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第427話 レッドドラゴン大地に立つ
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ニコの頑張りによりレッドドラゴンが地面に降りてきた。ニコの力では翼を切り落とすことができず、限界が来たところで離脱している。どうやら皮膚と筋肉を途中まで、時間をかけて溶かせたようだが、骨は頑丈だったためか溶かせなかったらしい。
それでも十分だ、一時的にでも地面に降ろせたんだ、こっから先は俺たちの仕事だよな。
「レイリー!」
「お任せください、貴方の相手は儂だ! 全力で来なさい!」
レイリーは俺の声ですべてを察してくれたようだ。俺は続けて、
「リリー、補助! キリエは二人のサポート! ネルは後方で回復! 他のメンバーは、各自の判断で攻撃、俺はあいつの翼を落とす! ギン、来い!」
俺はギンを呼んでその背中に乗る。トップスピードだけで言えば、雷付与をした俺の方が早いのだが、持久力は頑張っても勝てないので、ギンに騎乗して機動力を稼ぐ。
武器は大薙刀に換装して、ギンに指示を出す。レッドドラゴンの周りを走り回り、隙があれば体を駆け上るように指示する。
クロはギンに注意が向かないように、レイリーの横に並び立って威嚇をしている。クロもギンも成長して今や三メートルを超えるサイズになっている。ドラゴンと比べると小さいとはいえ、その牙や爪は無視できるものではないだろう。
レイリーに向かってブレスを吐こうとしているのを見ると、ギンが一気に方向を変えトップスピードになる。ブレスを吐こうとしていたレッドドラゴンの背中に到着し俺を降ろすと、行き掛けの駄賃としてニコの潰そうとしていた左の翼の付け根ではなく、右の翼の付け根に噛みついて肉をえぐっていった。
ニコの溶解液で溶かした分よりガッツリえぐれてるな。相当痛かったようで、レッドドラゴンは悲鳴をあげて体をくねらせていた。
危うく落ちる所だったが、大薙刀を強引に突き刺して足場を固定した。突き刺したことによってまた暴れたけど、しょうがないよな!
俺は大薙刀を抜いて、翼の付け根付近まで何とか移動する。レッドドラゴンはレイリーを殺そうとブレスを吐いたり、噛みついたり、爪で引っ掻いたりしているが、上手くかわしているようだ。ここに来てレッドドラゴンが今までと違う挙動をとる。
ブレスの時は大きく息を吸っていたのだが、今回は大きく息を吸うわけではないのにブレスを吐くときに近い動作をしている。何かあるよな?
時間が経つにつれて魔力の高まりを感じる。Sランクの魔物らしく、膨大な魔力をコントロールしている。これはやばいか?
「全員、全力で対魔法結界! 近くの人間にもかぶるように張れ!」
魔法全般に効果があるので使い勝手がいいが、効果を絞って使う時よりは脆いので互いにカバーできるように張らせている。俺も念のため対魔法結界を張る。
次の瞬間、レッドドラゴンから魔力を変換せずに、そのままブレスとして吐き出していた。いわゆる無属性魔法のブレスという所だろうか? 下手にヴェールとかウォールでガードしなくてよかった。
ブレスのターゲットになっていたレイリーは、キリエの結界と自分の結界にフォートレスも発動して魔力ブレスを何とか防いでいた。
危なかったな、レイリーに集中してブレスが撃ち込まれたためか、二枚の結界は破られて、最後のフォートレスで何とか防ぎ切ったようだ。無属性魔法は、表現するなら魔法力を使った、物理攻撃みたいなものなので、フォートレスで受け切れたんだろうな。
ファイアブレスとは違い大量の魔力を使ったようで、若干動きが鈍っている。
これはチャンス!
大薙刀に風の魔法を付与して切れ味をあげ、左の翼の付け根を切り付ける! 途中まですんなりと刃が通ったが、ある程度進んだところで、魔物を攻撃した音とは思えない金属音が響いた。
「いった! なんだこれ? めっちゃ硬いんだけど、多分骨だよな? おっと危ない! 落とされるとこだった。切り裂けないなら、叩き折るしかないか?」
武器を大斧に持ち替えて……大斧なんて訓練以外で使うのは初めてだな。
大斧は武器の性質上切り裂くというよりは、押しつぶしたり叩き砕くような効果が高い。レッドドラゴンの動きが鈍っている間に、この攻撃は叩き込んでおきたい。木こりが斧で木を切るような体勢で、火付与を行い純粋な攻撃力をあげて切り付ける!
金属音が響いたが今度は大薙刀の時の高音ではなく、鈍い音といえばいいのだろうか? そんな音がして、大斧が骨と推測されるうちの三割ほどまで食い込んだ。
「クソが! 硬すぎんだろ、ドラゴンの骨!」
俺の攻撃でレッドドラゴンがジャンプしたのだ。翼を動かそうとしたが、上手くいかないようでジャンプにとどまったようだ。そのせいで俺は振り落とされてしまった。地面に着地して、
「ドラゴンが飛べなくなったぞ! ジャンプをするみたいだから、立ち位置には気をつけろ!」
みんなに指示を飛ばしていく。今の所大きなダメージをくらった者はいない。少なくないダメージを負った者はいるが、戦闘を離脱しなければならないほど、傷を負っている者はいなかった。
「みんな、バフの更新をするんだ。この更新でけりをつける! レイリーはそのままタンクを! みんなはレッドドラゴンを削っていくぞ。魔法組はおそらくダメージは見込めないから、補助する形でみんなの支援をするように」
順々にバフの更新をしていくと、レッドドラゴンの動きが戻って来た。無属性ブレスを吐いてからおそらく二分は経っていないだろう、次にまた吐くかはわからないが目安にしてもいいかな?
