ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第512話 一時待機!

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 エルフたちと別れて、野営の際に作った地下の休憩所に戻る。途中で追いかけてきた奴がいたので、ロックオンを取り出して、ゴム弾で狙撃する。まさか使うとは思っていなかったが、持ってきてよかったと心底思った。

 ゴム弾が頭に当たったエルフはそのまま木の下に落ちて、仲間に回収されるようだ。というかエルフはなんで木の上をピョンピョン飛び回るんだ? 俺にはよくわからんが、森を歩く時の基本だったりするのかな?

「ふ~やっと着いたな。あのエルフたちは何でついてきたんだろうな? レイリーはどう思う?」

「シュウ様が優位に立っているので、何でもいいから弱みでも掴んでおきたかったのではないでしょうか?」

「そんなもんかな? それにしても無駄に疲れたな。自分の身体に戻って、ゆっくり休むか。ん? どうした? すまんすまん。お前たちのくつろげる場所作ってなかったな。今作るから待ってて」

 憑依を解除しようとしたら、馬三匹に服をハムハムされたので何かと思ったら、こいつらのくつろげるスペース作ってなかったのを注意してくれたようだ。DPで操作して競馬場位の広さの草原を休憩所の下に作り出した。ダンジョンの中なのに昼夜が来るシステムを組み込んでいる。

「ドッペルたちは暇なんだから、馬たちの体調管理でもしててもらうか。馬たちのためにスカーレットたちに、特注の配合餌も取り出せるようにしているから任せておくか。レイリー最後に憑依を解除して、ドッペルたちに指示を出しておいてもらっていいか?」

「了解しました。指示を出し次第、私も戻ります」

 憑依を解除して、意識が自分の身体に戻っていくのを確認する。今は慣れたけど、前はかなり違和感だらけだったな。

 俺が体を起こすと、妻たち三人も意識を戻したようだ。この三人は慣れていないようで、若干顔をしかめながら体を起こしている。

「みんなも戻って来たみたいだね。もうすぐお昼になるから一緒に行こうか?」

「もうそんな時間なのね。シュウ、一緒にシャワーを浴びよ? 久々に全身くまなく洗ってあげるわ」

 カエデに右手リンドに左手をつかまれて、ミリーに背中を押されながらシャワーに連行された。みんなに体を洗ってもらう代わりに、みんなの身体を洗うはめになった。三人分も体を洗うと、せっかく洗ってもらったのに汗かいちまうよ! 上がる前にもう一回全身を綺麗に流してから、着替える事にした。

 俺が脱衣室に行くと三人は、着替え終わっていて俺を待っていた。なされるがままに体を拭かれてそのまま服を着せられた。自分で服を選ぶのが苦手だから助かるんだけど、自分で着替えれるって。

 今日のお昼も美味しかったな。

「シュウ、今日の午後は何するの? 二週間ほどすることなくなっちゃったけどさ」

「そうだな~各街に配置したドッペルに憑依して、街の様子でも見に行こうかなって思ってる。メギドやあの近くの街の様子も確認したいしね。それに、エルフたちとの話し合いは、俺がいない方が上手くいきそうだしな」

「私たちはついていけないわね。各街にドッペルをシュウの以外で、三人配置してるから誰かがついてけば何の問題も無いか。見た目はどういうのがあったっけ?」

「だいたいが、憑依できる本人、町娘風、冒険者風の三タイプかな」

「そうだったね、私を含むシュウの奥さんは、シュウが憑依している状態に限り自分の姿が取れるようになってたんだよね? 私たちがいなくても、監視の目があるわけね」

「監視っていうけど、浮気なんてしないから大丈夫なのに」

「別に浮気を心配してるわけじゃないよ。シュウ君、この世界の上流階層って言えばいいのかな? そういう人たちは隙があれば、話しただけで妊娠した! 責任を取って! みたいなことを平気で言う馬鹿がいるんだよ? それを防ぐために監視をする必要があるのよ」

「そもそも、俺のこと知っている人間が少ないのに、俺をターゲットにする人がいないんじゃないか? それにしても話しただけで妊娠するか、妄想妊娠よりある意味凄い言い訳だな」

「色々あるから一人で出歩くのは極力やめてね」

 この世界の闇を見た気がするな。絶対に貴族や金持ちと、その娘には近寄らん! そして俺の妻たちにも近付けさせぬ! 変なばい菌がつくといけないからな!

「大丈夫、妻たちのドッペルが三人もついてくれるんだから大丈夫さ。驚いたことに、召喚したダンジョンマスターの俺より、妻たちの命令の優先順位が高いんだから驚いたよ」

「え? そうなの? なら安心ね!」

 ドッペルの出発する前に色々実験した際判明した事実だ。どうやら、ドッペルゲンガーは姿形と記憶を移した相手に対して、優先順位が高くなる傾向があるようだ。妻たちをコピーしたドッペルは、俺の命令より妻たちの命令を優先するのだ。

「最悪ドッペルだから、死んだところで何の問題もないしな」

「シュウ! それは違うわ」

 カエデが必死の形相で俺に訴えてくる。

「私を含めてだけど、ドッペルであってもシュウが操っているモノが殺されたとなれば、私たちを筆頭にディストピアに住む兵士冒険者たち全員が、害した街や国を滅ぼしてもおかしくないくらい怒り狂うわよ?」

「それはいくら何でも」

「シュウ君、それだけあなたはディストピアの人たちに好かれているってことよ」

 ミリーに言われると、お母さんやお姉ちゃんに言われているような感じなんだよね。俺には兄弟いなったけどな。

「そうなのかな? 俺は俺のためにディストピアを作って、みんなを利用しているもんなのにな」

「ふふふっ、別に悪ぶらなくてもいいんだよ。シュウは自分のためと言ってても、みんなが幸せになっているという事実があるんだから、シュウがどう思おうとディストピアの住人にとっては、シュウが自分たちのために色々してくれている、という事実があるだけだよ」

 何か恥ずかしいな。でも、悪い気分じゃない!

「どっちでもいいや。何と言われても俺は俺のために、住みやすい街を作るだけだしな! 今日はそうだな、グレッグに久々に行ってみようかな? あそこ通り過ぎる事はあったけど、歩き回る事は基本無かったからな」

「了解しました。今日は付き添いは無しですが、ドッペルに様子を聞きますからね? シュウ君がおいたをしてないか、しっかり確認しないとね!」

 ミリーがそういうと、リンドとカエデがうんうんと頷いている。そんなに俺は信用がないのか!?
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