ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
275 / 2,518

第275話 シュウsideっぽい

しおりを挟む
『よし! 準備できてるわね! どんなダンジョンかは見てないけど、負けは許さないわよ!』

 よし! じゃねえよ! わざわざダンジョン作ったんだからチョットは労えや!

『ん? 労ってほしいの? よく頑張った私の下僕よ!』

 わかった。お前がそういうなら今からダンジョンコアまで直通通路作って速攻で負けるわ。天界? だかでせいぜい恥をかいてくれよ。

『ちょっと待ち無さ……待って下さい。それだと私の立場がちょっとまずい事になるのよね……お願いだからそれは止めてほしいなって思うんだ』

 人にお願いする時にはどうするんだっけ?

『……シュウ様、今回のダンジョンバトルを本気で戦って下さい。よろしく、おねがい、します』

 チビ神に『様』とか付けられたらサブいぼが出たわ! キモイわー! まぁそこまでお願いされちまったら、まともに戦ってやらんといかんよな。本当にしょうがねえ奴だな。

『キィィィィ! くやしいぃぃぃ! まともに戦ってもらわないと私の立場がないの、言いたくなかったのに言わされて、キモイって言われた。もうお嫁にいけない』

 何年生きてるか知らんけど、それだけ生きて結婚できてないなら、元から結婚できないから安心しろ。

『ぐぅ……どうせ口で勝てないんだから、無視すればいいのよアリス! あいつは無視! 私は大丈夫。うん、問題ないわね。ふぅ、それじゃ相手のダンマスの準備も終わっているみたいだから開始するわよ? ではダンジョンバトル開始!』

 チビ神の気合の入った宣言でダンジョンバトルが始まった。

 開始と同時に俺のダンジョンに敵のダンマスの魔物が侵入してきた。逆に俺の魔物たちも敵のダンジョンに侵入していった。

 一階は、魔物の一切いないトラップが大量においてあるフロアだ。

 敵の技量にもよるが二日もあれば余裕で突破できるだろうと思っていたので、いいところまで来たら呼んでもらうように、スプリガンの皆様にお願いして敵のダンジョンの様子をうかがう。あれ? 敵のダンジョンって様子を見る方法ってなくないか!?

 意気込んで観察しようと思っているのに、出鼻をくじかれた。分かるのは敵のダンジョンに侵入させたヘビーグリズリーとゴブリンたちがいる場所だけだ。

 いるのが分かってもダンジョンの形は全くわからない、通った場所もマッピングされるわけでもなかった。せめて不思○なダ○ジョンみたいに通った場所は、マップに表示されるようになってれば状況をある程度理解できるのにな。

 わらわら動いているのしかわからないから面白くないので、スプリガンの監視部屋に戻って様子をうかがった。ダンジョンバトルが始まってからおよそ三時間が経っていた。

「あ? ご主人様、ただいま敵の魔物の一陣が一階のトラップで全滅しました」

「マジか! まだ三時間しか経ってないのにトラップが全滅しちゃったのか。結構気合入れて作ったつもりなのにな。予想以上に強いダンマスだったのか、油断しすぎたな。レベルを上げたとしてもブラックウルフじゃ対抗しきれないか?」

「あのご主人様、『トラップが』ではなく、『トラップで』敵の魔物が全滅です」

「ん? 突破されたんじゃないのか? よかった。苦労して作ったんだから、もう少し楽しんでもらえたらって思ってたからな。それで何匹くらいが攻めてきてどんな感じで全滅したんだ?」

「およそ五十匹程度ですね。恐らく先遣隊みたいなものでしょう。攻めて来たのは亜人系の魔物が中心でした。大半はトラップにかかって死にましたが、二匹だけ、その……トラップにかかった仲間の二次被害で死にました」

「え? 二次被害でってそんなに周りに被害の出るトラップってあったっけ?」

「ご主人様がネタで作ったオイルまみれトラップです」

「あれで2次被害が出たんだな。まさかの戦果だな」

 妻たちも何とも言えない空気をかもしだしていた。

 この日は合計で三回の侵入があったが一階の二割程までしか、進行することはできなかったようだ。

 俺の進行具合は、光点しかなかったからどこまで攻めたかわからんし! どこまで進んだかわからないとかもどかしすぎるだろ! 唯一分かるのは若干下に進んでいることくらいだ。

 二日目も敵の魔物は俺のダンジョンの一階を突破することはできなかったようだ。

 ビックリするほどトラップにハマって魔物の数が減っていくので、作成者としては嬉しいのだが、思ってた以上に攻めてくる魔物がポンコツなので単調になって面白くないのだ。面白い事があったら呼んでもらうように伝えて、妻たちと料理をし始めてしまったくらいだ。

 俺の魔物たちは、順調に下に進んでいるようだがやっぱり、どれだけ進んだか、どんなところを進んだか、どんな敵を倒したかが全くわからない。

 ダンジョンバトルって本当にチビ神共がダンジョン同士の戦いを楽しむものなんだな。魔物同士の戦い、魔物がダンジョンのトラップにひっかかる無様を楽しんでいるんだろうな。

 そういう意味では趣旨にそってるんだろう。まぁ一つのダンジョンバトルをずっと見てるわけじゃなくて、複数のダンジョンバトルのいいところ取りをして楽しんでるんだろうしな。娯楽に付き合わせやがって! 俺たちが面白くねえんだよ!

 三日目になると敵の魔物が変わった。俺と同じようにゴブリンを大量に投入してきたのだ。これによって三日目の俺のダンジョンの踏破距離が長くなっていた。それでも一度かかったトラップを完全に回避することができないようで、何度も同じトラップにかかることが多かった。

 何というか、頭悪いなゴブリンって。でも、トラップの中には回数制限のある物も結構な数があるため、そういったトラップだと思い使用回数を稼いでたのかな?

 俺の魔物達に若干の変化が見られた。前の二日間ではゴブリンの死亡が一桁だったのに対して、三日目はゴブリンが四十五匹も死んでしまったのだ。準備したゴブリンの数からすれば数パーセントの数なんだけどな。それでもこちらとしては大きな変化だったので、何があったのか話題は尽きなかった。

 トラップによるものなのか、魔物によるものなのか、それとも別の要因なのか、色々な意見が飛び交った。でも調べる方法が無くて結局考えるのがばかばかしくなって、みんなでゲームを始めてしまったさ! 俺は悪くないと思う! すべてチビ神共がバトルの様子を見せないからだ。

 四日、五日と過ぎていく。ゴブリンの倒される数が減ってきたが、問題なくダンジョンを侵攻しているようだった。相手の魔物は一階を攻略できる様子は全くないので、見るのも飽きてきた。あ、餃子が上手い。

 そうなんだよな、妻たちと料理っていうといっぱいいるから全員で行うのが難しいので、みんなでワイワイできる餃子、シュウマイ、肉まん等を昨日一緒に作って、今は餃子を焼いて食べている所だ。カエデ・ミリー・リンドの三人は、おっさんみたいにグビグビとビールを飲んでプハーッと言って酒を楽しんでいた。

 六日・七日とゴブリンの倒される数がまた増えて、何があったのか悩んでいたが、八日目唐突にダンジョンバトルが終わった……

「へっ!?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

処理中です...