574 / 2,518
第574話 メギドの衛星都市に向かって
しおりを挟む
出発の朝を迎えた!
待ち合わせをしている場所に到着すると、先にミリーがターニャとその知り合いを連れて待っていた。
「早めに出てきたつもりだったけど、そっちも早いね。待った?」
「ちょっと前に来たところだから、待ってないよ」
なんだろう。デートの待ち合わせみたいなやり取りだな。それにしても見事に女の子ばかりだな。
ミリーの話では女の子が増えるのはいい事だし、ディストピアの男性陣には、しっかり頑張ってもらわないとな。女性も稼げる街だから、共働きでも働きやすい環境だ、頑張ってくれ!
「そっちにいる六人が、移住希望ってことでいいのかな? そっか、一応適性も見させてもらうので、ディストピアの衛星都市になる、ゴーストタウンで様子を見ることになるけど問題ないかな?」
「はい、大丈夫です!」
「じゃぁ、出発しようか」
準備しておいた馬車に乗り込んでいく。今回はミリーとターニャ+他5名の女の子を一つの馬車に乗せて、余っているスペースには、ドーンボーンの交易品を積んでいる。
偽装だけじゃなく、ここで稼いだお金を使っておきたいため、芸術品や技術品等を買い込んで積んでいる。
「お姉ちゃん! この馬車全然揺れないよ!? それにすごく早くない!?」
今、俺たちの馬車が走っている所は、ドーンボーンに来る際に作った道を通って、ディストピアへの帰路についている。
馬車をひいているのは、もちろんウォーホースであり、ただの馬と比べるまでもないほどに力が強いので、一匹ででもかなり速いスピードで走っている。
後ろの馬車から外を見ていたターニャに、一緒についてきた年下の子がはしゃいで、大きな声を上げている。
「ミリーさん、この馬車ってシュウさんの持ち物なんですよね?」
「一応そうね。私たちみんなの馬車でもあるから、ちょっと扱いに困るかもしれないけどね」
「こんなに揺れない馬車なんて初めてなんですが、どこかの工房で作られたのですか? とても高かったんじゃないですか? それなのに私たちを乗せてくれるなんて、大丈夫なんですか?」
馬車が凄すぎて、乗ってていいのか困惑し始めていたターニャが、若干青い顔になっている。
「そんな事気にしなくていいよ。これはシュウ君がほとんど作ったような物だからね。売ったら高いかもしれないけど、手作りだから気にする必要ないよ」
ミリーが気休めかもしれないけど、ターニャを落ち着かせていた……が作ったという所に反応して、さらに驚いていた。
「えっ!? シュウさんって、冒険者じゃないんですか? こんなに凄い馬車作れるのに、王族や貴族が乗っててもおかしくないくらい、凄い物じゃないんですか?」
「あぁ……一応シュウ君は、貴族になるのかな? 樹海の中心に自分で街を作ったから、王様って言っても間違いじゃないと思うけど、本人がそういう扱いをされるのが嫌だから、絶対にしないであげてね」
大きな声でいってみるみたいで、俺にまで聞こえてきている。その通り! 領主とか貴族とか王様って言われると、ムズムズして嫌なんだよね。
何ていうか街を作ったけど、俺が平和に過ごせるように作っただけだからな。ディストピアの領主は、実質グリエルだと俺は思っている。ただ所有権があるだけで、後は丸投げ。
俺が王様だとすれば、分かりやすいんだけどね。俺の持っている街を、信頼できる人に任せて、俺はあがりを期待する。なんという左団扇的な感じなのだろうか。
仕事をしていないわけじゃないけど、俺がいなくても何とでもなるようになってるんだよね。ただ、周りの人間に言わせると、俺がいるから何とかなっているだけという事なので、王様ではなく名前だけ貸している感じだと、俺は思っている。
問題はターニャと一緒に来た五人は、顔を青くして若干ブルブル震えてるぞ! ミリー変なこと言うな! 俺が怖い人間みたいじゃないか!
