようにと、
あいつとの連絡手段の全て絶ち切った。
恵美の浮気を聞かされ、一体どれだけの月日が流れただろうか?
時が経てば、少しずつあいつの事を忘れていくものだと思っていた。
―――だが、現実は厳しかった。
幾ら時が過ぎろうとも、未だに恵美の裏切りを忘れる事なんて
出来ずにいた。
......そんな日々が幾ばくか過ぎ去った、とある日。
―――――俺はトラックに跳ねられてしまった。
今度こそ良い人生を願いつつ、薄れゆく意識と共にまぶたを閉じていく。
......が、その瞬間、
突如と聞こえてくる大きな声にて、俺の消え入った意識は無理やり
引き戻されてしまう。
俺は目を開け、声の聞こえた方向を見ると、そこには美しい女性が
立っていた。
その女性にここはどこだと訊ねてみると、ニコッとした微笑みで
こう告げてくる。
―――ここは天国に近い場所、天界です。
そしてその女性は俺の顔を見て、続け様にこう言った。
―――ようこそ、天界に勇者様。
...と。
どうやら俺は、この女性...女神メリアーナの管轄する異世界に蔓延る
魔族の王、魔王を打ち倒す勇者として選ばれたらしい。
んなもん、無理無理と最初は断った。
だが、俺はふと考える。
「勇者となって使命に没頭すれば、恵美の事を忘れられるのでは!?」
そう思った俺は、女神様の嘆願を快く受諾する。
こうして俺は魔王の討伐の為、異世界へと旅立って行く。
―――それから、五年と数ヶ月後が流れた。
幾度の艱難辛苦を乗り越えた俺は、女神様の願いであった魔王の討伐に
見事成功し、女神様からの恩恵...『勇者』の力を保持したまま元の世界へと
帰還するのだった。
※小説家になろう様とツギクル様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる