ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
586 / 2,518

第586話 移動開始

しおりを挟む
 夕方になると、ディストピアの中央広場は、明かりがいつも以上に準備され、屋台がたくさん出店されている。

 基本は俺が命令したブラウニーたちの屋台だったのだが、住人でもやってみたいという人たちがいたので、許可を出している。もちろんかかった経費は、すべて俺に来るようになっている。というか、出すように命令している。

 ただでさえ、いろんなものをもらっているのにと、経費の請求を辞退しようとする人が後を絶たなかったので、経費申告をしないのなら屋台の許可は出せないと、ぶった切りだすようにさせた。

 ちょっとしたお祭りは、ちょこちょこやっているのだが、ここまで大規模なのは、この街では初めてだろう。今回の事でグリエルやガリア、妻たちもこういうイベントは必要だろうという意見で一致していた。

 だからというわけではないが、ニ・三ヶ月に一回は、定期的な何かをしようという話になった。祭りだけじゃなく、収穫祭とかスポーツ大会とか武道会みたいな事だ。

 話が終わった。この街の収穫物って他の地域に比べたら、ニ倍は早く育ってるから、収穫祭っていって毎回やる方が大変だという事に気が付いたので、時期を決めるべきだろうという後日談があった。

 食事会も終わり、今回戦争に参加してくれる冒険者が、冒険者ギルドに集まってくれた。簡単な説明だ。

 内容としては、今回の戦争に関しては希望があれば、武器防具の貸し出しを行う。慣れていない武具で戦うのが不安な人もいるだろうから、そういった人に対しては、武具のメンテナンスはこちらで行う事を伝えた。

 他にも戦争中の給金の話や、食事や寝る所の話について伝えている。出発は明日の朝9時頃を予定しているので、今日はしっかりと休んでおくように伝えて解散となった。

 食事会が終わり解散になっているのに、そこらへんで騒ぎながら飲んでいるドワーフの首根っこを捕まえて、十五人程戦争についてくるようにお願いした。
 報酬は、戦争中の武具のメンテナンスを行うのに支障がない限りいくらでも酒を飲んでいいという事にした。そうすると、殴り合いを始める勢いで話し合いを始めたので、殴り合いに発展する前に蹴飛ばして、正気に戻してから話し合いを行った。

 話し合いをしたのだがまとまらなかったので、リンドの推薦で十五人が選ばれて、選ばれなかったドワーフ達は肩を落として、さらに酒を飲み始めた。本当に好きだなお前ら。

 さて、最低限の準備は完了した。明日の段取りをみんなで確認してから眠りについた。

 ちなみに、全員で四〇〇人近い行軍になっている。俺がついていくので、調理担当のメインはシルキー四人だが、さすがに四人で四〇〇人近い食事を準備するのは大変だ。

 今回は時間帯をずらして調理できるように、ブラウニーを三十六人連れていく事になった。ブラウニーって今何人いるんだ? 精霊なのに安売り状態だな。

 後日話を聞くと、総数で言えば一〇〇〇人を超えているとの事。それに俺が召喚した以外にも、ブラウニーはいるそうだ。自然と集まってきているのもいれば、生まれてくるものもいるそうだ……

 ん? 精霊ってどうやって生まれるんだ? 四大精霊は自分の力の一部を切り離して作る、と聞いたことはあるが、ブラウニーも一緒なのか? ちなみに力の一部を切り取っても、多少時間がかかるが元に戻るそうだ。

 精霊は厳密に言うと男性女性は無く、いつの間にかその姿に固定されるとの事だ。なので交配という形で精霊を生み出すのではなく、同種族の精霊が多く集まる所に魔力だまりみたいなものができ、そこから生まれてくるとの事だ。

 でもさサラッと聞き流していたけど、自然と集まって来たっていうけど……ここって死の森、樹海なんだけど、どうやって来たんだろうな?

 考えることをやめ、家に帰ってからのんびりとした時間を過ごして、眠りにつく。

 朝起きると、グリエルから馬車はどうするのかと連絡が入っていると言われ、慌てそうになったが、試作と言って色んなタイプの馬車を作っているので、それを総動員すれば何の問題も無かった。

 ネタで作ったゴムタイヤを十六個使い、三十人乗りとかいう馬鹿げた馬車も作っているので大丈夫だった。

 ディストピアからは魔導列車でメギドまで行くので、道中の大半は息抜きの時間になっている。メギドには夜に付いたが、領主館は庭を大きく作っていたので、野営の練習だと考えみんなに手伝ってもらいながら行っている。

 冒険者はこのテントを初めて見たので、大きさにビビっていた。空調の魔道具も完備、パーティーに合わせて四人部も作っている。

 防音布で問題ないので、女性の冒険者たちには喜ばれた。男たちは大雑把で顔見知りという事もあり、防音布は一切使わないとの事だ。

 テントだけでなく、食事はシルキーが陣頭指揮をとっているので、冒険者のみんながおこぼれで食べる事が出来る物とは次元が違った。

 一番喜ばれたのは、風呂だったな。水浴びくらいしかできないと思っていたのに、毎日入る事ができるとなれば、みんな喜ぶのは当たり前か。

 ディストピアでも、一般家庭で入るにはちょっと大変だが、大衆浴場がいたる所にある上にタダで入れるので、住人全員がお風呂の虜になっているのだ。

 野営準備は、レクチャー込みでも三十分で終了したため、予想以上に時間が余ってしまっている。ニ時間ほどメギドの散策を許可している。

 無用なトラブルは、起こさないように注意してからの出発だ。ディストピア以上の街は無いが、やっぱり他の街に来たら、色々見て見たくなるのが人の性なので、みんな喜んでくれているようでよかった。

 戻ってきたみんなは楽しかったと話しているが、住むならやっぱりディストピアの方がいいって、言っていたので俺が作った街を気に入ってくれて、嬉しい限りである!

 街もきれいだし、水もお湯も使いたい放題、子供は学校に行くこともできるからな。ただ一点、樹海のど真ん中にある事を除けば……
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

女神様から同情された結果こうなった

回復師
ファンタジー
 どうやら女神の大ミスで学園ごと異世界に召喚されたらしい。本来は勇者になる人物を一人召喚するはずだったのを女神がミスったのだ。しかも召喚した場所がオークの巣の近く、年頃の少女が目の前にいきなり大量に現れ色めき立つオーク達。俺は妹を守る為に、女神様から貰ったスキルで生き残るべく思考した。

処理中です...