「そんな怖がることはないわ。今すぐ慣れろとは言わないけど、向こうで生活していれば、シュウ君が街を作った人間だなんて、思えないくらい親しまれてるから、安心していいのよ」
今すぐ安心できるわけは無いだろうが、気長に慣れていってくれ。
一日かからずに魔物の領域を抜けてしまった。さすが、俺の改造馬車にウォーホースだな! 少し進んだ所で野営になる。
そういえば、三時のおやつの時間に、チョコレートパフェを出してあげると、すぐに六人は俺がえらい人という事を忘れて、美味しい物をくれるお兄ちゃんに、昇格? 降格? した。
すぐにフレンドリーに接してくれるようになった。なので声をかけても、よそよそしくされたりせずに済んだ。寂しい思いをしなくてよかった。
シルキーたちの作る料理は、六人にとっては初めての物ばかりで、食べながらなく子までいた。確かに泣けるくらい美味いけど、泣いてたら味が落ちちゃうぞ! それに慌てて食べなくてもいいから! いくらでも準備しているから!
昼にも食べ過ぎてトドのようになって、お菓子ももらって、夕食でもトドになった。君たちこりないな。
テントを建てるのは、夕食前に手伝ってもらったから、後は寝るだけなんだけど、君たちお風呂には入らないのか? 俺は先に入るから、後で入ってくれ。
六人はドーンボーンから初めて出たみたいで、ずっとはしゃいでいたな。ご飯を食べてお風呂に入れる事を知って、お風呂に入った後、電池が切れたように眠りについてしまっていた。
ミリーがみんなをベッドに運んでいたので手伝おうとしたが、妻じゃないので女性に下手に触らないでください! と怒られてしまった。
土木組の子はいいのだろうかと思ったが、あの子たちは身内扱いなので、何の問題もないそうだ。そういえば、あの子たちはここ一ヶ月はディストピアから離れて、何処かに作業へ行っているって聞いたけど、大丈夫だろうか? 何となく親心的な感じになってしまっていた。
特に何もなく日が明けた。メギドに向かって進んでいく。急ぐ事は無いとはいえ、ずっと変わり映えのしない景色は飽きるので、メギドの近くにある魔物の領域の近くの街へ直通の地下通路を、掘ってその中を進んでいく。
この子たちには、まだ俺の正体は教えられないので、たまたま見つけた通路を使っているという事にしている。
俺の領地なので直通でもよかったが、入り口からしっかり入ることにした。俺たちが作った城壁が見えそうなところから外に出て、ウォーホースをパッカラパッカラ走らせて門に到着する。
待ち合わせをしている場所に到着すると、先にミリーがターニャとその知り合いを連れて待っていた。
「早めに出てきたつもりだったけど、そっちも早いね。待った?」
「ちょっと前に来たところだから、待ってないよ」
なんだろう。デートの待ち合わせみたいなやり取りだな。それにしても見事に女の子ばかりだな。
ミリーの話では女の子が増えるのはいい事だし、ディストピアの男性陣には、しっかり頑張ってもらわないとな。女性も稼げる街だから、共働きでも働きやすい環境だ、頑張ってくれ!
