673 / 2,518
第673話 短い平穏
しおりを挟む
食事も終わらせ商会にたどり着き、ディストピアに帰る事にした。もちろんドッペルのまま移動なんて事はせずに、専用魔導列車に乗り込ませてから、憑依をといて自分の身体に戻ってくる。
手に入れた情報をグリエルに伝えるために、行政府の執務室へ向かう。途中で三人とは別れて、単独行動(監視役でニコ・ハク・ギン・クロがいるが)になる。シェリル・イリア・ネルの三人は、何が楽しいか分からないが、いつも楽しそうで頬が緩むな。
執務室に入ると難しい顔をした、グリエルとガリアがいた。とりあえず、得てきた情報をかいつまんで話していく。
「……というわけだ。俺が思うに、勇者たち二人はどちらかというと、平和主義って言うのはおかしいが、暴力や相手を威圧するように、力を無意味に使うタイプの人間ではないと思う。問題なのは、勇者のパーティーメンバーの現地人……この世界の人間の方だと思うな。
何というか、好戦的? 傲慢系? トラブルの臭いがする感じだ。あいつらがどういう思想の持主か分からないけど、勇者たちからの目が届かない所では、何をするか分からないな。ゴーストタウンに来たら、絶対に講習は受けさせろ」
勇者のパーティーでもトラブルを起こせば処罰対象だし、犯罪は犯罪なので罰せられることは、しっかりと理解して頂きたいところだ。貴族だって処刑しているこの街で、勇者の称号なんて何の役に立たない事を、理解してもらいたいところだ。
遭遇した勇者たちの印象を軽く伝えてから、行政府を後にする。
三日後に勇者たちがジャルジャンの街を出発して、地下通路に入ったとの事だ。馬車に乗っているようで移動速度は、およそ時速二十キロメートル程だ。勇者の馬車かな? そんなのはどうでもいいか。明日には到着するだろうから、警備を厳重にするようにゴーストタウンに指令を出している。
次の日の夜にゴーストタウンに勇者一行が到着した。最後の説明の時間に間に合った……というか、勇者たちのために、本日だけ臨時で説明の回数を増やしたのだ。三十分位の講習なので、真剣に受けてもらいたいものだ。
講習が終わったようで、移動を始めた。どのランクの宿に泊まるのだろうか? みんなで泊まれる、大きな部屋があるタイプなのか、四人で泊まれる部屋を複数借りるのだろうか? どこにしても、ゴーストタウンはダンジョンの中だから、ダンマスのスキルでマップ先生から映像を見れる。
入る宿だけ確認してから後は、スプリガンのみんなに監視は任せようかな。街の案内所で情報を聞いたのか、迷いのないスピードで進んでいく。到着したのはゴーストタウンでは、Cランクの稼ぎの良いパーティーからBランク当たりのパーティーが、よく利用する宿だ。
Aランクのパーティーに、勇者がいるのに予想より安い宿に泊まるんだな……と思ったが、ゴーストタウンで、どれだけ稼げるか分からないのであれば、少しは節約するのが普通か?
スプリガンに連絡をして、勇者一行の監視をお願いしておいた。
夕食の際にみんなに、勇者一行の話をしてからお風呂に向かったのだが、気持ちよく風呂に入っていたのに、勇者のパーティーの人間がトラブルを起こしたと、スプリガンから連絡が入った……到着してから、三時間も経ってねえぞ!
俺は生身で行くわけにはいかないので、ドッペルに憑依して対応にあたる事にした。念のためにシュリとアリス、ピーチに護衛を頼む。従魔たちもニコ・ハク・クロ・ギン・ソウ・コウの六匹を連れてきている。移動の間に、スプリガンから情報を仕入れる……
「どこでトラブルを起こしたかと思えば、色町かよ……何となく、店で俺に絡んできた奴な気がするのは、気のせいだろうか? 勇者は何処にいるんだ? やっぱり別行動してるな。呼びださないと収まらないか?
とりあえず、様子を見に行こう。ゴーストタウンの衛兵たちで対応できなかったら、俺が出ないといけないしな」
めんどくさくなったが、こんな時にしか俺の出番が回ってこないんだから、しっかりとしないとな!
