ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
597 / 2,518

第597話 対策検討中

しおりを挟む
「さて、初めに切りかかって来た部隊に、、指示を出したのはお前だったな。なぜあんなことしたか理由を聞かせてもらおうか?」

 初めは話そうとしなかったが、レイリーが手加減なしに拷問を始めたのですぐゲロった。

 ダギアの話があやふやに伝わっており、妨害勢力がいる可能性があるとの事で、ラディッツにいる冒険者のパーティーでも、上位のパーティーを雇って、何かあった際には撃破をしてもらう予定で連れてきて、俺たちがその妨害勢力だと思われていたようだ。

 どうでもいいか。俺たちは反乱鎮圧部隊、相手は反乱軍の部隊。俺たちは何も悪い事をしていない。

 マップ先生を見て、再度色々確認をしていく。

「レイリー、今回はすまん。マップ先生があるのに、あのパーティーの存在に気付けてなかった。まさか冒険者まで駆り出すとは思ってなかったし、その冒険者がこんなに強かったからな……

 きちんと確認してれば、兵士だけじゃないって気付けたのに……怪我した冒険者たちは大丈夫か?」

「シュウ様、気にしないでください、というのは無理でしょうが、態度に出さないでください。我々も冒険者の皆さんも、不意打ちによってシュウ様が怪我をしなかった事が一番なのです。

 それに、傷を負ったメンバーもピーチ、キリエ、ネルの三人の迅速な対応で問題ありません。重症の三人には、回復魔法は間に合わないと判断して、エリクサーを使ってしまい、落ち込んでいましたが……」

「エリクサーなんて、いくらでも作れる。気にする必要な何もないさ。後で三人に話を聞いてくるよ」

「よろしくお願いします。冒険者は私の方でフォローしておきます」

「怪我した冒険者たちには、少し優遇してやってくれ。後、フォローが終わったら、後発の敵もいるから対応を考えよう」

 そうレイリーに言い残してその場を去り、俺はピーチたちの元へ移動する。それにしても自分だって手を脱臼していたのに……すげえな。

「三人とも、何も気に病むことないよ」

 天幕に入ると、ピーチ・キリエ・ネルの三人が悔しそうにしながら、落ち込んでいる様子だったので声をかける。

「エリクサーを使った判断は、間違ってないさ。エリクサーなんて、いくらでも作れるんだから気にするなよ」

「自分の技量不足で、使う事になった事が……」

「悔しいかもしれないけど、自分にできる事、できない事をしっかりと判断して決断したんだから、俺はすごいと思うぞ。世の中には、自分の技量にあってない事をして、失敗する奴らはいくらでもいる。

 でも自分の能力をしっかりと把握して、自分にできる事できない事を、しっかりと判断できる能力は、かなり大切なものだ。でもそういう事じゃなさそうだな、三人ともおいで」

 三人をまとめて抱いた。そうすると三人とも泣き出してしまい、落ち着くまでに十五分程かかった。泣いてスッキリしたのか、自分のしなきゃいけない事を把握して、行動を開始する。

 しばらく休んでいてもいいと伝えたが、休んでいたくないとの事だったので、そのまま行動を開始した。

 みんなの様子を見て回ってから、レイリーの元へ向かった。

「レイリー、これからどうするか話そうか」

「そうですね。今回は、確認を怠ったため起きた不幸な事故ですが、レベルの確認をせずに、平均だと思ってしまった事も原因でしょう。

 本来なら相手の強さなんて、分からないのが普通なのですから、マップ先生による確認も大切ではありますが、不用意に近付かない事も大切かと思われます」

「確かに、マップ先生に頼りきりは良くないよな。今まで上手く言ってたせいもあって、敵の存在の警戒はしているけど、敵の強さの警戒はしていなかったな。どうしたらいいと思う?」

「正直強さに関しては、対峙してみるか、鑑定でもない限り、相手の強さを数値化できないですからね。今まで上手く行ってただけに、浮き彫りになった事実と言いますか……

 とにかく油断しないように徹底して、中隊長クラスには、鑑定を覚えさせておくべきではないでしょうか?」

「相手の強さを判断できる材料が、ないなら油断するな……か。油断しているつもりはないけど、そうなってしまったんだよな。だけど、今回の戦闘では、マップ先生をフルに使おう。これ以上無駄に怪我人を出したくない。

 戦闘が終わったら対策を考えよう。ディストピアの冒険者はレベルは高いけど、戦闘における対応力が低いんだよな。それはダンジョンをあんな感じに作って、安全マージンを十分に、とっているせいもあるんだろうな。そこらへんも後で考えよう」

「そうですな。これ以上怪我をさせないように、するべきでしょう。戦争なので死ぬ可能性もあると、わかって参加していると思いますが、今回の失敗は士気に影響してますからね。次に襲ってくる本隊について考えましょうか?」

「そうだな。本隊で注意しなきゃいけないのは、騎士団長とその補佐にあたっている五人ってところか?

 騎士団長はレベルニ五〇を超えてるし、他の五人もニ〇〇はあるからな……何でこんな辺鄙な所に、レベルの高い騎士がいるのか不思議なんだけど。帝国だからか?」

「それは無いと思います。近くにある魔物の領域が、原因ではないでしょうか? 魔物が多ければ狩る人たちのレベルは、嫌でも上がりますからね。この街は冒険者だけじゃなく、兵士たちも率先して狩っている可能性があるという事ですね」

「なるほど。レベルの高さはしょうがないとして、騎士団長は、俺がと言いたいところだが、絶対に拒否されるだろうから、シュリに頼むか。

 レイリーには、危ない敵に近寄らないように、冒険者たちと中隊長たちをまとめてほしい。他の五人も年長組、年中組にまかせよう。別に一対一で戦うわけじゃないし、最低でもスリーマンセルで対応させよう」

「そうですね。みんなの強さを考えると、一対一でも問題ないと思いますが、安全策をとるべきかと」

 本体が到着するまでおよそニ日、初日に簡単な対策をとり、残り一日で注意すべきメンバーをピックアップして、完全な対策を立てていく。

 別動隊もいるので、従魔たちには活躍してもらう予定だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~

楠富 つかさ
ファンタジー
 地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。  そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。  できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!! 第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...