ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第637話 神のダンジョン突入前夜

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 あれから一週間程準備に費やして、出発の準備が整う。準備の中で一番時間がかかったのは、シルキーやブラウニーたちの移動時休憩馬車だ。

 何でそんなものが必要になったかというと、日中は俺たちと一緒に移動、夜は食事の準備、夜中は作り置き……と寝る暇が無く働き続ける気だったのだ。

 精霊だから睡眠はしなくても、問題は無いらしいが、やはり影響は出てくるので、全員が休むことはできないが、順々に休めるように小型の眠るだけの馬車を準備している。

 イメージ的には幼稚園児サイズをイメージした、カプセルホテル風の寝床だ。一台で最大三十人の家精霊が寝れるようになっている。

 それをニ台準備して、全員休むことも可能となっている。一番気を使ったのが寝るための馬車なので、振動と防音に気を使っている。ただ、防音は風の結界を使用した特別性なので、隣の音すら聞こえない完璧な物だ。

 でもそれだと外で何かあった時に困るので、緊急連絡用のスピーカーを準備している。振動に関しては、元の世界の技術をもってしても難しかったので、クリエイトゴーレムと元の世界の技術を融合して、振動がほとんどなくなる機構の作成に成功した。

 この馬車を引くのは、ウォーホースの予定だ。オオカミたちにひかせようかと思ったが、戦闘力が落ちてしまうので、追加でウォーホースを連れていく事になった。

 最悪ウォーホースは死んでも、替えはきくので犠牲になってもらう事も視野に入れている。オオカミたちは俺の従魔で、名前も付けているので、替えがきくというわけにはいかないのだ。

 今回、神のダンジョンに挑むのは、俺と嫁たちの合わせてニ十七人。俺の従魔のハク・ニコ・スライム・ギン・クロ・ソウ・コウの合わせて十三匹。ミリーの従魔四匹。ウォーホース四匹。シルキー四人、ブラウニー五十六人の、総勢八十七人とニ十一匹の大所帯で挑むことになる。

 念のためにアンデッド作成で作った、Sランクのスケルトンたちも十ニ体程連れていく事になった。罠のためのカナリアになってもらう、最悪使い捨てにする予定だ。

「レイリー、しばらく留守にするけど、街の治安管理頼む。グリエルとガリアは街の管理を頼む。ゼニスはいつも通りでよろしく。

 土木組には無理させないでくれ、あの子たちは、欲しい物が手に入れられたから無理して稼ぐ必要もないし、きちんとスケジュールは管理してくれ。そこらへんは寮母さんと確認しながらお願い」

 ディストピアの上層部の人間が、俺たちの出発を見送ってくれた。遠くから土木組の子たちや孤児院の子たちも、見送りをしてくれている。

 今回のダンジョン攻略は極秘なので、王国の方へは俺が行く事を伝えていない。王城の中ではあるが、ダンマスの力で俺たち以外が、入る事が出来ないようにしているので、遭遇する事は無いだろう。

 あったとしても、あの神のダンジョンで生き残っている人間だけだと思うが、時間を考えるにさすがに無理だろうな。

 ダンジョンまでは、俺専用の魔導列車をゆっくり走らせても、半日あれば到着する。特に何もする必要はなく到着するので、ゆっくり休むことにした。

 神のダンジョンは本当に情報が無いため、対策がとれないが、俺たちなら何とかなるだろう。神のダンジョンっていうけど、本当に俺たちみたいなダンマスのダンジョンと、同じなのだろうか?

 神だから、なんの制限も無く作っている可能性も、捨てきれない。チビ神たちの事を考えると、愉快犯みたいなトップがいても、おかしくないもんな。話だとすべての星に、神のダンジョンがあるけど、今までに誰も攻略できていないとか。

 どんな罠が仕掛けられているかね? 一応罠発見のスキルを鍛えてはいるが、必ずしも見つけられるとは限らないから、スケルトンたちには悪いけど、漢解除を任せるしかないな。

 ちなみに今回連れていくスケルトンたちは、進化しており、ナイト・ウォーリアー・シーフ・マジシャン・アーチャー・ヒーラーの六人小隊のニチーム分だ。それにしてもスケルトンヒーラーって、違和感がありすぎてモヤっとする。

 この世界の回復魔法は、本当に回復をする魔法であって、アンデッドだから回復できない、ってわけではないからな。光魔法の回復に関しては、アンデッドに大ダメージを与えてしまうので、注意が必要。

 ディストピアを朝に出発して、到着したのはおやつ過ぎ位の時間だ。外に出るわけにもいかないので、好き勝手に作りかえた、王城の中の俺のエリアでくつろぐことにした。

 最近バーベキューをしていなかったので、久々に行う事にした。室内で行うのはどうかと思ったが、今日しないとしばらくできなくなるし、ダンジョンの機能を備えているので、窒息死する事は無いから盛大にやろう!

 突然言い出したバーベキューだったが、シルキーとブラウニーはさすがの機転で、調理していなかったソーセージなどが無かったので、その場で作り始めてくれた。あまりの手際の良さに驚きながらも、俺も一緒にやらせてもらった。

 その後に、ソーセージの形を作る工程は、何かわけが分からないうちに、ブラウニーが終わらせてしまった。後は燻製して、バーベキューの具材となった。他にも魚介類も準備してあり、完璧な状態でバーベキュー大会が始まった。

 みんなでワイワイしながら、食べるご飯って美味いよな。

 みんなで騒いで楽しんでいる時に、ふとダンジョンに繋がる階段の前に立っている、スケルトンたちが目に入った。何かを警戒しているのか、ナイトが前に出て防御姿勢をとっていた。

 そうすると突然、獣が数匹階段から飛び出てきた。ダンジョンの外に出る魔物? 俺らが作ったダンジョンじゃないから、そういった縛りが緩いのかな? ここを制圧した時も頑丈な扉があったような?

 三体は、ウォーリアーに切られ、ニ体はナイトに息の根を止められ、ジャンプして超えてきた奴には、アーチャーの矢が脳天に刺さって、こと切れていた。

 少し場がしらけたりしたが、バーベキューが止まることはなく、みんなの食べるペースが落ちる事は無かった。
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