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第546話 道中
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ディストピアを出発して驚いたことがあった。一番近い所がメギドだったのだ。と言っても、商会で集めてくれた情報によると、ここから二つの国を抜けた先にある、魔物の領域の中心地が今回の目的地になる。
国の名前は、ドーンボーンというそうだ。俺みたいなネーミングセンスで、つけたんじゃないよな?隕石がドーンとぶつかって、ボーンとできた場所なんてことは無いよな? ない……よな?
王国と帝国の間だからというわけではないが、緩衝地帯には多くの魔物の領域があるようだ。その合間を縫って国が点在しているようだ。国の中に魔物の領域があるのなんて、三大国位なのだろう。普通は魔物領域を避けて作るよな。魔物の領域側の壁を強く作って、防御を固めるとかね。
国を大きくするためには、魔物の領域を取り込んでいかなければならなかったのだろう。街もしっかりと城壁を作っていれば、問題ないのだからそういう対応にもなるのだろう。領域を取り込むのも城壁を作るのも、どっちにしろ力がなければ、できない事なのは間違いない。
「メギドを出てから三日か……整地されてないから、そこまで早く走ってないけど、変わりのない光景って暇だな。早く魔物の領域に入らないかな?」
「ご主人様、話しを聞いた限りでは、後一週間はかかると思います。それでも通常の二倍以上の速さで、進んでいるのですが……気になるのでしたら、DPでエリア掌握してみたらどうですか?」
「せっかく未知の領域に行くんだから、それを楽しみたいじゃん!」
「この変わらない光景を見て、楽しまれてはどうですか?」
ピーチの冷たい視線と言葉によるジャブが、体の芯に響いてくる。俺泣いちゃうかも!
「それか、年少組みたいに勉強してみてはどうですか?」
「勉強か、さすがにやる気は起きないな。とりあえず、隅っこで大人しくしておくよ。ニコ、クッションになってくれ」
年少組だけでなく、他のメンバーも個々で仕事をしているのに、その近くで暇とか言ってたら冷たい視線で見られても仕方ないよね。ニコがクッションに変わってくれたから、それに体をあずけて本を読むことにした。
ちなみに、年少組以外の妻たちは、魔導無線があるので、ディストピアから離れた場所でも書類仕事を行っている。馬車で移動しているので、きちんと見張りもこなしている。
今回は俺のわがままによる、マップ先生を使わずに進んでいくという事をしているのだ。俺も見張りをしようとしたが、ダメだと妻一堂に言われてしまえば、本当にすることがないのだ。一緒に来ている従魔たちが警戒しているから、人の見張りは無くても問題無かったりするのだが……
他にも一緒に来ている、商会の支店を任せる五人とその家族も勉強をしたり、向こうで主軸にする商品を色々検討している。ちなみに御者はドッペルゲンガーにまかせている。魔物なので体力的な問題が無く、長時間の御者も問題ないのだ。
見事に俺だけ何もしてないという、まったく何もしてないわけじゃないよ? 一応ドッペルに憑依して、ディストピアでちょこちょこしてるけど、戻ってくると特にする事も無く暇だって言ってしまった感じだ。
新作の小説が出ていたので、大人しく本を読むことに決めた。
日が傾き三日目の野営設営が始まる。ドワーフたちと作った箱ではなく、いつも使っているゲルのように大きなテントを使用している。慣れたという事もあるが、簡単に設営できるように何度も作り直しているので、そこまで時間がかからなくなっている。
三十分ほどで八つのテントが完成した。シルキーたちはキッチン馬車で仕込みを行っていたので、テントのキッチンに移って、仕上げに取り掛かっている。今日も上手い飯にありつけるのは感謝だな。
夕食後は自由時間なので、おもいおもいに過ごしている。日中、特にすることがなくて暇だった俺は、身体が鈍っている感じがしたので、自分のメインウェポンの大薙刀を取り出して、素振りを始めた。
お手本がないので適当になってしまっているが、見本にしている物は一応存在している。俺が好きなマンガの一つだ。
《時代は江戸中期。鬼の巣と呼ばれ、幾多の武芸者どもが集まる藩として知られる海原藩では、海原藩の次期藩主を決めるため、武芸仕合である海原大仕合が行われることとなった》所から物語が始まるマンガだ。
その中で、薙刀使いの出てくるシーンがあり、それを元に自分の中に流れ込んできたスキルの情報と照らし合わせて、自分オリジナルの技を作っている感じだ。何か技と言ってるとカッコいい感じがするが、簡単に言えば、自分で型を作って力を込めて攻撃しているだけなんだけどな。
それにしても、盾のシールドバッシュや格闘の浸透勁といったスキルはあるのに、未だに大薙刀の攻撃スキルってないんだよね。剣や弓だっていくらかスキルが生えているのにな。
薙刀の特徴は、ある程度自由に取り回し出来て、最大有効距離から超近距離まで対応できる万能武器だ。刃の部分の重さを使い遠心力で叩き切る事も出来るし、槍のように突くことも可能だ。他にも短く持って刃と柄を使っての連撃、棒術で使われるような足払いも可能になる。
精神を集中させて、大薙刀を長く持ち足元から跳ね上がるような攻撃をする。そのまま体を回転させ、その勢いも使い大薙刀を横に振りぬく。強い遠心力がかかっているので、そのまま勢いにまかせてその場から離脱する。
次は連撃による突きから、薙刀を動かさないで自分の身体を前に動かし、短く持ってから薙刀を回し柄を下から跳ね上げさせて、刃の部分と柄による交互の連撃をイメージして、上下左右から打ち付ける。今度は真ん中あたりを持ち、薙刀の中心を軸にして回転させながら、周りにいる敵へ攻撃を仕掛けるイメージだ。
最後に超近距離による攻撃だ。薙刀は刃の付いている部分の方が重く、重心は大分は先に近い位置になる。重心付近を右手で握り、突き・振り下ろし・薙ぎ、と動作を確認する。柄の部分があるので、多少ふりにくい。でも周りに物がなければ、結構強引に振れるんだよな。
敵に密着した状態をイメージ、鍔迫り合いのような感じだろうか? 迫り合いながら、柄尻を地面にこすりながら相手の足を引っかけて、体ごと回転しその渦に巻き込む。足をすくわれた敵は尻もちをついた感じだろう、そのまま首があろう位置を薙ぎ払う。
「ふ~、これであってるか分からないけど、昔に比べれば大分動けるようになってきた気がするな」
国の名前は、ドーンボーンというそうだ。俺みたいなネーミングセンスで、つけたんじゃないよな?隕石がドーンとぶつかって、ボーンとできた場所なんてことは無いよな? ない……よな?
王国と帝国の間だからというわけではないが、緩衝地帯には多くの魔物の領域があるようだ。その合間を縫って国が点在しているようだ。国の中に魔物の領域があるのなんて、三大国位なのだろう。普通は魔物領域を避けて作るよな。魔物の領域側の壁を強く作って、防御を固めるとかね。
国を大きくするためには、魔物の領域を取り込んでいかなければならなかったのだろう。街もしっかりと城壁を作っていれば、問題ないのだからそういう対応にもなるのだろう。領域を取り込むのも城壁を作るのも、どっちにしろ力がなければ、できない事なのは間違いない。
「メギドを出てから三日か……整地されてないから、そこまで早く走ってないけど、変わりのない光景って暇だな。早く魔物の領域に入らないかな?」
「ご主人様、話しを聞いた限りでは、後一週間はかかると思います。それでも通常の二倍以上の速さで、進んでいるのですが……気になるのでしたら、DPでエリア掌握してみたらどうですか?」
「せっかく未知の領域に行くんだから、それを楽しみたいじゃん!」
「この変わらない光景を見て、楽しまれてはどうですか?」
ピーチの冷たい視線と言葉によるジャブが、体の芯に響いてくる。俺泣いちゃうかも!
「それか、年少組みたいに勉強してみてはどうですか?」
「勉強か、さすがにやる気は起きないな。とりあえず、隅っこで大人しくしておくよ。ニコ、クッションになってくれ」
年少組だけでなく、他のメンバーも個々で仕事をしているのに、その近くで暇とか言ってたら冷たい視線で見られても仕方ないよね。ニコがクッションに変わってくれたから、それに体をあずけて本を読むことにした。
ちなみに、年少組以外の妻たちは、魔導無線があるので、ディストピアから離れた場所でも書類仕事を行っている。馬車で移動しているので、きちんと見張りもこなしている。
今回は俺のわがままによる、マップ先生を使わずに進んでいくという事をしているのだ。俺も見張りをしようとしたが、ダメだと妻一堂に言われてしまえば、本当にすることがないのだ。一緒に来ている従魔たちが警戒しているから、人の見張りは無くても問題無かったりするのだが……
他にも一緒に来ている、商会の支店を任せる五人とその家族も勉強をしたり、向こうで主軸にする商品を色々検討している。ちなみに御者はドッペルゲンガーにまかせている。魔物なので体力的な問題が無く、長時間の御者も問題ないのだ。
見事に俺だけ何もしてないという、まったく何もしてないわけじゃないよ? 一応ドッペルに憑依して、ディストピアでちょこちょこしてるけど、戻ってくると特にする事も無く暇だって言ってしまった感じだ。
新作の小説が出ていたので、大人しく本を読むことに決めた。
日が傾き三日目の野営設営が始まる。ドワーフたちと作った箱ではなく、いつも使っているゲルのように大きなテントを使用している。慣れたという事もあるが、簡単に設営できるように何度も作り直しているので、そこまで時間がかからなくなっている。
三十分ほどで八つのテントが完成した。シルキーたちはキッチン馬車で仕込みを行っていたので、テントのキッチンに移って、仕上げに取り掛かっている。今日も上手い飯にありつけるのは感謝だな。
夕食後は自由時間なので、おもいおもいに過ごしている。日中、特にすることがなくて暇だった俺は、身体が鈍っている感じがしたので、自分のメインウェポンの大薙刀を取り出して、素振りを始めた。
お手本がないので適当になってしまっているが、見本にしている物は一応存在している。俺が好きなマンガの一つだ。
《時代は江戸中期。鬼の巣と呼ばれ、幾多の武芸者どもが集まる藩として知られる海原藩では、海原藩の次期藩主を決めるため、武芸仕合である海原大仕合が行われることとなった》所から物語が始まるマンガだ。
その中で、薙刀使いの出てくるシーンがあり、それを元に自分の中に流れ込んできたスキルの情報と照らし合わせて、自分オリジナルの技を作っている感じだ。何か技と言ってるとカッコいい感じがするが、簡単に言えば、自分で型を作って力を込めて攻撃しているだけなんだけどな。
それにしても、盾のシールドバッシュや格闘の浸透勁といったスキルはあるのに、未だに大薙刀の攻撃スキルってないんだよね。剣や弓だっていくらかスキルが生えているのにな。
薙刀の特徴は、ある程度自由に取り回し出来て、最大有効距離から超近距離まで対応できる万能武器だ。刃の部分の重さを使い遠心力で叩き切る事も出来るし、槍のように突くことも可能だ。他にも短く持って刃と柄を使っての連撃、棒術で使われるような足払いも可能になる。
精神を集中させて、大薙刀を長く持ち足元から跳ね上がるような攻撃をする。そのまま体を回転させ、その勢いも使い大薙刀を横に振りぬく。強い遠心力がかかっているので、そのまま勢いにまかせてその場から離脱する。
次は連撃による突きから、薙刀を動かさないで自分の身体を前に動かし、短く持ってから薙刀を回し柄を下から跳ね上げさせて、刃の部分と柄による交互の連撃をイメージして、上下左右から打ち付ける。今度は真ん中あたりを持ち、薙刀の中心を軸にして回転させながら、周りにいる敵へ攻撃を仕掛けるイメージだ。
最後に超近距離による攻撃だ。薙刀は刃の付いている部分の方が重く、重心は大分は先に近い位置になる。重心付近を右手で握り、突き・振り下ろし・薙ぎ、と動作を確認する。柄の部分があるので、多少ふりにくい。でも周りに物がなければ、結構強引に振れるんだよな。
敵に密着した状態をイメージ、鍔迫り合いのような感じだろうか? 迫り合いながら、柄尻を地面にこすりながら相手の足を引っかけて、体ごと回転しその渦に巻き込む。足をすくわれた敵は尻もちをついた感じだろう、そのまま首があろう位置を薙ぎ払う。
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