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第549話 交渉決裂?
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「そうですか、身分の保証がなければ、通れもせず会談も出来ないわけですね」
「そういう事だ。だから保証金さえ払って、一人ひとり事情聴取させてもらえれば問題ない」
「わかりました。会談も通る事も今回はあきらめます。帝国に戻って身分証明書を発行してもらって、今度は正面から来ることにします。作って来た通路は、帰りに壊しておくのでご心配なく」
「そうか、国に帰られるのか。だが、通路の件は了承しかねる。ドーンボーンの領地に通路を勝手に作ったのは、まだ許そう。有用な道であるからな。だが、領地内の有用な道と判断した物を壊すのは許されない!」
「寝言は寝てから言えよ。魔物の領域が何でドーンボーンの領地になるんだ? お前らの領地は、この城壁の中だけだろうが。誰にも管理されていない土地に、俺が勝手に作った道なんだから、俺がどうしようと自由だろ? 今度は身分証明書を持って、正面から来るからよろしくな」
「待てと言っておろうが! これだから冒険者は困る。街を、国を理解していない。もしその道を壊して戻るのであれば、我々とて容赦は出来ぬぞ!」
そういうと兵士たちの顔色が、一気に悪くなるのが分かった。
普通に戦闘に関わってなくても、わかる事だと思うのだが……魔物の領域の魔物を倒しながら、道を作って来たのだからそれなりの実力があるのは明白なのに、それに挑ませようとするんだからな。
兵士たちの顔色が、いくら人数が多くても理不尽な強さの冒険者が、存在しているのを知っているドーンボーンの兵士たちは悩んでいる。
「言葉をはさむようであれだけど、兵士たちの顔色が良くないから、軽率な発言は控えた方がいいと思うぞ。体調が万全じゃないんじゃないか? 容赦しないで襲ってくるなら、蹂躙するまでだけどな」
「ふん、精神的な揺さぶりか? あいにく私には、そんなものは聞かんぞ! それに王国と帝国の緩衝地域の中で、随一と呼ばれる兵力を有しているこの街の兵士が取り囲んでいるんだ、勝てると思っているのか?」
「井の中の蛙か……外の世界は広いぞ。中隊規模の人数で国落としが出来る規格外だっているんだ、取り囲んでいるからなんだというんだ?」
「強がりはよせ。確かに中には規格外の者たちは存在している。だがそれはお前たちではない! 戯言はいい兵士たち、そいつらを捕えよ!」
俺は前に手のひらを突き出す。
「兵士諸君、君たちがそいつの命令で動けば、ドーンボーンの総意と捉えても問題ないと、俺は認識するが? 捕えようとするなら、せめて命を賭けて来いよ」
兵士たちは、勢いにまかせて攻めようとしていた感じだが、俺の発言を聞くと二の足を踏んでいる。
「自慢の兵士とやらは、二の足を踏んでるぞ。それにお前は、本当にドーンボーンを代表して、ここに交渉に来ているのか? 代表ってことは、ドーンボーンの総意ってことになると思うのだが、その覚悟はできているんだろうな?
一応言っておくが、中立地域のディストピアから来たと言ったが、一応そこの領主でもあるから注意しろよ。他にも、ヴローツマイン、グレッグ、ミューズ、メギドの支配者でもあるからな。ここで捕らえようとすれば、ドーンボーンと俺たちの戦争になるからな」
「ふん、お前のような若造が領主であるはずがない、はったりだ! 兵士共何をやっている! 早くこいつらを捕えろ!」
偉そうな奴の命令を受けて、兵士たちは再起動して俺たちに剣を向けてきた。
「これなら正当防衛成立だよな。魔物の領域で刃を向けてきたんだから、盗賊として処理しても問題ないよな?」
「そうですね、確かゼニス様が魔物の領域で武器を向けられたら、盗賊として処理しても何の問題も無いと話されていました」
「馬鹿な事を言うな! ここはドーンボーンの領地内だ! こいつらは盗賊と変わらない! 捕えた者に報酬を上乗せしよう! 女たちは捕えたら自由にしていいぞ」
これで兵士たちのタガが外れてしまった。そして俺の妻をそういう風に扱おうとしたのだ、当然の報いを受けてもらおう。
「みんな、不愉快だと思うけど全員生け捕りにして、奴隷になってもらおう。そういう扱いをしようとしたんだから、そういう扱いをされる覚悟があるってことだからね。奴隷になってもらって死ぬまで後悔してもらおう。
男の奴隷がどれだけ長い期間生きてられるか知らないけどな。屈強な兵士ならもしかしたら、待遇がいいかもしれないから長生きできるかもね」
基本的に俺たちの攻撃力は過剰なので、こういう際にはフレデリクとリーファスとの戦争の時に使った、非殺傷武器の出番になるのだが、あまり血の臭いをさせていると魔物が近付いてきて、食ってしまうかもしれないから、今回はスマートに魔法で終わらせよう。
