ダンマス(異端者)

AN@RCHY

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第333話 ドリアードの好物

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「みんな、迷惑かけたね。体をマッサージしてくれていたのは、起きた時に強張らないようにって思っての事だよね? わざわざありがと」

 お礼を言うと全員が揃って『ご主人様にもらったものを考えればこの程度は迷惑とも思いません』と返してきた。君たち、セリフを練習してたんじゃないの? と思うほどに声をそろえるのだからびっくりだよ。

 さすがにマッサージをしてもらっていたとはいえ、六日間も寝たっきりで動いてなかったから、さすがに体の動き難さを感じるので少し体を動かす事にした。けど、あまり外で動くことを良しとしなかった妻たちから提案があった。

「温水プールならいいですよ、体への負担も少ないですし、私たちと一緒に泳ぐならですけど」

 なんで温水プールなんだろ? まぁプールでも体を動かせるのはよかったので、温水プールへ向かおうとするが、俺は温水プールなんて作った覚えがないのでどうするのか聞いてみると、前にガルド様に頼んでダンジョン農園の一画に、温水プールを作ってもらっていたそうだ。なのでそこへ向かう事になった。

「へー結構でかいプール作ったんだな。ちょっと気になったんだけど、ここって硫黄のにおいしないか? 温泉でも近くにあるのか?」

「さすが温泉好きですね。温泉の熱を使った栽培も試していて、南国の食べ物なんかは、かなりいい物ができているそうですよ。特にフルーツ関係ですかね?どういった原理でよく育つのかは不明ですけど。

 そこで使った温泉のあふれたものを、温水プールにつかわせてもらっているんです。初めから温水プールを作るならさすがにガルド様も、ご主人様に許可を取ったと思いますが、余った温泉を使って広い穴を掘って、プールっぽく加工しただけですからね」

「なるほど、だからここにプールを作ったのか。まぁ体を動かしたいから楽しみながら動かすぞ!」

 プールの側に建てられていた更衣所で海パンに着替えてプールに向かう。いきなり飛び込むマナーの悪い事はしない。しっかりと準備体操をしてから入っていく。

 知っているとは思うが温水プールとはいっても、お風呂みたいに温かいわけでは無い。この温水プールの設定温度はおよそ三十ニ度で一般的なものでも高い方の部類だ。

 丁寧な事に温度が均一になるように流れるプール的な感じでプールが流れていたので楽しかった。ちなみにこの水の流れは、アリスとライムの魔道具開発コンビが作った自信作らしい。

 まぁ一番よかったのは、みんなの水着姿だよな。年長組や姉御組に関しては裸を見ているが、やっぱりそれと水着とは違うのだよ! ただみんなに言えば普通に着てくれるだろうが、そういう事じゃないんだよね!

 と、一人で頭の中で色々語っていた。

 プールでニ時間ほど遊べたので、肉体的には何の問題もなさそうで良かった。後は、ダンジョンコアを壊して得た物が気になるところだけど、完全にランダムみたいでチビ神にも分からないってことだからな。悪い効果はないってことだし放置でも問題ないか。

「いやー楽しかった。温水プールだから時期選ばずにはいれるからいいね、地上にもプール作るか? 夏場は冷たく冬場は暖かいプールとかよさそうだな。娯楽になるしな!

 アクアとガルドに眷属を貸してもらえば管理も楽そうだしな、今度検討してみよう! 目が覚めてからしっかり食べたけど、もうめっちゃお腹すいたわ。数日たべてなかったせいかな? 夕食までまだ時間あるし軽く食べれる物無かったかな」

 プールサイドで妻たちがクレープを焼いて食べていたのを発見した! 俺も食べたい!

「チョコバナナクリーム一つ!」

「ご主人様、クレープを食べても大丈夫なのですか?」

「お腹も痛くないし、特に問題はなさそうだから食べれるよ! というかみんなが美味しそうに食べてるんだから、俺だって食べたいよ!」

 俺の事を観察していたキリエが、渋々許可を出していた。俺の事を心配してくれるのは嬉しいんだけど、心配するなら美味しいそうなものは、俺のいない所で食ってくれ!