さて、最終決戦と行きますか!
それでも十分だ、一時的にでも地面に降ろせたんだ、こっから先は俺たちの仕事だよな。
「レイリー!」
「お任せください、貴方の相手は儂だ! 全力で来なさい!」
レイリーは俺の声ですべてを察してくれたようだ。俺は続けて、
「リリー、補助! キリエは二人のサポート! ネルは後方で回復! 他のメンバーは、各自の判断で攻撃、俺はあいつの翼を落とす! ギン、来い!」
俺はギンを呼んでその背中に乗る。トップスピードだけで言えば、雷付与をした俺の方が早いのだが、持久力は頑張っても勝てないので、ギンに騎乗して機動力を稼ぐ。
武器は大薙刀に換装して、ギンに指示を出す。レッドドラゴンの周りを走り回り、隙があれば体を駆け上るように指示する。
クロはギンに注意が向かないように、レイリーの横に並び立って威嚇をしている。クロもギンも成長して今や三メートルを超えるサイズになっている。ドラゴンと比べると小さいとはいえ、その牙や爪は無視できるものではないだろう。
レイリーに向かってブレスを吐こうとしているのを見ると、ギンが一気に方向を変えトップスピードになる。ブレスを吐こうとしていたレッドドラゴンの背中に到着し俺を降ろすと、行き掛けの駄賃としてニコの潰そうとしていた左の翼の付け根ではなく、右の翼の付け根に噛みついて肉をえぐっていった。
ニコの溶解液で溶かした分よりガッツリえぐれてるな。相当痛かったようで、レッドドラゴンは悲鳴をあげて体をくねらせていた。
危うく落ちる所だったが、大薙刀を強引に突き刺して足場を固定した。突き刺したことによってまた暴れたけど、しょうがないよな!
俺は大薙刀を抜いて、翼の付け根付近まで何とか移動する。レッドドラゴンはレイリーを殺そうとブレスを吐いたり、噛みついたり、爪で引っ掻いたりしているが、上手くかわしているようだ。ここに来てレッドドラゴンが今までと違う挙動をとる。
ブレスの時は大きく息を吸っていたのだが、今回は大きく息を吸うわけではないのにブレスを吐くときに近い動作をしている。何かあるよな?
時間が経つにつれて魔力の高まりを感じる。Sランクの魔物らしく、膨大な魔力をコントロールしている。これはやばいか?
「全員、全力で対魔法結界! 近くの人間にもかぶるように張れ!」
魔法全般に効果があるので使い勝手がいいが、効果を絞って使う時よりは脆いので互いにカバーできるように張らせている。俺も念のため対魔法結界を張る。
次の瞬間、レッドドラゴンから魔力を変換せずに、そのままブレスとして吐き出していた。いわゆる無属性魔法のブレスという所だろうか? 下手にヴェールとかウォールでガードしなくてよかった。
ブレスのターゲットになっていたレイリーは、キリエの結界と自分の結界にフォートレスも発動して魔力ブレスを何とか防いでいた。
危なかったな、レイリーに集中してブレスが撃ち込まれたためか、二枚の結界は破られて、最後のフォートレスで何とか防ぎ切ったようだ。無属性魔法は、表現するなら魔法力を使った、物理攻撃みたいなものなので、フォートレスで受け切れたんだろうな。
ファイアブレスとは違い大量の魔力を使ったようで、若干動きが鈍っている。
これはチャンス!
大薙刀に風の魔法を付与して切れ味をあげ、左の翼の付け根を切り付ける! 途中まですんなりと刃が通ったが、ある程度進んだところで、魔物を攻撃した音とは思えない金属音が響いた。
「いった! なんだこれ? めっちゃ硬いんだけど、多分骨だよな? おっと危ない! 落とされるとこだった。切り裂けないなら、叩き折るしかないか?」
武器を大斧に持ち替えて……大斧なんて訓練以外で使うのは初めてだな。
大斧は武器の性質上切り裂くというよりは、押しつぶしたり叩き砕くような効果が高い。レッドドラゴンの動きが鈍っている間に、この攻撃は叩き込んでおきたい。木こりが斧で木を切るような体勢で、火付与を行い純粋な攻撃力をあげて切り付ける!
金属音が響いたが今度は大薙刀の時の高音ではなく、鈍い音といえばいいのだろうか? そんな音がして、大斧が骨と推測されるうちの三割ほどまで食い込んだ。
「クソが! 硬すぎんだろ、ドラゴンの骨!」
俺の攻撃でレッドドラゴンがジャンプしたのだ。翼を動かそうとしたが、上手くいかないようでジャンプにとどまったようだ。そのせいで俺は振り落とされてしまった。地面に着地して、
「ドラゴンが飛べなくなったぞ! ジャンプをするみたいだから、立ち位置には気をつけろ!」
みんなに指示を飛ばしていく。今の所大きなダメージをくらった者はいない。少なくないダメージを負った者はいるが、戦闘を離脱しなければならないほど、傷を負っている者はいなかった。
「みんな、バフの更新をするんだ。この更新でけりをつける! レイリーはそのままタンクを! みんなはレッドドラゴンを削っていくぞ。魔法組はおそらくダメージは見込めないから、補助する形でみんなの支援をするように」
順々にバフの更新をしていくと、レッドドラゴンの動きが戻って来た。無属性ブレスを吐いてからおそらく二分は経っていないだろう、次にまた吐くかはわからないが目安にしてもいいかな?
さて、最終決戦と行きますか!
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