魔法組がイメージを集中する際の守りは前衛組であり、三倍近い数をその場に釘付けにしている。今回は前衛組が近くにいるので、広範囲のエリアスタンを放つわけにはいかなかったので、みんなのイメージが固まるまでに時間がかかっているようだ。
その間にも敵からの攻撃は来るので、ヒーラーが結界を張って攻撃を防いでいた。俺はそんな後ろから攻撃してくる奴らが面倒だったので、偉そうにしている奴等も巻き込むようにスタンボルトの広範囲版、エリアスタンを使用して沈黙させる。
ここまで力の差があると、状態異常の魔法をレジスト出来ないから、一方的になってしまうのはしょうがないのかな? Aランクの冒険者であれば、レジスト出来る者が多いはず。
と言ってもAランクの冒険者は、世界でも有数の力を持っている人たちなので、レジスト出来る可能性があると言っても、誤差の範囲になってしまうだろう。Bランクくらいならレジスト出来ても、体が痺れてまともな戦闘にならないと思われる。
そうやって考えると俺たちって理不尽な集団だな。理不尽だからと言って、その力を手放そうとも思わないけどね。自分を、周りを守るためならどんな力だって使ってやるさ。
魔法組のイメージが固まったようだ。ライムから前衛に指示が出る。
「みんな、パターンCで行動して!」
ん? パターンCってなんぞ?
みんなの動きを見ていると、シュリ・リリー・シャルロット・メルフィがチェーンバーストを使って敵兵を自分の近くまで強引に引き寄せる。引き寄せている数も名前の順に少なくなっていく感じだ。
引き寄せる前にヒーラーと魔法が得意な他のメンバーが、四人の周りに結界を張っていた。敵が結界の中に入ってこない所を見ると、物理結界っぽいな。でも結界が二重になっている所を見ると、他にもう一枚結界が張ってあるな。
「「「「エリアスタン」」」」
あ……四人を巻き込むように魔法が発動された。けど、四人には全く影響がなさそうだ。二枚目の結界は魔法防御なんだろうな。
ちなみにスキルで具現化したチェーンは、どちらにも属さないため結界をすり抜けるらしいです。この状態なら普通、結界の中から攻撃できないけど、組み合わせることによって最大の効果を発揮するってところか?
時間にして五分もかからずに相手戦力が沈黙した。
「そういう事だ。だから保証金さえ払って、一人ひとり事情聴取させてもらえれば問題ない」
「わかりました。会談も通る事も今回はあきらめます。帝国に戻って身分証明書を発行してもらって、今度は正面から来ることにします。作って来た通路は、帰りに壊しておくのでご心配なく」
「そうか、国に帰られるのか。だが、通路の件は了承しかねる。ドーンボーンの領地に通路を勝手に作ったのは、まだ許そう。有用な道であるからな。だが、領地内の有用な道と判断した物を壊すのは許されない!」
「寝言は寝てから言えよ。魔物の領域が何でドーンボーンの領地になるんだ? お前らの領地は、この城壁の中だけだろうが。誰にも管理されていない土地に、俺が勝手に作った道なんだから、俺がどうしようと自由だろ? 今度は身分証明書を持って、正面から来るからよろしくな」
「待てと言っておろうが! これだから冒険者は困る。街を、国を理解していない。もしその道を壊して戻るのであれば、我々とて容赦は出来ぬぞ!」
そういうと兵士たちの顔色が、一気に悪くなるのが分かった。
普通に戦闘に関わってなくても、わかる事だと思うのだが……魔物の領域の魔物を倒しながら、道を作って来たのだからそれなりの実力があるのは明白なのに、それに挑ませようとするんだからな。
兵士たちの顔色が、いくら人数が多くても理不尽な強さの冒険者が、存在しているのを知っているドーンボーンの兵士たちは悩んでいる。
「言葉をはさむようであれだけど、兵士たちの顔色が良くないから、軽率な発言は控えた方がいいと思うぞ。体調が万全じゃないんじゃないか? 容赦しないで襲ってくるなら、蹂躙するまでだけどな」
「ふん、精神的な揺さぶりか? あいにく私には、そんなものは聞かんぞ! それに王国と帝国の緩衝地域の中で、随一と呼ばれる兵力を有しているこの街の兵士が取り囲んでいるんだ、勝てると思っているのか?」
「井の中の蛙か……外の世界は広いぞ。中隊規模の人数で国落としが出来る規格外だっているんだ、取り囲んでいるからなんだというんだ?」
「強がりはよせ。確かに中には規格外の者たちは存在している。だがそれはお前たちではない! 戯言はいい兵士たち、そいつらを捕えよ!」
俺は前に手のひらを突き出す。
「兵士諸君、君たちがそいつの命令で動けば、ドーンボーンの総意と捉えても問題ないと、俺は認識するが? 捕えようとするなら、せめて命を賭けて来いよ」
兵士たちは、勢いにまかせて攻めようとしていた感じだが、俺の発言を聞くと二の足を踏んでいる。
「自慢の兵士とやらは、二の足を踏んでるぞ。それにお前は、本当にドーンボーンを代表して、ここに交渉に来ているのか? 代表ってことは、ドーンボーンの総意ってことになると思うのだが、その覚悟はできているんだろうな?
一応言っておくが、中立地域のディストピアから来たと言ったが、一応そこの領主でもあるから注意しろよ。他にも、ヴローツマイン、グレッグ、ミューズ、メギドの支配者でもあるからな。ここで捕らえようとすれば、ドーンボーンと俺たちの戦争になるからな」
「ふん、お前のような若造が領主であるはずがない、はったりだ! 兵士共何をやっている! 早くこいつらを捕えろ!」
偉そうな奴の命令を受けて、兵士たちは再起動して俺たちに剣を向けてきた。
「これなら正当防衛成立だよな。魔物の領域で刃を向けてきたんだから、盗賊として処理しても問題ないよな?」
「そうですね、確かゼニス様が魔物の領域で武器を向けられたら、盗賊として処理しても何の問題も無いと話されていました」
「馬鹿な事を言うな! ここはドーンボーンの領地内だ! こいつらは盗賊と変わらない! 捕えた者に報酬を上乗せしよう! 女たちは捕えたら自由にしていいぞ」
これで兵士たちのタガが外れてしまった。そして俺の妻をそういう風に扱おうとしたのだ、当然の報いを受けてもらおう。
「みんな、不愉快だと思うけど全員生け捕りにして、奴隷になってもらおう。そういう扱いをしようとしたんだから、そういう扱いをされる覚悟があるってことだからね。奴隷になってもらって死ぬまで後悔してもらおう。
男の奴隷がどれだけ長い期間生きてられるか知らないけどな。屈強な兵士ならもしかしたら、待遇がいいかもしれないから長生きできるかもね」
基本的に俺たちの攻撃力は過剰なので、こういう際にはフレデリクとリーファスとの戦争の時に使った、非殺傷武器の出番になるのだが、あまり血の臭いをさせていると魔物が近付いてきて、食ってしまうかもしれないから、今回はスマートに魔法で終わらせよう。
魔法組がイメージを集中する際の守りは前衛組であり、三倍近い数をその場に釘付けにしている。今回は前衛組が近くにいるので、広範囲のエリアスタンを放つわけにはいかなかったので、みんなのイメージが固まるまでに時間がかかっているようだ。
その間にも敵からの攻撃は来るので、ヒーラーが結界を張って攻撃を防いでいた。俺はそんな後ろから攻撃してくる奴らが面倒だったので、偉そうにしている奴等も巻き込むようにスタンボルトの広範囲版、エリアスタンを使用して沈黙させる。
ここまで力の差があると、状態異常の魔法をレジスト出来ないから、一方的になってしまうのはしょうがないのかな? Aランクの冒険者であれば、レジスト出来る者が多いはず。
と言ってもAランクの冒険者は、世界でも有数の力を持っている人たちなので、レジスト出来る可能性があると言っても、誤差の範囲になってしまうだろう。Bランクくらいならレジスト出来ても、体が痺れてまともな戦闘にならないと思われる。
そうやって考えると俺たちって理不尽な集団だな。理不尽だからと言って、その力を手放そうとも思わないけどね。自分を、周りを守るためならどんな力だって使ってやるさ。
魔法組のイメージが固まったようだ。ライムから前衛に指示が出る。
「みんな、パターンCで行動して!」
ん? パターンCってなんぞ?
みんなの動きを見ていると、シュリ・リリー・シャルロット・メルフィがチェーンバーストを使って敵兵を自分の近くまで強引に引き寄せる。引き寄せている数も名前の順に少なくなっていく感じだ。
引き寄せる前にヒーラーと魔法が得意な他のメンバーが、四人の周りに結界を張っていた。敵が結界の中に入ってこない所を見ると、物理結界っぽいな。でも結界が二重になっている所を見ると、他にもう一枚結界が張ってあるな。
「「「「エリアスタン」」」」
あ……四人を巻き込むように魔法が発動された。けど、四人には全く影響がなさそうだ。二枚目の結界は魔法防御なんだろうな。
ちなみにスキルで具現化したチェーンは、どちらにも属さないため結界をすり抜けるらしいです。この状態なら普通、結界の中から攻撃できないけど、組み合わせることによって最大の効果を発揮するってところか?
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