ウォーホースを使って、現場の近くまで移動する。
「……だから、何で俺が悪いんだよ! 俺の誘いを断った、この女が悪いだろ! 勇者のパーティーの壁役だぞ! そんな人間に、こんな仕打ちをしていいと思ってるのか?」
ん~酔っぱらってる? とはいえ、個人的なお付き合いが禁止のこのエリアで、そのセリフはアウトだぞ。
「ここに入る際の講習で『色街では、個人的なお誘いはしてはいけない』という事を説明している。この街の法律を守れないから、こういう状況になっている。こちらの指示に従わないのであれば、実力行使で捕まえるぞ!」
「勇者のパーティーの人間に、そんなことをしていいと思うのか? この街も終わりだな!」
勇者は結構真面目というか、事を荒立てないようにしていたのにな。馬鹿なパーティーメンバーがいると、苦労するな。勇者に同情をしてしまった。そんなことを考えていると、衛兵のリーダーが捕えるように命令を出した。
近くにいた衛兵四人が囲むように近付いていくと、あろうことか武器を抜いて、攻撃をしようとしていた。まじか!
「シュリ! あいつを止めろ!」
俺の命令に従ってシュリがチェインを発動し、力任せに引き寄せた。そのまま投げ飛ばし、地面に叩きつける。
「シュウ様! こんなくだらないことで呼んでしまい、すいませんでした。連絡して、そんなに時間が経ってませんが」
「気にするな。こんな事しかする事が無いから、たまには頼ってくれ。一応連絡を受けて確認したが、こいつが色街で悪さをして、今武器を抜いて攻撃しようとしたことが、問題になっているという事でいいのかな?」
「その認識で問題ありません」
「クソが! いてーだろが! ん? お前ジャルジャンにいた奴だな! よくも俺に恥をかかせやがって! てめーみたいなクソがいr、ゲボアッ!!!」
俺の悪口を言ったアホが、シュリのスタンピングを腹にうけていた……あれはきついな。俺でも悶絶するぞ。
「ゲホッゲホッ! 勇者のパーティーの人間に、こんなことしてタダで済むと思うなよ!」
「お前さ、それだけしか言えないのか? 勇者のパーティーだろうが、一般市民だろうが、貴族だろうが、王族だろうが、この街の法に逆らえば最悪極刑もあり得るんだよ。そしてこの街を作ったのが俺なわけで、衛兵の手に余るかもしれないという事で、呼ばれたんだよ。
迷惑な奴だ。あ、現行犯だから弁明の機会は無いから、口塞いどいてくれ。装備をはぎ取って、特殊手錠をつけておこう。シュリ、牢屋まで連れてってくれ。アリスとピーチはついてきてくれ」
シュリはそのまま衛兵の後について、牢屋に向かっていった。上級ランクの冒険者用の牢屋に、連れていかれるようだ。
手に入れた情報をグリエルに伝えるために、行政府の執務室へ向かう。途中で三人とは別れて、単独行動(監視役でニコ・ハク・ギン・クロがいるが)になる。シェリル・イリア・ネルの三人は、何が楽しいか分からないが、いつも楽しそうで頬が緩むな。
執務室に入ると難しい顔をした、グリエルとガリアがいた。とりあえず、得てきた情報をかいつまんで話していく。
「……というわけだ。俺が思うに、勇者たち二人はどちらかというと、平和主義って言うのはおかしいが、暴力や相手を威圧するように、力を無意味に使うタイプの人間ではないと思う。問題なのは、勇者のパーティーメンバーの現地人……この世界の人間の方だと思うな。
何というか、好戦的? 傲慢系? トラブルの臭いがする感じだ。あいつらがどういう思想の持主か分からないけど、勇者たちからの目が届かない所では、何をするか分からないな。ゴーストタウンに来たら、絶対に講習は受けさせろ」
勇者のパーティーでもトラブルを起こせば処罰対象だし、犯罪は犯罪なので罰せられることは、しっかりと理解して頂きたいところだ。貴族だって処刑しているこの街で、勇者の称号なんて何の役に立たない事を、理解してもらいたいところだ。
遭遇した勇者たちの印象を軽く伝えてから、行政府を後にする。
三日後に勇者たちがジャルジャンの街を出発して、地下通路に入ったとの事だ。馬車に乗っているようで移動速度は、およそ時速二十キロメートル程だ。勇者の馬車かな? そんなのはどうでもいいか。明日には到着するだろうから、警備を厳重にするようにゴーストタウンに指令を出している。
次の日の夜にゴーストタウンに勇者一行が到着した。最後の説明の時間に間に合った……というか、勇者たちのために、本日だけ臨時で説明の回数を増やしたのだ。三十分位の講習なので、真剣に受けてもらいたいものだ。
講習が終わったようで、移動を始めた。どのランクの宿に泊まるのだろうか? みんなで泊まれる、大きな部屋があるタイプなのか、四人で泊まれる部屋を複数借りるのだろうか? どこにしても、ゴーストタウンはダンジョンの中だから、ダンマスのスキルでマップ先生から映像を見れる。
入る宿だけ確認してから後は、スプリガンのみんなに監視は任せようかな。街の案内所で情報を聞いたのか、迷いのないスピードで進んでいく。到着したのはゴーストタウンでは、Cランクの稼ぎの良いパーティーからBランク当たりのパーティーが、よく利用する宿だ。
Aランクのパーティーに、勇者がいるのに予想より安い宿に泊まるんだな……と思ったが、ゴーストタウンで、どれだけ稼げるか分からないのであれば、少しは節約するのが普通か?