 なんだろ?このバナナめっちゃ美味い!

「なぁなぁ、このバナナめっちゃ美味いんだけどなんなん?」

「今さっき話していた温泉を使った、南国のフルーツを育てる農園の食材ですよ。他にも南国フルーツ系はそのこの物を使っています。後イチゴは温泉と冷気を使って一年中生産できるようにしているみたいですよ。

 そんなことしなくてもこのダンジョン農園ならおいしい物が育つのに、おいしい物を食べてもらいたいとの事で、食べ物にあった育成をしているみたいです」

 俺の知らないところでみんな頑張ってるんだな。確かこの農園は、ドリアードの担当だったから何かお礼しないといけないな。

「帰りにドリアードたちに何かお礼をしたいけど、何か喜びそうなものって知らないか?」

 妻たちは全員首をかしげてお互いの顔を見合っていた。誰も知らないみたいだな、どうすっか? 本人たちに聞いてみるか!

「シュウ君、本人たちに聞いてみればいいのではないですか?」

 俺と同じことをミリーも考えていたようだ。でもな、いい大人が頬っぺたにクリーム付けてるなんてな。ぬぐってとってあげたクリームを口に運ぶと、ミリーが真っ赤な顔をしてこっちを見ていた。

 猫耳かわいいな、今更だけど人間みたいに横に耳がついてないから頭の中の構造が気になるんだよな。実際の猫の頭を大きくして人間風味を足した感じなのだろうか?

「周りの娘達もうなづいているみたいだし、聞きに行ってみようか!」

 ディストピアに住んでいるドリアードたちがよく集まっている広場に向かうと、四十人近くのドリアードたちがいた。こんなに召喚した覚えがないけどこれで全部か?

「ということで、ドリアードのみんな何か欲しい物ってない?」

「ご主人様、またその『酒粕で作った甘酒が欲しいです!』……ご主人様のその場のノリで質問した事に即答するとは!」

 ピーチが若干わなわなしている。

「本当に甘酒でいいのか? もっといい物でもいいんだよ? みんなの貢献度を考えたらさ、甘酒なんて安い物じゃなくt『酒粕から造った甘酒がいいんです!』おぅ、分かった。シルキーたちが作ってるら、最高の日本酒の酒粕から甘酒を作ってもらうわ」

 俺がそういうと、ドリアードたちは大歓声を上げた。そんなに好きなのか? シルキーたちに準備させよう。それと定期的に届けさせよう。どうせ贈呈用の日本酒を作っているんだから、使う用途の少ない酒粕がドリアードたちに喜ばれるなら全部上げてもいいだろう。

 そういえば、ドリアードたちが米作ってるんだから自分たちに元に戻ってくるって事になるのか? とりあえずお願いしに行こう。

「という事でお願いしに来た!」

「だからご主人様、そのノr『大丈夫です!』スカーレットさんたちまで……ご主人様のノリに合わせてくるなんて」

 ピーチが後ろにいる妻たちに肩をポンポンとたたかれている。最近このノリで付き合ってくれるメンバーが増えて嬉しいんだよね!

「で、どういった内容をお願いされるのでしょうか?」

「今、シルキーたちが主導で日本酒作ってるよね? そこで出た酒粕を甘酒にして、ドリアードたちに回してほしいんだけど大丈夫かな?」

「どの位でしょうか?」

「できる限り多くかな。ドリアードが俺たちの食事に貢献しているじゃん? そのお礼にって事で何がほしいか聞いたら、一も二もなくみんながほしいっていうので、ぜひ用意してあげたいなと思ったから、シルキーたちにお願いしに来たんだよ」

「そうなんですか、では調理や研究に使う分以外は全部甘酒に回す方向でいいですか?」

「そうするとどのくらいの甘酒ができるんだ?」

「そうですね。一トン程は現状で作れますね。後月に、五〇〇キログラム分はできるのではないでしょうか?」

「あー予想より多いな。毎月二〇〇キログラム程にしておこうかな? 一人あたり四キログラム程は飲めるから大丈夫かな?」

 とりあえず今回の件はこれで問題ないだろう。
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