ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
683 / 2,518

第683話 平和な日

しおりを挟む
 黒龍が攻めてきて、倒して支配下に置いて、寝床を作ってちょっとバタバタした日から、一週間特に何もなく時間が過ぎていく。

「平和だな~」

『そうですにゃ~』

 俺は今、趣味部屋のベッドでごろごろしている。頭側に空いたスペースに、ダマが小さくなって丸くなり寝ている。そのダマから相づちが入る。よくわからないが、語尾に「にゃ~」とつけている……何だろうか?

「そういえば、今日もバッハの事、見に行ってくれたんだよな? 様子はどうだった?」

『そうですにゃ~。バッハに従ってワイバーンの統率がとれてたにゃ~。主殿が作ってくれた、エサ場のダンジョンは人気ですにゃ。元々そんなに食べなくても問題ないワイバーンとドラゴンですが、一度味を覚えてしまうと、嗜好として食べたくなるようですにゃ』

「ワイバーンとドラゴンって、小食なのか?」

『小食とはちょっと違うにゃ。どう説明すればいいかにゃ……簡単に言えば、空気中にある魔法を使う魔力の素を吸収して生きているから、食べる事は必要ではないのですにゃ』

「へ~ここに来て新事実判明だな。他の魔物もそうなのか?」

『大なり小なり違いはありますにゃ。まぁよく考えてみてくださいにゃ、ゴーレムみたいな無機質な魔物は、食事を必要としないにゃ。あれは完全に魔力だけで動く事ができる魔物にゃ。それと同じで、魔石を持っている魔物は、食事をとらなくても飢えて死ぬ事は無いのですにゃ』

「確かに、深く考えていなかったけど、言われてみたら納得できる内容だな」

『そうですにゃ。それに、無機質じゃない魔物の数を考えたら、どれだけ野性の生物がいても、食事が追いつかないにゃ。そうなれば食料をドロップする魔物は、駆逐される勢いで倒されてしまうにゃ。だから嗜好程度の食事しかしないのにゃ。ここの魔獣はみんな舌が肥えてるから大変だにゃ』

「でもダンジョンを作ったから、その中のエサは無くならないし、舌が肥えてても問題ないだろう。というか、それより気になったセリフがあったんだが、質問していいか?」

『何ですかにゃ?』

「空気中に魔法に使う魔力の素があるって、言ってなかったか? それが無かったら魔力は回復しないのか? 俺の考えでは、魔法に使う魔力は魔物、人間問わず体の中で作りだしてると、思ってたんだけどな」

『作り出しているのは、間違いないんですにゃ。でも作り出すためには、空気中からいったんそれを吸収してから、生み出すのですにゃ。空気中のそれがなければ、回復は遅くなるにゃ。反対にそれが多い所なら、回復するスピードがあがるにゃ』

「へ~いい情報だけど、その魔法に使う魔力の素……長いから便宜上、魔素と呼ぼうか」

『魔素……魔素ですかにゃ。魔法の素、良いネーミングだと思うですにゃ』

「で、その魔素の濃度って言うのは、意図的に変化させられるのか?」

『そういう技術は知らなすにゃ、大量に魔力を使われた場所では、濃度が多少上がると言われているにゃ』

「ふ~ん、魔法が魔素に戻るのかな? 魔素をどっかから持って来れば、濃度があげられるかもしれないって事か? 何か魔素のコンデンサ……マナコンデンサ? 名前はどうでもいいけど、そういうものが作れれば面白いかもな」

『主殿なら作り出しそうで、怖いですにゃ』

「ところでダマ……何で語尾に『にゃ』ってつけてるんだ?」

『それは、主殿の奥方の、シェリルちゃん、イリアちゃん、ネルちゃんのせいですにゃ。「このサイズの小さいネコ科動物が意思疎通できるなら、語尾に『にゃ』をつけないのは、世界への冒涜なの!」って言われたからですにゃ』

「そっか、あの三人の仕業なのか……確かに大きいサイズで、語尾に『にゃ』をつけられると違和感しかないだろうけど、このサイズなら可愛いもんな。どうしても嫌なら三人に言っておくけど、どうする?」

『特に問題ないですにゃ。それにこのサイズで語尾に『にゃ』をつけると、みんなが可愛がってくれるから嬉しいですのにゃ』

「そんなもんか? それにしても『ちゃん』付けも、三人に言われたからか?」

『そうですにゃ』

 会話が終わり、ベッドの上でごろごろ転がると、ダマも真似をして同じ体制で転がる。小さいから可愛いんだろうな。腹を出して仰向けになっていたので腹を撫でると、喉をゴロゴロ鳴らして喜んでいた。しばらく撫でていると寝てしまったので、邪魔しないようにその場を離れた。

 趣味部屋のベッドから離れ、ゲームのある部屋に来ている。誰もおらず、がらんとしている。その中で最近召喚した、レースゲームを楽しむ。

 ハンドルやアクセル、ブレーキ、ギアチェンジ等々全部に対応している運転席で、実際に走っている感じがするのだ。中に入り込むタイプのゲーム機で、車の動きに合わせてある程度Gがかかるようにできている、不思議な機体で遊んでいる。

 免許をとっていなかったので、実際に地球で運転した事無いからよくわからないが、レースゲームは楽しい! ただ、ボタンを押して加減速するタイプはやったことあったが、シミュレータータイプのレースゲームは、ゲームセンターに行ってもやったことなかったから新鮮だ!

 あ、日本じゃやっちゃいけないけど、異世界のダンジョンの中で教習所みたいなのを作って、DPで車を召喚してマニュアル車を運転したぜ! 面白かった! それだけだけどね!

 ぶっ続けでレースゲームをしていたら、ドンドン叩く音が聞こえて、外に出てみるとダマが扉を叩いていた。

「ダマ、どうかしたか?」

『主殿、今が何時か分かってますかにゃ?』

「ん?」

 慌てて近くの壁掛け時計を確認すると、

「もう十八時じゃんか、こんなに時間経ってたのか」

『そろそろ夕食になるからと連絡がきて、目を覚ましたら主殿がいなくてさがしたにゃ!』

「すまんすまん」

 ダマに謝りながら、リュックのように背負っておんぶをする。よくわからないが、ダマはこの体制が好きなようで、移動する時にはこの体勢を好むのだ。

 夕食は、相変わらず美味かったな。ダマも『ペットじゃない!』とか言いながら、猫たちと並んで餌を食べていた。でも可哀想な事に、一番後輩になるため、猫たちにこき使われていた。ダマってどこ行っても、いじられキャラなんだな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話

島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。 俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。

処理中です...