ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
507 / 2,518

第507話 エルフに会いに行こう

しおりを挟む
 特に問題もなく準備が進んでいった。準備は問題なかったが、どこに向かうのかが問題になっていた。候補としては、三大国の何処かか、三大国の間にある小国群、ヴローツマインから南に下った森林地帯にある精霊種等が住んでいる場所だ。

 最近までヴローツマインの南に広がっている森林地帯って、樹海みたいな死の森と呼ばれるような怖い所だと思ってたら実は、亜人の森や獣道の森と同じで、樹海みたいに強い魔物が跋扈している場所ではないようだ。森の中心に行けば、それなりに危険度の高い魔物が出てくるそうだけど。

 そういえばさ、エルフはドワーフと同じで寿命が長い、普通に一〇〇〇年以上生きるため、リンドのように規格外な強さをもった者たちが多数いるそうだ。魔物が多い森でも住んでいられるのは、そういった理由があるようだな。

 昔はエルフたちも人里に近い所で、酪農のような生活をしていたのだが、そんなエルフたちが森に隠れ住むようになったのには、わかりやすい理由がある。あ、これはリンドから聞いた話ね!

 色んな小説にもあるように、長く綺麗でいられる時間が長いとなれば、下種共がこぞって女のエルフを襲って奴隷に落として、気が済むまで犯してから他のエルフと交換して、みたいなことをしていたそうだ。

 男のエルフは、長く使える労働力として買われたとか。色々な地域に分かれて暮らしていたエルフたちが、森の中に同時に入っていったそうだ。

 森でどうやって生きてきたかといえば、長生きして規格外に強くなっている者たちがいたので、その者たちがそこそこ強い者たちを集めて、パワーレベリングみたいなことを行って、その後に技術を学ばせたとか。

 俺のやり方とは反対だな。生きるために仕方がなかったという事だろう。

 魔法や弓を使った狩猟民族みたいなイメージを持っていたのに、話を聞く分には、金属鎧とか身に着けて盾と剣を装備して、殴り合っている姿しか思い浮かばん。

 リンドが何でそんなことを知っているかと思えば、同じ精霊種のドワーフの所に少数精鋭のエルフが度々来ていたからだそうだ。話を聞いたところによると、エルフの住む森は、樹海に匹敵する広さがあるらしい。魔物の強さは樹海より劣るが、それでも常に魔物が湧き出る場所なのだ。

 エルフとは親交を深めるべきかな? とも思わなくはないが、せっかく準備した馬車はどうしようか? という事になってしまった。だけどここで考えた。収納ボックスって、時間経過ないんだからよくね? という事になった。

 話し合いの中でリンドがエルフをやけに押すので、いく事にしてみた。装備を変える必要性が出てきた。

 馬車は使えないから、荷物は収納のカバンを使う方向に決まる。馬はそのまま使えるので、鞍の左右に一個ずつ収納のカバンを付けて、それ以外にも見てわかる荷物を積めるように改造した。各ドッペルも登山用のバックパックみたいな物の中に、収納のカバンを仕込んである。

 これだけ収納のカバンを準備したのには理由があった。リンドにお願いされたからである。リンドは成り行きとはいえ、望んで俺の嫁になったのはいいが、エルフの事も気になっていたようで、便宜が図れるのであれば図ってほしいと言われたのだ。

 欲を言えば、親交を深めてほしいとの事なので、武器防具等でも質のいい物を準備している。一応目玉商品として、スカルズと元シングル冒険者のケモ耳三人娘たちが供給してくれている、レッドドラゴンの素材で作っているスケイルメイルと、牙を削って作っている剣や短剣、槍等も準備している。

 エルフの交易品として多い物は、布やそれを使った衣服、魔物の素材、薬草等の森でとれるもの等が多いとの事だ。後は、魔物の素材を使った弓や防具などが多い。

 エルフは歳を考えると、かなりの高いLvでスキルを持っているので、親交を深められれば革の鎧系を、充実させられるのではないだろうか? 向こうに行って話し合ってみてからちょっと検討してみよう。

「リンド、もちろんエルフの街に行く時は、元の姿で行く必要があるよな?」

「森の中で遭遇することを考えれば、向こうの森に入る時には元の姿の方がいいと思うかな」

「エルフの位置は、DPで森を掌握すれば問題ないから、大丈夫だろう」

「あ、そっか。エリア掌握で人や魔物のいる場所が、まるわかりだから問題ないのかな」

 色々な準備も終わり、出発することになった。ヴローツマインから徒歩で行くことになっている。馬たちには苦労を掛けるが、Lvを強制的に上げているので、問題は無いだろう。魔物や人間にレベルがあるんだから、動物にもと思っていたのだが、その通りで動物にもレベルがあったのがよかった。

 レベルが上がると獣も頭が良くなるのか、口頭指示で理解してくれるのだ。本当に便利になったもんだ。準備が済みヴローツマインの俺のアジトで一泊した。

 ディストピアでもしこたま料理を作ってもらったのだが、俺が憑依している時に空腹を感じたら、食べるための物だとか言って、大量に持たされた。それを聞いた神の雫のブラウニーたちも、簡単に食べれるフードコートならではの物をたくさん準備してくれた。

 ドッペルとはいえ、俺の操る魔物だから手を抜く事は無いようだ。でもさ、ドッペルって魔物だから、あまり食べなくても平気なんだよね。

「さて、みんな出発の準備はできたかな?」

 ちなみに全員ドッペルに憑依している。

「エルフたちの住む街までは、三〇〇キロメートルくらいあるかな? 休む所は、魔法で地下に部屋を作ろうか。DPで作った場合、もし見られたらめんどうなので、信頼関係が生まれるまでは、ダンジョンマスターであることは内緒だな」

「そうですな。ドッペルゲンガーとはいえ、さすがにシュウ様がダンジョンマスターだとばらすのは、リスクが高いですからな。どうしようもないほどに愚かな種族であるなら、ディストピアの全戦力をもって滅ぼしましょう」

「レイリー、それはさすがに過激すぎるんじゃないか? リンドもそう思うだろ?」

「ん? 今回エルフたちに会いに行くのは、ドワーフのようにシュウの恩恵を分けてもらえたらなって思ってね。それなのに、どうしようもないほど愚かなら、滅ぼした方が世界のためになるってものでしょう」

 うん、過激だな。自分から行くようにお願いしていたのに、愚かなら滅ぼせだってさ。

「話を聞く分には、脳筋みたいなやつらが多そうだから、その未来があってもおかしくないな。愚かではない事を祈ろう。イリアの事もあるし、あまりエルフと敵対したくないんだよな」

「こんなこと言ってますが、私が行けば問題ないと思いますよ」

「ん? そういうもんか?」

 よくわからないが、そのまま出発した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

全校転移!異能で異世界を巡る!?

小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。 目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。 周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。 取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。 「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」 取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。 そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

歩くだけでレベルアップ!~駄女神と一緒に異世界旅行~

なつきいろ
ファンタジー
 極々平凡なサラリーマンの『舞日 歩』は、駄女神こと『アテナ』のいい加減な神罰によって、異世界旅行の付き人となってしまう。  そこで、主人公に与えられた加護は、なんと歩くだけでレベルが上がってしまうというとんでもチートだった。  しかし、せっかくとんでもないチートを貰えたにも関わらず、思った以上に異世界無双が出来ないどころか、むしろ様々な問題が主人公を襲う結果に.....。 これは平凡なサラリーマンだった青年と駄女神が繰り広げるちょっとHな異世界旅行。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

処理中です...