「そっちにいる六人が、移住希望ってことでいいのかな? そっか、一応適性も見させてもらうので、ディストピアの衛星都市になる、ゴーストタウンで様子を見ることになるけど問題ないかな?」
「はい、大丈夫です!」
「じゃぁ、出発しようか」
準備しておいた馬車に乗り込んでいく。今回はミリーとターニャ+他5名の女の子を一つの馬車に乗せて、余っているスペースには、ドーンボーンの交易品を積んでいる。
偽装だけじゃなく、ここで稼いだお金を使っておきたいため、芸術品や技術品等を買い込んで積んでいる。
「お姉ちゃん! この馬車全然揺れないよ!? それにすごく早くない!?」
今、俺たちの馬車が走っている所は、ドーンボーンに来る際に作った道を通って、ディストピアへの帰路についている。
馬車をひいているのは、もちろんウォーホースであり、ただの馬と比べるまでもないほどに力が強いので、一匹ででもかなり速いスピードで走っている。
後ろの馬車から外を見ていたターニャに、一緒についてきた年下の子がはしゃいで、大きな声を上げている。
「ミリーさん、この馬車ってシュウさんの持ち物なんですよね?」
「一応そうね。私たちみんなの馬車でもあるから、ちょっと扱いに困るかもしれないけどね」
「こんなに揺れない馬車なんて初めてなんですが、どこかの工房で作られたのですか? とても高かったんじゃないですか? それなのに私たちを乗せてくれるなんて、大丈夫なんですか?」
馬車が凄すぎて、乗ってていいのか困惑し始めていたターニャが、若干青い顔になっている。
「そんな事気にしなくていいよ。これはシュウ君がほとんど作ったような物だからね。売ったら高いかもしれないけど、手作りだから気にする必要ないよ」
ミリーが気休めかもしれないけど、ターニャを落ち着かせていた……が作ったという所に反応して、さらに驚いていた。
「えっ!? シュウさんって、冒険者じゃないんですか? こんなに凄い馬車作れるのに、王族や貴族が乗っててもおかしくないくらい、凄い物じゃないんですか?」
「あぁ……一応シュウ君は、貴族になるのかな? 樹海の中心に自分で街を作ったから、王様って言っても間違いじゃないと思うけど、本人がそういう扱いをされるのが嫌だから、絶対にしないであげてね」
大きな声でいってみるみたいで、俺にまで聞こえてきている。その通り! 領主とか貴族とか王様って言われると、ムズムズして嫌なんだよね。
何ていうか街を作ったけど、俺が平和に過ごせるように作っただけだからな。ディストピアの領主は、実質グリエルだと俺は思っている。ただ所有権があるだけで、後は丸投げ。
俺が王様だとすれば、分かりやすいんだけどね。俺の持っている街を、信頼できる人に任せて、俺はあがりを期待する。なんという左団扇的な感じなのだろうか。
仕事をしていないわけじゃないけど、俺がいなくても何とでもなるようになってるんだよね。ただ、周りの人間に言わせると、俺がいるから何とかなっているだけという事なので、王様ではなく名前だけ貸している感じだと、俺は思っている。
問題はターニャと一緒に来た五人は、顔を青くして若干ブルブル震えてるぞ! ミリー変なこと言うな! 俺が怖い人間みたいじゃないか!
「そんな怖がることはないわ。今すぐ慣れろとは言わないけど、向こうで生活していれば、シュウ君が街を作った人間だなんて、思えないくらい親しまれてるから、安心していいのよ」
今すぐ安心できるわけは無いだろうが、気長に慣れていってくれ。
一日かからずに魔物の領域を抜けてしまった。さすが、俺の改造馬車にウォーホースだな! 少し進んだ所で野営になる。
そういえば、三時のおやつの時間に、チョコレートパフェを出してあげると、すぐに六人は俺がえらい人という事を忘れて、美味しい物をくれるお兄ちゃんに、昇格? 降格? した。
すぐにフレンドリーに接してくれるようになった。なので声をかけても、よそよそしくされたりせずに済んだ。寂しい思いをしなくてよかった。
シルキーたちの作る料理は、六人にとっては初めての物ばかりで、食べながらなく子までいた。確かに泣けるくらい美味いけど、泣いてたら味が落ちちゃうぞ! それに慌てて食べなくてもいいから! いくらでも準備しているから!