スプリガンに連絡をして、勇者一行の監視をお願いしておいた。
夕食の際にみんなに、勇者一行の話をしてからお風呂に向かったのだが、気持ちよく風呂に入っていたのに、勇者のパーティーの人間がトラブルを起こしたと、スプリガンから連絡が入った……到着してから、三時間も経ってねえぞ!
俺は生身で行くわけにはいかないので、ドッペルに憑依して対応にあたる事にした。念のためにシュリとアリス、ピーチに護衛を頼む。従魔たちもニコ・ハク・クロ・ギン・ソウ・コウの六匹を連れてきている。移動の間に、スプリガンから情報を仕入れる……
「どこでトラブルを起こしたかと思えば、色町かよ……何となく、店で俺に絡んできた奴な気がするのは、気のせいだろうか? 勇者は何処にいるんだ? やっぱり別行動してるな。呼びださないと収まらないか?
とりあえず、様子を見に行こう。ゴーストタウンの衛兵たちで対応できなかったら、俺が出ないといけないしな」
めんどくさくなったが、こんな時にしか俺の出番が回ってこないんだから、しっかりとしないとな!
ウォーホースを使って、現場の近くまで移動する。
「……だから、何で俺が悪いんだよ! 俺の誘いを断った、この女が悪いだろ! 勇者のパーティーの壁役だぞ! そんな人間に、こんな仕打ちをしていいと思ってるのか?」
ん~酔っぱらってる? とはいえ、個人的なお付き合いが禁止のこのエリアで、そのセリフはアウトだぞ。
「ここに入る際の講習で『色街では、個人的なお誘いはしてはいけない』という事を説明している。この街の法律を守れないから、こういう状況になっている。こちらの指示に従わないのであれば、実力行使で捕まえるぞ!」
「勇者のパーティーの人間に、そんなことをしていいと思うのか? この街も終わりだな!」
勇者は結構真面目というか、事を荒立てないようにしていたのにな。馬鹿なパーティーメンバーがいると、苦労するな。勇者に同情をしてしまった。そんなことを考えていると、衛兵のリーダーが捕えるように命令を出した。
近くにいた衛兵四人が囲むように近付いていくと、あろうことか武器を抜いて、攻撃をしようとしていた。まじか!
「シュリ! あいつを止めろ!」
俺の命令に従ってシュリがチェインを発動し、力任せに引き寄せた。そのまま投げ飛ばし、地面に叩きつける。
「シュウ様! こんなくだらないことで呼んでしまい、すいませんでした。連絡して、そんなに時間が経ってませんが」
「気にするな。こんな事しかする事が無いから、たまには頼ってくれ。一応連絡を受けて確認したが、こいつが色街で悪さをして、今武器を抜いて攻撃しようとしたことが、問題になっているという事でいいのかな?」
「その認識で問題ありません」
「クソが! いてーだろが! ん? お前ジャルジャンにいた奴だな! よくも俺に恥をかかせやがって! てめーみたいなクソがいr、ゲボアッ!!!」
俺の悪口を言ったアホが、シュリのスタンピングを腹にうけていた……あれはきついな。俺でも悶絶するぞ。
「ゲホッゲホッ! 勇者のパーティーの人間に、こんなことしてタダで済むと思うなよ!」
「お前さ、それだけしか言えないのか? 勇者のパーティーだろうが、一般市民だろうが、貴族だろうが、王族だろうが、この街の法に逆らえば最悪極刑もあり得るんだよ。そしてこの街を作ったのが俺なわけで、衛兵の手に余るかもしれないという事で、呼ばれたんだよ。
迷惑な奴だ。あ、現行犯だから弁明の機会は無いから、口塞いどいてくれ。装備をはぎ取って、特殊手錠をつけておこう。シュリ、牢屋まで連れてってくれ。アリスとピーチはついてきてくれ」
シュリはそのまま衛兵の後について、牢屋に向かっていった。上級ランクの冒険者用の牢屋に、連れていかれるようだ。
0
お気に入りに追加
454
あなたにおすすめの小説
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。
みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ!
そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。
「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」
そう言って俺は彼女達と別れた。
しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる