ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第522話 介入前夜

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 マップ先生を開いてフレデリク周辺の地図を呼びだす。相変わらず魔物を示す紅点が、不自然な集まりな気がするんだよな……あの周辺を掌握しているからわかるんだけど、亜人の森から魔物の進行はフレデリクにしか向かっていないんだ。

 亜人の森からフレデリクが一番近いとはいえ、他に進まずに一つの街を目指すのだろうか? モンスターパレードは、魔物が暴走するスタンピードみたいなものではなく、何かに統率された森からの外への侵略行為なのだろうか?

 不自然な配置は、今の段階では何が起こっているのか分からないので、放置するしかない。フレデリクの支店にいるスカルズのリーダーに、簡単に現状を伝えてからそのうちサイレントアサシンという魔物が、そっちに行くことを伝える。

 すでに来ていたようで、挨拶をすると与えられた仕事、ゴーレムたちの間引きに行ったそうだ。それが終わったら、オオカミたちと協力して、オーガキングの遅滞戦闘を行うようだ。

 厄介そうな魔物は減らしておかないといけないよな。Aランクの魔物がちらほらいるし、異様にLvの高い個体もいるから、どう考えてもフレデリクにいる騎士や冒険者では、相手にならんような強さだよな。

 最善を尽くすしかない。ついたら、全力のアースウォールで分断するようにするか? まてよ、確か城壁の外に作った試験農園の壁が、城壁より脆いからどうにかしないと踏み荒らされてしまうよな。

 城壁は抜かれなければ、試験農園を優先するか。あの街は知り合い以外はどうでもいいし、農家さんは何も悪くないからな。

「みんな、ちょっと手を止めてほしい。簡単な方針を伝えとくね。拠点を作ってから、そこを中心に冒険者にはチームで数を減らしてもらって、俺たちはフレデリクの城壁が危なくならない限りは、試験農園を作ったあの場所を守ろうと思う。

 新しく領主になった奴は何も考えずに、食料を買いあさるつもりだったから、あそこにも手をかける恐れがある。だから俺らはそこを優先しよう。街で食料が枯渇するとか、身も凍るくらい怖いからな」

 簡単に流れを説明して、拠点は亜人の森とフレデリクの街の間に地下通路を掘って、地下から出ると同時に魔法組が風で周囲を吹っ飛ばして、俺がストーンウォールの亜種、ストーンキャッスルを使って一気に小さな城と城壁を作る予定だ。

 冒険者にはそこから活動してもらう予定だ。弓が全員使えるわけではないので、クロスボウを大量に準備している。クロスボウは、ドワーフの爺様共が娯楽で作った物を、全部かっさらってきたらしい。

 いい判断だ! それにボルトも大量に準備しているので問題は無い。足りなくなったら、俺かシルキーが召喚できるので大丈夫だ。

 冒険者にも簡単に流れを説明する。一応今回の戦略目的は、フレデリクの防衛だという事を伝えているが、無理はしてはいけないと念には念を押している。

 急ごうとしても、これ以上は急ぐ事ができないので、眠くなるまでマップ先生でのんびりとフレデリク周辺の様子を確認していく。

 サイレントアサシンは、順調にゴーレム系の魔物を減らしてくれているようだ。クレイゴーレムは放置して、ロックゴーレムやアイアンゴーレム等の、重量と硬度の高いゴーレムを処理してくれているようだ。賢いな!

 オオカミたちは、オーガキングに近付けていないな。やっぱり、守りを固めているか。それでも侵攻速度が遅くなっているから、十分かな? サイレントアサシンが来れば、状況が逆転するから大丈夫だろう。

 眠くなってきた頃に、城壁にダメージを与えそうなゴーレム系の間引きが終わって、そのままオーガキングの所に向かう様だ。周りにいる肉壁をオオカミたちが削っている合間に、サイレントアサシンが近付いて攻撃を加えている。

 レベルはそこまで離れていないのに、あまりダメージが入っている印象がないな。マップ先生じゃ敵の様子までは、確認できないからな。これなら問題なく遅滞戦闘をしてくれるだろう。

 よし、もう寝よう。家のベッドとまではいわないが、それなりの寝心地なのでゆっくり寝れるだろう。年少組と土木組はもうみんな寝ており、二つの馬車でみんなで寝ている感じだ。この子たちは仲がいいから、時間が空くといつも一緒にいるんだよね。

 仲がいい事はいい事だし、ゆっくり寝て育ってくれ。こんな危険な所に連れてきているけど許してくれ。土木組に仕事を割り振ってなかったな、明日起きたら伝えておかないと。

 朝食の準備ができたとシルキーに起こされた。馬車の上でも食べやすいように、パンを中心とした主食と汁物はシチューだった。飲み物は蓋とストロー付きの物が準備されていた。気が利くな。

「おっと、食事中にちょっとごめんね。昨日土木組の予定を伝えていなかったから、今のうちに伝えておく。俺たちが城壁と拠点を作ったら、城壁の上から魔法で魔物を倒してくれ。

 数が多いから絶対に無理はしちゃだめだからな。それと城壁が崩れかけたら補強したり、離れた場所に落とし穴を作るとか、そんな感じで動いてほしいけど大丈夫かな?」

 全員の声がそろって「はいっ!」と返事をかえしてきた。

「一応三つのチームに分かれて、カエデ・ミリー・リンドの指示に従って動くように。三人もよろしく頼むよ。ピーチはいつも通り、各組の指揮をお願い。俺は状況に応じて動くから、俺の事は頭数に考えないでくれ」

 勢いで乗り切ろうとしたら、ピーチに肩をつかまれてしまった。

「ご主人様、お供は誰を付けますか?」

「従魔たちじゃダメか?」

「ニコやハクを信用していないわけではありませんが、誰もつかないというのは、看過しかねます。姉三人は、土木組を率いるみたいなので、私たちからはシュリとキリエ、サーシャを連れて行ってください。それと合わせて従魔を連れて行ってください」

 シュリは家の最高戦力だから、安全を確保するためには妥当な線か? どうせ前に出ないのであれば、俺に張り付けさせておいた方がいいってことだろうな。

 ニコに指示を出して、空中戦力の有用性を確認でもするかな。ワイバーンを使った奇襲もありだったんじゃねえか? 最近あいつらはマスコット的な扱いしかしてないからな。

 到着するまで英気を養いますかな。
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