昼にも食べ過ぎてトドのようになって、お菓子ももらって、夕食でもトドになった。君たちこりないな。
テントを建てるのは、夕食前に手伝ってもらったから、後は寝るだけなんだけど、君たちお風呂には入らないのか? 俺は先に入るから、後で入ってくれ。
六人はドーンボーンから初めて出たみたいで、ずっとはしゃいでいたな。ご飯を食べてお風呂に入れる事を知って、お風呂に入った後、電池が切れたように眠りについてしまっていた。
ミリーがみんなをベッドに運んでいたので手伝おうとしたが、妻じゃないので女性に下手に触らないでください! と怒られてしまった。
土木組の子はいいのだろうかと思ったが、あの子たちは身内扱いなので、何の問題もないそうだ。そういえば、あの子たちはここ一ヶ月はディストピアから離れて、何処かに作業へ行っているって聞いたけど、大丈夫だろうか? 何となく親心的な感じになってしまっていた。
特に何もなく日が明けた。メギドに向かって進んでいく。急ぐ事は無いとはいえ、ずっと変わり映えのしない景色は飽きるので、メギドの近くにある魔物の領域の近くの街へ直通の地下通路を、掘ってその中を進んでいく。
この子たちには、まだ俺の正体は教えられないので、たまたま見つけた通路を使っているという事にしている。
俺の領地なので直通でもよかったが、入り口からしっかり入ることにした。俺たちが作った城壁が見えそうなところから外に出て、ウォーホースをパッカラパッカラ走らせて門に到着する。
0
お気に入りに追加
454
あなたにおすすめの小説
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
彼女をイケメンに取られた俺が異世界帰り
あおアンドあお
ファンタジー
俺...光野朔夜(こうのさくや)には、大好きな彼女がいた。
しかし親の都合で遠くへと転校してしまった。
だが今は遠くの人と通信が出来る手段は多々ある。
その通信手段を使い、彼女と毎日連絡を取り合っていた。
―――そんな恋愛関係が続くこと、数ヶ月。
いつものように朝食を食べていると、母が母友から聞いたという話を
俺に教えてきた。
―――それは俺の彼女...海川恵美(うみかわめぐみ)の浮気情報だった。
「――――は!?」
俺は思わず、嘘だろうという声が口から洩れてしまう。
あいつが浮気してをいたなんて信じたくなかった。
だが残念ながら、母友の集まりで流れる情報はガセがない事で
有名だった。
恵美の浮気にショックを受けた俺は、未練が残らないようにと、
あいつとの連絡手段の全て絶ち切った。
恵美の浮気を聞かされ、一体どれだけの月日が流れただろうか?
時が経てば、少しずつあいつの事を忘れていくものだと思っていた。
―――だが、現実は厳しかった。
幾ら時が過ぎろうとも、未だに恵美の裏切りを忘れる事なんて
出来ずにいた。
......そんな日々が幾ばくか過ぎ去った、とある日。
―――――俺はトラックに跳ねられてしまった。
今度こそ良い人生を願いつつ、薄れゆく意識と共にまぶたを閉じていく。
......が、その瞬間、
突如と聞こえてくる大きな声にて、俺の消え入った意識は無理やり
引き戻されてしまう。
俺は目を開け、声の聞こえた方向を見ると、そこには美しい女性が
立っていた。
その女性にここはどこだと訊ねてみると、ニコッとした微笑みで
こう告げてくる。
―――ここは天国に近い場所、天界です。
そしてその女性は俺の顔を見て、続け様にこう言った。
―――ようこそ、天界に勇者様。
...と。
どうやら俺は、この女性...女神メリアーナの管轄する異世界に蔓延る
魔族の王、魔王を打ち倒す勇者として選ばれたらしい。
んなもん、無理無理と最初は断った。
だが、俺はふと考える。
「勇者となって使命に没頭すれば、恵美の事を忘れられるのでは!?」
そう思った俺は、女神様の嘆願を快く受諾する。
こうして俺は魔王の討伐の為、異世界へと旅立って行く。
―――それから、五年と数ヶ月後が流れた。
幾度の艱難辛苦を乗り越えた俺は、女神様の願いであった魔王の討伐に
見事成功し、女神様からの恩恵...『勇者』の力を保持したまま元の世界へと
帰還するのだった。
※小説家になろう様とツギクル様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる