ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第572話 ミリーの悪巧み

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 ドーンボーンのダンジョンを上がっていくと、八十階のエレベーターに使われた痕跡がある事が、かなり大事なんだと感じた。よくわからないが、大盛り上がりでお祭り状態みたいになっている。

 アリバイになるか分からないけど、溶岩階層の魔物のドロップ品と、ちょっと回収しておいた鉱石を、ギルドに売りに出しておこう。

 これはこれで驚かれるかもしれないけど、ドーンボーンの人間が把握している俺たちの強さであれば、到達できても問題ないと考えるだろうから大丈夫だろう。

 普通より人数の多いパーティーだと、報酬でトラブルになりやすいけど、全員身内だと知っているから、余計なトラブルもないと判断してくれるだろう。

 ダンジョンから出たその足で冒険者ギルドへ向かう。

 …………

「なんだこりゃ?」

 冒険者ギルドに着いて、お昼前の時間で普段なら閑散としているはずなのに、今は蟻の巣穴をほじくり返したような感じで、人があふれかえっている。

 理由は、ダンジョンがお祭り騒ぎになっていたのと同じだ。たかがエレベーターに使用の形跡があっただけで、こんなバカ騒ぎになるなんてな、俺らに分からない何かがあるのかな?

 気は引けたがここまで来て踵を返すのもどうかと思いそのまま、お祭り騒ぎになっている冒険者ギルドに入っていく。

「忙し忙し、ん? 君は……確かシュウ殿でしたね。何か用事でしょうか?」

「今、ダンジョンから出てきたから、ドロップ品などの換金をしてもらいたいんだけどいいかな?」

「少しお待ちください」

 三度ほど受付をしてくれた、三十台位のお兄さんが、憎らしそうな表情をして俺の対応をしてくれた。そんな顔をするのは、一回目に対応してくれてから、ずっとなんだけどね。

 まだ結婚できていない自分に対して俺は、こんなに可愛い妻たちを侍らせているせいで、目の敵にでもされたかのような対応をしてくるのだ。その人が対応するとトラブルになりそうだという事で、担当の受付みたいな人ができていた。

 こちらは、まだ成人したばかり位の女の子なのだが、対応する度に餌付けみたいに、ブラウニー特製のお菓子をあげていたら、なつかれてしまった感じだ。それも今日で終わりだけどな。

 俺はのんびりと、その対応してくれる子を待っていた。

「お待たせしました。ダンジョンに潜った際のドロップ品などの買取希望ですね。今日は何階付近の物ですか?」

「えっと、溶岩地帯の魔物のドロップ品と採掘した鉱石類等を、買い取ってもらいたくて来た。それと今回でダンジョンに潜るのはやめる予定です。そろそろ自分たちの街へ戻ろうかと思ってな」

 ん? なんだ? この世の終わりのような顔をしているが、何かあったのか? 俺らがいなくなるのが、そんなに寂しいのか? 俺は関係ないかもしれないけどな。冒険者ギルドの受付なら、こういった事も珍しくないだろうに……

「もうお菓子貰えないんですか!?」

 そっちかい!

「確かにお菓子はもうあげれないな。この街からいなくなるんだもんな」

「そんな~私の唯一の楽しみだったのに~~~っ!! これから何を希望に生きて行けばいいのさ!」

「そんな事俺に言われても」

「シュウ君、ちょっとこの娘とお話しさせてもらっていいかな?」

 ミリーがちょっと前に出て、俺に許可を求めてくる。

「え? 俺の許可が必要な状況だった? ミリーが話ししたいなら話しするのは問題ないよ。先に精算してからな。でも、ターニャは忙しいんじゃないのか? 時間大丈夫か?」

「ミリーさんとお話しする分には、問題ないです。忙しくしているのは、ギルドの上の人たちだけですし、お菓子貰えるならついていきます!」

 それでいいのか冒険者ギルドの受付嬢。

「まぁ、先に精算よろしく」

「はぁ~い」

 今日売ろうとしていた分を取り出して清算してもらう。

「なぁ、ミリー」

「なぁに?」

「あの子に何話すつもりだ?」

「シュウはあの娘の事何か知ってる?」

 首を横にふって答える。

「冒険者ギルドの受付になるくらいだから、その街でもそれなりに出来る人間なのは間違いないの。あっ、私が受付やってたからじゃないのよ? 冒険者ギルドって、どこの街でも優秀な人がなるんだよね。給料がいいからね。

 で、話を戻すけど、あの娘優秀だけど身寄りがないんだって。少し後ろめたい事をして、必死に勉強をして受付に合格したらしいのね。

 あんな感じだけど優秀ではあるの、だから私みたいに飛び出す覚悟ができれば、ディストピアに来てくれるかなって思って、私たちの街の事を話そうと思うの」

「優秀な人材を、引き抜くってことか?」

「簡単に言えばそういう事ね。この街に未練が無いのなら、絶対にディストピアは居心地のいい街だと思うんだ。ディストピアの住人ならゴーストタウンにも、他の中立都市にも自由にいけるから、飽きないと思うしダメかな?」

「ミリーがいいと思うなら、いいんじゃないか? 冒険者ギルドの受付として引き抜くなら、ミリーの下で働く事になるんだから、しっかり面倒を見るんだろ?」

「来てくれるならもちろん面倒は見るわよ。それとディストピアの事を考えると、若い女の子は少しでも多くいてくれる方が助かるのよね。適性のない子はダメだけど、あの娘ならOKだからね」

「ディストピアの事を考えると、何で若い女の子が多い方がいいんだ? あの年代は男女半々くらいじゃなかったっけ?」

「シュウ君、ここはシュウ君のいた世界とは違うんだよ。漫画を読んで知ったけど、昔いた世界は夫婦は一対一なんでしょ? でもね、この世界では、一夫多妻制が普通なの。

 子供の数を増やしたいのであれば、半々よりは女性が多少多い方がいいんだよ。ディストピアならまじめに働けば、女性のニから三人は抱えても、苦しくない生活が送れるからね。そういうシュウ君が一番お嫁さんの数が多いんだけどね!」

 ミリーに色々話を聞いていると査定が終わり、ターニャが戻ってきた。清算を終わらせた彼女は、ミリーと話をするためにブースへ入って行った。

 時間がかかるかもしれないから、先に帰っておいてほしいと言われたので、スライムズとミリーの従魔たちを護衛に残して、俺たちは家に戻る事にした。
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